【“GK”金沢氏が徹底解説!】6月3日(金)後楽園で激突!「KUSHIDAが“超えなければいけない相手”サイダル」「田口も変貌したがBUSHIはそれ以上に変わった」
いよいよ終盤戦を迎える“ジュニア最強決定戦”『BEST OF THE SUPERJr.XXIII』を前に、“GK”金沢克彦氏が6月3日(金)後楽園ホールでの東京地方の最終公式戦、注目の2大マッチとなるKUSHIDAvsマット・サイダル、田口隆祐vsBUSHIを徹底解説!
■『BEST OF THE SUPER Jr. XXIII』
6月3日(金)18:30〜東京・後楽園ホール ★対戦カードはコチラ! ★一般チケット情報はコチラ!
※「リングサイド」「指定席」は残り僅かとなりました。 ※前売券の販売は6月1日(水)までとなります。
★前売券取扱所
チケットぴあ(セブンイレブン・サークルKサンクス各店)
後楽園ホール5階事務所、書泉グランデ、書泉ブックタワー、BACK DROP、ticket boardにてお買い求めください。
■マット・サイダルは単なるハイフライヤ—ではない、勝つためのスキルを持ち合せているのだ
大会前、『SUPER Jr.』Ⅴ予想で圧倒的な支持を集めていた現IWGPジュニア王者のKUSHIDAが開幕2連敗(カイル・オライリー、ロッキー・ロメロ)、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンのBUSHIが開幕3連敗(外道、マット・サイダル、カイル・オライリ—)と大波乱に見舞われたAブロック。
それ以降、両雄ともなんとか持ち直し結果を出しつづけているが、もう星を落とせないデッドラインまできていることだけは間違いない。
そういった状況で迎える後半戦の天王山というべき6・3後楽園ホール大会。メインイベントとセミファイナルには、結果しだいで早くもリーグ戦の流れが決まってしまうような極上カードがラインナップされている。
メインは、KUSHIDAvsマット・サイダル。これは『SUPER Jr.』史上、タイガーマスクしか達成していない2連覇に挑むKUSHIDAにとって意味のある大一番となる。現IWGPジュニア王者でありながらリベンジマッチとなるからだ。
昨年8月21日、ROH“アフターショック・ツアー"フィラデルフィア大会に、IWGPジュニア王者として出場したKUSHIDAはノンタイトルマッチでサイダルに完敗を喫している(
※結果はコチラ)。
しかも、再三にわたり仕掛けていった得意のホバーボードロックを完封された末、反対にサイダルの十八番エア・サイダル(シューティング・サイダルプレス)を食ってのフォール負け。
世界を回りあらゆるレスリングに触れ、それを吸収してきたKUSHIDAにとって、この敗戦はショックな出来事であったろう。やはり、4年近くWWEの本線で生き残ってきた男の地力は半端なものではなかった。単なるハイフライヤ—ではない、勝つためのスキルを持ち合せているのだ。
■KUSHIDAとサイダル、奇しくも年齢は同じ33歳で、体格もほぼ同じ。差があるのはキャリアだけ
現在、リコシェとのハイフライヤ—ズでIWGPジュニアタッグ王座を保持するサイダルだが、もともとリコシェ同様に彼もシングルプレイヤー。相棒のリコシェが一昨年の『SUPER Jr.』優勝という勲章を手に入れているだけに、今回、得意のシングル路線で期するものがあるだろう。
一方のKUSHIDAは、1・4東京ドームでケニ—・オメガからIWGPジュニアを奪回して以来、4度の防衛という結果、さらに内容も文句なしで絶対王者への道を歩み始めた感もある。いま、ジュニアが脚光を浴びているのも、KUSHIDAという新日本隊の柱、エースがいるからこそだろう。
だからこそ、ある意味超えなければいけない相手がサイダル。奇しくも年齢は同じ33歳で、体格もほぼ同じ。差があるのはキャリアだけ。サイダルとの5年分のキャリアの差をKUSHIDAはどういうカタチで埋めてみせるのか?
