第5試合はアーロン・ヘナーレ（1勝4敗＝勝ち点2）vsKENTA（1勝3敗＝勝ち点2）の『G1 CLIMAX 32』Cブロック公式戦。既に両者とも決勝トーナメント進出の望みはないが、1勝でも上積みをしたいところ。両者、シングル初対決だ。

　ゴングが鳴ると、お互いキックを繰り出しながら様子を見合う。ヘナーレはボディブロー、KENTAは掌底も繰り出すなど、得意の打撃を繰り出し合って組み合おうとしない。ここでヘナーレのボディブローが炸裂。連打を食らったKENTAはたまらず場外にエスケープだ。
　場外から戻ってきたKENTAはサミングでヘナーレを捕まえてコーナーに追い込んでパンチ攻撃。しかし、コーナーに追い詰められたヘナーレはセカンドロープに上がってキャンセルキックを食らわせる。
　ここでまたもKENTAは場外へ。ヘナーレはこれを追いかけて打撃で攻め立てる。これを食らいながらKENTAはタイミングを見計らって避けると、ヘナーレの左ハイキックが鉄柱に自爆。倒れたヘナーレを打撃で痛めつけ、ハンマーロックに固めてから鉄柵に叩きつける。
　さらにKENTAは鉄柱にぶつけたヘナーレの左足をストンピングで滅多打ち。リングに戻すと左足首を固めてダメージを与えていく。さらにトーホールドで追い打ちをかけると、ヘナーレもロープエスケープだ。
　攻撃の手を緩めないKENTAはボディブローで反撃してくるヘナーレを関節蹴りで黙らせ、左腕にはアームブリーカー。さらに頭を殴りつけ、胸板にはサッカーボールキックだ。しかし、ヘナーレも痛む左足で、ロープに走ったKENTAにカウンターの左ミドルキック。ローキックを連打して反撃を開始する。
　そして背中にはサッカーボールキックを食らわせ、串刺し式のニーアタックも炸裂させる。続けてサモアンドロップで叩きつけ、ヘッドバットで追撃だ。さらにコーナートップに座ったヘナーレはダイビングセントーンも投下する。
　そして早くもアルティマを仕掛けたヘナーレ。これをバックエルボーで振り解いたKENTAはDDTで反撃。そして倒れているヘナーレの背中を蹴飛ばしてエプロンに追いやり、ストンピングを連打だ。
　さらにKENTAはヘナーレの首を掴んで、トップロープとセカンドロープの間から引きずり出すとグリーンキラー。そして、串刺し式フロントキックから、串刺し式の低空ドロップキックで顔面を打ち抜く。続けてコーナートップからダイビングフットスタンプだ。
　そして首を掻っ切るポーズからgo 2 sleepを狙うKENTA。しかし、ヘナーレもこれをこらえて阻止。KENTAのラリアットも仁王立ちして受け止めると、ロープに走ったところをバーサーカーボムで切り返してみせた。
　そして、ヘナーレはトドメのアルティマへ。だが、KENTAは両足でレフェリーを挟んでこれを阻止。怒りのヘナーレを背後から襲ってスクールボーイで丸め込んで流れを変えると、パワースラムで叩きつける。そして、もう一度go 2 sleepを仕掛ける。
　しかし、ヘナーレもヒジを叩き込んでこれを阻止。KENTAとヘナーレはエルボー合戦だ。KENTAがカウンターの掌底を叩き込んで滅多打ちにすれば、ヘナーレもボディブローで反撃。さらに後ろ回し蹴りで蹴り倒すと、Streets of Rageを狙う。
　だが、KENTAもサミングをしながら阻止。グラウンドに引きずり込んでGAME OVERを狙う。ヘナーレは前に回転して逃れようとするが、KENTAはすぐさま三角絞めに移行して逃さない。ならばとヘナーレは強引に持ち上げてKENTAをマットに叩きつけて脱出だ。
　そしてランペイジを放ったヘナーレ。しかし、KENTAは持ち上げられたところでヒザ蹴りを放って阻止。すぐさまGAME OVERに捕獲する。粘ったヘナーレだったが、ついにギブアップ。KENTAが勝利を上げて、2勝3敗で勝ち点を4に伸ばした。一方のヘナーレは5連敗となり、1勝5敗の勝ち点2で公式戦は終了となった。

