【“GK”金沢氏が徹底解説!】6月6日(月)仙台で激突!「KUSHIDAよ、何も用意していないと思うなよ?」「たしかにBUSHIは怖い相手、それでも“想定内”」【SJ23】
いよいよ佳境を迎える、今年の『BEST OF THE SUPERJr.』今回は、公式戦の最終戦8試合が行われる6月6日(月)仙台サンプラザホールでも“最大の注目マッチ”KUSHIDAvsBUSHI戦の見どころを金沢克彦氏が徹底解説!
■『BEST OF THE SUPER Jr. XXIII』
6月6日(月)18:30〜宮城・仙台サンプラザホール
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6月7日(火)18:30〜宮城・仙台サンプラザホール<優勝決定戦>
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※「ロイヤルシート」「2F指定席」「3F指定席B」は残り僅かとなりました。
■6月6日(月)仙台サンプラザでは、全8戦・すべてがⅤ戦線にからむ可能性をもった公式戦になりそうな予感がする
開幕戦から壮絶な星の潰し合いを展開してきた『BEST OF THE SUPERJr.XXIII』(以下、『SUPERJr.』もいよいよ佳境に入ってきた。
泣いても笑っても怒っても、6月6日(月)の宮城・仙台サンプラザホールで優勝戦進出者が決定するし、翌7日に同ホールで2016年の『SUPERJr.』覇者が誕生することになる。
仙台2連戦の2日目に関しては、その瞬間、その顔合わせ、その優勝戦がメインイベントで行なわれるのを待つしかない。では、例年にない試みとなるA、B両ブロックのエントリーメンバー全選手が試合を行う公式戦の最終戦、全8試合が組まれた初日の仙台サンプラザホール大会の注目カードをあげてみたい。
当日の試合順は、前日までの得点状況を見て決められる。だから、おそらく5日、高崎大会の公式戦を終えるまで、6日のカード順が明らかになることはないだろう。もうひとつ、これは私の予想なのだが、ここまで実力が拮抗して星の潰し合いがつづいてきた以上、いわゆる消化試合は1試合たりともないのではないだろうか?
全8戦、すべてがⅤ戦線にからむ可能性をもった公式戦になりそうな予感がする。もちろん、脱落している選手もいるだろうが、その選手にしても最終戦に勝てば対戦相手をⅤ戦線から引きずり降ろすことになる。だから、どれひとつとして消化試合はないと予想しているのだ。
■KUSHIDA「IWGPジュニアのベルトを持って、このリーグ戦に出るのは厳しいんだなと感じた2敗でした」
そのなかでも、もっとも注目すべき公式戦はAブロックのKUSHIDAvsBUSHI戦だろう。ワールドワイドなメンバーが集った今大会において、日本人選手に優勝してほしいという贔屓目もあるのかもしれないが、戦前、Ⅴ候補の筆頭に挙がっていたのが、この2選手。
ところが、出足から両選手とも波瀾に見舞われ、KUSHIDAは開幕から2連敗、BUSHIにいたっては開幕から3連敗という想定外の苦闘を強いられてきた。
現IWGPジュニア王者として2連覇を達成すれば、2004年〜2005年にタイガーマスクが達成した快挙とならぶKUSHIDA。それがどこかでプレッシャーとなっていたのだろうか?
