柴田とファレが激突する『NJC』優勝決定戦。柴田は1回戦で鈴木、2回戦でジュース、準決勝で石井に勝利。一方のファレは、1回戦でエルガン、2回戦で矢野、準決勝でEVILを破った。柴田が決勝に残ったのは今回が初めてで、ファレは2014年以来2度目。どちらが勝っても初優勝となる。
序盤、柴田がフロントハイキックを見舞うと、ファレはチョークに行く。その腕を柴田が取って切り返し、フロントハイキックで場外に落とす。
続いて柴田はエプロからランニングローキックを放つが、ファレが蹴り脚を受け止める。そして、柴田を鉄柱に叩きつけると、ファンのタオルを奪って首を絞め、フェンスを投げつける。
これで場内が大「柴田」コールに包まれるも、ファレはショルダークローで追撃。さらに、柴田が右肩に施していたテーピングをむしり取り、なおもショルダークローで痛めつける。
次にファレは鉄柱を悪用して柴田の肩にダメージを蓄積させ、ストンピング、エルボースタンプ、踏みつけ攻撃、エルボードロップなどで追い討ち。
それでも柴田はカウンタージャンピングフロントハイキックで巻き返すが、ファレはすぐにカウンターショルダータックルで報復。しかし、柴田は負けずにカウンタードロップキックで逆転。
さらに柴田はファレを赤コーナーへ追い込み、エルボー連打、串刺し低空ドロップキックで追撃。続いてフロントネックチャンスリーの体勢に入るも、ファレが抵抗して柴田を担ぐ。だが、柴田がその体勢でスリーパーホールドを繰り出し、変型卍固めへ移行。
するとファレは、柴田をエプロンへ追い込み、ランニングボディアタックで場外へ落とす。しかし柴田は、ファレを鉄柵へ叩きつけ、串刺しフロントハイキックで観客席へ追いやる。そして、ファレのシャツを剥ぎ取り、それで首を絞める。
ここで柴田はリング内へパイプイスを持ち込むが、レッドシューズ海野レフェリーが厳しくチェック。すると柴田は、そのイスを投げてファレに持たせ、ドロップキックでまとめて蹴散らす。
柴田の攻勢は続き、ファレの背中へ乗ってスリーパーホールド。だが、ファレがそのまま柴田の背中をニュートラルコーナーへ激突させて脱出し、串刺しボディアタックをお見舞い。
続いてファレがグラネードを狙うと、柴田はショートレンジドロップキックで逆襲。しかし、ファレがカウンタージャンピングショルダータックルで吹き飛ばし、バックフリップで追い討ち。
次にファレはバッドラックフォールを仕掛けるが、柴田が回避して脇固め。そこから三角絞めへ移行し、さらには腹這い状態で腕ひしぎ逆十字固めを極める。
ファレが辛うじて足でロープに触れると、柴田は胸板めがけてローキックを連発。そして、ロープへ走るも、ファレがカウンターラリアットで逆転。すぐさまジャンピングボディプレスで押し潰す。それでも柴田がフォールを返すと、ファレは今度こそグラネード。だが、柴田はカウント3寸前で肩を上げる。
大「柴田」コールの中、ファレは再びバッドラックフォールの体勢に入る。しかし、柴田がそこから体勢を入れ替え、背中へ乗ったままスリーパーで捕獲。
これはガッチリ極まっていたが、ファレが変型バックドロップで柴田を叩きつけて脱出。それでも柴田が立ち上がると、ファレはラリアットを食らわせる。
しかし、柴田がなおも立ち上がり、左右の掌底連打で逆転。そこから再びスリーパーでファレを絞め上げ、最後はPKで轟沈した。
柴田「何か? あるでしょ、今日は?」
――率直に『NEW JAPAN CUP』初優勝、頂点を極めたいまの心境は?
