メインイベント(第6試合)では「藤波辰爾デビュー50周年記念試合 FINAL」として、棚橋弘至が藤波辰爾と激突。師弟関係にある両雄のシングルマッチが、2002年10月6日の『無我』後楽園ホール大会以来、約20年ぶりに実現する。
今回の一戦の発端となったのは、ドラディションの5.12後楽園。藤波は新型コロナウィルス陽性判定を受け、大事を取って同大会での「デビュー50周年記念試合パート3」を欠場。その代打として棚橋が出場し、越中詩郎&永田裕志とのトリオで鷹木信悟&高橋ヒロム&長井満也組に勝利を収めた。
その試合後、リングに上がった藤波が「12月1日に代々木が決まってるし、ひさびさにシングルやるかな」と意欲を見せると、棚橋が対戦相手に立候補。そして、9月8日の会見で正式に両者の一騎打ちが発表された。新日本50年の歴史の立役者でもある両雄は、大舞台でどのような戦いを繰り広げるのか?
棚橋は気合い充分の表情で入場。藤波の登場時、『マッチョドラゴン』、『RISING』、『超飛龍』、『ドラゴンスープレックス』と歴代のテーマ曲のリミックスが流れる。そして、最後は師匠・アントニオ猪木の『炎のファイター』と共に、赤いガウンに赤いタオルを身につけ花道を進む。
開始のゴング、棚橋は「ヨーシ!」と気合いを入れる。そしてロックアップで組み合うとロープまで押し込むが、藤波は体勢を入れ替えてクリーンブレイク。
続いて藤波はヘッドロックで捕獲。そして首投げからグラウンドで頭部を締め上げる。棚橋は切り抜けてバックを取ろうとするが、藤波はロープエスケープ。すると棚橋は藤波の足を捕らえるも、一旦離れる。
今度は手四つの体勢で力比べ。藤波が押し込むが、棚橋は切り抜けて腕を取る。だが、藤波はロープに押し込んでクリーンブレイク。
次はロックアップから藤波がヘッドロック。棚橋は切り抜けてアームホイップ。そしてキーロックを仕掛ける。そこから腕ひしぎ逆十字につなぐが、藤波は巧みに切り抜けてスリーパー。そして逆にキーロックを決める。棚橋は必死に足をロープにかけてエスケープ。
続いて棚橋がヘッドロックで捕らえ、ここからロープワークの攻防に。棚橋はショルダータックルでなぎ倒し、さらにボディスラムで叩きつけ「ヨーシ!」と気合いを入れる。
棚橋は藤波の左足にストンピングを叩き込み、エルボーを落とす。すかさず藤波は腕ひしぎ逆十字を狙うが、棚橋は切り抜けてレッグロック。そこからインディアンデスロックにつなぐ。
そして棚橋は藤波の左足を捕らえるが、藤波はキックで脱出。すると棚橋はハンマースルーからスリーパーで捕獲。だが、藤波はドラゴンバックブリーカーで切り返す。
続いて藤波はサソリ固めを決める。棚橋は必死にロープエスケープ。そして棚橋はキックを繰り出すも、藤波はその足を捕らえてドラゴンスクリューを炸裂。そして4の字固めを狙うも、棚橋は首固めで返す。藤波はカウント2でキックアウト。
すると棚橋はエルボーからロープへ。だが、藤波はスリーパーで捕らえ、ドラゴンスリーパーに移行。すかさず棚橋はキックで脱出し、スリングブレイドの体勢に。しかし、藤波はもう一度スリーパー。そしてドラゴンスリーパーを決める。その状態でグラウンドに持ち込むが、これは外れてしまう。
藤波は再度、意地のドラゴンスリーパーに持ち込む。だが、棚橋はツイスト&シャウトで切り返す。ならばと藤波は顔面に張り手。棚橋もやり返すが、藤波はもう一度張り手を叩き込み、ハンマースルーを仕掛ける。
すると棚橋は今度こそスリングブレイドを炸裂。そしてカバーするも、藤波はカウント2でキックアウト。ならばと棚橋はコーナー最上段からハイフライアタックをお見舞い。カバーは藤波が必死にカウント2で跳ね返すが、すかさず棚橋はハイフライフローを炸裂し、3カウントを奪取。棚橋が偉大な師から勝利を収めた。
藤波「とことん付き合ってくれまして、ありがとうございます」
棚橋「いえ」
藤波「ありがとうございました」
棚橋「ありがとうございます」
藤波「やっぱり、トップを張っていた選手はやっぱ強いね。頑張っていたつもりだけどね。さあ、何かあれば……」
