NEW DIMENSION
- 日時
- 2008年3月30日(日) 18:00開場 18:30開始
- 会場
- 東京・後楽園ホール
- 観衆
- 2020
-
第7試合 60分1本勝負
IWGPヘビー級選手権試合- (第48代IWGPヘビー級王者)
- (挑戦者・NEW JAPAN CUP 2008 優勝者)
※中邑が2度目の防衛に成功レフェリー|レッドシューズ海野
MATCH REPORT
会場のボルテージが沸点に到達する中、腕の取り合い、グラウンドとじっくりした序盤戦になる。
中邑の執拗なヘッドロックを逃れた棚橋は太陽ブロー、顔面への張り手、ドロップキック。
すると、中邑もコーナー上の棚橋をハイキックで場外に叩き落とし、追撃のプランチャを発射。
だ が、先にリングインした棚橋は、エプロンの中邑の脚を掴んでドラゴンスクリュー。そこから中邑の脚を集中砲火していく。ロープエスケープで凌ぎ続けた中邑 はカウンターのミドルキック、ラリアット。脚へのダメージを引きずりながらも、ミドルキック連打で棚橋をダウンさせる。さらに棚橋のドラゴンスリーパーを 下からのキックで脱出した中邑だったが、棚橋は間髪入れずに低空ドロップキック。そして、フライングフォーアーム、フラッシングエルボー、サンセットフ リップの連続弾。さらにセカンドロープから両腕を広げ、サマーソルトドロップを投下し、グラウンドドラゴンスクリュー。悶絶する中邑の脚を掴み、テキサス クローバーホールドを狙うが、中邑はロープエスケープ。
コーナーへと上った棚橋を掴まえた中邑は、雪崩式ランドスライドを狙うが、棚橋はこれを阻止してリングに着地し、下からパワーボムの体勢に入り、前方へと叩きつける。
しかし、中邑はカバーに来た棚橋を下から三角絞めで捕獲。すると、棚橋はその体勢のまま上手く中邑の脚を取って、テキサスクローバーホールドへ移行。一転してピンチとなった中邑は、必死の形相でロープを掴む。
立ち上がった中邑はエルボー連打。棚橋もエルボー連打でお返し、気力を振り絞ったエルボー合戦から棚橋が顔面への張り手。すると、中邑もカウンターのラリアット、リバースパワースラムで倍返しする。
中邑がフルネルソンの体勢に入ると、棚橋は素早く体勢を入れ換え、ダルマ式ジャーマンスープレックスへ。中邑はカウント2でキックアウト。勝機と見た棚橋は、スリングブレイド2連発から完璧なハイフライフロー。だが、中邑はカウント3を許さない。
そして、2度目のハイフライフローを両膝で受け止め、脚へのダメージが蓄積してしまった中邑だったが、突進してきた棚橋をキャッチしランドスライドから素早くカバー。棚橋は意地のカウント2.9返し。
2人へのコールが激しさを増し、ダウンカウントが入る中、立ち上がった棚橋はランドスライドを回転エビ固めで切り返す。そこから丸め込み合いが続き、ニアフォールの連続に。
す ると、中邑は棚橋の腕をキャッチし飛びつき腕ひしぎ逆十字固めへ。棚橋は素早く体勢を入れ換えて丸め込む。そして執念の丸め込み合いから、棚橋のジャパ ニーズレッグロールを中邑がキックアウトすると同時に下から腕ひしぎ逆十字固めに切り返す。棚橋の腕を完璧に伸ばしてギブアップを奪った中邑が、IWGP ヘビー級王座2度目の防衛に成功した。
試合後、数々の勝利者賞を受け取り、新調されたIWGPベルトを自らの腰に戻した中邑は、勝利者インタビューに答えた。
中 邑「ベルトを統一して今日のタイトルマッチ、この前のアングル戦もどこか防衛戦という気持ちでは無かった。棚橋、現時点で1番強い男、NEW JAPAN CUP優勝者。闘って勝って、やっとベルトを防衛した気分です。鼓膜が破れて……、このリングにいれば(棚橋とは)いつだって闘うチャンスはあります。新 日本で最強の棚橋弘至を倒した。後は外に目を向けようと思います。世界でも他団体でも、何なら自分から出て行っても構いません。棚橋は間違いなく最高の相 手、今日は勝利を噛み締めたいと思います。皆さん、応援ありがとうございました」
そして最後は「じゃあ、みんなで分かってると思うけど」と前置きし、超満員に膨れ上がった後楽園のファンと「いちばんスゲェのはプロレスなんだよ!」の大合唱。
銀色のテープが舞う中、リング周辺に集まってきたファンによってもみくちゃにされながら、晴れ晴れとした表情で引き上げて行った。
COMMENT
中 邑「自分が戦前に予想していた通り、(棚橋は)物凄い勢いと……やっぱり、一番は勢いですかね。運は最後に自分に傾いたかなと。NEW JAPAN CUP優勝はダテじゃなかった。その都度、その都度、自分の手の内以上のものをね、出している気がする。まぁ闘えば、闘うほどに難しい相手です、棚橋弘至 は。やっぱり、プロレスのリングの上は、自分1人で闘っているわけじゃない。“1+1はなんとか”じゃないですけど、自分の持っているもの以上のものを、 もしかしたら元々持っているものかもしれないですけど、それを引き出せる何かがある。(棚橋選手との闘いは)当分ないでしょうね。新日本は、言葉に出して 行動を起こせばチャンスを自分の手で掴み取れるリングなので、他の選手にもチャンスが巡ってくるかもしれないし。うかうかしてられないので、すぐにでも海 外でも、他団体でも、このベルトの価値を高められるのならば闘いたいと思います。今、可能性があるとすればTNAだったり、メキシコもあるかもしれない。 それ以外はチャンスがあればですけど、国内で言うなれば、それなりの選手がいる団体ぐらいしかないんじゃないですか。まぁカート・アングルと同等クラス で、TNAでトップの実力を持っている選手もいいでしょうね。まぁ、個人的に言えば、ロサンゼルス(LA道場)時代、一緒に切磋琢磨したサモア・ジョーな んかも、いい相手になるんじゃないですか。(国内の他団体は)現時点であまり興味ないので、海外なら行ってでも試合をしたい。このベルトが欲しいなら、口 に出して言ってくれれば、答えようじゃないかと。(『どんなチャンピオンになりたいか?』)現時点では自分では分からない。闘うたびに成長できるし、強く なれると思っている。この闘いをずっと続けられるようなチャンピオンになりたいです。(『棚橋選手が“つえぇな”と言っていたが?』)いや、棚橋弘至、お 前も強いよ」
棚橋「はぁ、指の隙間からIWGPがこぼれ落ちた。そんな感じです。ここから次にどう持って行くかってのが大事なんだけど、 俺は(全日本プロレスの)チャンピオン・カーニバルがあるからね、止まってられねぇっすよ。確かにベルトは逃しましたけど、俺はいつも胸にIWGPの誇り を持っていますから。それで全日本に乗り込んできます。(と言って、一旦、控え室へ戻ろうとした棚橋は何かを思い出したかのように振り返って)中邑、中邑 に一言だけ言っておきたい。つえぇな」