いよいよ目前に迫ってきた現地時間・4月6日(土)マディソン・スクエア・ガーデン大会(日本時間は4月7日(日)朝~)で、IWGPジュニアヘビー級選手権を行う“王者”石森太二。
現在、2連続防衛中のボーンソルジャーに対し、CMLLのドラゴン・リー、ROHのバンディ―ドが団体の威信をかけて挑戦するジュニア頂上対決を前に、いま何を思うのか?
撮影/山本正二
■『G1 SUPERCARD』
現地時間・4月6日(土) 19時30分~アメリカ・マディソン・スクエア・ガーデン
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■田口隆祐? あ~、アイツは本当に厄介すぎた!(吐き捨てるように)
──さて、石森選手。今年の1.4東京ドーム大会でKUSHIDA選手からIWGPジュニアのベルトを奪い、約3カ月の間チャンピオンに君臨していますが、いまのご気分は?
石森 俺がずっと掲げていた、「これまでの新日本ジュニアをぶち壊して新しいものを作る」「リボーンさせる」っていう目標が、少しづつ実現しつつあるのかなとは思ってるけどね。
──着実に防衛ロードを重ねてきていますけど、ベルトを手に入れた前と後では意識が変わりましたか?
石森 まあ、IWGPジュニアに関しては、ずっと思い続けていたというのはあるし、ボーンソルジャーとして登場した昨年の5月以前も、俺は何度か新日本に上がってるけど、その時は手が届かないベルトだったからさ。それ以来、ずっと心に引っかかるものがあった。でも「いざ獲りに行ったら、いとも簡単に獲れちゃったな」とも思ってるよ(ニヤリ)。
──意外にあっさり手に入ったと。よく「ベルトを獲ると、見える景色が変わった」という表現を使う選手もいますけど、石森選手はどうですか?
石森 どうかな。まあ、そこまでは変わってないかな。
──その一方で、初防衛戦の相手となった田口隆祐選手(2.11大阪大会)は非常に厄介な挑戦者でしたよね。
石森 あ~、アイツは本当に厄介すぎた!(吐き捨てるように)。何度か「絡む相手を間違えたかな」とさえ思ったし、前哨戦やってても毎日ムカついてたから。「できるだけ過去は振り返りたくない」と思っていたのに、アイツのせいですべてさらけ出さないといけない状況に置かれてしまったし。まあ、外野の連中はおもしろがっていたかもしれないけど、俺は毎日ムカムカしてたね……。
──何度も心の傷をエグリ出すような挑戦者でしたから。ただ、田口選手のああいう仕掛けを乗り越えたことによって、また一つ図太くなった気もするんですけど。
石森 図太くなったかどうかはわからないけど、ある意味、アイツによって俺もリボーンさせられたかもしれないな(苦笑)。こっちが仕掛けたら倍の勢いで反撃してくる、本当に面倒くさい男だったよ。
──田口選手がいじってきた“セーラボーイズ”という石森選手のデビュー時の過去は、いままでほとんど触れられてないですよね。
石森 触れてないどころか、誰も触れなかったし、俺が触れさせなかった(キッパリ)。だから、まさか田口があそこまで言うとは思わなかったね。田口が「セーラボーイズ」とか言いだし始めたとたん、みんなが調べやがって……!
――みんなが一斉に動画を検索し始めましたね。
石森 噂によると『キープ・オン・ジャーニー』の動画の再生回数も、もともとは何十回だったモノが何万回という数字に跳ね上がったらしい……。それを聞いて「はあ?」と思ったけどね。
──田口選手は、風呂場でノンキに歌ったりしてましたからね。
石森 アイツは悪ノリをドンドン加速させてくるから、悔しくてこっちもアイツの上を行こうと思うんだけど、さらにドツボにハマる。そういう部分は、ちょっと教訓になったね。まあ、今後も田口に仕掛けるのだけは考えものだな……。
■もうライガーとはやりたくないね。あんなバケモノみたいなオッサンとは二度とやりたくない
──そこを乗り越えたところで、今度は3月6日の『旗揚げ記念日』で獣神サンダー・ライガー選手と防衛戦を行いましたが、結果的に非常に大きな意味を持つ試合になりました。
石森 やっぱりライガーは、平成を象徴するジュニアのレジェンドだから。ジュニアの中でも、俺はさらに一回り体格が小さいだろ? でも、そういうヤツらでも「レスラーになりたい」という気持ちを芽生えさせてくれたのがライガーなんだ。そういう意味では、世界中に大きな影響を与えたし、ライガーの影響を受けて生まれた選手もたくさんいる。ジュニアヘビーというカテゴリーをワンランク上に上げたのは間違いないよね。
──そのライガー選手をリングに呼び込んで防衛戦の相手に逆指名したときには、「ボウズ」呼ばわりされてしまいましたね。
石森 そんなこと言っても、コッチだって37歳のアラフォーだからな! まあ、ライガーから見たらボウズかもしれないけど……。
――そこには異論があると。
石森 ただ、実際に闘ってみて、あんなバケモノはいままで見たことなかったよ。肉体は筋肉の鎧をまとっているようだし、メチャクチャ身体はブ厚いし、しかも動きが衰えない。試合終盤になっても疲れた感じがまったく見えてこないんだよ。
──現在の年齢を考えたら、とんでもない選手ですよね。
石森 そもそも全身コスチュームだから、どう考えても他の選手に比べて体力が人一倍奪われるわけだろ。なのに動きが全然衰えない。試合中も「なんなんだ、このおっさん!」と思ってたから。
──それでも最終的には石森選手がタップアウト勝利を奪って、次の日の会見でライガー選手は引退を発表したわけですが。
石森 フフフ。まあ、この俺が引導を渡した感じになるのかな。
──その事実に関してはどのように思われますか?
