“あの発言”の真実とは? いま中邑真輔は何を考えているのか? 直撃インタビュー【後編】
■俺は「闘うべきはアントニオ猪木だ!」と意思表示しただけ
——会見では「会社との真剣勝負」という話もありました。
中邑「そこはこれから徐々に出てくるろうね。でも俺は「闘うべきはアントニオ猪木だ!」と意思表示しただけだから。
——アントニオ猪木という巨大なイメージを打破したいというか。
中邑「……乗り越えたいという気持ちはあるし、闘いたいという気持ちもあるし、何が生まれるかわからない。それでも俺はフルスイングでボールを投げた。これからどうなるか楽しみだね。グチャグチャになるかもしれないけど(笑)」
——客観的に、この件に関して黙ってなさそうな選手が何人か浮かびますけど……。
中邑「ただ、こっちもハッキリ言って遊びじゃないんでね。しかも時間がないでしょ。まぁ、周囲を見回してもこの部分を打ち出していいレスラーって、自分しかいないでしょ。そこを意識してるのも自分しかいないだろうし」
——よく中邑さんは「ストロングスタイル」と言われますが、今回は「ただの打ち上げ花火じゃない」という意思表示というか。
中邑「俺が求めているのは昔のストロングスタイルじゃなく、自分のフィルターを通して自分が作り上げる、俺なりのストロングスタイルだから」
■棚橋のことは、一度も意識したことはない
—— 一方、前王者で“生涯のライバル”棚橋さんは、「ベルトが輝いていないと言われたら、面白くない」「俺が骨身を削ってやってきたプロレスを」と不満を表明しました。
中邑「俺は棚橋がどうこうのなんて、一言も言ってないでしょ? 何を勘違いしてるんだって。それにライバルと言ったって、しょせん会社が作ったライバル。俺は、一度も意識したことはないから(そっけなく)」
—— 一度も!?
中邑「ないね。俺にとって棚橋は単なる先輩レスラーにすぎないから」
——じつは棚橋選手には、何度かそういう発言をされてますよね。
中邑「俺はいつも言ってるんだよ。ただ、何度言っても理解されないから、イヤになって『ハイ、そうです』と仕方なく言ったこともあるけど(笑)」
——今回は大きな発言権を持ったからこそ、強調したい、と(笑)。
中邑「そこは言わせてもらう。いちいち俺に絡んでくるんじゃねぇって」
——でも、中邑さんにとって、それほどベルトの価値は大きなものですか?
中邑「大きいし、大きいものじゃなくちゃいけない。大変な思いをしてレスラーになって、しかも強いだけでもダメ、時代やタイミングが合って、初めてなれる特別な存在だから」
——そういった中、まず目の前には大谷(晋二郎)選手との初防衛戦が控えてます。
中邑「大谷選手は素晴らしい相手だし、試合では自分なりのストロングスタイルを披露できると思うよ。ただ……」
——ああ、ダブルメインという打ち出しですけど、実際はセミファイナルという扱いに対して蝶野さんに不満を表明されてますね。
中邑「そう。てっぺんの存在のベルトに自分でミソをつけるぐらいだから。このケツをとってもらって、初防衛したら次は蝶野正洋を逆指名してやろうかな」
——蝶野さんも最初はIWGP挑戦を匂わせていましたしね。
中邑「あっちの試合(蝶野正洋&武藤敬司&小橋健太vs中西学&小島聡&秋山準)はハッキリ言って“お祭り”だから。こっちは闘い、格闘ロマンなんだってこと。その違いは見てもらえばわかるよ」
——なるほど。今回のインタビューで、中邑さんの言う「新日本に対する危機感」も強く感じました。
中邑「ここはマジでサラリーマンの世界じゃないんで。自分が考えを明確にして、シッカリやらないと何もならない世界。俺に同調したいヤツがいれば出てくればいい。まぁ、そういうことだよ」