日本時間・8月8日(土)朝11時より新日本プロレスワールドでスタートする、“アメリカ初”の配信限定番組『NJPW STRONG』!
今回も棚橋弘至選手と同番組の解説を担当するLA道場個コーチの柴田勝頼選手に、前回の『Lion’s Break Collision』振り返り、LA道場勢の現在、そして『NEW JAPAN CUP in the USA』のカール・フレドリックスvsKENTAにも言及!
撮影/山本正二
■『NJPW STRONG』第1回放送
『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』1回戦
日本時間:8月08日(土)午前11時~
★新日本プロレスワールドで配信!
■アイツらの試合を観たら「ああ、たくましくやってんだな」っていう。何かヘンに道を外れてないというか、道を反れていなかったのが一番安心しましたね。
――さて、柴田選手。『Lion’s Break Collision』でもおっしゃっていましたが、このコロナの影響で、ここ数カ月間、LA道場に行けていないということですね。
柴田 えーと。3~4ヶ月になるんですかね。いや……もっとだ。5ヶ月くらいかな。
――そういう意味では、LA道場の選手の成長ぶりが観られる『Lion’s Break Collision』は楽しみだったと思います。
柴田 そうですね。(『Lion’s Break Collision』が)放送された時点で、自分が行けなくなってから、約3ヶ月ちょい空いていて、「アイツらどうしてんのかな?」と気になっていました。そういう部分では成長が伺えたかなと思います。
――逆に言えば、心配していた部分もありましたか?
柴田 いや、心配の方がデカかった。もう心配しかなかったです(苦笑)。
――あ、心配しかなかった。
柴田 でも意外とね。試合を観たら、「ああ、たくましくやってんだな」っていう。何かヘンに道を外れてないというか、道を反れていなかったのが一番安心しましたね。クラーク(・コナーズ)もアレックス(・コグリン)もカール(・フレドリックス)もそうなんですけど、自分が教えたことを……。とくにクラークとアレックスは俺が教えたことを突き詰めて、精度を上げていたっていう部分が観れたので安心しました。
――なるほど。
柴田 試合を観てても、「派手な技をやろう!」とかそういう気持ちが一切なくて、教えたことの精度をグンと上げていて。そこから自分ができること、学んだことから自分のオリジナルを出していた。そこが凄く良かったですね。
――教えたことを守りながら、進化も見れたと。
柴田 とくにクラークなんか、あの走り込んでのパワースラム……。あんなの「スゲー!」って俺も棚橋君と二人して声出しましたもんね(笑)。
――エピソード4のTJP&クラークvsロッキー・ロメロ&ラスト・テイラー戦で出た技ですね。あれはお二人とも実況席で驚いていました
柴田 アレはよかったです!(力をこめて)。
――パワースラムって、もともと相手が来るのを待つ技ですから
柴田 ええ。でも、クラークのはカウンターじゃないんですよ。自分から行くパワースラムっていう、あれはアイツなりの発想だと思うんです。ロープの走り方なんかもアレンジしたりしてて、それもやってた練習の中からプラスアルファで昇華させたものでしたから。
――そのへん、コーチとしてはうれしい驚きでしたか。
柴田 まあ、安心ですね。あと、気になっているのはカールの蹴りがまだまだショッパイっていうのが……。そこはちょっとね。カールが日本に来ていた時に俺も蹴りを教えていたんですけど、「試合で使うのは、ちょっと早いかな」って思いながらも、こういうタイミングになってしまったんで。「もう少しちゃんと時間をかけて教えたいな」っていうのはありますね。
■俺は俺はあのカールのブーツについているヒラヒラはいらねーかなって。付けるならレガースじゃなくてブーツにするとか。。
――『Lion’s Break Collision』では、そのカール選手が“脱ヤングライオン”という感じでコスチュームを一新したのも、大きな目玉でしたね。
柴田 まあ、そうですね。カールは3月に日本でやるはずだった最初の『NEW JAPAN CUP』に出る予定だったんですけど大会自体が延期になって。カールがコスチューム作ってるっていう話も聞いてたんで、「『NEW JAPAN CUP』が終わってから変えたら」っていう話をしてたんですよ。ただ、全体的にコロナのタイミングで、いろいろなモノがズレにズレてしまったんで。今回のタイミングで変えるのも「まあ、いいんじゃないかな」ってOKしました。
――赤いコスチュームのカール選手は柴田選手から見てどうですか?