石森 翌日の引退会見を見たけど、あんなに笑顔で「辞めます」って言ってたからさ。最後の最後までカッコつけさせちゃったな。そこは多少の悔しい部分もあるよ。
─―ライガー選手的にも引退の決断は、石森選手との試合での敗戦が大きかったようですね。
石森 いや、それはどうかな。会見中の発言を聞いてると「勝っても負けても引退するつもりだった」みたいにも聞こえたけどね。
──逆に言えば、だからこそあの試合に懸けていたモノがあったのかもしれないですね。
石森 まあ、そういう気持ちで挑戦してくれてたんだったら光栄に思うよ。ただし、もうライガーとはやりたくないね。あんなバケモノみたいなオッサンとは二度とやりたくない。この感覚はやった人間にしかわからないだろうね。
■バンディ―ドは、ジャパニーズスタイルにもアメリカンスタイルにもキッチリ順応してるイメージ。「コイツはどんな団体でも呼ばれるな」って
──その後、現地時間の4月6日にニューヨークで行なわれるマディソン・スクエア・ガーデン大会での防衛戦をぶち上げたところで、ドラゴン・リー選手がやって来ました。
石森 もちろん相手にとって不足はないし、俺は「全然受けて立つよ」って感じだったけど。
──ただ、最終的にその闘いの中に、ROHのバンディード選手も加わることになりました。
石森 そもそもアイツがROH所属だったことにビックリしたね。じつは前の団体を辞めてフリーになったあと、俺の初戦の相手がバンディードだったから。
──そうなんですね。団体的には当時はPWG(プロレスリング・ゲリラ)でしたよね?
石森 そう、PWG。しかもシングルでやった相手だから。
──ボーンソルジャー前夜ってことですよね?
石森 そうそう。だから、去年の4月にPWGでバンディードとシングルやって、そのあと5月の『レスリングどんたく』でボーンソルジャーとして登場して……。「その1年後には、マディソン・スクエア・ガーデンで再会するのかよ!」って。
――それは凄いめぐりあわせですね。
石森 「人生わかんねえもんだな」って思うよ。
──バンディード選手は天才的な身体能力を持っているハイフライヤー的なイメージがありますけど、実際に闘ってみての印象は?
石森 アイツはなんでもできるね。ルチャ系の出身だからルチャを全面に押し出してくるのかと思えばそうでもない。以前、ドラゴンゲートに来たり、日本での試合経験もあったみたいだし、いろんなスタイルに順応できている感じだったね。ジャパニーズスタイルにもアメリカンスタイルにもキッチリ順応してるイメージだった。「コイツはどんな団体でも呼ばれるな」って、そん時も思ったね。
──昨年時点から評価は高かったと。ただ、まさか1年後に大舞台で再会するとは思わなかったと。
石森 本当にその「まさか」だよね。1年前はPWGのロスの小さなハウスショーでやったんだよ。たった300人ぐらいでフルハウスになる会場でやってた二人が、1年後にマディソンでIWGPジュニアを賭けてやるとは思ってもいなかった。
──ただ、一度手を合わせたことがあるという意味では、多少の安心感がありますよね。
石森 まったく知らない相手ではないからね。逆に、俺はドラゴン・リーには一切触れてないんだよ。
■この3人がいろいろ経験した上でのマディソンの3WAYマッチ……。正直、この試合は「ハズレない」と思うね(ニヤリ)
──あれ、一度も試合をやってないですか?
石森 まったくやってない。去年の『BEST OF THE SUPER Jr.』もブロックが違ったし。リング上で向かい合ったのは、それこそこの間の大田区が初めてだから(苦笑)。
──なるほど。しかも今回は前哨戦もないですから、マディソンが正真正銘の初対決なんですね。
石森 そういうことになるな。いったい俺とドラゴン・リーがやってどうなるのか? ただし、考えてみると3人ともルーツはメキシコなんだよね。
――たしかに全員がルチャリブレがバックボーンですね。
石森 それに体格も3人ともそんなに変わらない。バンディードはちょっとデカいかなって思ったけど、試合をしてみた感じは体格差はそれほど感じなかったから。その3人がこの1年でいろいろ経験した上でのマディソンの3WAYマッチ……。正直、この試合は「ハズレない」と思うね(ニヤリ)。
──そこには自信があると。ちなみにドラゴン・リー選手のスタイルはどのような印象を持たれていますか?