「去年、ボクが決勝のリングで(優勝して)言ったのは、なにをしてきたかじゃなく、これから何をするかだと言ったわけで、ある意味、前年度の覇者ということはもうボクは捨てて臨んでいて、『SUPER Jr』というのは今年のベストなジュニア戦士を決める、2016年のベストを争うものだと。それ相応の内容を残して2016年もこのタイトルを獲りたいなという気持ちです。
あまり2連覇であるとか、ディフェンディングチャンピオンだからとか、そういう気負いやプレッシャーはないですね。ところが、対戦相手のほうがガツガツくるというか、これに勝てば挑戦権というのにつながってくるという感じで。ボクのほうからはベルトを持っているからとかそういう意識はなく、いつもの『SUPER Jr.』に挑む心づもりなんですが、対戦相手が厳しくきてるというのを感じた開幕2連敗ですね。IWGPジュニアのベルトを持って、このリーグ戦に出るのは厳しいんだなと感じた2敗でしたね」
初戦の相手が昨年、優勝戦を闘ったカイル・オライリ—。両者がいきなりフルスロットルでぶつかり合った試合は、20分を超えた。まるでタイトルマッチの様相である。
■BUSHI「いちばん闘いたい相手のKUSHIDAが最後になったのは、自分のなかで思惑がずれた感もありました」
一方、BUSHIの3連敗にも驚かされた。心身ともに絶好調で、この『SUPER Jr.』に目標を絞って調整してきたはずなのだが……。
「ボクのイメージしたものと、意外とかけ離れてしまったなと。1日おきの公式戦というスケジュールのなか、いきなり外道にペースを崩されたと。ボクが一番最初に闘いたかったのは、KUSHIDAだったんですよ。やっぱり試合を重ねていけばダメージもあるし、怪我もでてくる。
そうじゃなく、言い訳できないまっさらな状態でいけるのが開幕戦。過去に開幕第1戦の相手がKUSHIDAだったことが二度あって、二度とも勝ってる。2013、2014年ですね。2012年に負けたときは(全日本からの)レンタル移籍の1年目でこれは第1戦じゃなかった。ボクはショートケーキを出されたら、まずイチゴから食べたいタイプなんで、いちばん闘いたい相手のKUSHIDAが最後になったというのが、ちょっと自分のなかで思惑がずれた感もありましたね」
これは意外と思われるかもしれないが、BUSHIの言うとおり、こと『SUPER Jr.』公式戦に関しては、BUSHIが2勝1敗と勝ち越している。そこに、今年の2・14新潟・アオ—レ長岡大会でのIWGPジュニアヘビー級選手権が加わる。念願のIWGPジュニア初挑戦にBUSHIは燃えた。一進一退の攻防がつづく。
好勝負の結末は、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの内藤哲也、EVILの介入、それを本隊の田口隆祐が阻止するという流れのなか、KUSHIDAがホバーボードロックで逆転V。王座初防衛に成功している。
あの試合後、BUSHIはハッキリとリベンジを口にした。
「この借りはデカイよ。次のチャンスを無条件で掴むには『SUPER Jr.』優勝しかないだろ。必ず優勝して同じ舞台に這い上がってみせるから」
BUSHIはすでに4カ月後を見据えていたのだ。誰よりも早く、今回の『SUPER Jr.』を睨んで闘いつづけてきた。しかも、王者がKUSHIDAであることにこだわっていた。
■KUSHIDA「2.14長岡のような感情的なBUSHIが現れたら、ボクも怖いですね。あそこでBUSHI が“眼中”に入ってきた」
これで、KUSHIDAvsBUSHIの通算対戦成績は2勝2敗となった。それも踏まえて、絶対王者の道を歩み始めているKUSHIDAはBUSHIという存在をどう捉えているのか?
