過去最大級のリーグ戦を勝ち抜いたKUSHIDAとオスプレイが、Jr.の頂点を懸けて激突。オスプレイが勝てば史上2人目かつ外国人初の2連覇、KUSHIDAが勝てば2015年以来2度目の優勝となる。
序盤、切り返しの応酬からオスプレイがヘッドロックを極めると、KUSHIDAが切り返してヘッドロックをやり返し、ショルダータックルへ繋ぐ。
その後、オスプレイがリープフロッグから後転を繰り出すと、KUSHIDAが側転で対抗。そして、今度はKUSHIDAが同じ動きを見せるが、オスプレイが前方宙返りで飛び越える。そこからKUSHIDAがアームホイップでオスプレイを投げ、側転から低空ドロップキックを狙う。するとオスプレイはそれより早く低空ドロップキックを放つが、KUSHIDAが側転でかわして再び低空ドロップキックを発射。だが、オスプレイも同時に低空ドロップキックを繰り出し、2人が交錯した。
ここから両者がエルボー合戦を繰り広げ、オスプレイがロープへ走る。しかし、KUSHIDAがハンドスプリングニールキックで場外へ落とし、コーナー最上段からトペコンヒーロをお見舞い。
リングへ戻ったKUSHIDAは、オスプレイを担いで前方へ投げ、両膝をマットへ打ちつける。そして、腕にローキックとドロップキックを集中させたのち、足4の字固めを極める。
これをオスプレイが脱出し、ハンドスプリングオーバーヘッドキックで逆転。さらに、串刺しバックエルボー、串刺し低空ドロップキック、腕へのキック、変型卍固めなどで畳み掛ける。
その後、オスプレイがKUSHIDAをコーナー最上段へ固定しようとする。しかし、KUSHIDAが腕を取って抵抗し、そのままジャンプして変型アームブリーカーを食らわせる。
ここからKUSHIDAのペースとなり、オスプレイの腕にミドルキックを3連発でお見舞い。さらに、ハンドスプリングエルボーを挟み、腕にランニングパントキックを浴びせる。
続いてKUSHIDAはホバーボードロックに行くが、オスプレイが回避し、ローリングソバットで反撃。それでもKUSHIDAはカウンターエルボーでやり返すが、オスプレイがサマーソルトキック、シャイニング延髄斬りですぐに逆転。これでKUSHIDAを場外に追いやり、背面式サスケスペシャルを食らわせる。
オスプレイの攻撃は続き、スワンダイブラリアットでKUSHIDAに追撃。そして、コークスクリューキックを放つも、KUSHIDAが回避してオーバーヘッドキック。そこからロープへ走るが、オスプレイがその場飛びスパニッシュフライで叩きつける。
それでもKUSHIDAは前転からホバーボードロックを仕掛けるが、オスプレイが回避してトラースキックを見舞う。そして、その場飛びシューティングスタープレスで追い討ちするも、次のトルニージョはKUSHIDAが両膝でブロック。
それでもオスプレイはバックトゥザフューチャーから逃れるが、KUSHIDAが後方回転エビ固めの要領でオスプレイを捕まえ、ドラゴンスープレックスホールドで3カウントを迫る。
その後、オスプレイがKUSHIDAをトップロープへ乗せ、コーナー最上段からシューティングスタープレスをお見舞い。そして、エプロン上でリバースフランケンシュタイナーの荒技を敢行する。
KUSHIDAがカウントアウト寸前でリングへ戻ると、オスプレイは飛びつきリバースDDTで追い討ち。そして、オスカッターを繰り出すも、KUSHIDAが空中で受け止めて腕ひしぎ逆十字固めで捕獲。そこから三角絞めへ移行するも、オスプレイが強引に持ち上げて赤コーナーへ叩きつける。
