試合後、満身創痍の両者はしばらく大の字。そしてヒロムはフラフラと立ち上がり、勝ち名乗りを受ける。DOUKIがセコンドのヤングライオンに抱えられてリングを下りると、ヒロムはマイクを握る。
■ヒロムのマイクアピール
「オイ、DOUKI! オマエ、これでもリハビリ相手としてオマエを選んだと思うか? オマエは俺にとって唯一、初心に返らせてくれる男なんだよ(場内拍手)。高橋ヒロムという名の男が、メキシコで誕生したとき、オマエはいつも横にいてくれてただろ? 新しいスタートを切らせてくれて、ありがとよ(場内拍手)」
これを聞いたDOUKIは、這いつくばりながら鉄パイプを手にすると、自力で退場する。
ここでロビー・イーグルスがリングに登場。
■ヒロムのマイクアピール
「お~っと、ロビーさ~ん。来てくれたんだ。(イーグルスと額を突き合わせ)プリーズ・ワンミニッツ。プリーズ・ワンミニッツ。(ベルトを指さし)トーク!」
ヒロムがベルトとの会話を求めると、イーグルスは訝しげな表情を浮かべる。しかし、ヒロムは「プリーズ、ジャスト・ワンミニッツ」と要求し、時計を指して「21、スタート、OK?」と8時21分から始めると時間を指定。そして、時間が来ると、ベルトに話しかける。
■ヒロムのマイクアピール
「ごめん、ごめん、本当にベルトさん、ごめん。前回話してくれないんでビックリしたんだ。土下座でも何でもするからしゃべってくれ、お願いします! お願いします! そんなに時間ないからマジでしゃべってくれ、ベルトさん。このとおり!(と土下座)」
すると、ベルトがしゃべりし、以下のやりとりを繰り広げる。
ベルト「ヒロムくん、僕、しゃべるよ。でもさ、正直ヒロムくんが悪いんじゃないの? 二回もケガしてさ、僕のこと返上になっちゃってさ。たぶんね、みんなそう思ってるよ!」
ヒロム「ベルトさん、それはマジできついって! マジで精神的にきつい理由だから。ちょっとそういう理由で俺のこと嫌いになるのやめて。」
ベルト「でもさ~、やっぱりよくないと思う。二回も王者だったのにさ、ベルト返上してカッコ悪いよ! 僕、ヒロムくんのこと嫌い!」
ヒロム「わかったから。次、ロビーから勝ったら、一生ベルトさん……」
ここでイーグルスがタイムアップとばかりにベルトを没収。ヒロムは「アーッ! ワン・モア・ミニッツ!」と懇願するが、イーグルスはエプロンに。そして「時間がほしければ、俺を倒してみろ」とベルトを見せつける。
ヒロムは「OK、OK、イエス。センキューベリーマッチ」と納得して、イーグルスにお礼を伝え、退場を促す。
続いてヒロムは「俺からしたら、アイツ何しに出てきたのかわかんねえよ。何も言わないで出てきてさ、俺になんか一方的にやらせて帰りやがったよ、なんだったんだよ。なんか言いたいことがあるなら、マイクぶん捕ってでも言えばよかったのに~。こんなヘンな空気になっちゃったじゃないか」と、愚痴をこぼす。
そして、ヒロムは気を取り直すようにマイクを続ける。
■ヒロムのマイクアピール
「いや~、この感じ、ひさしぶりだな~。帰ってきたって感じするわ~!(場内拍手)。いや、正直な話、身体痛くてしょうがないんだよ。今日さ、後楽園来るときね、『う~わ、今日復帰戦だ、ヤダな~』って思っちゃったの! でも、これは正直な話だから。でも、やっぱり、プロレスをしたあとって、こんな気持ちよかったんだな~! 快感だぜ~!!(場内拍手)。
この拍手、懐かしいな~。これに声が加わったら、もっと最高になるのに。チクショーめ。正直に、首の骨でケガしてベルト返上して、復活したと思ったら、また胸を切ってベルトを返上することになった。いくらこのスーパーポジティブなヒロムちゃんでも、会社から『You’re Fired』って正直、言われてクビを切られると思ったよ! 覚悟した! でもさ、俺ってスーパーポジティブじゃん? そんなことで、ケガしたくらいで、ケガしたくらいだよ! こんなことやってんだもん! ケガしたくらいでメソメソして『どうしよう、ケガしちゃったよ』なんて言ってるレスラー、おもしろくないとか言って、自分に言い聞かせてる俺がいる! でも、それでいいと思ってる!(場内拍手)。
俺はあきらめない! ヒロムちゃんファンのみんな、申しわけない! 俺が現役である以上、めちゃくちゃ心配をかける! でも俺は、必ず夢を叶える男だ。だってヒロムだも~ん。レスラーってさ、めちゃくちゃバカなんだよ。でも、この世の中をプロレスの力でどうにかして元気づけようと、みんなが必死でがんばってんだよ。俺はそんな自分含めたプロレスラーが大好きだ(場内拍手)。
9.5、IWGPジュニアヘビー級選手権試合、ロビー・イーグルス、俺は勝ってベルトをいただく。だから、だから! だからさー! ……ひさしぶりだな。もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと、もっと~!! みんなで~、楽しもうぜ~!!!!」
場内が手拍子で包まれる中、ヒロムはリングをあとに。