プロレス界随一の論客・“GK”金沢克彦氏の独特の視点から、現在進行形の新日本プロレスに関するコラムを続々レポート(不定期連載)!!
「『“闘いの魂”は、綿々と継承されていく』高橋ヒロムの逆襲と、試合翌日に藤波辰爾と話したこと。『SUPER Jr.』6.3日本武道館大会を大総括!!」
■3年越しの思いをこめて、ジュニアの季節(5月~6月)に帰ってきた今年の『BOSJ』は、予想以上の盛り上がりを見せた。
3年ぶりの初夏開催となった『BEST OF THE SUPERJr.29』(以下、『BOSJ』)は、6・3日本武道館大会でフィナーレ、大団円を迎えることとなった。
周知の通り、新型コロナウイルス蔓延の影響を受けて、2020年、2021年は11月~12月シリーズにおいて、『WORLD TAG LEAGUE』との併催というカタチで行なわれ、出場選手も絞られた。
従来のブロック制ではなく、エントリー選手の総当たりの結果をうけて1位、2位による優勝決定戦という形式を取らざるを得なかった。
1年に1度、ジュニア戦士がもっとも輝く季節、思いの丈を吐き出す檜舞台が、残念ながら規模の縮小を強いられてしまったわけだ。
そんな3年越しの思いをこめて、ジュニアの季節(5月~6月)に帰ってきた今年の『BOSJ』は、予想以上の盛り上がりを見せた。
A、B両ブロックに10選手ずつの計20名がエントリー。しかも、初出場が6人。Aブロック=クラーク・コナーズ(LA DOJO)、エース・オースティン(IMPACT!)、アレックス・ゼイン(フリー、元WWE)、フランシスコ・アキラ(UNITED EMPIRE)、Bブロック=エル・リンダマン(GLEAT)、ウィラー・ユウタ(AEW)が初出場組。
彼らが期待以上の闘いを見せつけてくれたことで、過去にない新鮮なインパクトも感じることができた。
ファイナル進出者も最後の最後まで混迷を極めた。最終戦の5・31富山大会。まず、Bブロック最終戦でエル・ファンタズモを破ったエル・デスペラードが勝ち点12で並び優勝決定戦進出を決め、メインのAブロック最終戦では現IWGPジュニア王者の石森太二を下した高橋ヒロムがこれも勝ち点12で並んでファイナル進出を決めている。
これをもって優勝戦カードは、2年ぶり(※実際は1年半ぶり)の高橋ヒロムvsエル・デスペラードのライバル対決と決定。おそらくファンがもっとも待ち望んでいたカードだろうし、いざこうなってみると順当と言えるのかもしれないが、それこそ結果論。その順当カードが決まるまでがあまりに過酷なサバイバルレースであったことは言うまでもないだろう。
■もしかしたら、藤波辰爾こそが現代プロレスの礎となり、スタンダードであったのではないか?
いざ、日本武道館のメインイベントへ。ヒロムか勝てば、通算4度目の優勝にして3連覇という偉業達成となり、デスペラードが勝てば初優勝。一大決戦を前に粋な演出があった。特別立会人の藤波辰爾がリングインして、ファンに挨拶し、そのまま放送席のゲスト解説についたのだ。
新日本創立50周年イヤーの一環としての演出なのだろうが、やはりジュニアの大一番を控えての藤波登場には歴史の重みを感じる。
今さらながら、新日本ジュニアどころか、世界マット界にジュニアヘビー級というジャンルが確立してきた歴史のなかで、藤波は最大の功労者なのである……。
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