NEW DIMENSION〜Pray,Hope,Power〜
- 日時
- 2011年4月3日(日) 17:30開場 18:30開始
- 会場
- 東京・後楽園ホール
- 観衆
- 2,025人(超満員札止め)
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第7試合 60分1本勝負
IWGPヘビー級選手権試合- (第56代王者)
- (挑戦者/「NJC 2011」優勝者)
レフェリー|レッドシューズ海野
MATCH REPORT
そこから選手入場となり、大コールの中、永田が「NEW JAPAN CUP 2011」の優勝トロフィーをもって入場。続いて、棚橋がチャンピオンベルトを腰に巻いて堂々の入場。両者への大コールが交錯する中、試合開始のゴングが鳴らされた。
永田がキックを放って行くと、嫌がった棚橋がヘッドロックを極める。しかし、永田もすぐにヘッドシザースでやり返し、一歩も譲らない。
さらに永田は、アームロックで棚橋を追い込み、張り手からフロントネックロック。すると棚橋は、膝十字固めで対抗する。
その後、永田のローキックを境にして、激しい打撃戦が勃発。そして、ドロップキックをかわした永田が、フェイントをかけたサッカーボールキックで棚橋を場外に追いやる。
棚橋がリングに戻ると、永田はキックと膝蹴りの連射で追撃。だが、棚橋はエプロンから永田の蹴り脚を掴み、ドラゴンスクリューを敢行。これで永田を場外に落とすと、エプロンを走ってトペコンヒーロをお見舞い。
リングに戻った棚橋は、膝への集中攻撃を開始。足4の字固めがガッチリ極まるものの、永田はなんとかロープに逃れる。
15分が経過し、棚橋がなおも追撃に出ると、永田はカウンターキチンシンクで逆襲。そして、前後のローキック連射で棚橋をいいように蹴りまくり、チキンウィングアームロック、ショルダーアームブリーカー、脇固め、腕ひしぎ逆十字固め、腕へのミドルキック連射で追撃。
劣勢の棚橋は、永田の蹴り脚をキャッチしてドラゴンスクリューで逆襲。さらに、膝への低空ドロップキックで追い討ちをかけると、フロントハイキックをかわし、フライングフォーアーム、ダイビングサンセットフリップに繋ぐ。
これに対し永田は、飛び込んで来た棚橋の腕に絡みつき、ジャーマンスープレックスホイップで逆襲。そして、串刺しフロントハイキック、エクスプロイダーで追い討ちをかける。
ここから激しいエルボー合戦、張り手合戦となり、永田が強烈な張り手連射で打ち勝つ。両者への大コールが交錯する中、延髄斬りをかわした棚橋がグラウンドドラゴンスクリュー。
25分が経過し、さらに棚橋がドラゴンスクリューで追撃。そして、テキサスクローバーホールドでギブアップを迫る。これを永田が逃れて張り手を繰り出すと、棚橋もすぐさま張り手を返し、スリングブレイド、変型ファルコンアローで追撃。そして、コーナー最上段からのボディアタックで飛び込んで行くが、永田が膝蹴りで迎撃。
そして、タイナーで追い討ちをかけた永田は、抵抗する棚橋をヘッドバットの乱れ打ちで黙らせ、トップロープ上からの雪崩式フロントスープレックスを敢行。ここで30分が経過する。
続いて永田はドライブスクリューからバックドロップに行くが、棚橋が体重移動して押し潰す。そして棚橋は、フロントハイキックをキャッチすると、軸足めがけて低空ドロップキックを発射。しかし永田は、テキサスクローバーホールドを切り返し、腕固めで逆襲。白目をむいてこん身の力で絞り上げるものの、棚橋は足を伸ばしてロープエスケープ。
すると永田は、マジックスクリューで追い討ちをかけ、急角度バックドロップからフォールするものの、棚橋はキックアウト。すると永田はもう1度バックドロップの体勢に入るが、棚橋が膝へのバックキックで脱出。だが、永田は棚橋を突き飛ばしてコーナーに押し込み、後頭部へタイナーをお見舞い。そして、雪崩式バックドロップを敢行するものの、棚橋が押し潰してダルマ式ジャーマンスープレックスホールドで逆襲。
両者への大コールが交錯する中、棚橋はボディアタック式ハイフライフローで追撃。そして最後は、ハイフライフローで永田にとどめを刺した。
COMMENT
ーー棚橋さん、防衛おめでとうございます!
棚橋「ありがとうございます!」
ーー最後まで、試合が終わっても声援に応えました。
棚橋「……やっぱり、いまこういう状況の中で、試合があって……元気出したいじゃん? 元気伝えたいし。これが、俺なりの表現であり、みんなへのエールです(うっすら涙をうかべて)」
ーー仙台の声援を思い出した?
棚橋「あんとき……応援してもらったから、いまがあるから……(こらえられず、嗚咽しながら)。絶対に……どういう状況になろうと……あきらめないでやりました(涙を流しながら)」
ーーいま、その気持ちをどんな気持ちで伝えたい?
