“闘い詣のイッテンヨン”までカウントダウン!! 今回は、1.4東京ドーム大会にて、矢野通の“X”として、丸藤正道選手と初参戦が発表された “TMDK”マイキー・ニコルス&シェイン・ヘイストの凄さを「週刊プロレス」井上光記者が徹底解説!!
■マイキーが冷静沈着な司令塔のドリー・ファンクJrタイプ、シェインが熱血漢の暴れん坊のテリー・ファンクタイプ
2013年の「プロレス大賞」で最優秀タッグチーム賞を受賞しているTMDKことマイキー・ニコルス&シェイン・ヘイスト、ノアファンからの絶大な信頼は得ているが、新日本プロレスファンにとっては“まだ見ぬ強豪”と言えるだろう。
2人はともにオーストラリア第2の都市であるパースのEWP(エクスプローシブ・プロ・レスリング)という団体でデビュー。当初はライバルとしてしのぎを削り合っていたが、2009年あたりから組むようになった。
年齢は同じでキャリア的にはマイキーの方が2年先輩。ザ・ファンクスで例えると、マイキーが冷静沈着な司令塔のドリー・ファンクJrタイプで、シェインが熱血漢の暴れん坊のテリー・ファンクタイプである。チーム名(正確にはユニット名)のTMDKは「THE MIGHTY DON’T KNEEL」=強き者はくじけないという意味だ。
2人は2010年秋にアメリカでおこなわれたNOAHのトライアウトに合格し、翌2011年2月に留学生として来日。試合に出場しながらディファ有明の道場でトレーニングを積んだ。来日してすぐに東日本大震災を体験した際には母国から「なぜ帰国しないのか?」と不思議に思われたそうだが「日本でプロレスの練習をしたい気持ちが地震への怖さに勝ってた」というハングリー精神の持ち主である。
■TMDKの フィニッシュホールド、“サンダーバレー”は、豪快無比な合体技!!
激動続きのNOAHで2人は着実に飛躍のチャンスをつかんでいく。2012年11月にはシングルリーグ戦の「グローバル・リーグ戦」に初出場。2013年5月にNOAHの正式な所属選手となると、7月には新日本の矢野通&飯塚高史に流出していたGHCタッグ王座を奪還。その一戦でフィニッシュとなったのが、サンダーバレー。マイキーのマイキーボム(ブルーサンダー)とシェインのボムバレーデス(ファイアーマンキャリーからのチョークスラム)を合わせた豪快無比な合体技だった。先日の新日本12.20後楽園でTAKAみちのくに決めていた技だ。
それからの活躍ぶりは、2012年いっぱいで秋山準と潮﨑豪が退団してできたヘビー級戦線の穴を埋めてお釣りが来ると言っても過言ではない。2013年9月にはそれぞれKENTA(現・イタミ・ヒデオ=WWE)のGHCヘビー級王座に挑戦。大舞台で持てる力を発揮してタッグだけでなく、シングルでもトップファイターであることを証明している。
今回、新日本1.4東京ドーム参戦にあたって、丸藤正道は「オレがやってきたようにNOAHの選手はこれだけすごいんだよってもっとプロレス界に広めたい」と語っていた。その意味でTMDKはまさに適材だ。
マイキーは緩急自在の試合運びで闘いの絶妙なスパイスになり、東京ドーム全体に伝わる闘いを創り出すだろう。あの森嶋猛さえも完璧にダイナミックボムを決め、フェニックス・スプラッシュ(ブラックスワン・スプラッシュ)も繰り出すシェインの身体能力の高さや天性の華は、新日本、いや世界のプロレスファンの琴線を激しく震わせること間違いない。
さらに、実績的な強みもある。2014年の「グローバル・リーグ戦」ではシェインが小島聡に、マイキーが永田裕志にそれぞれシングルで勝利。前述した2013年7月のGHCタッグ奪回もそうだし、TMDKは実は新日本キラーなのだ。
すべてのシチュエーションは整っている。2009年の1.4東京ドームで杉浦貴が新日本のリングでまばゆいまでの輝きを放ったように、今度はTMDKがプロレス界にその名をとどろかせるだろう。