大好評!ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム。今回は「“禁断の扉”を開けるのは、勇気の鍵」!
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■『AEW x NJPW: Forbidden Door』
日本時間:6月27日(月)朝9時~
イリノイ州シカゴUnited Center
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■第45回「禁断の扉を開けるのは勇気の鍵」
みなさん、こんにちは。
コラム「ゲーム的プロレス論」の野中です。
今回は現地時間6月26日に開催されるAEWと新日本プロレスの合同興行「Forbidden Door」がテーマです。“禁断の扉”という命名にふさわしいとんでもない興行ですが、なぜ禁断なのかをゲーム的に論じていきましょう!
■希代の大型コラボが実現
合同興行は多々あれど、ここまでスケールの大きな合同興行は滅多にお目にかかれません。
いきなり断言です。
全世界視点でメジャー団体と呼べる両団体の合同興行はプロレス史に残るエポックメイキングな興行になる可能性が非常に高い大会です。
『Forbidden Door』に匹敵する規模の合同興行を挙げるなら以下のラインナップになります。
・1990年4月13日 東京ドーム 『日米レスリングサミット』
新日本プロレス × 全日本プロレス × WWF
・1991年3月30日 東京ドーム 『WRESTLE FEST』
SWS × WWF
・2012年7月1日 両国国技館『サマーナイトフィーバーin両国「We are Pro-wrestling Love!」』
新日本プロレス×全日本プロレス
・2019年4月6日 MSG 『G1 Supercard』
新日本プロレス × ROH
・2022年1月8日 横浜アリーナ 『WRESTLE KINGDOM』
新日本プロレス × プロレスリング・ノア
4つ目と5つ目は近年の興行であることを考えると、『Forbidden Door』が「希代の合同興行」と言うには語弊を感じる方がいるかもしれませんが、AEWと新日本が組むというのはとんでもないことなんです。
そもそもAEWは新日本プロレスを主戦場にしていたケニー・オメガ選手、ヤングバックス、Cody選手が中心になって旗揚げした団体です。
AEW旗揚げ以降、上記選手が新日本プロレスと交わることはなく、AEWを代表する選手が新日本プロレスと交流することもありませんでした。
例外的にジョン・モクスリー選手、クリス・ジェリコ選手が挙がりますが、二人とも両団体に上がることはあれども、立ち位置はあくまで個人であり、AEWを代表して新日本に参戦していたというわけではありませんでした。
USヘビー級王座となったジョン・モクスリー選手を追ってAEWに現れたKENTA選手、防衛戦を行った永田選手らが両団体の関係を紡いできたと言えますが、団体規模での交流に発展するムードが高まることはありませんでした。
選手レベルの交流でいい関係が築けているので団体レベルで向き合うことはないだろうと思っていた矢先の合同興行発表は度肝を抜かれました。
まさに“禁断の扉”と呼ぶにふさわしい興行です。
■巨大コラボには大きな勇気が必要
巨大コラボと言えばゲーム界にも多数あります。
「ガンダム無双」、「ポケモンダンジョン」、「カプコンVS SNE」、「ストリートファイターVS鉄拳」・・・。
こちらもゲーム史に名を残す名作揃いです。
特にコーエーテクモゲームスさんの無双シリーズはガンダム無双以降、ワンピース無双やベルセルク無双、ゼルダ無双に刀剣乱舞無双と20年も継続している素晴らしいコラボシリーズになりました。
戦国無双のシステムでガンダムを作る。
ここにはワクワクと同じくらい大きなリスクがあったはずです。
それを乗り越えた勇気と技術力は本当に素晴らしいもので、ゲームの地平線を拓いたと思います。
しかし、コラボ企画は華々しいものばかりではありません。企画は上がったものの、商品化に至ることなく破談になったお話は多く耳にします。
「え?そんな夢のコラボ、絶対売れるやん!」と思えるものであっても破談になることが多いのです。
実現に至ったタイトルは多くの困難を乗り越えてきたと思うと心底尊敬します。
では、なぜヒットしそうなコラボ企画なのに破談になるのか?についてお話しましょう。
多くのケースはこのふたつの理由で破談しています。
1.双方のビジネス条件の折り合いがつかなった。
2.コラボ相手の性質、ファンの属性が想定と異なっていた。
2のケースの場合は「ファンがコラボを求めていない」や「双方のファンが似ているようで似てなかった」といった場合がよくあります。つまり、コラボをしても高い相乗効果が見込めないからNG、という判断です。
NG判断というのをさらに突き詰めると、GO判断に至る材料がそろわない、ということになります。
まあ、当たり前ですよね。普段は自社のゲームのマーケティングに専念しているのでコラボ先とは言え他社のゲームの情報を短期間で収集分析することは現実的ではありません。
大きな投資を要するコラボ企画において不明点があることはビジネス的にはどうしても障壁となります。
これを乗り越えようとするのは事業主の勇気、英断に委ねられることになるのです。
自社タイトルと比較するとリスクの大きいのがコラボプロジェクトの宿命です。
そのリスクを乗り越えてヒットしたコラボタイトルは勇気の結晶だと僕は思います。
■禁断の扉を開ける鍵は勇気
『Forbidden Door』にお話を戻しましょう。
コラボゲームの例で触れたように、この大会には不明点が非常に多くあります。
そもそも初対決や初タッグのオンパレード。ファイトスタイルに似ているところはあれど、団体としては別物です。
つまり、カラーもファンも全く別。
やってみないとわからないことだらけの組み合わせを巨大スタジアム興行をやるわけですから、開催を決断した両団体のトップの勇気は計り知れないものがあります。
その根底にあるのは、選手達への信頼があるに違いありません。プロレスの底力を信じたからこそできた決断ではないでしょうか。
ただ、団体トップが動くのはここまで。扉をノックするところまでです。
ここから先、実際に扉を開くのは選手です。
メインのジョン・モクスリー選手vs棚橋弘至選手はシングル初対決。暫定とは言えAEWの頂点と言えるタイトルを賭けた一戦がまさかまさかの初シングル。
USヘビー級選手権のウィル・オスプレイ選手vsオレンジ・キャシディ選手に至ってはもはや別ジャンルの遭遇です。キャシディ選手が新日本プロレスの選手やストロングスタイルの系譜にいる選手に触れているのを見たことすらありません。
この先次々とカードが発表されることと思いますが、おそらくほとんどが初対戦になることが予想されます。
リング上で向き合っただけで放たれる初対決ならではの緊張感に満ちた大会になることは間違いないでしょう。
『Forbidden Door』の先に新しいライバル関係や交友関係が生まれたり、両団体を行き来するスター選手が生まれる可能性だってあります。
今大会は日本のファンの多くはPPV観戦になるので、自宅で思いっきり声を上げて歴史的瞬間の連続に想いをぶつけましょう!
禁断の扉を開ける勇気のカギはファンの僕らも持ってます!
■野中大三(のなかだいぞう)
dotswreslerアーティスト、コラムニスト
プロレス観戦歴、ゲーム歴ともに38年。
プロレスラーをドット絵で表現するdotswrestlerをTwitterで公開中。
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