一致団結で目指すは「G1タッグ」制覇! ミラノ、石狩が電撃和解!
TNA遠征での仲違いが火種となり、抗争を続けてきたミラノコレクションA.T.選手と石狩太一選手。しかし、9月5日後楽園大会、9月21日神戸大会での一騎打ちを経て急転直下の展開が待っていた。なんとミラノ選手が石狩選手に対し「組んでもいい」と発言をしたのだ。
これがきっかけで両選手がタッグを結成し、10月に開幕する「G1タッグリーグ」にエントリーすることが電撃決定。両選手はどのような心境で「G1タッグ」に臨むのか? 9月23日和歌山・橋本大会の試合前に、直撃インタビューを敢行した——。
–まずミラノ選手、石狩選手に対して「組んでもいい」と発言した理由をお聞かせ下さい。
ミラノ「神戸で“透明犬封印マッチ”という題名のシングルマッチがあって、その試合の中でちょっと大事なことに気づかされた。あえてここでは言いませんけど、それは自分が忘れかけていた大事なことで、それに気づかせてくれたのが石狩太一だった。それに、試合の中で彼がドラゴンスープレックスとか出してきて、『やればできんじゃん』と思った。ひょんなきっかけですけど、まぁ組んでも面白いんじゃないかなと。それで試合後のコメントで『組んでいい』という発言をしました。『G1タッグ』もあることだし、じゃあ2人でチャレンジしようと。組むきっかけはそんな感じだし、『ミラノ・石狩組かよ』っていう周りの声も当然あると思いますけど、必ず見返してやるという気持ちですよ。俺はもう本気で頑張りますよ。とりあえず、神戸でこの可愛いメス犬の“ミケコ”を俺が貰ったんですけど、巡業中とかは1匹(ミケーレ)しか面倒を見られないから、これは彼に返そうと。これはお前のだよ(と言い、石狩選手にミケコを返却)」
石狩「……(無言でミケコを受け取る)」
ミラノ「もしかしたら(ミケーレとミケコが)一緒に入場するかもしれないですよ。でも、リング上に関しては周りの目をガラりと変える気持ちでいる。それをみんなに分かってほしいですね」
–石狩選手は、ミラノ選手に対して“恨み”を持っていると常々言っていましたが、今もそれは変わらないですか?
石狩「もちろん恨みや怒りはあります。嫌いなのも変わらないですよ。それ(恨み)は試合で勝って初めて晴らせるものだと思ったんですけど、結果的に負けた。さっき彼も言っていましたけど、神戸で試合をやってみて、僕も気づいたんですよ。こんなことをしてんじゃなくて、もっと他にすることがあるんじゃないかと。まぁ僕は未だにミラノが嫌いですけど、プロレスの実力ははっきり言って認めているし、凄い選手だということは分かっています。だからこそ、彼に勝ちたいという気持ちがあったわけですし。(神戸の試合後から)『これからどうしようかな』と本当にガックリきていましたけど、昨日、オフィシャルサイトを見て、(『G1タッグ』の出場メンバーに)ミラノコレクションA.T.、石狩太一と書いてあって、僕はビックリしました。神戸の(ミラノの)発言とかも全く知らなかったので。今、こうして彼の話を聞いて、僕のことをこう思ってくれていたんだと初めて知りました。その中で『一緒に組もうか』と言われて、組んでも面白いんじゃないかなと思いました。自分にとってプラスにもなりますし。自分のプロレスに対する考えを根本から変えて、彼と一緒にやって一からやり直そうと思います」
–では、かつては敵と思っていたミラノ選手とのタッグで高みを目指していくということですね。
石狩「そうですね。もちろん優勝を狙いますよ。周りからしてみれば、『なんだよ、このチーム』ってなるでしょうけど、それを覆したいですね。いつの間にか後楽園(ホール)の優勝戦に残っていますよ。ミラノと一緒なら狙えると思います」
ミラノ「俺とシングルとかで闘っていた時は、たぶん俺を意識し過ぎて本来の石狩太一を完全に出し切れていなかったと思うんですよ。ロープパラダイスに関しては、彼はできるようになっているので使ってもらっても構わないけど、それ以外の部分では“石狩太一というオリジナル”を出してほしい。このタッグリーグは、ヘビー級のヤツもいるし、デカい外国人もしるし、インターナショナルなチームもいる。誰と当たっても、揺ぎない石狩太一っていうスタイルを確立してもらいたい。俺に恨みとか怒りがあるのは結構なんで、それを力にして相手のチームにぶつけてほしいですね。彼ならできると思いますよ。本当に真剣に取り組めば、素材は絶対に俺よりいいですから。俺とは根本的なものが違うし。俺は日本でデビューできなくて海外でデビューして、そこから『チクショー』って感じで色んなところを回って、新日本に辿り着きましたけど、彼はメジャー団体(全日本プロレス)に入っている。あとは、入り口が“レッスルランド”というのも共通しているし、新日本に来た時期もだいたい一緒。この『G1タッグ』に関しては、本当に周りの目を変えさせようと思っているんで。誰が何と言おうと今までのミラノ、石狩と思ってもらっちゃ困りますね」
–タッグといえばコンビネーションが重要となってきますが、そういうものも考えていきますか?
