メインイベントは棚橋弘至が現在は全日本プロレスを主戦場としているヨシタツとひさびさにタッグを結成し、宮原健斗(全日本プロレス)&関本大介(大日本プロレス)の越境タッグと激突。全日本の三冠ヘビー級王者である宮原、そして全日本の世界タッグ&大日本のBJW認定世界ストロングヘビー&ZERO1の世界ヘビーを保持する関本と、棚橋の初遭遇に大きな注目が集まる。
まずは宮原が三本のベルトと共に入場。続いて関本もタイトルを引っ提げてリングイン。棚橋組は二人揃って登場。ゴング前、棚橋の目の前で宮原がベルトを掲げる。
先発は棚橋と宮原。場内は両者へのコールが巻き起こる。二人は力のこもったロックアップを展開。そこから棚橋はフライングメイヤー。だが、宮原もすぐに立ち上がって同じ技を返す。すると棚橋がエアギターを披露。そして宮原に投げ渡すと、宮原もエアギター。続いて宮原は関本に渡すが、関本は放り投げてしまう。するとヨシタツがキャッチ。だが、へし折るそぶりを見せ、場内はブーイングに包まれる。
次は関本とヨシタツのマッチアップ。関本はロープに押し込むが、ヨシタツは体勢を入れ替えてクリーンブレイク。続いて関本がヘッドロックで捕らえ、執拗に締め上げる。ヨシタツは切り抜けるとニーを叩き込む。だが、ショルダータックル合戦は関本が制する。
続いて関本と宮原はヨシタツにダブルのエルボー。そして宮原はコーナーの棚橋の顔面にフロントキックを決め、筋肉ポーズで挑発。
ここから場外戦になると、宮原がヨシタツにヘッドロック。さらにコーナーにヨシタツの顔面を押し当て、舌を出して挑発。棚橋は関本をコーナーに叩きつける。そして、宮原を捕獲。そこにヨシタツがエプロンを走り抜けてニーを叩き込む。続いて棚橋は関本をエプロンに叩きつけ、太陽ブローを連発。ヨシタツは宮原を鉄柱に叩きつける。
リング上、棚橋は宮原にストンピング。さらにリング中央でコブラツイストを決め、宮原のスタミナを奪っていく。宮原は必死にロープエスケープ。
スイッチしたヨシタツは宮原にストンピングを連発。さらにネックブリーカーを決める。次は棚橋とヨシタツがダブルエルボー。ここで棚橋は関本を筋肉ポーズで挑発。
ヨシタツは宮原をサーフボードストレッチで締め上げ、そこから河津落としを決める。続いてブレーンバスターを狙うも、こらえた宮原は逆に投げ返す。だが自軍コーナーには戻れず、棚橋も関本で吹っ飛ばして妨害。
宮原は棚橋とヨシタツにダブルドロップキックを決め、ようやく関本にスイッチ。関本はヨシタツと、棚橋にコーナーを往復するかたちで串刺しラリアット。さらに突進してきた棚橋にカウンターのパワースラム。
続いて関本はヨシタツに豪快なブレーンバスター。そしてアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げるが、棚橋がカット。すると、関本は棚橋にドロップキック。
ヨシタツは関本に延髄斬り。さらにバッククラッカーを決め、棚橋にスイッチ。棚橋は関本に串刺し攻撃を狙うが、関本は逆水平チョップから串刺しラリアット。2発目をかわした棚橋はドラゴンスクリュー。さらにスリングブレイドを狙うも、関本は強烈な逆水平チョップ。棚橋も張り手で返すが、関本はブレーンバスターへ。すると、こらえた棚橋はツイスト&シャウトで切り返す。だが、関本も負けじと至近距離からのラリアットでダウンを奪う。
次は宮原が棚橋に低空ドロップキック、そして顔面にドロップキックを決め、「いくぞ、両国!」とシャウト。だが、棚橋はカウンターの低空ドロップキック。さらにボディスラムで叩きつけ、セカンドロープに上り、両手を広げてポーズ。だが、宮原も立ち上がって同じポーズで挑発。そしてノーザンライトスープレックスを決めるが、これはカウント2。