　
KENTA「（※インタビュースペースに着くとヒザをつき、手もついてビデオカメラマンに目をやり）何で来てんだよ、太ってんなぁ！ （※正面を向いて座り）でも、もしかしたら俺は、オマエのことを勘違いしてたのかもしれない。今日負けそうだった時、自分が苦しくなった時、頭の中にオマエの（※口調を真似て）『足、跡』、『足、跡』っていうのが出てきて、何回も助けられた。ありがとう。ありがとうな。（※カメラ、うなずく）……『うん』じゃねぇよ！ オマエのことなんか何も頭ん中にねぇよ！ 何でいんだよ！ 全部これ、おれが凄いだけじゃん！ オマエが来てる時に全部俺が負けてたのに、俺が何とか頑張ったから今日勝てたの！ 『うん』じゃねぇよ！ オマエの『足、跡』思い出すこと1回もないわ！ 1回もないわ、ここ以外で！ 調子に乗んな、オメー。ふざけんなよ、ホントに。何だヘナーレ、アイツ。アイツよぉ、全然サングラス似合ってねぇじゃんアイツ。ふざけんなよ。レイバンつけてたよレイバン」

「ちょっと待ってよ。こないだ下田さんが全部忘れちゃったから、できなかった。今日勝ったから、下田さん、持ってきて。（下田さんがラミネートを持ってくる）持ってきた、全部？ 全部ある？（ラミネートを広げ、表紙をカメラマンに見せて）読んで、これ。読んで？」
カメラマン「足、跡」
KENTA「オイオイ、かわいいなオイ。な、これ『足跡』。重版決定したからな。俺を見たことない人、ここで初めて俺を見る人、重版決定したから、コレ、重版決定したから。（※『重』『版』『決』『定』の文字が大きくプリントされた4枚のラミネートを持って）面倒くさいけど、これ、重版決定したから」

　
「（※『重』のラミネートだけカメラマンに突き出して）この字だけオマエにやるわ。オマエにやる。ずっとつけとけよ、コレ。ずっとつけとけよ、太ってんなぁ！……次。次、棚橋。アイツはホントに、恨み持ってっから。アイツが、アイツが愛を叫んでる間、俺が入院しながら杖ポンと愛を育んでたんだよ。この気持ち、アイツには分かんねぇだろ。でも、オマエだったらこの気持ち分かってくれるよな。（※カメラ、うなずく）ウソつくなよ！ 何でオマエに分かるんだよ、オマエにだけは分かってほしくねぇよ！ ふざけんなよ、ホントに！（※再び『重』のラミネートを突き出し）オマエはコレ持ってろ、コレ！ ホントに！ ふざけんなよ、ホントに！」

　
「（※サイン会の告知を見せて）コレ、サイン会ね。サイン会来る人はマストにしちゃおうか。全然そんなことオフィシャルにも言ってないけど、本も持ってない人は入れません！ 帰します、持ってない人は！ ……『持ってないから行くのやめよう』とか、冗談だからね、ホントに。来てよ。結局、俺が何が言いたいかっていうと、明日、久しぶりの長野。最後にリングに立ってるのは、俺だってこと！」
　
　
 
　
ヘナーレ「なんてこった、俺の『G1』は衝撃的な勝利で始まったというのに！ 1回戦で体力を全て消耗してしまったのかもしれない。俺は簡単に快楽には溺れたりしない男にもかかわらず。仕方ねぇ」
　

　
「この『G1』中、連日のように自分の人生の話をプロモしてる男についてしゃべらしてもらう。この男は自分の人生を通し、少年たちに夢を追うことの大事さを教えたがってる。素晴らしい話じゃねぇか！ 俺が何の話をしてるかわかるか？ KENTAの本じゃないぞ！ 俺自身のストーリー、“プライマル・マンフッド”（男らしさ）についてだ！ 俺はこれまで（SNSを通して）メッセージをくれた若者たちのために、この『G1』を闘ってきた。何千もの若者たちが、『スラム育ちのヘナーレがここ（ニュージャパン）まで上がってきて、世界のトップたちと闘うまでになったなんて……』って言ってくれるんだ。だから俺は彼らのために『G1』で頑張った。それからUNITED EMPIREのためでもある。でも何より、俺自身のために闘った！ ファンに俺の実力を証明するために闘った！」
　

　
「俺はこの業界で、誰よりもタフで、最高に“BASED”な野郎だ！ 俺と同じ道を歩んでもここまで生き残れるヤツはほとんどいないと思う。俺は通りをたむろするヤンキーに鉄パイプでボコボコにされるような場所で育ってきたんだ！ 銃による暴力から逃げることだってあった！ ほとんどのヤツは泣きべそかいて、人生をあきらめて、精神病院送りになってもおかしくないような環境だ！ でも俺はここで、毎日必死に闘っている！ なぜなら俺は、世界最高のヘビー級レスラーになりたいから！ ファン、会社、対戦相手、そして世界に、アーロン・ヘナーレの本当の強さを思い知らせてやった！」