“宿命のライバル”であるヒロムとデスペラードが激突する『BEST OF THE SUPER Jr.29』優勝決定戦。この顔合わせは2020年大会の再戦でもあり、そのときはヒロムが勝って初優勝を遂げている。ヒロムは翌年の2021年大会でも優勝して2連覇を達成しており、今回も勝てば3年連続4度目の優勝という偉業を達成。一方のデスペラードが勝てば、悲願の初優勝となる。
特別立会人の藤波辰爾が放送席で見守る中で試合開始のゴングが鳴り、攻め込まれたデスペラードが場外へエスケープして間を取る。そしてリングへ戻ってヌメロ・ドスを仕掛けるも、ヒロムが回避して場外へ降りる。
そこから場外戦となり、ヒロムが場外マット上でブレーンバスターを敢行。そしてリングへ戻ると、串刺しラリアットで追い討ちをかける。
だが、デスペラードが追撃から逃れ、二―クラッシャーで逆襲。さらに、ヒロムをニュートラルコーナーへ追い込み、自分の肩を利用した脚折り攻撃を食らわせる。
さらにデスペラードは、場外マット上のボディスラムでヒロムを投げ、リングへ戻ると膝への集中攻撃を開始。インディアンデスロックで絞り上げ、ヒロムを悶絶させる。
これでヒロムはフラフラになってしまうが、ラリアットをかわし、ヘッドスプリングで挽回。そして、串刺しラリアットから低空ドロップキックを食らわせる。
これでデスペラードが場外へ落ちると、ヒロムはエプロンを走ってミサイルキックを敢行。さらに、リング上では、ファルコンアローで叩きつける。
ヒロムの攻勢は続き、スピアーを受け止めてDでエスケープさせる。しかし、デスペラードが背後から膝にラリアットをお見舞い。そして、ヒロムの追撃を回避し、トペコンヒーロで吹き飛ばす。
続いてデスペラードは、赤コーナー最上段からダイビングボディプレスをお見舞い。そして、オリンピックスラムからグラウンドドラゴンスクリューに繋ぐと、ヌメロ・ドスでギブアップを迫る。
これをヒロムが逃れてDをガッチリと極めるが、デスペラードが辛うじてロープエスケープ。ここから両者がチョップとエルボーを打ち合い、デスペラードがエルボー連打で優位に立つ。その後、両者が切り返しの応酬を繰り広げ、ヒロムの頭突きでデスペラードの足が止まる。
さらにヒロムは、トラースキック、カウンターラリアット、ビクトリーロイヤルと攻め込むが、デスペラードがエル・エス・クレロで押さえ込み、スパインバスター、ギターラ・デ・アンヘルへ繋ぐ。
その後、デスペラードはリバースタイガードライバーからピンチェ・ロコを炸裂させるが、ヒロムがフォールを跳ね返す。
するとデスペラードはグラウンドドラゴンスクリューを連発し、ヌメロ・ドスを仕掛ける。しかし、ヒロムが脱出し、カナディアンデストロイヤーで逆転。
それでもデスペラードは仁王立ちで踏ん張り、ジャックナイフ式エビ固めと名も無きヒロムロールをクリア。するとヒロムはトラースキック2連発とランニングラリアットで追撃。そして、TIME BOMB IIからフォールするも、デスペラードが肩を上げる。
するとヒロムはロコ・モノを食らわせるが、デスペラードがすぐに2連発でお返し。だが、ヒロムが変型スタナーで巻き返し、TIME BOMBを炸裂させる。そして、フォールにはいかずに新技のTIME BOMB 2.5でダメ押しし、ついにデスペラードから3カウントを奪取。前人未到の『SUPER Jr.』3連覇&4度目の優勝を達成した。
ヒロム「(お祝い用の缶ビールを飲むと)効いたぁ……これは効いたぁ……(とため息をつきながら着席)。いきなりの質問タ~イム」
──ヒロム選手、優勝おめでとうございます。再び、このトロフィーを手にして心境の違いはありますか?
ヒロム「心境の違いはないですよ。前回、デスペラードとこの日本武道館でやったのはもう大昔かなと思ったんですけど、この間、去年のYOHとの試合(昨年の『SUPER Jr.』決勝戦)が無料で新日本プロレスワールドのYouTubeチャンネルに上がっててさ、『ああ、もう1年経つのか』って思ったら、『まだ半年なんだ。え、じゃあ何? デスペラードとやったのって1年半前なの?』って。まだ1年半しか経ってないんですよ。
石森戦の後にも言いましたけど、高橋ヒロム、エル・デスペラード、石森太二は誰もが認める新日本ジュニアのトップでしょ? そのトップがコロコロ変わって、勢力図がコロコロ変わって面白いですか? たった1年半の間でそんなコロコロ変わっちゃいけないと思いながら……意地ですよね。守りきりましたよ。3連覇、誰も望んでなかったんじゃないですかね、今日来てたお客さん。ほとんどがデスペラード推してたでしょう。分かるよ、そういうのは。3連覇、4度目の優勝、素直に嬉しい」
──デスペラード選手は1年半の間に限らず、このシリーズを通しても意識してきた存在かと思うんですが、再びこの武道館の決勝の舞台で戦ってみて、感じたものはどうでしょう?
