3月20日(火・祝)都内・両国国技館にて開催された全日本プロレスの『40th Anniversary Year 2012 プロレスLOVE in 両国 Vol.14』に新日本プロレスの永田裕志と小島聡が参戦した。
■第6試合〔金網デスマッチ STACK OF ARMS vs 青義軍〕
永田裕志vs河野真幸
1.4東京ドーム大会で船木誠勝をヒザ蹴りによって左頬骨骨折に追いやり、船木率いるユニット『STACK OF ARMS』との遺恨が生じた永田。特に河野真幸とは2度の一騎打ちを行っている。2度目のシングルマッチとなった前回の全日本3・4後楽園大会では、永田が丸め込みで3カウントを奪い勝利。しかし、これに納得のいかない河野の申し出により、この両国大会でギブアップ、KOのみの金網デスマッチによる決着戦をつけることになった。
まずは河野とのエルボー合戦に臨んだ永田。河野との体格差もあってか、ここは押され気味だ。コーナーに詰められると、踏みつけ攻撃で悶絶だ。しかし、すぐさまエルボーでやり返す。コーナーでエルボーを連打した永田。縦入れのエルボーまで食らわすと、続けてミドルキック、さらにはパンチ攻撃をお見舞いだ。
そして、金網に河野を叩きつけた永田。河野の開いた額の傷口目がけてパンチを食らわし、河野がヒザ蹴りで反撃してしてくると、その傷口をこじ開けるようなラフファイトを見せる。左右の張り手、傷口へのパンチ、ミドルキック、ヒザ蹴りとやりたい放題の永田。しかし、突っ込んだところを河野にかわされ、逆に金網に叩きつけられてしまう。
この間、場外ではエキサイトしたセコンドの井上亘が船木と一触即発の雰囲気に。その一方でリング上では額から流血した永田が河野から反撃を受けている。傷口に指を入れられたキャメルクラッチを食らい、さらにスリーパーで絞められる永田。なんとか凌いだものの、今度は前後からランニングニーを3発食らってしまう。
グロッキー状態の永田は串刺し式のヒザ蹴り、ジャイアントニードロップも被弾。さらにチョークスラムで叩きつけられてしまう。しかし、続く河野が金網の最上段から狙ったジャイアントニーは寸前で阻止。トップロープで立った状態から逆にエクスプロイダーで投げ落とす。ここから死力を振り絞って、河野とのエルボー合戦に挑んだ永田。一歩も引かない河野に今度は張り手をお見舞いだ。両者壮絶な張り手合戦から、今度は頭突き合戦だ。ここで押された永田は河野の三角絞めに捕らえられてしまう。
しかし、これを腕固めに切り返した永田。金網の中で血まみれになりながら白目を披露する。これでも決まらないと今度は船木を欠場に追いやった串刺し式のヒザ蹴りを「船木!」と叫びながら2連発! そして河野を無理やり立たさるとバックドロップを2連発だ。さすがの河野もこれには立ち上がってこれず。永田が死闘を制し、KO勝利を飾った。
■3月20日(火・祝) 全日本プロレス『40th Anniversary Year 2012 プロレスLOVE in 両国 Vol.14』 東京・両国国技館
〔金網デスマッチ STACK OF ARMS vs 青義軍〕時間無制限1本勝負
◯ 永田裕志(18分44秒 バックドロップ→KO) 河野真幸 ×〈全日本プロレス/STACK OF ARMS〉
■永田裕志のコメント
──金網は初めてだったんじゃないですか?
永田「金網は初めてですね。デスマッチは初めてです。なんか見せ物って感じがしましたね。お客さんの声援が。好奇な目が突き刺さると言いますか、ホントにこの試合を観るというかね。この試合を観るつもりはないのかもしれないけど、金網の中っていうのはある意味、無責任な好奇の目で見られるというか。一種独特の。よく話は聞いていたけど」
──レスリングを見せるという、永田さんの考えではいつもと真逆の試合になってしまいましたが、その試合を要求してきた河野選手はいかがでしたか?