石森 やっぱり「(髙橋)ヒロムとおもしれえ試合やってんな、激しい試合やってんな」っていうイメージが強いね。
──いわゆるルチャ・リブレの試合リズムとはちょっと違いますよね。
石森 違うね。ヒロムとの試合を観た印象だと、絶妙にジャパニーズスタイルをミックスさせるなと思ったし。
──柴田選手に心酔してたりとか、日本スタイルが大好きなところがありますよね。
石森 だから、メキシコ人なのにあんなに頻繁に日本に呼ばれるんだろうね。大田区でもドラゴン・リーが登場したら、ファンが凄く盛り上がったし。それだけ客もアイツに期待しているんだろうな。
■俺の中では“イシモ・リー”は去年、新日本のリングに登場させるはずだったんだよ
──ただ、気になったのはイシモ・リーという謎の発言なんですけど。
石森 フフフ。じつは、俺の中では“イシモ・リー”は去年、新日本のリングに登場させるはずだったんだよ。去年のサンフランシスコ大会でヒロムvsリーのIWGPジュニア戦をやっただろ? あの試合後にイシモ・リーとして、試合の勝者に挑戦しようと思ってたんだけど、ヒロムのケガ影響もあって、幻に終わってしまったんだよね。
──では、今回はそれが観られると。ちなみにイシモ・リーは通常の石森太二とは違うんですか?
石森 いままでの俺と変わるのか? 変わらないのか? そのへんは想像に任せるよ。そのほうがおもしろいだろ(ニヤリ)。
──ちなみに3WAYマッチのご経験は?
石森 けっこうあるよ。海外でも日本でも経験ある。ただし、タイトルマッチでの経験はないかもしれない。しかも、今回のルールだと試合が決まった時点でベルトが移動してしまうから、自分で試合を決めないといけない。バンディードとドラゴン・リーの2人で勝敗が決まったら、俺自身が負けてないのにベルトを落としてしまうわけだから。
──勝手に移動してしまいますよね。
石森 そこは気をつけて、自分でキッチリと決めに行くよ。……ただね、この3WAYマッチ、その日のマッチ・オブ・ザ・ナイトじゃないけど、マディソンでファンの一番印象に残る試合になるかもしれないな(自信ありげに)。
──現時点でもファンの反応は凄くいいですからね。
石森 この3人がリングに揃ったら期待感が違うと思う。そして、それに応えるだけの技量が俺らにはあるからね。
──それに、同じルチャ・リブレのルーツとはいえ、3人とも独自の進化を遂げていますからね。
石森 3人とも全然違うよ。ドラゴン・リーはCMLLや日本でいろいろ学んでいるだろうし、俺はメキシコから紆余曲折を経てこのリングにたどり着いた。バンディードはメキシコでフリーから始まって、アメリカや日本をでいろいろ転戦して、知らない間にROH所属になっていたし。
──いろんな団体がバンディ―ド選手の獲得を狙っていたらしいですし。
石森 そうらしいね。それは俺にもわかるよ。アイツの試合を1度観たら、どの団体でも「この選手は欲しい!」と思うだろうな。
──新日本ファンにも衝撃が走る選手かもしれないですよね。
石森 確実に走るだろうな。あのルックスも斬新だしね。パッと見は“いったんもめん”みたいなマスクなんだけど。
■「まだ拾う神っているんだな」と思ったし、「“プロレスの神”ってホントにいるんだな」と思ったね
──最後に、会場のマディソン・スクエア・ガーデンについてはどう思われていますか?
石森 プロレスと格闘技の殿堂と言われているけど、俺はボクシングの世界戦が行なわれているというイメージが大きいね。「ああ、あそこでプロレスもやるんだ?」って感じで。
──たしかにここ数年、大きなプロレス大会で使っているイメージはないですよね。ただし、今回『レッスルマニア』がニューヨークで開催されて、その前日に新日本がマディソン・スクエア・ガーデンに乗り込む。このシチュエーションはいかがですか?
石森 世界中から注目を浴びるよね。俺のキャリアの中でも最高の舞台だよ。ホントに、人生ってわかんないもんだな? 去年の『レスリングどんたく』で新日本に登場して、まだ1年も経ってないのにマディソンって。こんなの想像つくかって言われてもつかないだろ?
――たしかにそうですね。
石森 ぶっちゃけ、新日本へ来る前の数年間はプロレスラーとしてどこかで諦めていた部分や、腐っていた部分もあったんだよ。だけど、そんな俺にもこんなに大きなチャンスが回ってきた……。「まだ拾う神っているんだな」と思ったし、「“プロレスの神”ってホントにいるんだな」と思ったね(ニヤリ)。
──そういう意味では、石森太二の集大成、全キャリアを注入するぐらいの試合になるかもしれないですね。
石森 フフフ。この最高の舞台、最高のシチュエーションを楽しみつつ、シッカリ結果を出すしかないね。何度も言うようだけど、この3人で試合をすれば会場が爆発することは間違いない。まず、この日一番印象に残る試合をする。そして、最後に勝つのはもちろんこの俺、“ボーン・ソルジャー”石森太二だよ。
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