ヒロム「だって、自分で言うのも悔しいけどさ、自分の立ち位置、パラメーターっていうのは自分で理解してなきゃ上に上がれないんですよ。俺は自分の位置を理解している。人気、会社の貢献度、全てにおいて、今ジュニアのトップはエル・デスペラード。それは間違いない。俺は今日勝ったけど、実力があるのはデスペラード。あいつはこんなこと言われたくないだろう。でも、俺はちゃんと自分の立ち位置を全て理解した上で真実を言ってる。だから、今日やることは……凄いメンバーだったけど、正直凄いメンバー、誰が上がってきてもおかしくなかったかもしれないけど、なんとなく始まる前から、決勝でやるならデスペラードなのかなって、なんとなく思ってました」
──今回は世界中から最高峰の選手が集まった中で、長い歴史の中で史上初の歴史を作った点はいかがでしょう?
ヒロム「これから実感してくるんじゃないですかね? これだけ長い歴史のある『BEST OF THE SUPER Jr.』、29回、来年は30回、その中で3連覇っていう人間はいない。そして4度目の優勝という男もいない。そういう歴史を作れたっていうのは一つ、俺も改めて結果を出せたのかなって、素直に思いますね」
──そして、最後に改めてマイクを手にして、「これが俺たちの『SUPER Jr.』」というふうに言葉を残されました。どんな思いを込めたのでしょうか?
ヒロム「いや、2018年かな? 対石森、この『BEST OF THE SUPER Jr.』のことを俺は同じセリフを言いました。“これが俺たちの『SUPER Jr.』だ”。なんか久しぶりじゃないですか? これだけ本当に世界の強豪が集まってやれた。20名での『BEST OF THE SUPER Jr.』。これで“俺たちの『SUPER Jr.』”って言わないで、なんて言うのかなと。去年、一昨年、コロナの影響で所属選手のみのままワンリーグでの開催での2連覇でしたけど、やっぱり改めて凄いなと。今回の『SUPER Jr.』を盛り上げたのは、間違いなく外国人選手、そしてGLEATからのエル・リンダマン選手、そしてもちろん新日本プロレスの選手。そう思った時にさ、目の前に藤波辰爾さんがいるんだよ。新日本プロレスのジュニアヘビー級の第一人者・藤波辰爾さんあっての俺たちジュニアなのかなって思ったんで、お礼を言いました」
──この50周年という特別な年にこのタイトルを獲りました。この先に向けては?
ヒロム「この先はまだまだ……ちょっとやめてくださいよ~! 俺にもさ、また3連覇も4度目の優勝もちょっと実感してないっていうかさ。この体も……ねえ? 分かるでしょ? この先のプランだとかそういうのはさあ、まあ後で東スポさんにでもお話しようかなと。なんかそんなふうに思います。ちょっとゆっくりとね。そんな、そんな焦らさないでくださいよ。言うてもトランキーロですよ。言ってるじゃないですか、ウチのあの人がね。名前は忘れちゃいましたけど、あの人がトランキーロって言ってるじゃないですか? 待ってください」
──焦ってしまいました。すいません。
ヒロム「焦り過ぎですよ」
──代表質問は以上になります。
ヒロム「いいんですか、皆さん? いいですか、帰っちゃいますよ? ラストチャンス! チチチチチチチ! (誰も手を挙げないと)じゃあ、本当にいいのか? 本当にいいんですね。助かります! 言いたいことは言いました。(帰り際にもう1本、缶ビールを手に持ち)ありがとうございました~。ああキツい、ああ疲れた……。(記者陣から拍手が起きると)ありがとうございます!」
デスペラード「(コメントスペースに現れると床に伏しながら、若干涙声で)クソッ! 勝てなかった…。勝ちたかった……クソッ!
(立ち上がって)葛西さん、葛西さん、すんません。約束守れませんでした。ファンタズモ、大事なとこでいつもポカするしょっぱいレスラーが……すまんな、また失敗したよ。でもよ、いいか? 大事なとこで失敗するのはもうおしまいだ。次は俺が勝つ!」