永田「まあ、一発一発はヒジにしても、ヒジがもげるんじゃないかっていうぐらいのヒジだったし、ヒザも脅威でしたね。河野ってあんなファイトしてた? 今年になって、何度も闘ってますけど、少なくとも1・4で闘った河野と180度違うというか、別人というか。でっかい体してんのに、帳尻合わせようという、自分はここまででいいみたいな河野だったのが今は。まあ、まだ荒削りですけど、今は全然違いますよね」
──そういう部分では永田選手が引き出したというか。
永田「残念ながら全日本プロレスにはそういう闘いをする人間がいないんでしょう。船木誠勝をケガさせてしまって、結果的にあのままケガしないでいたら、河野がここまでなってたか? 結果的には欠場させてしまって、全日本プロレスにとっては痛いかもしれないけど、その中の河野が強くなったのを見れば、俺は十分な働きをしているよね、全日本プロレスで」
──今日はギブアップとKOのみの試合でしたけど、バックドロップ・ホールドが認められないというか。
永田「だから、バックドロップでKOしたんですよ。全日本の選手も河野、田中稔とかね、闘ってみて、すっげえ変わったなって。今、闘いを終えて帰る時、不思議だよ。全日本のお客が俺に声援を送ってんだよ、拍手して。全日本の世界観が変わってきてるよ。なんか、俺の力でこの世界を変えているというか、闘いを見せることでファンの価値観を、俺の手で変えてるなっていう実感を感じられた。俺みたいな図々しい奴がズケズケと(笑)。もっと乗り込んでやろうかなと思っちゃいますね」
──河野選手とはこれで決着ですか?
永田「決着はもう以前についてます、俺と河野の実力差なら。ただ、望むならこういう闘いは俺も何度も弾き返されて登っていっているし、河野が望むのか、全日本のスタッフが望むのか? 全日本プロレスの内田社長とかね。今回、俺が勝ったら、『内田クビ!』とか言ったけど、それは全日本プロレスの根が強く育っているなら、もっと当てたいでしょう」
──河野の気持ちがあるならいつでも受け止める、と。
永田「河野だけじゃないですよ?」
──他の選手でも?
永田「ええ。そりゃ、彼らだけでプロレスやってりゃいいけど、俺が入ることで、この全日本プロレスの世界が変わる。あいつらの価値観も変わるなら。ファンの価値観も変わって、それで彼らが強くなるなら、俺が闘いがいのあるリングの一つだと思うし」
──船木選手の視線はどうでした? むしろ刺激になりました?
永田「怒りを押し殺して来てましたね。正直、今日は挑発しました。リングサイドに船木誠勝の姿を見て。ケガを負わせてしまって、あえて目を合わせないようにしていたけど、怒ってましたよね。ちょっとメッセージです」
──不思議なことに去年の延長というか、ここにまた戦場が開いてしまったというそんな感覚もあるんですが。
永田「そうッスね。新しい闘いが、面白い闘いができるなら、ここに乗り込むのもありかな、と。俺の力を満天下に知らしめられるリングがここならば、参戦し続けるのもありなのかもしれないし。そういえば、去年もこの両国で闘って、その先の大きなリーグ戦に出て、栄冠を勝ち取った。今年もあるのかな、と」
──一応、4月の終わりにあります。
永田「俺が出れば全日本は変わるよ? すべての価値観、そしてファンの価値観。だって、俺が出た大会、全部俺が会場盛り上げてるじゃん。対抗戦というシチュエーションだけで。ファンの価値観の中で何かが変わってきている。今日、闘いが終わった帰り道、あれだけブーイングをやっていたファンが俺に声援を送った。全日本プロレスは俺によって変わりつつあるな、と。そういう実感できて、なんか欲が出てきちゃった」
──『チャンピオン・カーニバル』は去年、優勝されていますけど、今年はどうしますか?
永田「ディフェンディングチャンピオンですからね。俺が言うまでもなく、全日本サイドは欲しいんじゃないですか? 全てのファンや選手の価値観、そして新しい選手がさらに強くなる。俺の力で全てを変える。俺なんかに変えさせていいのって。それもありかな、と。新日本プロレスもいろいろ忙しいですから。残り少ない現役生活だから、いや長いかな、俺の現役生活は(笑)。でも、俺の有り余るエネルギーを吐き出させるリングがここにあるならば、俺の力で全ての価値観を変えてやろう、と。ファンが変わって、河野が変わった。向こうにいるセコンドの選手たち、そして俺に付いてきた選手、全てが何かが変わった。そうなったら、自分の手で何かを大きく変えたいじゃん。そう思うのがレスラーじゃないですか? 条件が合えば、この体全て差し出してやろうと思います。俺を叩き壊せるもんなら、壊してみろ。以上!」
■第7試合〔スペシャルシングルマッチ 全日本プロレス vs 新日本プロレス〕
小島聡vs真田聖也