※棚橋が改めて向き合って
棚橋「藤波さん! 50周年おめでとうございます!」
藤波「ありがとうございます」
棚橋「ボクの今年のキャリアが…」
藤波「ウン」
棚橋「23年です」
藤波「オウ、ちょうど半分」
棚橋「まだ半分いってないです!」
藤波「ヨシッ」
棚橋「本当に、今日闘って」
藤波「いいなあ~」
棚橋「藤波さんの上手さ……」
藤波「いやいやいやいや」
棚橋「いや、ボク、あの! プロレスラーになりたくて。(涙を流しながら)で、藤波さんを目標に頑張ってきたことは……」
藤波「泣くなよオマエ!(棚橋の胸元に軽くチョップを入れる)、オレ引退じゃないんだぞ、オマエ!(笑)」
棚橋「間違いじゃなかったなと、今日思いました本当に。ありがとうございました」
藤波「ちょうどボクが猪木さんと、猪木さんを独り占めした…まったく同じ、心境かどうかわかりませんけどね。まあ、何か伝えられればいいかなと思ったんですけど、ボクはご覧の通りの体調がね、やっぱ足がどうしてもいまいちっていうか、これは負け惜しみじゃないんだけどね、ウン。本来、まあ、現役のバリバリの選手をね、やる時はもう少し調整したいんですけどね、今回はちょっと慌てすぎた、一戦だったね。彼が丁度、ボクが後楽園で言った一言がね」
棚橋「ハイ!」
藤波「聞き逃さなかったんですよね」
棚橋「ハイ!」
藤波「引くに引けなかった」
棚橋「じゃあ、藤波さん。もう一度……。ボクと一緒に肉体改造して下さい」
藤波「お! もう一回チャンスくれるのか!?」
棚橋「もう1回!」
藤波「よーし!」
棚橋「いや、ボクも見て下さい、ホラ!(お腹の脂肪を掴んで)」
藤波「ホラ、オレも大分絞ったつもりなんだけどなあ。ちょっとオレもじゃあもうちょっと」
棚橋「藤波さんと朝、ランニングがしたいです」
藤波「そうだね、ランニングできるということは体感がもうちょっと戻るということだもんな」
棚橋「ハイ、ハイ、ぜひ実現して、ハイ」
藤波「オーケー」
棚橋「頑張っていきましょう!」
※記念撮影の後で
藤波「やっぱ強ええ。やっぱ体幹が違うわ。オレもロックアップの時はバシっといったつもりなんだけどねえ。まあ、芯が違うねえ」
棚橋「違います。ボク、藤波さんとやっぱロックアップいった時に、やっぱ現役選手の誰よりも重かったっす」
藤波「いやいやいやいや」
棚橋「ほんっとに」
藤波「いやいやいやいや」
棚橋「うおー、ああって感じで! やっぱりね、このロックアップっていうのはプロレスの基本動作ではあるけども、ここでしたものが次の展開に移るっていう」
藤波「そうだね。ちょっと今日はね、巻き込みやんなかったもんね」
棚橋「いやー、ボクも最初ロックアップいった時にバック獲ってやろうと思ったんですけど、ガッチリ組まれたんで、バック貰えなかったですね、ほんとに、凄い」
ーー藤波さん、歴代のテーマ曲と最後に猪木さんのテーマ曲で入場されましたが
藤波「ハイ。いやもう50周年、もうとにかくね、いろんな部分をね、まあファンあっての我々、レスラーがね、リング戦えるわけだから今日は色んな部分のボクを見てきたファンにね、色んな部分を今日は体感してもらいました」
ーーガウンも猪木さんみたいでしたが
藤波「そうですか! まあ、猪木さんのあのボンバイエでボクは入場するのはちょっとおこがましいですよね、ちょっと猪木さんに、了解を得てね、アレはちょっと、あのボンバイエではちょっとオレはアレ、足が竦んじゃうね」
棚橋「あ、でも藤波さん、猪木さんの曲で藤波さんを待ってるボクなんか、2vs1で戦うような気持ちでしたし、うわーマジかーって思いましたけども、ま、藤波さんだからこそ、猪木さんも喜んでくれてるんじゃないかなと思います」
藤波「いやー、やっぱり猪木さんは永遠ですよ、我々のね、やっぱり鏡っていうのかね……。ま、ボクらのまだ後ろには猪木さんがいるっていうその気持でね、リングに立ってます。はい。ありがとうございました。本当にありがとう今日は」
棚橋「こちらこそありがとうございました」
※最後は、北沢幹之さんを迎え入れて、スリーショットを撮影。