大好評! 株式会社カプコンで、『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などのゲームのプロデュースを行っている、野中大三さんによるプロレスコラム!
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■コスチュームと解像度の深い関係
みなさん、こんにちは。
株式会社カプコンでゲームプロデューサーをしている野中です。
ついに! ついに大会再開です!
長い自粛期間に我々は大会が再開されることを願いつつ、感染拡大防止に努めてきましたね。
辛抱したからこその大会再開です。再開の喜びは、自粛を耐えた苦しさがあったからこそなのです。
何度でも立ち上がるのが、プロレスの魅力。今こそ、プロレスの本領が発揮されるときなのです。
待ちに待った新日本プロレスの大会を思いっきり楽しもうではないですか。
さてさて、先日とても貴重な体験をしました。
SHO選手のTシャツ制作のお手伝いをさせていただきました!
僕は多少ですがドット絵を描きますので、ドット絵でSHO選手を描き、それをSHO選手自らデザインするというコラボレーションでかっこいいドットアートのTシャツが完成しました。
このドット絵を描いていて、強く感じたのが、「かっこいいコスチュームだなあ」ということでした。
情報量の少ないドット絵でもきちっと表現できるのは僕の腕ではなく、コスチュームのデザインがいいからなのです。選手のイメージがかっちりと確立していると、デフォルメしても本人であるとわかりものができるのです。
前振りが長くなりましたが、今回のお題はそんな流れで「コスチューム」です。
■コスチュームの変化
最近のコスチュームはひと昔前とずいぶん違います。
僕がプロレスを見始めたときのコスチュームは1色で選手の個性を表現することが多く、コスチュームに模様が入っていたとしても2色、3色がいいところでした。
それが今は同じ系統の色を複数使ったり、文字を入れたり、質感の違う材質を混ぜて使ったりと、ものすごく凝ったデザインになっています。
その昔、コスチュームに文字が入っていると言えば、越中詩郎選手が「侍」の一文字とや、ビッグ・バン・ベイダー選手が胴体の「VADER TIME」くらいなものです。
そう、入れたとしても1メッセージ程度でした。
それが今は長いメッセージを入れたり、文字の大きさ、フォント、デザインも本当に多彩で複雑化していますよね。
■ゲームキャラクターのデザインも複雑化
このデザインの複雑化はゲームキャラクターでも同じことが起こっています。
ファミコン時代だと目はあるけど鼻も口もない、体については2色程度でキャラ分けをしていました。
マリオは赤と青、ルイージは緑と白、という例を挙げるとわかりやすいと思います。
そんなゲームキャラも今ではリアルな表現が可能となり、キャラクターの細部にいろんな細かいデザインを入れることが可能になりました。
この理由は説明するまでもなく、表現技術の向上にあります。
絵を画面に表示する描画機能の向上により、画素数と色数が増え、細かく複雑なキャラクターデザインが可能になったのです。
技術と比例してデザインも進化してきたのです。
■コスチュームの進化は解像度に比例
話題をプロレスのコスチュームに戻しましょう。コスチュームデザインの進化を引っ張ったのは、何か。
もちろんデザイン力と制作技術の向上が背景にありますが、それは理由ではありません。
プロレスはファンありきのプロスポーツです。つまり、ファンに見せる技術が向上したからこそ、それに比例して見せるべきコスチュームデザインも進化したのです。
では、見せる技術とは何か、これは「解像度」だと僕は考えています。
ファンがプロレスを見る媒体は大きく二つです。みなさんが大好きな動画と写真ですね。
このどちらも技術革新により解像度が飛躍的に向上しています。
まず、動画ですが、今の主流となった4Kテレビは従来のフルハイビジョンと呼ばれていたテレビの4倍の画素数があります。
小さな文字や細かな模様もくっきりと見えるようになったのです。
さらにYouTubeなどの動画配信サービスだとフレームレートも高くなります。
フレームレートとは、1秒間に表示させる絵の枚数を表した単位です。
地デジ放送だと30ですが、YouTubeだとその倍の60というフレームレートも視聴可能です。
これはどういうことかと言うと、早い動きをしていてもブレが少なく、激しいファイト中でも選手のコスチュームがはっきりと見える、ということです。
写真についても同様ですよね。撮影技術は光学カメラからデジタルカメラへ進化し、印刷技術も格段に向上しました。何より、写真を見る媒体が印刷された紙だけではなく、高解像度のパソコンモニターやスマホに変わりました。リングで戦う選手の高解像度画像をいつでも手軽に見ることができるようになったのです。
見せる技術が発達したことで、ファンがコスチュームの進化を体感できるようになったこと、これがコスチュームのデザインを進化させた理由だと僕は考えています。
見せる技術の次の進化はすぐそこまで来ています。
8Kテレビです。8Kテレビの画素数は4Kテレビの4倍。つまりフルハイビジョンの16倍にもなるのです!超微細な画像がくっきり鮮明に表示できるのです。スーパーハイビジョンと呼ばれる8Kテレビですが、すでに販売されていて、8K放送もはじまっています。
このコラムを読んでいる方で導入済の方もいらっしゃるのではないでしょうか?
8Kテレビの普及はすぐそこ、と言われています。2021年に延期された東京オリンピックが無事に開催されれば8Kテレビの一般家庭普及率も大幅に増えることでしょう。
8K時代のコスチュームが一体どんなデザインになるのでしょうか?
僕は妄想が膨らんでワクワクが止まりません。
使用されている生地の質感、光沢などがものすごく見えるようになり、同系色の色数も増えることでしょう。
角度によって見える文字、模様が違う。
ホログラムが仕込まれている。
選手の体温や経過時間によって模様が変わる。
カメラと連動してコスチュームにCGがリアルタイムで合成される。
などなど、いろんな楽しい妄想が膨らみます。
映像技術、印刷技術の進化がもたらす次世代のコスチューム。
こんなにもプロレスの未来は明るく楽しいものなのです。
8K時代のプロレスが待ちきれません。
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■野中大三(のなかだいぞう)
株式会社カプコン プロデューサー
『ロックマン』シリーズ、『めがみめぐり』などゲームタイトルのプロデュースを行っている。
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに36年。
Twitterアカウントはコチラ!
https://twitter.com/daizonnonaka
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