宮原は棚橋に串刺しニー。だが、棚橋は倒れず前に出て、エルボー合戦に突入。すると、宮原はニー。しかし、棚橋も張り手。そして、ジャイアント馬場さんを彷彿とさせるジャンピングネックブリーカーを繰り出すが、これは相打ちに。
タッチしたヨシタツは宮原にフロントキックを3連発。そしてスワンダイブミサイルキックを決めてフォールに入るもカウント2。
ヨシタツは宮原にトルネードDDT。そしてキックを叩き込み、すかさず棚橋がスリングブレイドを炸裂。しかし、ヨシタツのカバーは関本がカット。棚橋は場外に落ちた関本にプランチャを見舞うも、関本はそれを受け止め場外に叩きつける。
リング上、ヨシタツが宮原にネックロック。だが、ふりほどいた宮原は串刺しニー。そしてブレーンバスターを決め、ジャーマンの体勢へ。そこからシャットダウンスープレックスを狙うが、棚橋がスリングブレイドでカット。
すると関本が棚橋にラリアットを振り抜く。その関本にヨシタツがバイシクルキック。だが、宮原もヨシタツにフロントキック。
ここで宮原は棚橋のバックを取る。すると関本が、棚橋を抱えた宮本をジャーマンに捕らえ、眉山を敢行。その関本にヨシタツがフライングニールキックをヒット。
ここでヨシタツがコーナーに上るも、宮原が阻止。そして雪崩式ブレーンバスター。ヨシタツは気合いの表情で起き上がるが、宮原はヘッドバット。しかし、ヨシタツはコンプリートショットからヨシタツファンタジーへ。場外では棚橋が関本にスリーパー。ヨシタツは技を解いてカバーに入るも、これはフォールならず。
ヨシタツは宮原に突進するが、宮原はカウンターのブラックアウト。もう一発ブラックアウトを決めヨシタツの動きを止めると、さらに追撃のブラックアウト。そして二段式のジャーマンを繰り出すが、これも決まらず。しかし、最後は宮原がシャットダウンスープレックスでヨシタツから3カウントを奪った。
──宮原選手、最後マイクビックリしました。棚橋選手とのセッションで。
宮原「そうですね。それを狙ってたんで。そのためには勝たなきゃいけない。まさかああいうふうに僕が普段やっているマイクに加わるパターンはちょっと想定外でしたね。流石だなと思いました」
──手応えはありましたか?
宮原「マイクの手応え? まあ、85点ぐらいですかね」
──試合の手応えとしてはどうですか?
宮原「試合はぶっちゃけ僕がいつも全日本プロレスでやってることをそのままリング上で闘ったというだけです」
──そういう点ではヨシタツ選手の動きも気になったと思いますし、棚橋選手が宮原選手のことを「宝だ」と言っていました。
宮原「宝です。自分でもそう思ってます」
──ヨシタツ選手の感触は?
宮原「ヨシタツさんとはヨシケンというタッグを組んでいるのでこうやって闘う機会はないんですけど、やっぱりヨシタツさんも何か今までのレスラー人生というかなんか後ろに感じましたね。それはヨシタツさんにしかわからないし、俺にはわからないです。みんな何かを背負っていたんじゃないですか?」
──関本選手、凄い試合でしたね。
関本「ありがとうございます。最高の気分でした」
──棚橋選手も「関本選手、凄い。まだまだいけるんじゃないかな」ってお話をされていましたけど。
関本「そうですね。もうドンドンドンドンプロレス界の太陽に突っ込んでいきたいと思います」
──これからの闘いをシミュレーションできたりしました?
関本「まあシミュレーションまではいかないですけど、棚橋さんと肌を合わせられたっていうのは凄く自分にとって大きなステップアップになると思いますので、これからだと思います」
──ジャイアント馬場さんの追善興行ということでしたけど、その大会でメインイベント。会場の雰囲気はいかがでしたか?
関本「いやあ、宮原さんの言葉を借りるんですけど、本当に最高でした」
──宮原選手はいかがでした?
