プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
今回は「もっとも評価を上げた男がSANADA、本来いるべき場所に戻ってきた男がオカダ」『NEW JAPAN CUP』を大総括!!
■ファイナリストとなったオカダ・カズチカの第一声は、「いや、キツかった」である。
開催15年目にして史上最多の32名がエントリーし杯を争った今年の『NEW JAPAN CUP 2019』(以下、『NJC』)は、例年以上の盛り上がりをみせてくれた。
その要因としては、参加選手がヤングライオン(海野翔太)から第三世代(天山広吉、小島聡、永田裕志、中西学)まで『G1 CLIMAX』より幅広い世代にまで及んだことがひとつ。
もうひとつが、『NJC』のテーマが明確であったこと。優勝者は、4.6米国ニューヨーク、マディソン・スクエア・ガーデン(以下、MSG)大会のメインイベントで現IWGPヘビー級王者であるジェイ・ホワイトへの挑戦権を獲得する、というもの。
そこで必然的に、IWGPインターコンチネンタル王者(内藤哲也)も、NEVER無差別級王者(ウィル・オスプレイ)もIWGP USヘビー級王者(ジュース・ロビンソン)も参戦。
高みの見物となったジェイ以外の新日マット主力フルメンバーがここに集結した格好となった。
言うまでもなく、『NJC』はトーナメント戦のサドンデス。『G1』のように勝ち点争いではないから、とにかく1回戦から勝ち抜いていかなくてはならない。5連勝しなければ頂点に立つことはできないのだ。
ファイナリストとなったオカダ・カズチカの第一声は、「いや、キツかった」である。つねに強気のオカダがそう言ったことを考えれば、どれだけ過酷な闘いだったかを理解することができるだろう。
今回の大会総括は、最終戦(3月24日、新潟・アオーレ長岡)の決勝カードと、そこに駒を進めたオカダとSANADAの闘いぶりをメインテーマとして書いてみたい。
■『NJC』で勝ち進んでいくオカダを見るにつけ、私には「王者らしいたたずまい」が目に焼き付けられていった
まず、自らを“大本命”と言いきって4年ぶりの『NJC』に臨んだオカダ。この4年ぶりというところに、オカダのすべてが凝縮されているのかもしれない。つまり、2016年、2017年、2018年の『NJC』開催中のオカダはIWGPヘビー級王者として頂点に立っていたということ。
それもあってか、決勝戦のゲスト解説についていた柴田勝頼がオカダ優勝決定の直後に、「『NEW JAPAN CUP』に優勝するオカダが新鮮ですね」とじつにストレートで素直な感想を漏らしていた。
オカダがその腰に馴染んだIWGPベルトを失ったのは、昨年の6.9大阪城ホール大会。それ以降の9カ月、丸腰状態で闘ってきた。その間、最高峰のベルトはケニー・オメガ→棚橋弘至→ジェイ・ホワイトへと変遷していく。
ところが、『NJC』で勝ち進んでいくオカダを見るにつけ、私には「王者らしいたたずまい」が目に焼き付けられていった。マイケル・エルガン(1回戦)、マイキー・ニコルズ(2回戦)、ウィル・オスプレイ(順々決勝)、石井智宏(準決勝)と、すべて対戦相手の土俵に立って勝負していたように感じるのだ。
とくに、3.23アオーレ長岡での石井とのCHAOS同門対決は興味深かった。中邑真輔がそうであったように、オカダも石井に対して大いなるリスペクトの念を抱いている。
この準決勝は石井ペースで進んだ。というのも、石井に負けじと胸板を真っ赤にしながらオカダも真っ向からの打ち合いに出たから。
それを観ていて、ベルトを巻いていないはずなのに王者のたたずまい、王者の立ち居振る舞いが伝わってきた。
自らを“大本命”と言いはなった男の自信と覚悟は、やはりレベルの違う本物であった。
2年前の『NJC』覇者であり、その後のIWGPヘビー挑戦でオカダと大激闘を展開した柴田は、放送席でオカダのことをこう評している。
「化け物ですね。パワーがあって身体が大きいのにスピードはあるし。肩のあたりの筋肉がまた大きくなっていますね」
そういった言葉を聞くと、あらためて必然の決勝進出だったと思えてくるのだ。昨年6月にベルトを失うまでの3年間は、やはりオカダの天下であった。「現・新日本プロレスが何たるか?」を世界に示す大舞台であるMSGのメインには自分が立っていなければいけない。自分が新日本こそ世界ナンバー1のリングであることを証明しなくてはいけない。自信と覚悟にプラスして、オカダのパフォーマンスには責任感も漲っていた。
■この1年でSANADA人気、SANADA支持率がどんどん上昇していることを、肌で感じ取ることができる
一方のSANADAには、追い風が吹きまくっていた。『NJC』開幕前、また開催中にファンが醸し出していた空気、期待感を端的に表すならこうなるだろう。
本命=オカダ、対抗=棚橋or内藤。ただし、優勝への期待度ナンバー1は飯伏幸太で、それにつづくナンバー2がSANADA。
これから新日本マットを背負うというより、日本マット界の次代のエース候補と言われながら、あと一歩で結果を出せずにいる飯伏への変わらぬ期待感。さらに、そこへSANADAという存在が食い込んできたのだ。
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