病気やケガを相手に奮闘するメディカルトレーナー(2/11岐阜アウトサイドレポート)
東京ドーム、沖縄、「NEW JAPAN ISM」と、2010年も幕開けと同時に熱いファイトが展開されている新日本プロレス。しかし、それは常に危険と隣り合わせの過酷な世界。時には、選手たちに深刻なダメージを与えてしまうこともある。
現在、青義軍の一員として脚光を浴びている井上亘選手は、日々の激闘によって右胸の筋肉を断裂。その痛みをこらえつつ闘い続けていたという。そんな彼が、2月11日岐阜産業会館大会の試合前に、ある人物の治療を受けた。
その人物とは、東京・新宿区上落合で「芳原指圧治療院」を開業している芳原雅司氏。岐阜県出身で、高校、大学、実業団でレスリングの選手として活躍。現役引退後、その豊富な経験を活かしてトレーナーに転身した。2001年10月には、中京女子大学レスリング部のトレーナーに就任(※当時、アテネオリンピック金メダリストの吉田沙保里、伊調馨、銀メダリストの伊調千春が在籍)。そして、2002年10月からは名古屋市内の闘魂ジムのコーチとして活躍。2006年には、中日ドラゴンズ沖縄キャンプ臨時トレーナーも務めた。
闘魂ジム時代の教え子には、吉橋伸雄選手がいる。また、肩の負傷によって野毛道場を離れていた後藤洋央紀選手も、当時はジムを手伝っていた。「後藤選手や吉橋選手には仲間意識みたいなものがあるので、頑張っている姿を見るとうれしいですね」。当時を思い出して懐かしそうに語る芳原氏。最近では、後藤選手の合気道特訓にも協力した。
「思うような力が出ない」と話す井上選手の胸筋は、断裂した部分がしこりになっていた。いわゆる肉離れ。芳原氏は患部を丹念に揉みしだき、しこりを取り除いて行く。治療が終わり、右腕を上げ下げして感触を確かめた井上選手は、「これで今日は、バンバンとエルボーが打てます」とスッキリした表情で語る。今後は、東京の「芳原指圧治療院」にも足を運ぶという。
このあと、芳原氏は岐阜大会のトレーナー室に入り、選手たちの治療やケアにあたった。今回の“地元凱旋”は新日本プロレスの三澤威トレーナーたちをサポートすることが目的。
「筋肉の断裂や、頚椎のヘルニアなど、プロレスのケガというのは、ほかの競技に比べて特殊なものがあります。そこに携わっている先生方というのは、凄い技量を持っているもの。新日本のトレーナーは、凄く優秀な人が多いんです」
だからこそ、その輪に入ることが、自分をさらに高めることへ繋がるのだという。すべては、病気やケガに悩む人たちの役に立つため。あくなき向上心を胸に、芳原氏の奮闘は続く——。
■芳原指圧治療院
新宿区上落合1-9-15 福室ビル1F
TEL:03-5389-0977