ライガーとのNWA世界ジュニアヘビー級王座戦を目標に掲げるタイガーが、同王者のアンソニーに挑戦。アンソニーは今年4月、アメリカでライガーからこのベルトを奪還している。
ゴング前、NWAのブルース・サープ社長が、ヒョウ柄に刺繍で“社長”という文字が入ったスーツで登場。そしてマイクを握ると「コンニチハ、オカマ! オー、スミマセン(笑)。オカヤマ! ワタシハ、ブスース・サープシャチョウ! ワカリマスカ!?」とマイクアピール。続いてアンソニーが西洋の騎士のようなマスク姿で登場。
開始のゴングが鳴ると場内はタイガーコール。まず、リストの取り合いではタイガーが優勢。そしてローリングソバットを叩き込む。しかし、サープ社長に気を取られているスキに、うしろからアンソニーが攻撃。タイガーが場外に落ちると、すかさずサープはタイガーにストンピング。アンソニーもタイガーに鉄柵攻撃をお見舞い。そしてタイガーをリングに戻すと、ポストに向かい合わせで固定し、背中にドロップキック。さらにエルボードロップから、首と肩、足を固める複雑な関節攻撃を見せる。
挽回したいタイガーはアンソニーを場外に落とすと、トップコーナーからプランチャを敢行。そしてリングに戻ろうとするも、サープが足を持って阻止。すると、タイガーがエプロンサイドからサ—プにプランチャ。そして、トップコーナーからアンソニーにフライングボディアタック。さらにダイビングヘッドバットを狙うが、これはアンソニーに交わされてしまう。
アンソニーはタイガーに串刺しボディアタックから、走り込んでのバッククラッカー。そしてタイガーをボディスラムで叩きつけ、ロープを使った三角飛び式のムーンサルトプレス。劣勢のタイガーだったが、カウンターのソバットを叩き込むと、すかさずタイガードライバー。だが、続くタイガースープレックスはアンソニーが急所攻撃で回避。そしてダブルアームの体勢で抱え上げると、そのままレッグドロップを叩き込む荒業を披露。そして、アンソニーはとどめとばかりにエクスクラメーションポイントを仕掛けるが、これはタイガーが回避して飛びつき回転十字架固め。
しかし、キックアウトしたアンソニーはタイガーにラリアットを叩き込み、トップコーナーから450スプラッシュを敢行。これを間一髪で回避したタイガーは、アンソニーの顔面にキックを叩き込むが、これはカウント2。ならばと、ふたたびタイガースープレックスの体勢に入るが、またもやリングサイドにサ—プ社長が登場。しかし、タイガーはアンソニーをサ—プ社長に叩きつけて邪魔者を排除すると、アンソニーにリバースダブルアームバー。これでギブアップ勝ちをスコアし、ベルト奪取に成功。
試合後、タイガーはマイクを握ると、「岡山のみなさん、応援ありがとうございました! 約束どおり、ベルトを獲りました! 今日の対戦相手のアンソニー、非常にすばらしい選手でした。ただ、このリングにはもう一人、倒さないといけない相手がいる。前回、王座戦で負けた獣神サンダー・ライガー! 次の挑戦者にはライガーさんに来てもらいたいです! そして必ず防衛して、この岡山にチャンピオンとして帰ってきます! 応援よろしくお願いします!」と、力強くアピール。
タイガー「ベルト、久々ですね。こんなに重たかったかなって思いますね。試合はほんとに、自分がずっと劣勢っていうかやられて。相手がわからないっていうのも一番大きいんですけど。あとはサープ社長に全部、やられたっていうか。でも、素晴らしい選手です、アンソニーは。やはりハーリー・レイスさんの弟子だけあって基礎ができてるし。まだ若いんですよね? 肌見りゃわかるし、若いかどうかは。だからまだこれから伸びるだろうし、新日本にでて、磨けるんじゃないかて。あとはこのNWAのベルト、僕がもってたときの思い入れのある(革の部分が)白いベルトじゃないですけど、NWAはNWAだし、ほんとに今回、全国回って、ファンの待望論っていうか、『ベルトを獲ってくれ、挑戦してくれ』っていう声がほんとに多くて。どういうあれかわからないけど、それがなかなかチャンスが来なかったっていう部分では、今回はほんとに欠場明けなのにありがたかった。会社も認めてくれたし、もちろんNWAの方も休んでた自分だったんでいけると思ったんでしょうけど。甘くみられたかなっていうのもありますけど。まあ、いろいろあったけどここにベルトがあるのが現実だしね。これをもとにアメリカ遠征もあればうれしいなと思いますし。あとはリング上で言った通り、僕の目の前にはもうひとり強い敵がいるわけで。もちろんシングルで勝ったこともあるし。だけどこの前のタイトルマッチ、尼崎でやってライガーさんの重みのある掌底で僕が負けてしまったっていうのは、ほんとにやりがいのある大先輩だし、非常に強いレスラーだと思ってます。それだけにライガーさんに勝って、そしてまた真のNWAチャンピオンとして全国を回りたいなと思います」
−−NWA世界ジュニアのベルトは約8年ぶりになります。
タイガー「そんなになりますか…。僕自身、IWGPジュニアタッグを獲ったのが最後でしょ? あれ、何年前だったかな? もう覚えてないし」
−−このタイミングでシングルのベルトを獲ったことはどういう意味がありますか?
タイガー「今年7月で20年たったんですよね。デビューして20年たってるわけで、自分へのご褒美じゃないけど、こうやってベルトを獲れたっていうことは。まだまだ若いヤツには負けないと思ってるし、やはり今日のように、関節技一発で決められるっていうのを僕は持ってるんで、それがある以上はまだまだ道は譲れない。それは誰でもいっしょだと思うんですね。ライガーさんもいっしょだし。飯伏、KUSHIDA、ヤングバックス…あいつらの試合は全然、僕らとは違う。彼らのやってることは素晴らしいし、お客さんが見に来るプロレスだと思ってますけ、自分やライガーさんが持ってる泥臭い、昭和チックなプロレスもありだと思ってますんで。何でもありがプロレスだと思ってるんで、その上で違いを見せたチャンピオンになりたいと思います」
アンソニー「(※左肩を押さえながら)タイガーマスク、お前は小さな世界でやってきて、ようやくそのベルトを獲った。俺たちがお前を大きな世界に飛び出させてやったんだ。タイガーマスク、俺はこれであきらめたわけじゃない。俺、スティーブ・アンソニーはここで負けたからって、お前を恐れているわけではないし、お前に劣ってるとは思っていない。俺は必ずここに戻って来る。タイガーマスク、そして俺のものであるNWA世界ジュニアのベルトを取り戻す。ここに戻って来るときはレジェンドであるお前を倒すときだ。覚えておけ、タイガーマスク」
サープ社長「タイガーマスク、お前は今日、どういうことをしたかわかってるか? 馬のような顔をしたテンザンも同じことをした。ベルトに関する優先権は俺たちにある。俺たちは必ず、そのベルトを取り戻しに戻って来る。オーサカでもヒロシマでも、ナガサキでも、そしてトーキョードームでも、どこまでもお前を付け狙っていく。そしてお前のベルトを取り戻し、お前のマスクを剥がしてやる。ワカリマスカ!」