ミラノ「もちろんタッグリーグというのはタッグの試合なので。『1+1は2じゃダメだ』とみんな言っているけど、かと言って俺らみたいに0.5と0.001が……まぁ0.001は石狩太一ですけど」
石狩「……(ちょっとムッとした顔をしつつ、黙ってミラノ選手の話しを聞く)」
ミラノ「それが2でも3でもなるように、連携技あるいはタッグコンビネーションをこれから考えていく。まだ『G1タッグ』まで1ヶ月近くあるので、俺の今までの引き出しをフルに発揮して、練習していこうと思います」
–他のチームのことは意識していますか?
ミラノ「俺たちのタッグのことだけを考えて、相手は気にしないで闘っていきたいというのがあるけど、(ジャイアント・)バーナード、(リック・)フーラーとか、そういうデカい選手と当たった時、俺らに何ができるのか。それが問われると思う。俺はJr.の体重でいながらヘビーの路線で闘っていますけど、彼はバーナード、フーラーとあまり闘ったことがない。そんな相手と闘った時に彼がどうなるのか。デカいヤツらと当たることをちょっと気にしますね」
石狩「他のチームは見てなかったんですけど、僕らが真壁(刀義)、矢野(通)に勝ったら面白いですね。僕らならやれそうな感じがします」
ミラノ「俺らの唯一の作戦というか勝機は、俺らと対戦する相手は油断すると思うんです。そこを突けるか突けないか。その部分が大きいと思う。対戦相手は『ああ、ミラノ、石狩か。勝ったな』と思ってもらって結構ですよ。そこから俺らの作戦が始まりますから。『なんだコイツら。こんなにやるのか』みたいに絶対に思わせてやるから」
石狩「ミラノの気持ちに応えて、仲間だと思って素直に受け入れます。それで2人で結果を残した後に、また(ミラノに)挑戦してみようかなと。時期が来たらまたシングルを要請します。とりあえず、(ミラノは今後の)1つの目標としてやっていく」
ミラノ「『優勝できないだろう』と思っていたら、もう何もできない。俺は後楽園に残れるようマジモードでいくよ(と言い、石狩選手に握手を求める)」
石狩「信用するぞ。(気持ちが)凄く伝わったから(と言い、握手に応じる)」
——このインタビュー終了後、ミラノ選手と石狩選手は第3試合で獣神サンダー・ライガー選手&タイガーマスク選手と対戦。石狩選手は、このインタビュー中にミラノ選手から返却してもらった透明犬“ミケコ”を連れ、ミラノ選手のミケーレとの競演で入場した。
試合は、誤爆などもあり敗れてしまったが、「今日得た反省点は必ず開幕戦までには克服して、スゲェ連携といいタッグコンビネーションチームとして復活する」(ミラノ)、「今日でだいたい感触も掴めましたし、やっぱりアイツとやれば間違いないって、だんだん分かってきました」(石狩)と、互いに手応えを感じたようだ。
実力派タッグが揃った「G1タッグ」の中で、この“ダークホース”のタッグから目が離せない。