レッスルキングダムⅤ in 東京ドーム

日時
2011年1月4日(火)   15:00開場 16:00開始
会場
東京・東京ドーム
観衆
42,000人(満員)

MATCH REPORT

 アマレス時代からの因縁を持つ両者が、4年ぶりに激突! 東京ドームの舞台で雌雄を決する! 前半戦の目玉マッチ、永田裕志vs鈴木みのる。煽りVでは、永田が新日本に入る前、新生UWF時代の飲み会で再会し、前田日明氏に煽られるかたちで飲み比べをしたというエピソードも紹介された。
  
 まず、おなじみ『風になれ』で、鈴木みのるがタオルをすっぽり被って、威風堂々の入場! 「か・ぜ・に・な・れ〜」に合わせてリングインすると、大歓声が巻き起こった。そして、冬の海岸を一人歩き、敬礼をビシッと決めたVから永田裕志が青義軍のシャツで堂々入場! 
  
 試合はまず鈴木が張り手一閃! ここから二人の強烈な意地が交錯し、張り手合戦が展開! だが、鈴木は舌を出してヘラヘラと笑いながら挑発! 永田は顔面へのハイキックをお見舞いすれば、鈴木もロープに絡ませながらトリッキーに永田の足を極める。
   
 鈴木は、永田の左脚をジワジワ攻め込み、脚攻めからマウントパンチをお見舞い。公約どおり、永田を殴りまくり、蹴りまくる! だが、必死の形相で鈴木の蹴りを受けた永田もコーナーでミドルキックで逆襲!
  
 試合中盤は、一進一退。蹴り合い、殴り合いが続く。鈴木は永田をスリーパーで捕らえたが、永田は腕殺しで逆転! だが、再度スリーパーを極めた鈴木がグイグイと占め続けると、永田はずるずると崩れ落ちる、ここで場内からは「永田」コール発生!
  
 10分経過。続いて、鈴木はフロントチョークを披露。だが、永田も負けていない。鈴木の腕にミドルキックをズバズバと当て、腕をエグイ角度で固めてみせる。ここで、場内からは、一斉に「白目」コール! これをヴィジョンが捉えると、場内は大爆発!!
  
 さらに「うわあああああ〜!」と吼えながら、鈴木を延々と極め続ける永田。それでもタップしない鈴木に場内は騒然となる。永田が立ち技に移行すると、鈴木は「張ってこい!」と挑発! これに応えてまたもや強烈な張り手合戦! 場内も「オイ! オイ!」と呼応。そして、ガクンと崩れ落ちた永田の背後から、鈴木が手を広げて、スリーパーを狙う。永田、大ピンチ! だが、これを垂直落下式バックドロップで切って返す永田。しかも2連発だ!
   
 ここで、決まったか、と思われたが、鈴木はなんとかキックアウト! だが、永田は攻撃を緩めず、キックを加えて、もう一度、凄まじい角度のバックドロップホールド炸裂! これで、鈴木は撃沈! 
 
 だが、倒れこんだまま、永田に向かってツバを飛ばして、くやしさをにじませる。腕を抱えて、退場していくが、鈴木に場内から大歓声。その背後では、永田がコーナーに駆け上がりビシッと敬礼ポーズを決めて、試合を締めてみせた。

COMMENT

■永田裕志のコメント
永田 「やっぱり、一番燃える相手というか。一番日本マット界で私情を思いっきり吐き出せる相手と言いますか。全力で殴って、蹴って、倒すことができたのはまずは嬉しいですよ」
 
──様々な怒りがリング上では出てきたと思うんですけど、徹底した腕殺しをした気持ちを聞かせてください。
永田 「感情的になればやっぱり、頬を殴るとかね、エルボーを打ち込むとかね、そういう闘いが好ましいでしょう。やっぱりどこかで鈴木と同じ土壌なのかなと考えると、鈴木は当然張り手とか来るじゃないですか? じゃあ、俺は腕折ってやろうかなと。その辺の感性の違いが出たからじゃないですかね?」
 
