4月9日(土)、全日本プロレスの『GAORA SPECIAL 2011 チャンピオン・カーニバル』(4月8日〜13日/後楽園ホール)に出場している新日本プロレスの永田裕志が2日目を迎えた。Aブロックにエントリーされている永田はこの日、全日本の三冠王者である諏訪魔とメインイベントで対戦。開幕戦だった前日に永田はKONO、そして諏訪魔は船木誠勝に勝利し、共に勝ち点1を挙げている。注目の対決で星をリードするのはどちらなのか?
新日本の応援団の声援と全日本の大ブーイングが交錯する中、登場した永田。諏訪魔には大声援だ。ゴングが鳴ると、両者ともにレスリング出身者らしく、レスリングの攻防。緊張感溢れる展開だったが、ここで永田が諏訪魔にローキック。ならばと諏訪魔は得意のダブルチョップで吹っ飛ばすと、フロントスープレックスの体勢に入る。しかし、ここはグレコ出身の永田も踏ん張り、投げをこらえて見せる。だが、この攻防が両者の闘志に火を点けた。組み合う中、互いの意地が爆発し、次第にその揉み合いはヒートアップ! 和田京平レフェリーがなんとか二人の間を分ける。
その後、永田はロープを上手く利用して諏訪魔を場外に落とすと、昨日の船木戦で痛めた右腕にキックを見舞いダメージを与えていく。諏訪魔に逆襲され鉄柱に叩きつけられたものの、ラリアットを自爆させることにも成功。さらにキックを連射し、諏訪魔の右腕にダメージを与えていく。
リングに戻っても永田の腕責め地獄は終わらない。諏訪魔の右腕のサポーターを外すと、腕ひしぎにアームブリーカー。さらに腕の利かない諏訪魔をおちょくるように張り手を見舞っていった。諏訪魔のフライングショルダータックル、フロントスープレックスという反撃を食らったものの、ラリアットをフロントキックで迎撃し、再びキックを連打。そして、『チャンピオン・カーニバル』では初披露となる白目式腕固め! 新日本ファンの「シロメ!」コールが鳴り響く中、諏訪魔を追い込んでいく。
一方、この窮地をなんとか脱した諏訪魔は永田の蹴り足を掴んでアンクルホールドへ。さらに気力を振り絞って張り手を連打し、永田を棒立ち状態にしてしまう。永田のエクスプロイダーを2連発で投げられても、すぐさまジャーマンを2連発でお返しするなど、一歩も譲らない。さらにカウンターのフロントスープレックス、強烈なラリアットを首筋に叩き込んだ諏訪魔は、キャプチュードから高角度のジャーマンで永田を叩きつける。
諏訪魔の大攻勢に永田も屈しない。なんとかカウント2で肩を上げると、諏訪魔のラストライドを足をばたつかせて阻止。そして、諏訪魔のフロントキックを受け止め、串刺し式ニーを決めてから、大逆襲に入る。垂直落下式ブレーンバスターで叩きつけてから、起き上がってきた諏訪魔に延髄斬り! そして、えぐい角度のバックドロップ!
ここは諏訪魔に意地で返されたものの、続いてハイキックを側頭部に炸裂させた永田は、再びバックドロップホールド! さすがの諏訪魔もこの一撃は返すことができず。永田が三冠王者から3カウントを奪い、『チャンピオン・カーニバル』2連勝を飾った。
死闘を制した永田は、新日本ファンの歓喜と全日本ファンのブーイングで沸き返る会場を見渡し、マイクを握る。そして、「俺が“ミスターIWGP”永田裕志だ!」と自己紹介。「全日本のファン! おまえらの半端な声援が三冠王者を負けさせたんだ!」と挑発すると、最後は「1、2、3、ゼアッ!」と敬礼ポーズを決め、興行を締め括ってしまったのだった。
■4月9日(土) 全日本プロレス『GAORA SPECIAL 2011 チャンピオン・カーニバル』 東京・後楽園ホール
〔2011 チャンピオン・カーニバルAブロック公式戦〕
30分1本勝負
◯ 永田裕志 〈新日本プロレス/2勝=4点〉 (23分13秒 岩石落とし固め) 諏訪魔 〈全日本プロレス/1勝1敗=2点〉
■永田裕志のコメント
──現三冠チャンピオンに完勝という結果でしたけど、いかがでした?
永田 「やっぱり力強さは凄いですね。昨日も感じたけど、新日本にはない力強さがある。それは一つ一つダメージとしてきていますね。ただ、間がちょっとゆっくりだから、もうちょっと強烈な攻撃が来ないと、俺は回復しちゃうよ、と。間がちょっとうちの棚橋とか中邑とやる時と比べて、若干間が開くんでね。そこがゆっくり見られたというか。まだまだ若いもんには。俺の春は続いているって言ったはずですよ」
──今日の勝利は勝ち点2というだけじゃなくて、『チャンピオン・カーニバル』という大会自体、あるいは全日本プロレスという団体自体に与える衝撃が大きいと思うのですが?
永田 「やっぱり、昨日言ったとおり、様々なボールを投げて、それに対してボールが返ってくる。三冠王者の諏訪魔を完璧にテクニックからスタミナ、パワー、気迫、全てにおいて正面からぶち破ったという現実がね、今日後楽園ホールで植えつけられた。言葉で発するんじゃなく、事実を全日本だけじゃなく、プロレス界に投げかける。それに対する波紋がどう返ってくるか、それが一番楽しみです。俺はこの業界にもう一度名前を轟かせると言ったからにはやりますよ。全日本プロレスっていう名前は消えるよね、俺が投げ返したモノに何も返ってこなかったら。この調子で勝ち上がって、決勝は万全な秋山準とやって。彼と10年前、ZERO1のリングで偶然出会って、もう一度業界に名前を轟かせようと思った時に、この全日本の『チャンピオン・カーニバル』で遭遇することになって、だったら万全な状態で彼と当たろうよ、そう思いましたね。昨日の試合、今日の試合を見ながら。彼は素晴らしいですよ。俺がどうのこうの言わなくたって、彼は自力で上がってくる人ですから。ノアvs新日本の図式を全日本プロレスのリングで見せれば、本当にプロレス業界最高のイベントになるでしょう。全日本プロレスの名前はもしかしたら消えるかもしれないけど。心地良い痛みと汗と、全てが俺の体を蝕んでいる。最高の陶酔状態というかね。いま、俺は生きてるなって。本当に春を感じてるよ。青い春、青春しているよ。そういう感じですね」
──三冠ベルトというモノが見えてきたと思うんですが?
永田 「三冠ベルト……。まあ、一番欲しいのはIWGPのベルトだけどね。でも、歴史の古い全日本のシングルのベルトが俺に近寄ってきている気がしましたね、今日の勝利で。ああ、刺激的だったな。いい根性してるわ、諏訪魔。これからもっと素晴らしくなる選手。今日の一戦で彼はとてつもなく強くなるでしょう。小島聡がいなくなって、全日本プロレスはいいブッキングをしましたね、永田裕志という。今日の一戦っていうのは諏訪魔にとって凄いエクスペリエンス。以上!」
- 2011.4.10
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