それでもKUSHIDAはカウンターフロントハイキックで反撃してコーナーからジャンプするが、オスプレイがカウンターオスカッターで撃墜する。そして、コークスクリューキックからオスカッターを狙うが、KUSHIDAが回避し、反対にハンドスプリング式オスカッターで逆襲。
次にKUSHIDAはホバーボードロックを極めるが、オスプレイが強引に立ち上がり、顔面を殴って脱出。するとKUSHIDAはマサヒロ・タナカを放とうとするが、オスプレイがそれより早くハイキックを食らわせ、顔面にステップキックを浴びせる。
しかし、KUSHIDAも顔面へのステップキックで対抗し、エルボー合戦へ突入。そこからオスプレイが打撃コンビネーションを繰り出し、顔面パンチをお見舞い。だが、KUSHIDAもすぐにパンチで報復し、オスプレイの両腕を持ったまま顔面にストンピングを連射して行く。
続いてKUSHIDAはホバーボードロックを極め、オスプレイがロープへ近づくと引き戻してさらに絞る。それでもオスプレイが逃げようとすると、KUSHIDAはバックトゥザフューチャーを狙う。しかし、オスプレイが空中で回転して切り返し、スタナーで叩きつける。
次にオスプレイはリバースファイヤーバードスプラッシュを炸裂させるが、フォールはKUSHIDAが跳ね返す。するとオスプレイは、串刺しフロントハイキックで追撃し、KUSHIDAをコーナー最上段へ固定。そして、顔面にトラースキックを9連発で食らわせる。
場内が「KUSHIDA」コールに包まれる中、オスプレイはコーナーで雪崩式オスカッターを仕掛ける。だが、KUSHIDAが切り返し、雪崩式バックトゥザフューチャーで逆転。そこから(正調)バックトゥザフューチャーで激闘を制した。
※KUSHIDAがインタビュースペースに現れると、タイガー、田口、リコシェ、ACH、ボラドール、リーが拍手でKUSHIDAを迎える。
タイガー「乾杯だ、乾杯!(田口)監督、音頭取ってください」
田口「クッシー、優勝おめでとう! カンパーイ!(※みんなで2回乾杯)」
タイガー「あとは自由ですかね?(と、田口にビールかけを始める。外国人選手たちも続く)」
リー「(※KUSHIDAに抱きつき)ビエン(グッド)! ビエン!」
KUSHIDA「アミーゴ!(とハグ)」
※ACHが「ビールを飲め」と合図。KUSHIDAは一気飲み。
KUSHIDA「(※ACH、ドラゴン・リー、リコシェらに)ありがとう!」
――ともに闘った仲間たちの祝福もありましたが、改めて今どんな気分ですか?
KUSHIDA「そうっすね……何か今年ほど汗と涙が詰まった『SUPER Jr』はなかったですね。率直な感想……長かった。『代々木にやっとたどり着いた』と、今日会場入りして思って。最後、命を、魂を、何とか燃やして、リングに立ちました」
――闘いの中で、もう諦めちゃうんじゃないかと思わせるシーンがたくさんありましたが、KUSHIDA選手を奮い立たせた一番の要因は何だったんでしょうか?
KUSHIDA「もう、お客さんの歓声以外の何ものでもないですね。何度も心が折れそうになって、くじけそうになって、シリーズ中も、『もうダメだ』と。連敗して、心と体のバランスがバラバラになって、揃ってない状態でも試合はやってくると。もう何か、家の布団で寝てるより、リング上で息してる方が長いんじゃないかと。だけど、いざゴングが鳴ると動けるんですよね。何か、そこに自分の精神と肉体のバランスの乖離を感じて、すごい怖くなって。死んじゃうんじゃないかと思った時もあるし。そういう恐怖感がずっとありました」
――その中で、オスプレイ選手を打ち破って、オスプレイ選手は泣きながらリングを後にして、バックヤードではKUSHIDA選手に「おめでとう」と。リングからはサンキューという言葉もかけていましたが、対戦相手についてはどんな思いがありましたか?