宮原「今日はオールスター戦でしたけど、僕は普段全日本プロレスのリングでこの両国国技館に来なきゃいけないし、そこは僕は今日が盛り上がったからと言って、別にハッピーハッピーっていうわけでもないし、俺はこれを全日本プロレスのリングに持って帰らないと意味がないので。僕は別に気分は平常心です。僕は常に先を見据えて。今日はただね、棚橋弘至さんと輝き対決ということにテーマを置いていたんで、帰ったらちょっと入場からチェックしようと思っているんですよ。どっちが輝いていたか。負けてないんじゃないかな?」
──これからについてぜひ聞かせてください。
宮原「いや、両国国技館のこういういい雰囲気の中で試合をさせていただきましたけど、それはジャイアント馬場さんという名前があって、ジャイアント馬場さんが創設した全日本プロレスはこうじゃなきゃいけないし、これを全日本プロレスだけで熱を作るのは当たり前なんで、それを僕が今こうやって……今は一気にジャンプできないかもしれないけど、冷静に見ていました。だからジャイアント馬場さんの名前がなくて、全日本プロレスとしてこういう熱気はすぐにでも作ろうと思っていますから。全日本プロレス、ぜひ見逃さないでください」
──関本選手も近い未来についてぜひ教えてください。
関本「私は大日本プロレス所属。グレート小鹿会長が元々全日本プロレスにいましたけど、ジャイアント馬場さんとは僕は直接関係ないんですけど、孫弟子みたいなスタンスなんで、今日は本当にそれを感じながら試合をして。これからは大日本プロレスももっと大きくなって、今日のような熱をどこでも生み出せるようにがんばります」
──宮原選手、今日は三冠のベルトを3本巻いていましたけど、これは特別な思いが?
宮原「そうですね。僕は入場から魅せるタイプのレスラーなので、じゃあどうしたらいいか? ジャイアント馬場さんとしたらこの3本のベルト。これチャンスを逃したら巻く機会はないなと思ったんで、馬場さんの親族の方にお願いして巻かせてもらいました。僕、写真ほしいですね。絶対似合ってると思うんですよね」
──腰に巻いたのがUNだったのは何かしらの意味があったと思うんですけど。
宮原「うん、そうですね。なんかいろいろ間違ってたら怖いので言いません。いろいろ意味があるじゃないですか? そこの歴史的なものはおいおいということで」
──宮原選手、棚橋選手に対して唯一業界でリスペクトしている存在だというお話がありましたけど、直接闘ってその思いはさらに強くなりましたか?
宮原「うん。やっぱり今までリング外でしか会ったことがなくて、こうやってリング上で会って、身体を触れ合って、カリスマ性がちょっと違いますね。やっぱりだからこそ今の位置にいるんだろうし。でも、僕はその輝きに負けるつもりもないし。僕も30歳をこれから迎えますけど、ああいうカッコいい背中がプロレス業界にいる。僕としては追いかけたい背中の一人なんで。唯一追いかけたい背中なんで。それが今日当たれたということはプロレスの神様も何か意味があると思うんで、その意味を確かめながらこれからレスラーとして生きていきたいと思います」
──関本選手、棚橋選手が「対新日本ということでこれで終わりにしてほしくない」という言い方をされていたんですけど、個人として対新日本への思いはありますか?
関本「そうですね。やっぱり大日本プロレスを大きくしたいという気持ちはあるので、やっぱり新日本プロレス、チャンスがあれば殴り込みたいなと思います。大日本プロレスの代表として」
──久しぶりのタッグ復活でしたが?
