一昨年の『NEW JAPAN CUP』1回戦以来、2度目のシングル対決。前回は棚橋の勝利に終わっている。

　リングインしてコーナー2段目に上った棚橋を背後から忍び寄ってパワーボムで叩きつけたタイチ。棚橋はコスチュームを着けたまま動きが止まってしまう。レフェリーがチェックに入るが、痛みをこらえながらも続行を訴えた棚橋。それを受けて試合開始のゴングが鳴らされると、起き上がろうと片ヒザをつたところにタイチがバズソーキックを叩き込んでいった。
　インターバルを取ろうと棚橋がリング下に転がり落ちると、DOUKIが飛び込んできて襲撃。DOUKIの手でフェンスに激突させられた棚橋に、タイチがTVカメラのケーブルを使っての首絞め。リングに戻ってからもタイチは、徹底したチョーク攻撃で攻め立てる。ボディへのパンチで反撃に転じようとする棚橋だが、タイチはノド元を絞め上げてそれを許さず。タイチは踏みつけるにしてもノド元と、一点集中攻撃を崩さず。
　リング下に棚橋を放り投げたタイチは自らもリングを下りるが、棚橋は逆にタイチをフェンスにぶつける。追撃を狙うが、DOUKIが間に入って阻止。海野レフェリーがDOUKIをチェックしている間に、タイチが棚橋に攻撃を仕掛けてフェンスにぶつけていく。そしてフェンス外に棚橋を連れ出すと、壁に棚橋の頭をぶつけ、パイプイスでボディ、ノド元を突く。さらにリングに戻そうと見せかけて鉄柱にぶつける。
　棚橋をリングに押し上げたタイチは余裕の闘いぶり。ゆっくりしたリズムから背中へのサッカーボールキック。気力で立ち上がろうとする棚橋に対し、正面から相手を小バカにするように蹴りを入れるタイチ。さらに正面から渾身の力を込めた前蹴りを叩き込む。
　タイチに引き起こされた棚橋はエルボー。タイチにロープに振られると、帰ってくるところでフライング・フォアアームを叩き込み反撃開始。エルボー、ボディブローからボディスラム、コーナー2段目からのローリング・セントーン。そしてカウンターのフロントキックを狙ってきたタイチの足をキャッチしてドラゴンスクリューを決める。棚橋得意の攻撃パターンに入っていくも、やはりダメージが大きいのか、流れるようなリズムがない。
　コーナーを背にして立ち上がったタイチに、対角線を走ってのボディアタックを放っていった棚橋だが、かわされて逆にジャンピング・ハイキックを浴びてしまう。タイチは両ヒザを着いた状態の棚橋に回し蹴りを放つも、棚橋は蹴り足をキャッチ。立ち上がって攻撃を狙った棚橋だったが、タイチは顔面をかきむしって阻止。そしてローキックを放っていく。棚橋はエルボーを返していくも、踏み込みが足りず大きなダメージを与えられない。互いに1発ずつ交互に放っていくところで「10分経過」のアナウンス。それを合図に、タイチはローキックを連発で叩き込んでいった。
　余裕のタイチは「ここに打ってこい」とばかりに顔を突き出す。ならばと渾身の力を込めてエルボーを連発で叩き込んでいく棚橋。しかしタイチは倒れず、ミドルキックを返していく。3発目のミドルキックをキャッチしてエルボーを返す棚橋だが、タイチはフロントキック、ソバットで応戦。どうも棚橋の反撃は続かない。
　棚橋の張り手をかわしてスピーディーにバックドロップを決めたタイチ。すぐには立ち上がれない棚橋。パワーボムを狙うタイチ。腰を落として阻止しようとする棚橋。顔面を蹴り上げて改めてパワーボム狙いで担ぎ上げたタイチ。体勢を崩して着地した棚橋に対し、タイチは後方のロープに走る。帰ってきたところを受け止め、タイチを横抱きにした棚橋はトルネードクローズラインでマットに叩きつける。
　棚橋のスリングブレイドをかわしたタイチがバックドロップ狙ったところ、ロープに手を伸ばして防ごうとした棚橋。しかしタイチは、それを読んで素早く技を解く。改めてバックドロップを放っていったが、棚橋はスリングブレイドで切り返していった。先に立ち上がった棚橋はロープに走ってスリングブレイドを狙う。それをかわしたタイチはブラックメフィストを狙って担ぎ上げたが、体をゆすってバランスを崩した棚橋は、着地すると正面から腕にタイチの首を巻きつけてツイスト＆シャウトへ。そして満を持してのスリングブレイド。ここで棚橋はこの試合初めてのカバー。しかしカウントは2。
　ここで棚橋はハイフライフローを狙ってコーナー最上段へ。タイチが起き上がって来たので、そのままハイフライアタック。ここはカバーにいかず、改めてハイフライフローを狙ってコーナーにあがろうとしたが、DOUKIがエプロンに上がって妨害。そのDOUKIに張り手を見舞ってリング下に落としたが、タイチが背後から棚橋の足をつかんで急所にキック。そしてタイチ式外道クラッチへ。かろうじてカウント2で返した棚橋。
　棚橋はタイチが放ってきた天翔十字鳳をかわしてロープに走るが、タイチはアックスボンバーで迎撃。そしてタイチ式ラストライド。これをカウント2で返した棚橋は、1度はブラックメフィスト狙いを阻止したものの、カウンターでエルボーを浴びてしまう。
　棚橋は最後の力を振り絞って張り手を叩き込み、何度も叫んで自身に気合を入れる。しかし、タイチはバックドロップ、後頭部へのアックスボンバー、ジャンピング・ハイキック、天翔十字鳳、ブラックメフィストと畳みかけて棚橋をマットに沈めるとともに2回戦進出を決めた。