KUSHIDA「(※涙ぐみながら)何か不思議な縁で、KUSHIDAっていうのは海外と縁が非常にあって、この舞台もリコシェ、(カイル・)オライリー、そして今年のオスプレイと、素晴らしい、望んでも対戦できないようなライバルと闘わせてもらって、『SUPER Jr』のファイナルを務めさせてもらって。オスプレイが日本人以上に、ジュニアヘビー級、英語で言えばクルーザー級というものを何とか見返してやろうという気持ちが、リコシェ戦とかにつながってて。コメントの節々からも、『なめんじゃねぇぞ、ふざけんじゃねぇぞ』と(いうものが伝わってきた)。体が大きい者に対して、プロレスラーとして生きていけなかった。けど、獣神サンダー・ライガーが作ったこのジャンルで、こうしてボクが立っていられる、オスプレイが立っていられる、そういう下に見る者たちすべてに対する復讐っていうか、反骨精神ですよね。何か日本人よりある意味伝わってくるものがあるんで。オスプレイ、まだ20代前半ですよね。恐るべしですよね」
――そして、この大会を通して各国のジュニア戦士が、この『BEST OF THE SUPER Jr.』に参戦してくるという状況のつくったのは、まぎれもなくKUSHIDA選手だと思いますが、改めて最後のウェーブというのはどんな風に見えましたか?
KUSHIDA「やっぱり、『G1 CLIMAX』には負けたくないし、『BEST OF THE SUPER Jr.』というブランドを上に上げていきたい。まぁ、“バック・トゥ・ザ・フューチャー”じゃないですけど、新日本プロレス90年代の時代を見て、ファンとして育ってきましたので、そこの勢いにいま近づけている、その勢いを加速する意味でも、一発ウェーブをやることによって、なんか会場が一体になれるかなと思って、ずっとやりたかったことでした。(※ROH世界TV王座のベルトをおさえ)このROHのベルトは、あんまり日本では凄さがわからないけど、このボクが何としてでも獲りたかった意味は、やっぱりジュニアの敷地面積を大きくするためだから。注目度を高める。そういう意味では、“外交カード”これはボクにとって大きな強い武器なんで、スケジュールは厳しいかもしれないですけど、防衛していきたいですね。TVチャンピオンということは、月一回の収録に行って、防衛戦をしなくちゃいけないことなので。(タイガー)服部さんに『ユーはもうオーバブッキングだよ』って言われましたけど、命を賭けて、魂を注いで頑張っていきたいと思います」
――このインタビューは、ライガー選手も聞いてますけど、新日ジュニアが一番輝いていた時代。ファンとして観ていた時代。その中心にいたのは、ライガー選手だったと思います。改めて、いまライガー選手に伝えたい気持ち、思いを聞かせてください。
KUSHIDA「一番輝いていた時代というのは訂正してほしいですね。いまが一番でしょ。やっぱり、過去っていうのはどうしても美しく見える。ボクもファンだからその気持ちはよく分かるけど。それはもう全選手、今回『SUPER Jr』に参加した選手、エントリーした選手に失礼だと思うので訂正してください」
――そうですね。そして私はいまよりも未来のほうがもっと輝くと信じていますけども。
KUSHIDA「ハイ。やり残したこと。このままでは引き下がれない。高橋ヒロム、リング上では言いませんでしたけど。去年、オスプレイに言われてリングに立ちましたけども、この『BEST OF THE SUPER Jr.』っていうのは、世界中のレスラーが成り上がる為に、新日本に上がりたいとエントリーをもくろんでいる名誉ある大会なんで、次期挑戦者、そういう風に成り下がってほしくないというか。去年はそういう理由で上がりましたけども、今年は言いませんでした。これはもう参加した俺のプライドです。ただ、俺はデカい会場。両国国技館、東京ドームでやられた借りは必ず返す。絶対に忘れない」
――本当に今後の『BEST OF THE SUPER Jr.』覇者としての未来を楽しみにしています。
KUSHIDA「ボク自身が一番楽しみにしています。なにがあるんだろうと。まさか、2回『BEST OF THE SUPER Jr.』を優勝出来る人生だとは、プロレス人生になるとは。一人でお金を貯めてメキシコ行った時には考えもしなかったので、これからが楽しみです。皆さん、楽しみにしてください。ありがとうございました。マスコミの皆さんもありがとうございました。実況席にお返しします」
オスプレイ「(※壁に頭をつけ涙を流し、数分間の沈黙ののち)本当に言葉が出ないよ……KUSHIDA、おめでとう。いまはちょっと時間が必要だと思う……もう行くよ……」