大好評!ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム。今回は、「ダブルリーグ戦のカギを握るのはフラッグシッププレイヤー」!
■『WORLD TAG LEAGUE 2021 & BEST OF THE SUPER Jr.28』優勝決定戦
12月15日(水) 17:00開場 18:30試合開始
東京・両国国技館
※「砂かぶり」は完売となりました。
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■第37回「ダブルリーグ戦のカギを握るのはフラッグシッププレイヤー」
みなさん、こんにちは。
コラム「ゲーム的プロレス論」の野中です。
11月6日の『POWER STRUGGLE』大阪府立体育会館大会を観戦してきました。
久しぶりの全9試合というラインナップにソールドアウトの会場は大熱狂でした。
続々と出てくる選手の多さに、かつての新日本プロレスが帰ってきたんだ、と感動をもらいました。
コロナ禍で耐えるほかない日々を強いられていますが、みんなで耐えた成果が出て、元の日常を取り戻しつつありますね。
大きな声で「さよならコロナ!」と叫べるその日まであともう少しの感染対策をがんばりましょう。
今回のテーマは11月13、14日に開幕する『BEST OF THE SUPER Jr28』と『WORLD TAG LEAGUE2021』についてです。
昨年に続いて年末の同時開催となりましたが、今年はかなりおもしろいことになっています。
今回は僕の楽しみ方についてゲーム的に論じていきます。
■露骨に意識しあうがゆえのおもしろさ
まず、シリーズ概要のおさらいです。
『BEST OF THE SUPER Jr.28』は11月13日(土)後楽園ホール大会で、『WORLD TAG LEAGUE 2021』は11月14日(日)後楽園ホール大会で開幕します。
両リーグとも1ブロック12選手(組)参加の総当たりリーグ戦。
優勝決定戦は両リーグともに12月15日(水)両国国技館大会となります。
昨年より2選手(組)増えてスケールアップを果たしたダブルリーグ戦です。
僕が今年おもしろいなあと思っているところですが、それは開幕前から別リーグ戦を意識したコメントを出している選手がいることです。
エル・デスペラード選手です。
11月6日の大阪大会でIWGPJr王座の奪還に成功したデスペラード選手はヘビー級選手が参加する『WORLD TAG LEAGUE 2021』に対抗心があることを明言しています。
はっきりと「対ヘビー」を意識していること、そして『BEST OF THE SUPER Jr.28』参加選手に「抜いた試合はするな」と猛烈な檄を飛ばしています。
自分が出場するリーグ戦に集中し、別のリーグ戦は興味がない、という雰囲気を出す選手が多いなか、デスペラード選手は対抗心を持っていることを明言しました。
これは素晴らしいことです。なぜなら、ファンはどうしても比較をしてしまうからです。
そのファン心理に正面から向き合ってくれたことでファンも堂々と比較した議論ができるようになったのです。
思いっきり比較されたうえで『WORLD TAG LEAGUE 2021』に勝つ。その決意表明なのです。
王者としてリーグ戦を引っ張って盛り上げるという強い決意を感じますよね。
さて、『BEST OF THE SUPER Jr.28』にIWGPJr王者がいるように『WORLD TAG LEAGUE 2021』にもIWGPタッグ王者組がいます。
タイチ選手とザック・セイバーJr選手です。
タイチ選手は前シリーズを休場し、ワールドタッグリーグに向けて調整を合わせてきました。
こちらもまた王者としての強い責任感を感じます。
3選手ともジュニアシングル戦線とヘビータッグ戦線のナンバーワンであるがゆえの重責を担っているのです。
■フラッグシップの重責
ゲーム業界でジャンルやカテゴリー、ブランドのナンバーワンタイトルを“フラッグシップタイトル”と呼びます。
たとえばレースゲームなら、『マリオカート』や『グランツーリスモ』がフラッグシップタイトルに当たります。