柴田「これで終わりだと思ってなんで。こっからがやっと……やっと道のりが……。やっとだよ? 3,4年? 3,4年かかったね。なかなかシングルで触らせてもらえない。チャンピオンから。……俺の、俺の育った新日本プロレス。いまの新日本プロレス、素晴らしいよ。とてつもなく素晴らしいよ? だけど! 大切なことを、忘れているよ。いつ何時、誰の挑戦でも受ける、一番大事な、一番根本、忘れていやしないかい? と。俺はそこを問いたい。だから、言われたとおり、トーナメント優勝して、挑戦権を得た。文句ねーだろ。文句ねーだろ! ああ?」
――リング上では、「オカダ選手との約束」という言葉がありました。
オカダ「約束だねえ! 3年か4年前に、大阪だったかな? 『誰でも目の前に立てば挑戦できるようなベルトじゃない』と。そりゃあ、そうかもしれないよね。ここに来るまでに3,4年かかったってことだよ」
――たしか後藤さんが挑戦して敗れた時に、セコンドの柴田さんが目の前に立ったが、挑戦できなかったことがありましたね。
柴田「ん~。じゃない? 言われたとおり、約束は守った。俺は。時間、かかっちゃったけど。そしてオカダもIWGP、いま保持してる。条件は……整った! 3,4年越しの約束だよ」
――オカダ選手も「優勝者は挑戦して来い」と発言していましたから、受けるとは思いますが。
柴田「だいたいね、このトーナメントがよくわからなかった。トーナメントの優勝者が、挑戦したいベルトを選べるって。2段階で選べるようになっちゃっているから、意味がわからなかった。だから、目の前の一人を全力でぶつかって、倒して、いまここにいる」
――すでに発表されているように、4月の両国国技館大会で行われることになっています。
柴田「どこでもいいよ! どこでもいいよ。場所なんてどこでもいい」
――舞台よりもIWGPヘビーのベルトに魅力を感じる?
柴田「“オカダの持つ”IWGPヘビーだね! ウン。新日本プロレスとの勝負、まだ終わっちゃいねーんだ、俺にとっては。……こういうの初めてなんだよ、なんか。優勝みたいなの? なにかほかにありますか?」
――かつて『G1』でオカダ選手と闘ったときに、「弱点を見つけた」とおっしゃってましたが?
柴田「いま、言わなきゃいけないの?」
――そこはお任せします。
柴田「じゃあ、もうちょっと。まだ時間あるみたいだから」
――今回、IWGPのチャンピオンがオカダ選手じゃなくとも、IWGPヘビーを選んだ?
柴田「……わかんないね。俺はいま、優勝した。その先のことは考えていなかったから。優勝した、ベルトを選ばなきゃいけない。挑戦するベルトを選ばなきゃいけない。選ばない理由ないじゃないすか?」
――IWGPというベルトを選んだ? それともオカダ・カズチカを選びました?
柴田「“IWGPを持っている”オカダだと思うね。そこと勝負をしたい、そこと勝負をする。それ以上でも、それ以下でもない」
――今日、オカダ選手はなぜ現れなかった思う?
柴田「帰ったんでしょ? 駅近いから。俺だって帰るもん。早く帰りたいでしょ? ……まあ、言い方を変えたら『逃げた』ともとれるけどね。言ってたんでしょ? オカダは『挑戦してこい』と。相手が決まるトーナメントの決勝、会場に居て出てこなかったのか、居なくて出てこなかったのか。そんなこと関係ないんだよ、『来なかった』これだけは事実。だけど、もう逃がさねえ!」
――柴田選手は、自分が育った“あの頃”の新日本プロレスに誇りを持ってる。それとオカダ選手の新しい新日本プロレスの激突とも見れますが?
柴田「“あの頃”っていうのを知らないからね。そもそもが。かぶってないから、俺とアイツは。アイツの知らない新日本プロレスを俺は知ってるよ。そして、いまの新日本プロレスを俺は知ってる、二つ知ってるよ。……ありがとう。ありがとうございました!」
※缶ビールをグイッと飲み干して
柴田「ありがとうございました!」
ファレ「クソッ! あの野郎、タフなヤツだ。どうしようもないほどタフなヤツだった。天国に行きそびれやがって。だけど、これで終わったわけじゃない。まあ、この借りはしっかり覚えておくからな。クソッ。せっかくのチャンスを逃してしまった。でもいい。このままでは終わらないから。みんな、のんびりと待っておけ。俺は慌てず騒がず、やり返すだけさ!」