柴田 どうですかね。それは人それぞれの好みでやればいいと思います。どうだろうな。ただ、俺はあのブーツについているヒラヒラはいらねーかなって。付けるならレガースじゃなくてブーツにするとか。
――解説でもおっしゃってましたね。「ヒラヒラはいらない」と。
柴田 ネイティブアメリカンの色を出したいのであれば、シンプルにブーツにヒラヒラを付けた方がいいなって。でもキックはしたいと。ちょっと詰め込み過ぎてるような感じでね。
――ピアスのこともおっしゃってましたね。
柴田 ピアスもね。アレ、危ないから1回試合中にブチって耳ちぎれた方がいいですよ?
――ちぎれた方がいいですか。
柴田 取れたらいいですよ。それで一度、痛い思いして、「ああ、コレ必要なかったな」って思えばいいって話なだけで。アレは危ないですよ。相手にも危ないしね。
――ただカール選手は、ジェフ・コブ選手とメインを張ったりと、かなり立ち位置を変えてきた印象があります。
柴田 ジェフ・コブとは過去に3回、試合をやってるのかな? その過程を見てきているんで。最初に試合した時なんか、完全にカールを赤ちゃん扱いだったんでね。そう考えると、今回の試合は「少しは成長はしてるかな」とは思いました。
――ただ、どうでしょう。やはり柴田選手的には対面でアドバイスしたいというか
柴田 じゃないともうやっぱり、リモートには限界があるんで。
――あ、LA道場の選手には、リモートでもアドバイスされてますか。
柴田 ええ。けっこう彼らとリモートで連絡は取り合ってますし、「こうした方がいいよ」とかアドバイスしてますね。試合を見るたびに。コッチは日本の夜中の1時2時とかですけど、その時間がLAの朝とかなんで、そうやって連絡をとったりしてはいます。けど、それだけだと難しいです。
――もう一人、アレックス・コグリン選手も解説で「面構えがいい」とおっしゃってましたね。
柴田 アレックスは、一番心配だったんですけど。アイツは、予測不可能なんですよ。そういう部分では、この期間は凄く心配だったんですけど、トム・ローラー戦とか見ると……。
――トム・ローラー戦、おもしろかったですね。
柴田 まあ、トム・ローラーがおもしろいからでしょうけどね。トム・ローラーの今後はちょっと気になりますよね。 使い方次第では。
――アレックス選手は、元UFC戦士にも堂々と勝負を挑んでいってました。
柴田 あの試合はよかったと思うんです。他の若手もやってない試合で。よかったと言うか、何をして「よかった」とするかって話ですけど。あくまで俺は教えている方の目線で「よかった」と思っただけですけど。きちんとレスリングをしていた部分とか。そこは、観ている人との感覚とは若干違うかもしれないですけど。
■俺の目線にLA道場のフィルターが掛かっているので、「この選手がLA道場に必要なのか? 必要じゃないのか?」っていう、まずそこの基準になっちゃう
――『Lion’s Break Collision』、いろんな選手出ていますが、LA道場でキャンプに参加された柴田さんもよくご存じの選手もたくさん出ていたようで。
柴田 D・K・Cですよ!D・K・C!
――THE DKC選手のことは解説でも絶賛されてましたね。
柴田 DKC、いいっすね!(笑顔で)。
――いろんな選手が出て来る中で、解説の棚橋選手と柴田選手の中で評価が分かれる選手がいるのが凄くおもしろかったです。
柴田 ああ、なんでしたっけ。なんとかテイラー?
――ラスト・テイラー選手ですね(笑)。テイラー選手はそつがないというか、即戦力という感じもしたんですけど、柴田選手の評価はけっこう辛口で。
柴田 それはたぶん完全に“LA道場目線”なんですよ。俺の目線にLA道場のフィルターが掛かっているので、「この選手がLA道場に必要なのか? 必要じゃないのか?」っていう、まずそこの基準になっちゃうんで。よっぽどのハードルがあるんですよね。ただ、そこは絶対下げたくないんで。
――パッと見、テイラー選手は落ち着いていて、おもしろい動きをするなって印象もありましたが。
柴田 なんかね、どうしてもLA道場目線になっちゃうんですよね。……べつにテイラーが悪いとかじゃないですよ? 全然いい選手だと思いますよ。ただし、「彼をLA道場にノドから手が出るほど欲しいか?」 って言ったら、断然「DKCの方が魅力を感じるし、欲しいな」と。
――なるほど。
柴田 たぶん自分の中の感覚、嗅覚っていうのがあって……。やっぱり、LA道場生も最初に4人獲った中で、1人辞めちゃったけど、いまの3人が残ったわけです。でも、その3人が凄くいいんですよ。やっぱりアイツらは「俺のプロレスを理解してくれてる」というか。「新日本プロレスというものはこうだ!」「日本のスタイルはこうだ!」「アメリカでも新日本プロレスをやるんだ!」という意識と誇りをシッカリ持った上でやってくれてるんです。そこはゲイブ(ゲイブリエル・キッド)も一緒。自分が教える新日本プロレスっていうものに凄い誇りを持ってくれている。「俺たちは日本のプロレスを、新日本プロレスをやるんだ!」っていう魂を凄く感じ取れるんで。
