11月10日(日)、都内・後楽園ホールにて開催されたプロレスリング・ノアの『グローバル・リーグ戦 2013』の最終戦に新日本プロレスの永田裕志が参戦。Bブロックにエントリーされている永田は、最後の公式戦を丸藤正道と闘った。
Bブロックトップの8点の丸藤を2点差で追う永田。勝てば丸藤と同点になるが、直接対決での勝利になるため決勝進出が決まる。ゴングが鳴ると、いきなりドロップキックで仕掛けてきた丸藤に永田もスピーディーに対応。エルボー合戦では押し込まれたものの、サッカーボールキックからのスリーパーで逆転を図る。
これで主導権を握った永田はヒザ蹴りを中心の攻めを展開していく。しかし、丸藤の時間差アックスボンバーを食らうと、続く丸藤の連続の蹴り技をかわし、張り手で動きを止めたものの、すぐさま時間差のトラースキックを被弾してしまう。続けてフットスタンプを顔面に食らった永田だが、今度は串刺し式のフロントキック、エクスプロイダーで反撃だ。
だが、丸藤のブレーンバスターと見せかけてのトラースキックを食らって動きを遮断させられ、不知火を食らった永田。虎王を食らい、パーフェクト・フェイスロックを仕掛けられる。これをなんとか外した永田は、丸藤のタイガーフロウジョンを回避すると、逆にヒザ蹴りを一撃。丸藤の土手っ腹に叩き込み動きを止めると、垂直落下式のブレーンバスターからエクスプロイダーを連発。最後はバックドロップホールドで3カウントを奪い、決勝戦進出を決めた。
■11月10日(日) プロレスリング・ノア『グローバル・リーグ戦 2013』最終戦 東京・後楽園ホール
[グローバル・リーグ戦2013 Bブロック公式戦](30分1本勝負)
◯ 永田裕志 〈4勝2敗=8点〉(8分34秒、バックドロップホールド) 丸藤正道 〈4勝2敗=8点〉×
※永田がBブロック代表に決定
いよいよ決勝戦。Bブロック代表の永田が対戦するのは、この日、AブロックでGHC王者・KENTAを粉砕した森嶋猛だ。ゴングと同時に永田はフロントキックから、ローキック、ミドルキックを連発。しかし、すぐさま森嶋のドロップキックによる逆襲を受け、たまらず場外に退避だ。
気を取り直してリングに戻ると森嶋と手四つで力比べ。体格で上回る森嶋相手に互角の勝負を演じた。しかし、ハンマーパンチを浴びて動きがストップ。場外に放り出されてしまい、鉄柵にぶつけられ、森嶋が用意したイスの上に座らされてしまう。それでも、永田は突っ込んできた森嶋をフロントキックで迎撃。お返しのイス攻撃はレフェリーに止められたものの、リングに戻ってアームブリーカーから森嶋の右腕をいたぶりにかかる。
ストレートアームバー、ミドルキックを叩き込み、さらにアームブリーカーでいためつける永田。しかし、森嶋のラリアットを被弾すると、続けて超重量級のミサイルキックまで食ってしまう。さらにコーナーに追い詰められ、スティンクフェイスの連発に、ランニングボディプレスまで被弾した永田。だが、森嶋がコーナーに上がると、それを追いかけて攻撃の阻止を図る。森嶋にコーナー上で張り手を食っても踏ん張る永田は渾身の力で雪崩式のエクスプロイダーだ。
さらに永田は串刺し式のニーアタック、ブレーンバスターで追撃。そして、必殺のバックドロップホールドの体勢に入る。これを森嶋に踏ん張られると、エルボーと張り手を連発。さらにフロントキックを顔面に叩きこむ。しかし、森嶋も一歩も引かない。永田は森嶋の強烈なラリアットを2発連続で食らうハメになった。
]だが、永田も続く森嶋のラリアットを脇固めに切り返して反撃。腕固めに捕らえ、白目降臨。ところがこれでも仕留め切れず、逆に森嶋のバックドロップの逆襲を食らう。ならばと、永田はすぐさまエクスプロイダーでお返し。それでも動きの止まらない森嶋からラリアットを食らい、両者ダウンという状況に陥った。
森嶋とほぼ同時に起き上がった永田はエルボーで森嶋を崩しにかかるが、なんと森嶋が巨体を奮ってハイキック! さすがの永田もこれにはダウンせざるを得ず、続けてバックドロップまで食らってしまった。しかし、なんとかキックアウトした永田は、大中西ジャーマンで反撃だ。両者の狙いは必殺のバックドロップ。お互いにその体勢に入ると必死に阻止にかかる。そんな中、永田は森嶋のハンマーパンチを食らって、身体をふらつかせながらも、大車輪キック。
