NEW JAPAN CUP 2011
- 日時
- 2011年3月20日(日) 15:00開場 16:00開始
- 会場
- 兵庫・ベイコム総合体育館(尼崎市記念公園総合体育館)
- 観衆
- 5,500人(超満員)
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第9試合 時間無制限1本勝負
「NEW JAPAN CUP 2011」決勝戦※永田裕志がNJC2011優勝。レフェリー|レッドシューズ海野
MATCH REPORT
序盤はグラウンドの攻防となり、両者一歩も譲らず。腕の取り合い、脚の取り合いなど、緊迫した展開が続く。
その後、ロープ付近の離れ際に中邑が不意打ちの張り手を放ち、試合の流れが一変。激しいエルボー合戦となり、打ち勝った永田が張り手、エルボー、膝蹴りを次々に繰り出す。
しかし中邑は、突進してきた永田を持ち上げてコーナー最上段に固定し、ランニングニーリフトをボディにお見舞い。そして、永田の頭部をエプロンから場外へ出し、その後頭部へニードロップを投下。
リングに戻った中邑は、抵抗する永田を膝蹴り連射で黙らせる。だが、続いてのローキックをかわした永田が、ジャーマンスープレックスホイップで逆襲。そして、ボディへのキック、ミドルキック連射、串刺しフロントハイキック、カウンターキチンシンク、垂直落下式ブレーンバスター、ナガタロックIIと一気に畳み掛ける。
対する中邑は、後ろ回し蹴りで永田の動きを止め、スリーパーホールドで追撃。これは永田が前方に投げ捨てて振り解くものの、中邑は永田の軸足を払って倒し、ローキック、ミドルキック、頭部への膝蹴りをお見舞い。だが、永田が追撃をかわして中邑をコーナーへ激突させ、その後頭部へタイナーをヒットさせる。
続いて永田は雪崩式フロントスープレックスを決め、バックドロップの体勢に入るものの、中邑が後頭部でのヘッドバットで阻止。すると永田はナガタロックIIに行くが、中邑が切り返して下からの腕ひしぎ逆十字固めを狙う。だが、これを永田がさらに切り返し、腕固め。白目をむいた鬼の形相でグイグイと絞り上げる。
これを中邑がロープへ逃れると、永田はミドルキック、延髄斬りに繋ぎ、もう1度バックドロップへ。だが、押し潰した中邑が後頭部へのボマイェを炸裂させる。
「永田」コールの中、中邑は頭部への膝蹴りで追い討ちをかけ、リバースパワースラムを2連発で敢行。さらに、グラウンドでの膝蹴り連射からボマイェを放つ。だが、永田は脚へのローキックで中邑を急停止させ、間髪入れずに低空ドロップキックで追撃。そして、頭部へのキック、バックドロップに繋ぐと、最後はバックドロップホールドで勝利。「NEW JAPAN CUP 2011」を制した。
COMMENT
永田「どうもありがとうございました! いや、ホントにこんな時期にね、プロレス会場にいっぱいお客さんが来て、プロレスを観て、大きな声で声援を送って、ハッピーエンドで終われた。……これがプロレスのパワーだな、と。たくさんの人が募金してくれて、選手もそれをサポートして、みんなで作ったパワーだな、と。これを被災地の方々に送って、少しでも助けになれば。これは、プロレスならではの、できたことなんじゃないかな、と。正直、こういう時期にはたして、プロレスの大会をやっていいのか、という迷いは誰しもあったと思うんですよね。ただ、その迷いをとりさってくれたのは、会場に集まって、声援を送って、プロレスを楽しんで、笑って帰ってくれたファンの人たち。そういう声援に応えなきゃ。これが、プロレスの愛というか……うまく言えないけど」
——バーナード、田中将斗、矢野通、中邑真輔を破っての優勝です。
永田「4年ぶりの優勝ですけど、4年前とはレベルが全然違いますよね。一部では、俺が衰えた、というような声も聞こえてきたけど、そこだけは全然譲れないんで。ホントの底力を見せてやる、という気持ちになったし、みんなは今日で休みだけど、俺は明日、両国でも試合があるんで。そういう部分でもハードスケジュールなんでも来いって。とにかく、今年は、俺自身、何か健在なところを見せたいんで。だから、IWGP挑戦は大きいっすね? たしか4年前も『NEW JAPAN CUP』を優勝して、ベルトを獲った。相手も棚橋だった。同じことを繰り返しましょうか?」
——今回は声援が力になった?
永田「迷いがとびましたね。災害のテレビを観たりすると、暗い気持ちになると思うし、僕らもそうなりかかったけど、僕らはやっぱり元気を与えなきゃいけない。暗い気持ちになっている国民に、勇気とかパワーを送れたらな、と。それは募金もそうだし、これってホントにプロレスを通じて、みんなで助けあおう、という心が一つになった。それを実感したし、プロレスってあらためて素晴らしいな、と」
——最終戦が兵庫というのも……。
永田「そうですね。今日、ここに来てくれた人は誰よりも震災の痛みを凄く知ってる人たちですから。ホントなら、プロレスどころじゃない、となるかもしれない。でも、こうやって会場に来てくれて、たくさんの人が募金してくれて、元気になってくれる。その大役をはたせた。レスラー冥利につきますね」
——中邑真輔の印象は?
永田「やはり、攻撃がさらにエグくなってる。寝てるところに、どこから飛んでくるかわからない蹴りが飛んできたりね……ますます目が離せない相手になったな、と。前みたいに構えてたら、足元をすくわれるしね。スキを見せられない、新日本を代表する選手でしょうね。勝敗? 一言で言えば、意地かな? 世代交代は終わってるけど、力が衰えて、後退したんじゃない、という意地が凄くあるんで。そういう意味では、こういうトーナメントは実力勝負、意地を見せられるいい機会なんで。うつぶせになったときに、脳天にヒザ蹴りをくらったのは、藤田和之のことを思い出しましたね」
——被災からの復興という意味で、青義軍にも通じる精神があるのでは?
永田「何度でも立ち上がる、前を向いて歩こうという精神はわずかな希望を持って、立ち上がる人たちと通じる部分はあるのかな。そういう意味でもクヨクヨしてられない。ポジティブに前を向いていく、やってきたことは間違いじゃないかな」
——王者・棚橋弘至選手への言葉は?
永田「ずいぶんひさしぶりだね、棚橋と当たるのは。あらためて、俺の強さを肌で感じたら、どう思うか? それが楽しみですね。ま、本番まで当たらないのかな? ぶっつけ本番でもいいですよ。シングルは4年ぶりくらいかな? ま、楽しみです。どっちにしても。そんなところかな? 今日はどうもありがとうございました!」
中邑「歩き続ければ、明日は来る、必ず。コケて何かをこぼしても、また拾い集めて立ち上がればいい。いつもそうだった。何度も何度も立ち上がる……それがプロレス、それが俺たち日本人でしょ? 必ずまた立ち上がり、歩き続ける」