「眼中にないですね! 勝敗に関しても記憶にないし、苦手意識があるわけでもない。だから同い年、キャリアも同じくらいとか周りからは比べられることも多いんですけど、ボクのレスラーとして向いている方向に彼という存在はいなかった。倒すべき相手でもなかったし、競い合う相手でもなかった」
あまりに辛らつな言葉が返ってきた。一刀両断である。ところが、この評価は2・14長岡大会以前のこと。あのIWGPジュニア戦を経てBUSHIへ抱く感情が変化した。
「2月のタイトルマッチのときに解説席にライガ—さんがいたんですよ。で、試合終わったあとに、『唯一、BUSHIの感情が見えた場面があったんだけど、どこかわかる?』みたいな話をされたんですけど、それはボクもピンときていて、BUSHIのマスクを破いた瞬間なんですね。そのとき、『KUSHIDA、ふざけんな!』っていう感情とかジェラシーが初めて見えたんですよ。
そこがポイントであって、そういう感情的なBUSHIが現れたら、ボクも怖いですね。彼が感情を露わにしたことによって、タイトルマッチに手応えも感じたんですよ。あそこで眼中に入ってきたんですね。いちばんは誰かの目をうかがうことがなかった。それはお客さんの目であったり、本隊選手の仲間の目であったりとか、こうあるべきとか、そういう枠から外れてきたわけで。その典型が内藤哲也であって、そういうふうになってきたときレスラーって怖いなって思いましたよ」
なるほど、世界を旅する百戦錬磨の王者のセリフは説得力十分。たしかに、BUSHIは変わった。今まで、マスクマンのレジェンドであるライガ—、タイガーを超えることを目標にしてきたが、じつはそこではないことを知った。
■BUSHI「結果残さなきゃ何も言えない。星取りではあとがないけど、絶対にKUSHIDAは倒しますよ」
同じ本隊で、尊敬の念を持って彼らに接しているかぎり現状は変わらない。そこで、ロス・インゴベルナブレスに合流して、同世代のKUSHIDAへのジェラシーを剥き出しにしたときに、彼の生きざまが見えてきたのだ。
「そうやって上から目線で見てればいいんじゃないの? 今に気付かせてやるから! ボクは2015年ずっと欠場していて、その間『新日本プロレスワールド』を観てましたけど、タッグ戦線もタイムスプリッタ—ズで活躍して、シングル路線でもベルト巻いていたりするのを観て、あいつが輝けば輝くほど、俺のジェラシーの炎は燃え上がる一方で。そこで諦めたことなんて一度もないですね。
むしろジェラシーは増すばかりで。やっぱり、この半年、インゴベルナブレスに合流してから、すべての見方が変わった。プロレスに対する姿勢もそうだし、試合に向けるコンディションの作り方、肉体改造とすべて変わりましたね。それを結果として証明する場が『SUPER Jr.』なんで、結果残さなきゃなにも言えないんでね。ここまでの星取りではあとがないけど、絶対にKUSHIDAは倒しますよ」
それにしても不思議な現象がある。BUSHIにはセコンドが付かない。プライベートでもつねに行動をともにしている他のインゴベルナブレスのメンバーが、誰ひとりとしてセコンドに付かないのだ。
「今はとくに大事な一戦じゃないですからね。これがタイトルマッチなら別だけど。べつに俺がついてくれとも言わないし、内藤もそういうことは言ってこないし、付くつかないを非常に話題にされるけども、ファンの人からも、『いつ付くんですか?』とかね。いくつかの媒体でBUSHIを優勝本命としてもらったのは素直に嬉しかったですけど、そういうセコンド込みの予想だったのかと思うと腹立たしい部分もありますよ。
なんかやらかしてほしいとか言われるけど、じゃあ裏を返せば、1人じゃ何もできないのか? ってなる。俺は、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンの一員としてではなく、BUSHIとしてこのリーグ戦を闘わなきゃいけないんだから。みんながあっての俺じゃなくて、俺があってのみんななんですよ。