これで森嶋の動きを止めると、バックドロップだ。しかし、これでも森嶋を仕留められないとみるや、永田は今年のG1で開発した奥の手・リストクラッチ式のエクスプロイダー、エクスプロイダー・オブ・ジャスティス! 完璧な形で怪物・森嶋から3カウントを奪い、『グローバル・リーグ戦2013』を制したのだった。
表彰式が終わった後、永田の前に姿を現したのはGHCヘビー級王者・KENTA。そのKENTAを見つけた永田は、「ようKENTA! おまえと闘えるのを楽しに見していたんだけどな、残念がら闘えなかった。すげえ悔しいな」と不敵な表情で挑発。これに対して、KENTAは「優勝したのはあんたでその件に関して何も言う必要はない。ただ、今日は闘えなかったかもしれないけど、有明コロシアム、やろうぜ」と、12月7日、有明コロシアム大会でのGHC戦を提案した。このKENTAの言葉を引き出した永田は、「有明、最高の舞台、おまえの“挑戦”受けてやるよ!」と、またもノア勢を挑発するような言葉で、受諾した。
永田の厭味ったらしい言葉に、KENTAは、「あんたは知らないかもしれないけど、この1年間、俺は曲がりなりにもこのベルトを守って、ノアを守ってきた。昔のあなたがそうであったように、俺はこの団体のトップとして引っ張ってきた自負がある。また時代を戻すわけにはいかねえんだ。あんたを倒して、俺がこの団体を引っ張っていく」と、ファンの前で堂々と宣言し、リングから降りていった。
その後、日テレのアナウンサーよりリング上でインタビューを受けた永田。「皆さん、今日はご声援ありがとうございます。ノアファンの皆さん、こんな光景見たことなかっただろう。これこそ方舟新章だよな」と、またもノアファンの神経を逆なでするような言葉を放ったが、ファンからのナガダンスを望む声が大きくなると、「よしわかった、ミュージックスタート!」と、ナガダンスを披露。最後は「『グローバル・リーグ戦』大成功を祝しまして、いくぞー! 1、2、3、ゼアッ!」と敬礼ポーズを決めて、大盛況の優勝決定戦を締めくくったのだった。
[グローバル・リーグ戦2013 優勝決定戦](時間無制限1本勝負)
◯ 永田裕志 〈4勝2敗=8点/Bブロック1位〉(13分09秒、エクスプロイダー・オブ・ジャスティス→体固め) 森嶋猛 〈4勝2敗=8点/Aブロック1位〉 ×
※永田が『グローバル・リーグ戦2013』優勝
■永田裕志のコメント
──優勝おめでとうございます。ナガダンスを披露したお気持ちはいかがですか?
永田 「ありがとうございます。これだけ強行のシリーズで、俺的には最後は精も根も尽き果てて、どうでもよかったんだけど、ファンの人が許してくれませんでしたね。でも、それもありがたいことです」
──今日の試合を振り返っていただきたいんですけど、まず丸藤選手に勝ちました。その試合が終わった心境はいかがだったのでしょうか?
永田 「やっぱり丸藤は変幻自在で、すげえ惑わされたというか、十中八九ペースを丸藤に握られている中での勝利だったんで。まあ、ちょっと冷やっとしましたけど、一つクリアできたなっていう。最後はKENTAかなと思ったんだけど、予想外に森嶋が出てきたんで」
──KENTAを倒した森嶋選手を倒したというのは、もの凄く意味があるんじゃないでしょうか?
永田 「そうですね。さっきも言いましたけど、この『グローバル・リーグ戦』っていうのは、GHCのチャンピオンも出ているリーグ戦なんで、それを制したチャンピオンとして、あえてKENTAの挑戦を受けると」
──これでメジャー3団体、シングルのリーグ戦、全て制覇ということになりましたけど、いかがですか?
永田 「まあ、新日本なり、全日本なり、今回のプロレスリング・ノア、一つの団体にこだわるのもいいですけど、日本のメジャーと言われる3つの団体の大きなイベントを活性化させ、盛り上げ、お客さんを入れ、そして制覇したっていう。新日本内に留まらず、こうやって3つの団体で優勝できたのはとても意義があると思います」
──永田選手、シングルのリーグ戦を3つも制覇できる勝因というかポイントはどこにあるんでしょうか?