ヨシタツ「そうですね。ヨシタツ節で言わせてもらうと華だけでは勝てないなと思いました。僕らはやっぱり他のチームとは段違いで華があるんですよ」
棚橋「僕は大学4年生の時に新日本プロレスに入る直前にジャイアント馬場さんの訃報を聞きました。で、せっかくプロレスラーになったのにプロレス界に馬場さんがいないんだって寂しさがありましたね。でも、新日本プロレスでプロレスラーになりましたけど、こうやって馬場さんの興行に出させてもらって嬉しかったです」
──対戦相手についてそれぞれお願いします。
ヨシタツ「僕はこの4人の中で一番複雑な思いっていうのがこの試合にあったと思うんで。冗談めかしく今回は元カノと組んで今カノと闘うって言いましたけど、棚橋さんとのザ・ワールドっていうのは俺の中でも大切なものだし、やっぱり今日やってみてまたやりたいなっていうか、トゥー・ビー・コンティニューでしたいなっていうのがあります。今、健斗と組んでヨシケンっていうタッグ組んでますけど、全然不満もないしタッグもやっていきたいと思う。今日対戦してみておもしろかったです。凄い充実感があって、馬場さんのおかげでこうやって引き合わせてもらったりしているんですけど、正直複雑な思いがあります」
棚橋「宮原選手は本当に宝だなと思いました。人間が持っているハートの部分が本当に屈託がないというか本当に明るい光を放っているので、まるで昔の棚橋……いや僕を超える素材になるんじゃないかなと思います。あと初めて関本選手とやりまして、関係者、ファンの間では関本選手いいと伝え聞いていましたので、やってみてラリアット、逆水平……関本選手vs新日本の選手、関本vsエルガンとかね。ぜひまた関本選手とつながっていけたらと思います」
──今日はトップ同士の対決でした。そして平成最後のオールスター。これからのプロレス界に対して棚橋選手一言いただけますか?
棚橋「これからのプロレス界。もちろん盛り上げていきますけど、これからのプロレス界は宮原選手に大いに語ってもらったらいいと思います。僕はチャンピオンとしてね、両国に来て華を添えたかったんですけど、また無冠になってしまったので一から出直し。ヨシタツも全然腐ってないし。俺より腐ってないから。諦めないから」
ヨシタツ「一つ言わせてもらいたいのは自分が首の骨を折って今日で4年と3カ月と11日。それがやっと長い年月をかけてここまでまた返り咲きました。これは今まで長い間支えてくれた人たちのおかげだし、その人たちみんなに感謝したいと思います。そこは言っておきたいことで」
棚橋「この(タッグでの)試合が最後だったんだよな? この試合で悪化したんだよな?」
ヨシタツ「そうです。実はザ・ワールドって今日を含めて2試合しかしてないんですよ。だけどこれだけの話題性があるんだから」
棚橋「自分で言うね(笑)」
ヨシタツ「誰も言ってくれないですからね。まだまだ可能性はあると思います、俺の中で」
──棚橋選手、最後の締めのマイクについては?
棚橋「リング上でそういうことになりました。僕は耳でここ来たなって、カットインしました。だけど、ああいう気配りも素晴らしい」
──試合中、ランニングネックブリーカーを出す場面もありましたけど、馬場さんへのリスペクトが表れた瞬間だと思ったんですけど。
棚橋「どうでしょうね?(ニヤリ)」
ヨシタツ「そんなこと言ったら俺だって河津落とし使いましたよ」
──今日は全日本プロレスの同窓会的なオールスター戦でしたけど、棚橋選手にとって全日本プロレスはどのような存在でしたか?
棚橋「僕が本当に熱中した高校生の時は新日本が三銃士、全日本が四天王。で、特に小橋さんが好きでっていうね。本当に夢中になって見ていました」
──今日は小橋さんが実況席にいました。
棚橋「はい。武藤さんも見られていましたし、リングサイドには馳さんもいらっしゃいましたし、錚々たる大先輩の中で試合をするというのは貴重な経験でした」
ヨシタツ「自分の中でワールド・フェイマス的な視点で言わせてもらうと、Vでジョニー・エースとリッキー・スティムボートとリック・フレアーが出てきましたけど、あの3人は僕が向こうで凄いお世話になった3人で凄い世界的なビッグネームだけど、全日本プロレスと馬場さんのことをあれだけ言うってことはやっぱり全日本プロレス、馬場さん凄いんだなって、改めてあの映像を見てうわっとなりましたね。じゃあ、最後はザ・ワールドで締めますか」
棚橋「ウィー・アー・ザ……」
棚橋&ヨシタツ「ワールド!(と言いながら指でポーズ)」
棚橋「(ちょっと間をおいて)全然締まらないじゃん(笑)」
ヨシタツ「いいんですよ! 締まったことにすればいいんですよ!」
棚橋「ちょっと久しぶりに赤面したよ(笑)」