“あの発言”の真実とは? いま中邑真輔は何を考えているのか? 直撃インタビュー【前編】
9月27日、神戸大会にて真壁刀義とのIWGPヘビー級王者決定戦を制した中邑真輔選手。その試合後に放った衝撃のマイクアピール「猪木! 旧IWGP(ベルト)は俺が取り返す!」に秘められた真実とは? そして激戦を闘った真壁刀義、中邑発言に異を唱えた棚橋弘至に対して、さらに大谷晋二郎(ZERO1)との初防衛戦を控える蝶野正洋25周年興行に関して。一気に注目を浴び始めた中邑選手に直撃インタビューを敢行!
■真壁への声援が気になるかって? そんなのたいした話じゃない
——今日はうかがいたいことが山盛りなんで、よろしくお願いします。
中邑「よろしく」
——まず、先シリーズに関して。神戸大会まで真壁選手との前哨戦が11連戦という過酷な状況でしたね。
中邑「集中力が途切れないために」ってことでしょ。ただ、日によって自分や相手のコンディションも違うから、同じ試合にはならない。それでもお互いのクセとかはわかってくるけど」
——事前には、G1で敗れた真壁選手へのリベンジは「たいしたテーマじゃない」と発言されてましたけど。
中邑「まぁ、今回は真壁よりも、ベルトを獲れるかどうかがテーマだったから」
——4月の両国大会以降、真壁選手がベビーフェイス、中邑さんがヒール的なかたちで入れ替わったようなイメージもありました。
中邑「いや、本人同士は変わってないでしょ。観る側の人の視点が変わっただけで」
——ただ、最近は会場の声援がかなり真壁さんに集まってますが、やり辛さは?
中邑「べつにない(キッパリ)。だって、ファンの支持がないからとか、声援がないからとか、自分のやってることに対して「人がイエスと言ってくれないからできない」なんておかしいでしょ? 俺たちプロレスラーだよ!」
——信念を貫いてナンボですもんね。
中邑「『何がやりたいか?』『何になりたいか?』を表現するために、リングに上がってるわけだから。『声援が気になるか』なんてたいした話じゃない」
——ただ、真壁選手を認める部分も出てきましたか? 先ほども蝶野選手に対して「真壁はバトルロイヤル(蝶野正洋25周年大会の第1試合)に出す器じゃないだろ!」と怒りを表明してましたけど。
中邑「俺は真壁とG1の決勝、昨日のタイトル戦(神戸大会)とやってるわけで。相手がどんな選手か一番わかってるから。普段、その闘いの輪にいない人間が、よくそんな試合に落としこめるな、と。ナメてんのかって」
——昨日まで、一緒にメインを張ってたわけですから。
中邑「それを蝶野が『勝敗のリスクがどうの』とか。アホかって話だよ」
■避けて通れないのは、“かつて神と言われた男”なのかなって。
——中邑さんも4月から立ち位置が変わって、言動が注目されてきましたが、ようやく一つの結果が出たというか。
中邑「これがゴールじゃないけど、一つの結果は出した、新しいスタートが切れたかな」
——その結果を出したあとの衝撃的なマイクアピール。「このIWGPに昔のような輝きがあるか?」「猪木! IWGP(ベルト)は俺が取り返す!」の真意をうかがわせてください。
中邑「まず、このタイミングでIWGPが手元にきたのは凄く不思議な感覚だね。だって『G1の準優勝だからなんなんだ?』って話でしょ。優勝した人以外、全部一緒だから。それでもチャンスがきた。……それで思ったのは『このベルトを輝かせなくちゃいけない』と。しかも自分にしかできないやり方でね」
——なるほど。
中邑「IWGPは、新日本の全レスラーの想いが詰まってる、ファンの思い入れや歴史もある。だから普通に闘って勝つだけでいいのかな、と。それにIWGPの歴史という意味で、いまだにどこかにあるという初代のベルトね。2代目、3代目は見届けたという自負はあるけど」
——実際にベルトに絡まれたわけですからね。
中邑「その中で『IWGPのオリジナルがある』とか『新しいIWGPベルトはここにある』とかいう話が出てくるのは、どういうことよって?『IWGPってのは一本だろう』と。じゃあ、『初代はいまどこにあるんだ』って話でしょ? それを一つにするのが、チャンピオンになった自分の使命かなって。それが、アントニオ猪木の手元にあるなら、その名前を出すだけで」
——ただ、猪木さんの名前を出されたのは唐突な気もしたんですけど、新技がボマイエって名前だったり、随所にヒントはあったのかなって。
中邑「フフフフフ(意味深な表情で)」
——4月から胸に秘めてたことが、ついに表面化したのかな、と。
中邑「そこは想像に任せるよ。ただ、ここは新日本という力が支配する世界なわけ。その中でIWGP王者は過去の象徴や歴史……すべて背負わなきゃいけない。そこを体現したいなら避けて通れないのは、第三世代でも闘魂三銃士でもなく、もっと上。“かつて神と言われた男”なのかなって。なんだか『北斗の拳』みたいになってきたけど(笑)」
——いまの新日本にはその神は存在しないことになってましたけど。
中邑「『神はいない』と。『じゃあ、何があるんだ?』って話でね。何がいようが、そこには“力”があるはずだし」