永田 「やっぱり新日本で21年やっている中で、様々な苦境もあったし、いい時もあったし、悪い時もあった。それを全て正面から受け止めて、乗り越えてきた経験がやはり新日本だけじゃなく、日本マット界に大きく貢献できたかなと。ある意味、日本マット界の顔になったのかなとか、大きなことを言えば、そんなところだと思います」
──さあ、いよいよ、「時代を懸けた闘い」というような言葉もありましたが、GHCチャンピオン・KENTA選手との闘いが有明であります。最後に意気込みを一つお願いします。
永田 「そうッスね。本人も言っていた通り、この1年、彼を中心にプロレスリング・ノアは大きくなってきたというのが、ボクも外から見ていて思います。だからこそ、方舟新章を表す意味でも、俺が大きな壁となって、GHCヘビー級のベルトを奪い取りたいと思います。必ず有明でGHCのベルトを奪い取って、方舟新章を俺の手で、体現する、ゼアッ!」
──ノアのリングでナガダンスを踊った気分はいかがですか?
永田 「まあ、最後はホントに、さっきも言いましたけど、どうでもよくなったというか。去年、この『グローバル・リーグ戦』に出た時よりも、人数はちょっと少なくなったかもしれないですけど、全国何箇所か行っている中で、お客さんの入りとかノリとか、ノアの選手に期待する声っていうのは、去年よりも上がってきている。やっぱり、2年連続で続けてみて、大変だったかもしれないけど、そうやって彼らが作り上げてきた『グローバル・リーグ戦』だったんだなっていうのを凄く感じました。だからこそ、去年よりもグレードの高い闘いもあったし、なんかちょっとG1を思い出すようなところがありましたしね。そのリーグ戦を勝てたっていうのは、最近年齢のことをよく言われるんですが、そういうのを抜きにしても、良いことをやれたなっていう自負はありますね。まあ、あえてKENTA選手の前で堂々と胸を張って、GHCのベルトを奪い取りたいなと。有明コロシアムで」
──G1に出られて、全日本の『チャンピオン・カーニバル』にも出られて、そしてこの『グローバル・リーグ戦』に出られて、それぞれお感じになられたことはあると思うんですけど、この『グローバル・リーグ戦』ならではの感じたことはありましたか?
永田 「そうッスね。まあ、やっぱりノアを応援しようというファンの熱が強いなと。そこを突けば、過剰な反応がくるんでね。それを楽しみに大きく盛り上げていくというのがありますし、やっぱりアンチ永田がボクに罵声とかを突き刺してくれば、それがボクの大きなエネルギーになりますし、そうやってアンチと闘って、彼らをイライラさせたり、怒らせたり、時には負けっちゃって喜ばせたり、そうやってノアのリーグ戦を活性化させた。さっきも言いましたけど、新日本、全日本、プロレスリング・ノア、俺の力で大きく活性化させた。ある意味、日本マット界を制覇したなと。そういう自負はあります」
──優勝決定戦のフィニッシュはなんかこだわりがあったんですか?
永田 「いや、バックドロップは森嶋が重かったし、俺がバックドロップをやると向こうもムキになるんでね。ちょっと新型のG1で開発したあれを持っていてよかったですよ。今年、G1で開発して、それを繰り出す。やっぱり、俺もまだまだ進化しているなと、45にして。それを証明できたかなと思います。あれ、秋山のとは違いますからね(笑)」
──あれ使ったのは何回目ですか?
永田 「3回目です。鈴木みのる、高橋裕二郎、森嶋で3回目です」
──有明コロシアムも踊るんですか?
永田 「まあ、勝利して、ファンがどうしてもって言うなら。あんまうかつに言うとな(笑)。ファンがどうしてもと。今日もファンが……まあ一人だけ嫌がったファンがいましたけどね。それ以外はどうしてもっていう形だったんで。今日はどうでもよかったんですけど、言ってしまった以上は仕方ないなと。これもファンに夢を与える使命として、一つ成し遂げたということで。まあ、ホントに凄いやりがいのあるリーグ戦だったかなと。新日本とノア、行ったり来たりしながら、一人で旅しているような感じで、アメリカにいた時を思い出しましたね。飛行機使ったり、新幹線使ったりしながら、一人旅っていうのは、逆に俺を若返らせてくれたなと。付き人もいないから、自分で洗濯したり、気持ちが昔に戻ったような感じで」
撮影/山本正二
プロレスリング・ノア公式ページはコチラ