フラッグシップタイトルの役割はそのジャンルで1番になることだけではありません。そのジャンルが他のジャンルよりもおもしろいという評価を得ることが求められるのです。
マリオカートを遊んだ人が「一番おもしろいレースゲームだ!」という感想で終わるのではなく、「レースゲームっておもしろいな!他のレースゲームも遊んでみよう!」と思わせてようやくフラッグシップタイトルの役割を果たせたと言えます。
つまり、ジャンルやカテゴリー、ブランドを背負う重責をフラッグシップタイトルは背負っているのです。
■両リーグ戦のフラッグシップは間違いなく王者の3人
デスペラード選手とタイチ選手、ザック選手こそが現時点でのジュニアヘビー級シングル、ヘビー級タッグのフラッグシップなのです。
となると、担うべき役割は「王者として優勝」だけではありません。
リーグ戦を盛り上げて逆サイドのリーグ戦に注目度で勝つということです。
まさにフラッグシップゆえの重責です。
3選手とも同じ鈴木軍というのがまたおもしろさを増してくれます。
プロレスに対して貪欲でいつも渇きを感じる鈴木軍が先導する今年のダブルリーグ戦はかなり熱い大会になることでしょう。
実は昨年、このような重責を背負ったコメントを残した選手がいました。
タマ・トンガ選手です。
「この時期は俺たちの時間なんだ!そこにジュニアの野郎が割り込んできやがった」と本音を隠すことなく吐露しています。
以下のインタビュー記事でも読めるのでぜひ一読してみてください。
https://www.njpw.co.jp/270101
『WORLD TAG LEAGUE 2020』だけではなく、『BEST OF THE SUPER Jr.27』を思いっきり意識しているとコメントしています。
そして、そのタマ・トンガ選手の結果は、優勝です。
しかもその後、東京ドーム大会でIWGPタッグベルトも奪取するという活躍を見せてくれました。
ヘビー級タッグ戦線を長年盛り上げてきた者の責任感が結実したと言えるでしょう。
意識していることを明言しすかすことをしない姿勢はまさにストロングスタイル。
単にリーグ戦を戦い抜くだけでも過酷なのに、別リーグ戦のことも意識して戦わないといけないというプレッシャーを背負った超過酷なダブルリーグ戦がいよいよ始まります。
我々ファンがすることはひとつです。
覚悟を決めて両リーグ戦を応援し、そしてどちらも盛り上げることです。
■ダブルリーグ戦の優勝予想
最後に恒例の優勝予想です。
『BEST OF THE SUPER Jr.28』から行きましょう。
本命は王者のエル・デスペラード選手、対抗は昨年優勝の高橋ヒロム選手、注意は前王者のロビー・イーグルス選手でしょう。ここにヒールターンをしたSHO選手が食い込んでくると思われます。
混戦必至のリーグ戦を勝ち抜くのは…。
高橋ヒロム選手とYOH選手です!
そして優勝はYOH選手と予想します!
いろいろありすぎた2021年のYOH選手ですが、11月6日に大阪で見せた表情には大復活ではなく大飛躍の予感を感じました。
次に『WORLD TAG LEAGUE 2021』です。
本命はタイチ選手&ザック選手のデンジャラス・テッカーズ、対抗はG.o.D、注意は後藤洋央紀選手&YOSHI-HASHI選手組と読みます。鍵を握るのは内藤哲也選手&SANADA選手組とEVIL選手&高橋裕二郎選手組ではないでしょうか。
優勝候補だらけのリーグ戦ではありますが、優勝決定戦に進むのは…、
タイチ選手&ザック選手組と内藤選手&SANADA選手組です。
そして、優勝は内藤選手&SANADA選手組と予想します。
復帰直後でコンディションに不安のある内藤選手ですが、わざわざ復帰会見を開くところから十分な回復状態であると信じて間違いないでしょう!
さあ、いよいよダブルリーグ戦の開幕です。
盛り上がって応援しましょう!
■野中大三(のなかだいぞう)
dotswreslerアーティスト、コラムニスト
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに37年。
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