棚橋「ありがとう。ホントありがとう……(涙を噛み締めて)。みんなのおかげで、プロレスができるし、毎日感謝してるし。被災地のことはずっと……応援してます」
ーー今日の試合、苦しいときに仙台のときの声援やファンが後押ししてくれた?
棚橋「ハイ。ホントにありがとう。だから、俺も元気出していくから! いつも応援してるから。みんなで、また立ち上がりましょう!」
ーー中邑真輔選手が、リングに上がって挑戦を表明しました。
棚橋「彼は、ストロングスタイルっていうね、言葉で上がって来た選手だから、“ミスター・ストロングスタイル”っていう位置づけの選手。永田選手も言ってたけど、俺の中では、そういう捉え方だから。だからこそ絶対に負けられない。ストロングスタイルっていうのは、もう誰かが歩いてきた道だから。俺は、俺の道を歩いていくから! だから負けられない!」
ーー棚橋選手にも自分のストロングスタイルがあるのでは?
棚橋「……わかんないっす(笑)」
ーー今日の試合、永田選手はいつもと違った?
棚橋「やっぱり、シンドイけど、尊敬してるし。彼がいたから、俺もいるしね。じつはもうやりたくないけど、またやりたいかなって。変な気持ちです」
ーー4年前とは違った?
棚橋「俺、全部忘れちゃうんで。いいことを考えて。忘れていいことは忘れて、覚えてたいことは覚えていて。だから、苦手意識も忘れて、誰であろうと、今日は振り切りました」
ーー最後にチャンピオン像を。
棚橋「シンプルっすよ? みんなが楽しく、そして明るくなればいいと思います」
ーー永田選手と苦手意識はあった?
棚橋「苦しいけど、俺のほうがダメージ深いじゃん? スゲー強い選手だけど、俺がチャンピオンだから、あきらめないっていう気持ちを示せたと思います。正面から受け止めて、克服する。それがプロレスの醍醐味だと思うから。でも、永田選手は熱くなりますね?」
ーー事前には、「永田コール一色になるだろう」と言ってましたが、現実はそうではなかった。それに対しては?
棚橋「ハイ……あきらめずに、やってきてよかったすね(涙をこらえながら)。ホントに……ありがとうございます……感謝します」
ーー今日は、仙台のときのような「棚橋」コールでした。
棚橋「時間はかかるかもしれないけど、絶対にチャンピオンとして、東北に戻るから……待っててほしい。そう思います」
ーー試合後、永田選手から「おまえがエースだ」と言われましたが?
棚橋「もう何年も前から、俺がエースです!(ニッコリ)。でも、ぶっちゃけ、うれしいっすね! ……暗いっすね? 明るくいきましょう!」
ーー(一同笑)。
棚橋「俺のせいか?(笑)。元気出していきましょう!」
ーー超満員のファンの心を本当に魅了する最高の戦いだったと思います。どう捉えてますか?
永田「最高でも負けちまったから。(エアギターが響く中)あいつは徹底して失礼なやつだな。負けたら何も言えねぇよ」
ーーイデオロギー闘争とも言われる戦いの前に、あえてストロングスタイルという言葉を口にしましたが、戦いを終えて棚橋弘至という男、いちレスラーとしてどのように感じましたか?
永田「俺が前に前に出ている時に、自分の信念を貫こうと半分ビビリながらも、チャラけた顔作って俺に向かってきた。以前にはなかった顔ですね。さぁどうなるかな〜。ま、もう1回IWGPだな。IWGP、俺やっぱり自分の信念でこの世界に入って、新日本で19年戦い続けて、中途半端で終わることなく、完全燃焼して終わりたいから、もういっちょだ、IWGP。年々チャンスはG1、それを逃したらまた来年だろうから。次のチャンスを必ず生かすように、また鍛え上げてチャレンジしますよ。決して勝てない相手ではないんだから」
ーーリング上では棚橋選手を認める発言もあったと思いますが?
永田「素直な気持ちが出ただけだ。俺ありきであの戦いが今日この後楽園で生まれたと、最後に強がっておきますか。俺の存在意義をこの新日本プロレス、時代が移り変わりつつある新日本プロレスで、俺は自分の存在を植え付けた試合だったと最後は強がっておきますよ」
中邑「次の挑戦者、チャンピオンからの指名、これで文句言う奴はないだろう。永田が負けたとはいえ、準優勝は俺だ。文句ねぇだろ。
ーー今日の試合、リングサイドで観て感じることはありましたか?
中邑「いい試合。いい試合だったよ。ワンチャンスだね、棚橋弘至。空気も間も、全て永田裕志の試合だった。永田裕志が悦に入ったのか、仕留めるのが遅かった。そのワンチャンス、棚橋弘至がをものにしただけじゃないの?あの試合中のなんて言うか、いろいろ試すだとか、俺が結局不思議だったのは、チャンピオンだとは到底言えない姿だったけども、それも含めて棚橋弘至なんじゃないの?」