──そうした中でも殴り合いに応じる場面も十分に見せつけてくれましたけど。気持ちが昂ぶるものがありましたか?
永田 「そうですね。どれだけ返してこれるかなっていう。俺は300発受けても平気だよって言ってたから。かなり受けたと思いますね、今日は。張り手、エルボー、蹴り。その中で、俺はそれだけ受けたんだから、鈴木はどれだけこれんのかなって。そういうのを見てみたかったッスね。これはあんまり言いたくないけど、鈴木は吐いた唾を飲み込んじゃったかな? 戦前、俺に吐きかけた唾を飲み込んでしまったかもしれないですね。だって、ダメな俺に負けたんだもん。これは好敵手であるし、素晴らしい対戦相手だっていうのはわかっているけど、これで終わりにしたくない俺のメッセージかな。吐いた唾を飲み込んだ鈴木がどんな味わいを噛み締めて、今度は俺に何を投げてくんのかなって」
 
──闘いを終えたあとに鈴木選手が永田選手に何か言葉をかけていましたけど、あれはどんな会話がされていたのでしょうか?
永田 「負けてないって言ってましたよ。いつものことでしたよ」
 
──永田選手自身、4年間悔しい気持ち、煮えたぎる気持ちはあったと思うんですけど、それは払拭できましたか?
永田 「いや、2発目のバックドロップはかなり効いてたと思うんですけどね。でも、よく返したなと思っていたら、やっぱり相当効いてたみたい。ハイキック狙ったら足元ふらついてすり抜けちゃったし、2発目もそんなに当たんなかった。強引に3発目バックドロップいこうとしたら、やっぱり腰が落ちてた。でも、それだけ効いたバックドロップ食らっても返してきたんだから、さすがだなって。やっぱり、俺のことが憎たらしいんじゃないですか?」
 
──今日は勝ちましたけど、率直に聞かせてください。また闘いたいですか?
永田 「貴重な相手ですよね。2000年から2010年までの10年間、新日本プロレスは激動の10年であって、節目節目で俺がなにかその安心じゃないですけど、流れに身を任せようとする時に限って必ずあいつが出てくる。2007年にドームでやった時もそう。2003年に殴りこんで来た時もそう。激動の新日本をたくさん我慢して、支えてきて前に向かっていこうとした中で、どっかで激流に流されそうな時に必ずあいつが出てくる。 そしてまた新たな気持ちでまた立ち向かっていこうとする。こんなことは本当は言いたくないんですけどね、今回もそう。やっぱり、若い選手が出てきて、それ中心でやっていく流れに身を任せている時に、激動の10年をスルーして帰ってきた小島選手がG1とIWGPを獲った。何か俺の中で、新日本に残って闘ってきたことが否定されたのか? いや、自分が否定してしまったのか、そういう思いが毎日胸とか頭を駆け抜けて、悶々としている時に現れたですよ、鈴木がね。そこでこの闘いで凄いエネルギーが俺の中で蘇ったというか、いまそんな気持ち。今年は新しい力で前に進んでいけるのかな、と。本当の意味で噛み合わない、潰し合いの試合を制したから、凄い強気の発言が出せるというかね」
 
──永田裕志ここにあり、という闘いを見せつけた1・4でしたけど、最後に2011年今年の抱負を聞かせてください。
永田 「2000年から2010年まではいろいろ我慢してきたり、いろんなもんを背負ってきたけど、本来持っている永田裕志の枠を超えた闘いというかね。ドンドン前に出て、何もない所に石を投げ込んで、その波紋を広がるものを作るのもありかなと。そうやってノアとのパイプを作ってきたりしてきた中で、そういうものを今ならできるんじゃないかって。もし、小島が防衛したら挑戦表明してもいいですよ。俺の人生否定したくないんで。このままチャンピオンとして居座るならばね。俺のこの10年の人生を誰にも否定させないし、自分でも否定したくない。まあ、噛み合わないズタズタの力ばっかり入るすげえ試合だったなと。キレイとか汚いとかそういうことじゃないですね。俺のバックドロップで足元ふらついてるのに立とうとする鈴木みのる。そこにハイキックを思いっきりぶち込もうとしたら、鈴木のダメージでスルーしちまったよ。まあ、形では汚い試合だったけど、いろんな人生を歩んできた俺をストレートにぶつけて、向こうも人生をぶつけたのが今日の試合だったのかなと。そんな試合に対していろんな評論とか講釈は無用かなと、勝手に思っている試合でしたかね。まあ、新年一発目のドームで勝てて良かった。本当はこういう父親の凄いところを息子に見せたかったんですけどね、女房がドームとかに来ると期待を裏切っていたので、ドームへの来場を断られてしまったんですよ」

■鈴木みのるのコメント
「オレは負けてねぇ」というコメントが書かれた紙をスタッフに持たせて発表した。
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