みんなとそれぞれ組んでるけど、内藤とも後楽園で組んで、EVILとも両国で組んで、SANADAと後楽園で組んで、いろんな試合ありましたけど、内藤と組んだ試合に関してはブーイングが飛んでこない。他の試合ではブーイングが飛んでくる。これはやっぱりロス・インゴの人気ではなく、内藤人気に俺らはアグラかいていたのかな?って。そこを感じなきゃいけないなあとやっぱり強く思いましたよ。だから、そうじゃないよって言うところを、この『SUPER Jr.』で見せて結果を出さなきゃいけないところだったんですよ」
■BUSHI「『SUPER Jr.』の公式戦であって、公式戦だけの意味合いじゃない。何も用意していないと思うなよ?」
かつて、BUSHIには表情がないと言われた。新日本にレンタル移籍で来た当初、全日本マットで顔見知りだった鈴木みのるにこう言われたことがある。
「おまえはずっとマスクマンで生きていくんだろ? だったら、よく考えるんだよ。ライガ—を見てみろ! マスクで目まで覆われているのに、ライガ—には表情がある、感情が見える。おまえにはまだ表情も感情も見えないんだよ」
それをBUSHIが憶えているかどうかはわからない。ただし、今のBUSHIには感情が見える。伝わってくるのだ。
「ことKUSHIDAに関して言うなら、なにも用意していないと思うなよ!と。当然、長岡のようにはいかないし。その何かを楽しみにみんなに待っていてほしい。秘策というのか、なんというのか、前回と同じになると思うなよと。『SUPER Jr.』の公式戦であって、公式戦だけの意味合いじゃないものを見せます。
俺はね、KUSHIDAの『自分がジュニアを盛り上げているんだ』みたいな上から姿勢に腹が立つ。新日本ジュニアの未来はお前に託されたわけじゃないんだぞって。お前だけかと思ったら大きな間違いだから。いまね、新日本ジュニアの現状でジュニアタッグを観てみればわかるように、外国人天国じゃないですか? 俺はそのイメージや現状をぶっ壊したいと思っています。KUSHIDAはそんなこと言わないでしょう? あいつはいつも自分のことだけでしょう!?」
■KUSHIDA「最後のBUSHI戦。毒霧、介入、感情、ジェラシーとやっぱり怖い相手ですよ。だけど、そこも想定内です」
対KUSHIDAへのジェラシーは憎悪にも感じる。しかし、そこまで意識している闘いだからこそ、公式戦のラストを飾るに相応しいのだ。爽やかなジュニアをかなぐり捨てた、男同士の泥臭い果たし合いが展開されるのではないか。こんなBUSHIの抑えきれない感情をKUSHIDAはどう受け止めるのか?
「公式戦でBUSHIはひとりでやっている。だけど、ボクにはセコンドを引き連れてくるんじゃないかって。公式戦をひとりで闘ってきて、結果を残せていない。だからセコンドに頼るってどうなのかな?と思いますよね。ボクもそれはそれで心の準備はしますけど。あと、もうひとつ思うのは、ボクは『SUPER Jr.』を『G1』以上のものにしたいし、ジュニアはヘビーより面白いね、と言われる世界にしたいので、そういうやり方ではみなさんに認められないので、やっぱり(セコンドの介入は)否定しますね。
それはもう内藤哲也もふくめて。じゃあ、もしIWGPヘビー級王者の内藤がそういうカタチでやってくるなら、ボクの目は内藤に行きますよ。だって、IWGPヘビーのベルトに対してああいう扱いかたをしてるわけで、それなら今、IWGPジュニアのほうがヘビーの上をいく大チャンスだと思ってますから。レスラー・KUSHIDAとして波に乗ってるし、内容でぜんぜん負けてない自負があるから。逆に介入とかしてきたら、より差が見せられる。
ヘビー級王者が『SUPER Jr.』に介入するのであればね。最後のBUSHI。毒霧、介入、感情、ジェラシーとやっぱり怖い相手ですよ。だけど、想定内ですから。ボクが『SUPER Jr.』2連覇して独走しないことには、新日本ジュニアをもっと上に持っていけないと思っていますので。ボクがキッチリ勝って優勝戦決めたいと思います。本当に最後の最後までわからないですから。そういう最高のドラマがある最後の公式戦を観に来てほしいですね」
試合順は未決定ながら、公式戦のラストを飾るに相応しい大一番。KUSHIDAvsBUSHIの闘いは今後、5年はつづく長き抗争となるだろう。戦績2勝2敗で、ある意味ふたたびスタート地点に立った闘いでもある。