 
タイチ「オイ、悪いな。俺はよぉ、棚橋と違ってよぉ、…疲れた。すぐ疲れるんだよ、俺はよ。でもよぉ、その疲れる男に疲れねぇ男が負けたんだ。オマエも疲れてんだろ。バレてんぞ、俺には。何が愛だ。何が愛してますだ。これで必要ないことが分かったか。テメェら聞きたかったか、『愛してます』。そんな甘くねぇんだよ、愛はよ。いらねぇんだよ、そんなもんは。愛や情は人を狂わすからな。テメェら、見てろよ。棚橋のブスのファンどもよぉ、オマエらが狂ってんだよ。アイツが愛だとかと言うからこうなんだよ、オマエらみてぇなブスがよぉ。飯伏ファンも一緒だよ。アイツにキャーキャー言ってるヤツも一緒だよ。コイツらが愛だ何だ言うから狂ってよぉ。いない方がせいせいするぜ、オマエら。邪魔だよ。言った通りだ。タッグはもうやらずとも決着ついたな。俺一人で十分だっただろう。この、試合がなかった4ヵ月間、オマエら、俺が何してたかも知らずによぉ。…毎日、食っちゃ寝してただけだよ。その成果がこれだよ。オマエらみたいに必死こいて練習してるヤツらとは違うんだ。オマエらとはな、持って生まれた肉体が違うんだ。秘孔の位置も全て逆なんだ。おっと、これ以上言うと…（※と、口を押さえる）。トーナメントは始まったばかりだ。次は飯伏、オマエだな。珍しい顔合わせだけどな、勝負は見えてる。タッグも見えた。いいか、もう棚橋や飯伏は相手じゃない。俺はその先を見てるから。内藤、待っとけよ。俺が来るかもしんねぇぞ。全部、全部この俺が奪ってやるよ。楽しみにしとけよ」

 
DOUKI「すげぇ、正々堂々の、1vs1のシングルだったな！ すげぇ3カウントだったな！」

　
棚橋「（※足を引きずりながら現れ）まーじカテぇ！ ちょっと見とらん間に、でーれぇ強くなっとるけぇ。はぁ…信じられへん。信じられへんねん。はぁ…春は終わってまった」