5・29大阪大会の田口隆祐戦で、レスラー人生初の“田口超え"を達成したKUSHIDAにようやく躍動感がもどってきたように思える。その勢いのままサイダルへのリベンジを果たせば、優勝戦進出がハッキリと見えてくるのではないか?
また、過去、後楽園ホールのメインで実現したKUSHIDAのシングルマッチにはハズレなしというポイントも大きい。5・21開幕戦(後楽園ホール)メインのオライリ—戦も、敗れはしたものの20分を超える激闘を展開。まるで昨年の優勝決定戦の再現か、IWGPジュニアヘビー級戦か、と思えるほどの素晴らしい内容に超満員の観客も120%大満足であったろう。
そういった過去の例からいくと、最高の試合内容に最高のハッピーエンドを期待できるのだが、はたして……。
■この半年、ヘビー級トップクラスと堂々と渡り合ってきた経験がBUSHIのメンタル面の強さに顕れている
そしてセミでは、田口隆祐とBUSHIが『SUPER Jr.』に限れば、2013年大会以来3年ぶりに公式戦で当たる。もちろん、BUSHIがロス・インゴベルナブレス・デ・ハポン入りしてからはシングル初対決。
オヤァイでギタる田口も大きく変貌したが、BUSHIはそれ以上に変わった。欲も出てきたし、フィジカル面でもメンタル面でもタフになった。現在、専属トレーナーの指導を受けて肉体改造にも取り組んでいるというBUSHI。ここまで3敗、もうあとはない。ただし、BUSHIには焦った様子も見受けられない。それこそ、まだまだトランキ—ロなのである。
それも当然かもしれない。この半年、ジュニアの体格で本隊やCHAOSのヘビー級トップクラスと堂々と渡り合ってきたのだ。その経験がBUSHIのメンタル面での強さに顕れているような気がする。
田口は地元・宮城県での晴れ舞台(優勝戦進出)を賭けて臨み、BUSHIは「インゴベルナブレスは内藤だけじゃない。最後のKUSHIDA戦(6・6仙台)までぜんぶ勝つ!」の覚悟を携えてリングに上がる。
『SUPER Jr.』優勝、IWGPジュニア王座奪取、王者として東京ドームの花道を入場する——そう公言しているようにBUSHIの野望は明確だ。
また、ここまでセコンドの力を借りることなく公式戦に臨んできたBUSHIであるが、これまでの手段を選ばぬインゴベルナブレスのやり方からいくと、セコンドとして内藤哲也、SANADA、EVILが帯同する可能性もゼロではないかもしれない。
そうなると、あの4・10両国のバッドエンドの再現……いやいや、セミでありながらもBUSHIを中心とした「ロス・インゴベルナブレ~ス・デ・ハポン!」の雄叫びが後楽園ホールで一体となって轟くかもしれない。
あっ、あと大切な1試合を忘れるところだった。この日、私好みの超シブい職人対決、しかもCHAOS同門対決が実現する。外道vsロッキー・ロメロ。まさに、日米ジュニア職人ナンバーワン決定戦。
今回、エル・サムライやTAKAみちのくがエントリーしていない以上、ワタクシ的にはこの試合の勝者を職人ナンバーワンに認定したい!
●金沢克彦(かなざわ・かつひこ)
1961年12月13日、北海道帯広市生まれ。
青山学院大学経営学部経営学科卒業後、2年間のフリ—タ—生活を経て、1986年5月、新大阪新聞社に入社、『週刊ファイト』編集部・東京支社に配属。1989年11月、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ移籍。2年間の遊軍記者を経験した後、新日本プロレス担当となる。1999年1月、編集長に就任。2004年10月まで5年9カ月に亘り編集長を務める。同年11月、日本スポーツ出版社の経営陣交代を機に編集長を辞任し、同誌プロデューサーとなる。翌2005年11月をもって退社。
以降、フリーランスとして活動中。現在は、テレビ朝日『ワールドプロレスリング』、スカパー!『サムライTV』などの解説者を務めるかたわら、各種媒体へフリーの立場から寄稿している。
●金沢克彦ブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈」