第9試合(メイン)ではIWGPヘビー級王者のオカダ・カズチカが、SANADAを相手に10度目の防衛戦。SANADAはこの一戦がIWGPヘビー初挑戦。2.6後楽園のIWGPタッグ王座戦では、SANADA(パートナーはEVIL)がオカダ(パートナーは後藤洋央紀)に勝利を収め、防衛に成功している。
開始のゴングと同時に、両者へのコールが場内を包む。SANADAは手四つの体勢からタックルでグラウンドに持ち込み、ガッチリとヘッドロック。オカダはハンマーロックで切り返してフォールへ。ここで一旦、両者は距離を取る。
続いてロックアップから力のこもったリストの取り合いに。リストを固められたSANADAはすばやい動きから切り返すが、オカダもキックではねのけ、もう一度間合いを取る。
オカダはSANADAの手首を極めて押し込むが、SANADAはブリッジで押し返す。続くロープを使った攻防ではオカダがショルダータックル。さらにヒップトスを見舞うと、SANADAはエプロンへ。そして、スワンダイブ攻撃を狙うが、オカダはエルボー。続いてオカダはエプロンに移動するも、SANADAはコーナーに押し込んで背中にダメージを与えると、さらに鉄柵に向けてフェイスクラッシャー。
オカダがリングに戻ると、すかさずSANADAは場外に連れ出して花道でパイルドライバー。苦しい表情のオカダはカウント13でリングに生還。SANADAはオカダにネックロック。さらにエルボー、その場飛びムーンサルトで追い込んでいく。そして、チンロック、スリーパーとオカダの首周りを攻め立てる。
切り抜けたオカダに対し、SANADAはもう一度その場飛びムーンサルト。これをオカダがかわすと、SANADAは間髪入れずに後頭部に低空ドロップキック。さらにSANADAは追撃のパイルドライバー。ここで10分経過のアナウンス。
SANADAは執拗なスリーパーでオカダのスタミナを削っていく。オカダはエルボーで切り抜けると、SANADAにカウンターのフラップジャック。そして、ランニングエルボーを3連発。さらに串刺しエルボーからDDTで突き刺すが、SANADAはカウント2でフォールを返す。
オカダはトップコーナーに上るが、SANADAは立ち上がってデッドリードライブ。そして、オカダにコーナーに振られるも、一回転してエプロンに降り立つ。だが、オカダはセカンドロープを使用して三角飛びのドロップキック。
オカダは場外でSANADAを鉄柵に叩きつけ、さらに顔面にランニングキック。そして、鉄柵にSANADAの両足を固定し、そのままDDT。この一撃でSANADAは頭を押さえてうずくまる。オカダはSANADAが場外で動けないのを見ると、もう一度場外に降りてリングに投げ入れる。
オカダはSANADAの顔面、後頭部に見下すようにキック。すると場内からはブーイング。オカダが不敵な笑みを浮かべると、SANADAはエルボーを連発。だが、オカダもエルボーで応戦し、リバースネックブリーカーに繋げる。オカダはトップコーナーに上るとダイビングエルボー。そして、レインメーカーポーズを見せ、一気にレインメーカーをしかけるが、かわしたSANADAは急角度のバックドロップ。
コーナーにもたれかかるSANADAに対し、オカダは突進するが、SANADAはキックで迎撃。そして、逆に走り込むが、オカダはツームストンパイルドライバーのように抱え上げる。だが、SANADAはバックに回って着地。しかし、オカダは強烈なエルボー。そして、ロープに走るが、SANADAは高さのあるリープフロッグ二連発からドロップキック炸裂。そして、場外に落ちたSANADAにプランチャを炸裂。さらにSANADAはリングに戻ると、今度はノータッチで身体をひねりながらオカダにアタック。場内は「SANADA」コールが巻き起こる。
戦場がリングに戻ると、SANADAはスワンダイブのミサイルキック。ここからエルボー合戦へ。競り勝ったSANADAに対し、オカダはフロントキック。そしてヘビーレインを狙うが、SANADAは着地。ならばとオカダはジャーマンを仕掛けるも、SANADAは一回転して着地し、後方回転エビ固め。そこからSkull Endにつなぐが、オカダは前方回転エビ固めに切り返す。ここで20分経過。
オカダはドロップキックを繰り出すも、SANADAはかわす。そして、スタンドのドラゴンスリーパーで捕獲するが、オカダはロープエスケープ。SANADAはオカダの背中、後頭部にストンピング。すると、オカダはSANADAをにらみつける。そして、エルボーで反撃するが、SANADAは一発のエルボーで膝まずかせる。
SANADAは両肩に抱え上げようとするが、オカダはこらえてエルボースマッシュ。すると、SANADAも同じ技でダウンを奪う。そしてオカダを担いでTKO。さらにSkull Endを狙うが、オカダはアームホイップで切り抜けてコブラクラッチ。だが、SANADAもアームホイップでディフェンス。
オカダは串刺しエルボーから、SANADAをトップコーナーに座らせてドロップキックを狙う。しかし、SANADAはキックで迎撃。続いてセカンドロープからムーンサルトの要領でオカダのバックに回るとSkull Endへ。足を完全にフックするが、オカダはなんとか逃れようともがく。そして、ようやくロープエスケープ。
SANADAはシュミット式バックブリーカーからラウンディング・ボディプレスを繰り出すが、オカダは回避。すると、着地した際にSANADAはヒザを痛めてしまう。だが、SANADAは構わずに突進。しかし、オカダはカウンターのキック。そして、ラリアットを狙うが、SANADAはフルネルソンで捕獲。そこからクラッチを変えてタイガースープレックスで叩きつけるが、オカダはカウント2でキックアウト。
ならばとSANADAはトップコーナーにオカダを設置してドラゴンスリーパー。そして、腕をオカダの首にかけると、そのまま飛び降りながら後頭部を自身のヒザに叩きつける荒技を披露。そしてSkull Endを狙うが、すばやく切り抜けて立ち上がったオカダは変形のレインメーカーへ。だが、かわしたSANADAは逆に掟破りのレインメーカー。しかし、オカダはカウント2ではね返す。
SANADAはSkull Endを狙うも、オカダがドラゴンスリーパー。さらにSANADAの背中にドロップキックを放ち、続いて正調のドロップキック。そして、ツームストンパイルドライバーを決めると、レインメーカーを仕掛けるがSANADAは切り返し、後方回転して背後に回るとSkull Endへ。
オカダの動きが止まると、SANADAは自ら離してラウンディング・ボディプレスをヒット。SANADAはヒザを押さえながらフォールするも、オカダはカウント3寸前でキックアウト。ここで30分経過。
SANADAはダメ押しでもう一度ラウンディング・ボディプレスを放つが、オカダはヒザを突き立てて迎撃。そして、変形のレインメーカーをヒット。オカダはもう一度同じ技を食らわせると、正調のレインメーカーを繰り出すが、SANADAはかわす。しかし、オカダはツームストンパイルドライバーの体勢で抱え上げる。だが、SANADAはディフェンス。しかし、オカダは背後に着地し、一気にジャーマン。そのままクラッチを離さず、レインメーカーへ。
これもかわしたSANADAだが、オカダは空中のSANADAをツームストンパイルドライバーで捕獲。そのまま旋回しながら叩きつけると、最後は完璧なレインメーカーを叩き込んで激勝。オカダがV10に成功した。
※コメントブースで矢野たちCHAOSメンバーがオカダを迎え入れ、ロメロが音頭を取ってビールで乾杯。これでCHAOSメンバーは去り、オスプレイだけが残る。
――改めまして、10度目の防衛、おめでとうございます。
オカダ「ありがとうございます」
――闘い終えて、いまどんな気持ちでいますか?
オカダ「ホントに『キツいな』と。IWGPの闘いは『キツいな』と思います」
――今日もまた物凄い攻防となりましたが、勝敗を分けたSANADA選手との差は何だと思いますか?
オカダ「わかんないですね。正直、そんな紙一重の闘いになると思ってなかったですけど、そんな『何が?』ってのが考えられないぐらい、強かったですね」
――戦前に予想していたよりもSANADA選手は手強かったという感想ですか?
オカダ「まあ、あれがホントのSANADAの実力なんだと思いますしね。『やればできんじゃん』って。『最初からそれぐらいでやってくれよ』と(言いたい)。まあ、この(IWGPヘビー)ベルトに挑んだわけですから、『まだまだ手強い敵になって行くんじゃないかな』と。『やっかいな敵が1人増えたな』と思います」
――今回、初めて同い年(30歳)のチャレンジャーを迎えることになりましたけど、そのあたりの意地もあったんでしょうか?
オカダ「ま、もちろんありますね。まあ、30歳、同級生かもしれないですけど、僕はもうこのベルト、6年前から巻いてますし。やって来たこと、経験値のレベルが違うんじゃないかなと思います」
――いま、お話にも出ましたけど、ちょうど6年前、レインメーカーショックが起きたのは、まさにここ大阪でした。あれから6年経って、ついに10度目の防衛。この記録についてはどう捉えていらっしゃいますか?
オカダ「いや~、なんか、『ふたケタ行ったな』と。別にふたケタを目指してたわけでも、防衛の新記録を目指してたわけでもないですけど、(戴冠)4回目ですか? このベルト持って、やっとふたケタ行けたわけです。どんどんどんどん…。元々、防衛回数というよりも、今日みたいな激しい闘いをして、プロレスのよさを皆さんに伝えて行くことのほうが大事だと思ってるんで。また、次は『NEW JAPAN CUP』、このベルトをしっかり守って、どんどんどんどんスゲェ闘いっていうのを、スゲェプロレスっていうのを、プロレスラーの凄さっていうのを、見せて行きたいなと思います」
――棚橋弘至選手が連続11度の防衛記録を持っていますけど、少しは意識する部分もあるんでしょうか?
オカダ「まあ、“ついで”。そんなに別に。まあ、その最長というのもそうですし、別に最多防衛したからどうだというのは(ない)。そういう記録というのは、また誰かに破られて行くものだと思うので。正直、そんなに(意識しない)。11回防衛したときだって、誰も棚橋さんの記録を破ることはできないと、みんなが思ったと思いますし。僕の前の最長(記録)の橋本(真也)さんのときだって、誰もこんな長い歴史というのを破ることなんてできないと思っていたはずですけど、こうやって破る人間(自分)が出て来たんで。まあ別に、棚橋さんの11回を超えても、僕の中ではそんなに大きなものではないので。ま、“ついで”で。次、V11ですか? 行かせていただきたいと思ってます」
――本当に名実ともに無敵のチャンピオンになったと言い切っていいかと思いますけど、改めてそのベルトへの思いを聞かせて下さい。
オカダ「ホントに“IWGP=オカダ”っていうのに、ずっとしたかった中で、なかなか獲られたり、なかなかそういうイメージにはならなかったと思いますけども、やっとちょっとずつ、『そういうイメージになって来たんじゃないかな?』と思いますし。まあ、『俺が巻いてなきゃIWGPじゃないでしょう』と。そんぐらい思い入れありますんで。しっかりとこのベルトと共に、『新日本プロレスも大きくして行かないと』と思っています」
――本当に次の防衛戦も楽しみにしています。その中で、いまウィル・オスプレイ選手が隣にいますけど、敢えて(次期挑戦者に)名前を挙げましたね?
オカダ「そうでうすね…」
オスプレイ「(※オカダの話を遮り)その場にいなくて済まなかった。初めてオカダと会ったのは2015年、俺が彼に挑戦する形だった。まだ俺は若くて、出てきてすぐの頃だった。それから2年、俺はRPW(レボリューション・プロレスリング)とニュージャパン・プロレスリングで闘い、両団体の架け橋になった。その間、数多くの選手と闘ってきたし、何度もタイトルマッチをしてきた。だけど、それ以降、(オカダとはリング上で)顔を突き合わせることはなかった。それはお互いにね。そのうち、そういう機会もあるだろうっていう程度の思いだった。俺のほうから再挑戦の場を作ることはなかった。それがこうして……。ついにその時が来たっていう感じだ。シングルで闘う時がね。決まったからには、持てる力すべてをぶつけていく(※と言い残して去る)」
――いま、オスプレイ選手はなんと言っていたのでしょうか?
オカダ「まあ、俺を倒してやるということだと思います。ホントにオスプレイとシングル(マッチ)をやったのは、1回しかやってませんし。2015年ですか? 10月。初めてシングルをやって、『こんないいレスラーがいるんだ』と。『これはイギリスにいるだけじゃダメだ』と思ってましたし、『新日本プロレスに連れて来たら、もっともっといい素晴らしい選手になるんじゃないかな?』と思って連れて来たわけですけども。『(BEST OF THE)SUPER Jr.』優勝して、(IWGP)Jr.ヘビーのベルトを持って、ホントの凄い闘いをしてですね。新日本プロレスのいろんな選手と闘って。外国人選手ですけど、新日本プロレスらしい気持ちのこもった試合をできるレスラーだと思いますし。僕はオスプレイのことを一番認めてますしね。弟のようでもありますし。あいつこそ、僕は新日本プロレス…いや、ホント、プロレス界の一番の選手じゃないかなと思ってますし。去年もタイガーマスクWと闘ったり、Jr.ヘビーですけども、ああいう素晴らしいレスラーと闘うことによって、そういうのを経験して、また僕も強くなれると思いますし。オスプレイもあんだけ…ただ今日もニコニコして、『オカダさ~ん、やりますよ~』という感じじゃないですから。あんだけギラギラしたもので来てくれたんで。素晴らしい。『旗揚げ記念日』ですけど、まあ、アントニオ猪木対カール・ゴッチ(※1972年3月6日、旗揚げ戦のメインイベント)ですか? まあ、いまの時代で言えば、オカダ・カズチカ対ウィル・オスプレイなんじゃないかなと思います。『旗揚げ記念日』、期待して下さい」
――本当にドリームマッチを楽しみにしています。改めまして、おめでとうございました!
オカダ「ありがとうございました」
SANADA「(※インタビュースペースにたどり着くなり、崩れ落ちるようにフロアへ大の字になる)やっぱり、あのベルトが輝いて見えたよ。俺が選んでたのは、間違いじゃなかったよ……」