――そうした柴田選手の思想や、「何を大事にしているか」という部分が解説を聞くことで、透けて見えてくるのが本当におもしろいです。
柴田 その部分で言うと、よく「心・技・体」って言いますけど、自分の中では、「心・体・技」の順番になるんですよ。
――普通は「心・技・体」っていう順番ですよね。
柴田 そうじゃないんです。あくまで「技」が最後だっていうね。そういう部分を大事にやってきたことを、LA道場のみんながちゃんと理解してやってきてるっていうのは、やりがいがありますよね。やっていておもしろいというか。
――だからこそ、「技」が最初に来ているような選手には引っかかってしまうというか。
柴田 俺の中では、テイラーは「技」が先に来ちゃっているかもしれないですね。そういうところを観てますね。ただ、彼はそこそこキャリアも長いんじゃないですかね。 それなりにやっていけるでしょう。ああいうのとウチのヤツらを闘わせたらいいんですよ。アイツら「おまえには負けねーぞ!」って気合い入れて闘うので。
■俺としては、ココ(KENTAvsカール・フレドリックス)が一番気になるし、トーナメントとしても話題になるんじゃないですか?
――『NEW JAPAN CUP in the USA』のお話もしていきたいんですけど、LA道場としてはカール・フレドリックス選手だけですけど1回戦の相手はあのKENTA選手です。
柴田 カールがずっと「試合したい! 闘いたい!」って言ってましたから。けっこう昔のKENTAの試合を見てたんじゃないですかね。たぶんカールはgo 2 sleepも使っていたと思います。LA道場来る前の頃に。だから、カールにはKENTAへのリスペクトはあると思います。
――ただ、柴田さんにとっては、自分の“教え子”とかつて“盟友”と言われ、その後に裏切られた選手との闘いというドラマチックな構図になりますね。
柴田 でも、そんなことが起こるのがおもしろいですよね。2年前には絶対に想像できなかったカードじゃないですか。1年前に、俺が新日本プロレスにKENTA連れてきたっていうだけで、それがグググっと大きく状況が変わって、いまKENTAと闘う位置までカールが来ているという。それがこういう状況になって、アメリカの大会で実現する。たぶん春に日本で『NEW JAPAN CUP』が開催されても闘っていたかもしれないけど。
――1回戦として一度、発表されてましたね。KENTA選手の壁はなかなか高いとは思いますが、どういう試合を予想されますか?
柴田 いやー、これはカール次第というか……。ちょっと見てみないとわからないですけど。まあ、だいたいの想像はついてしまいます。ただ、カールの蹴りがショッパイっていうのは、ずっと引っかかっているんで、さすがにそれは、1ヶ月とかで改善できているとは思えない。俺がいない状況で彼だけで改善できるとは思えないんで。
――蹴りの部分でセンスというか、そういう部分はありそうですか?
柴田 そこは、もう努力次第なんで。そんな、最初からピアノなんか弾ける人いないじゃないですか? いきなりギターを弾ける人もいないじゃないですか? やっぱり何事も基礎をやってないとダメなんで。ただ、今回は突貫工事のようにキックだけを練習していた部分があったんで。あと、LA道場にはサンドバックがないから、サンドバッグは欲しいですよね。もっと、トレーニングや練習に必要な道具が欲しいですね……。手塚さん、大張さん(ボソッと)(笑)。
――トーナメントで全体的に気になる選手は居ますか?
柴田 うーん。やっぱり俺としては、ココ(KENTAvsカール・フレドリックス)が一番気になるし、トーナメントとしても話題になるんじゃないですか?
――『NJPW STRONG』も回が進むにつれて、LA道場の選手も出てくると思います。やはり、柴田選手的には教え子の動向が気になる感じで。
柴田 そうですね。やっぱり、俺はどうしても親目線じゃないですけど、LA道場目線というか、そっちが中心になっちゃうからね(苦笑)。
(了)
■『NJPW STRONG』配信日程
※新日本プロレスワールドにて配信!
●『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』1回戦
日本時間:8月08日(土)午前11時
※アメリカ時間:8月7日(金)10:00PM(ET)
●『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』準決勝
日本時間:8月15日(土)午前11時
※アメリカ時間・8月14日(金)10:00PM(ET)
●『NEW JAPAN CUP 2020 in the USA』決勝戦
日本時間:8月22日(土)午前11時
※アメリカ時間:8月21日(金)10:00PM(ET)