真壁がインフルエンザで返上したNEVER無差別級王座を、2.14仙台大会での本間朋晃との新王者決定戦を制し、戴冠した石井。今大会で「真壁に勝つまではこのベルトは腰に巻かない」と宣言した石井と、前王者・真壁の王座戦がついに実現。両者のこれまでの対戦成績は真壁の全勝。
開始のゴング、両雄はしばらくにらみ合いを展開。そしてロックアップで組み合うと、石井がヘッドロック。真壁が石井をロープに飛ばすと、二人はタックル合戦。競り勝った真壁は、石井にナックルを叩き込んでコーナーに追い込むと、さらにエルボー。しかし、石井は真壁のノド元に強烈なチョップ。これでひるんだ真壁に、石井は追撃の逆水平。そしてコーナーに石井を追い込むと、「来いよオラ!」と挑発交じりに顔面キックを見舞っていく。
立ちあがった真壁と石井は真正面からエルボー合戦。これに打ち勝った石井は、さらにヘッドバットで真壁をダウンさせる。そしてブレーンバスターを狙うが、これは真壁が逆に投げ返す。続いて真壁は串刺しラリアット、そしてコーナーに上るが、これを捕獲した石井はパワーボムで無造作に投げつける。そして、顔面蹴りからナックルを連発。すると真壁は「来い、コノヤロー!」と雄叫びを上げる。ならばと石井は逆水平、さらにロープに走るが、真壁はカウンターのパワースラム。
逆転に成功した真壁はコーナーに石井を固定すると、頭部にナックル、さらにノーザンライトスープレックス。続いてパワーボムを狙うが、これは石井が踏ん張ってリバース。そして石井はエルボーを叩き込むが、逆に真壁の強烈なエルボーがアゴにクリーンヒットしてダウン。
真壁はフラフラ状態の石井を無理やり立たせると、ナックルを叩き込んでいく。すると、石井は打たれながらも前に出ていき、反撃のエルボー。そしてタックルで真壁をダウンさせると、高角度のパワーボム、WARスペシャルに繋ぐ。さらにそのまま投げっぱなしのタイガースープレックス。しかし、続くスライディングエルボーを交わした真壁は、石井のバックを奪うも、石井はなりふり構わず後頭部でヘッドバット。
石井は動きが止まった真壁をコーナートップに固定すると、滞空時間の長い雪崩式ブレーンバスターを敢行。これは真壁がなんとかカウント2でキックアウト。さらに、石井のラリアットをダブルハンドルで撃ち落とすと、バックを取るが、石井はエルボーで回避。すると、真壁はショートレンジの延髄ラリアットを石井に叩きこむ。
立ちあがった両者は、何度もラリアットを打ち合う。続いて真壁はパワーボムを決めるが、これはカウント2。立ちあがった石井は張り手、真壁は両腕を振り回して打撃戦を展開。さらに石井がエルボーを繰り出すと、真壁はケサ斬りチョップからキングコングハンマー。
真壁は石井を立ち上がらせると、きれいな放物線を描いてジャーマンスープレックス。そしてスパイダージャーマンに成功すると、キングコング・ニードロップを放つが、これは石井が間一髪で交わす。
立ちあがった両者。真壁が走り込んでくると、石井カウンターのドロップキック。そして両者は意地のエルボー合戦を展開。続けて石井は投げっぱなしジャーマン、さらにケサ斬りチョップから頭突きに繋ぎ、スライディング式のラリアット。これは真壁がギリギリカウント2でキックアウト。
ここで石井はブレーンバスターを狙うが、真壁はなんとかこらえる。そして石井のバックを取ると、投げっぱなしのドラゴン・スープレックス。両者はフラフラ状態で立ちあがると、ラリアット合戦。競り勝った真壁がフォールに入るも、石井は意地を見せるようにカウント1でキックアウト。
場内が「真壁」コールに包まれる中、真壁は石井を立ち上がらせるとケサ斬りチョップ。すると石井は頭突きから左右の連続エルボー。しかし、真壁はあびせかけるようなラリアット。そして正調のラリアットを見舞うが、これもカウント2。ここで激闘は25分を経過。真壁はキングコングハンマーを連発すると、立ちあがろうとする石井の顔面に強烈なキングコング・ニードロップ。粘った石井だったが、この一撃で万事休す。真壁がNEVER王座の奪還に成功した。
真壁「熊本、熊本、いいじゃねぇかよ。いやあ、やっぱり怖ぇな。ちょっと(リングから)いなくなると、それなりに強ぇヤツがすぐに上がってくる。新日本プロレスって、スゲェな」
——真壁選手、おめでとうございます。「これがプロレスだ」という言葉に大歓声が起こりました。
真壁「なんだろうな。いろんなプロレスがあっていい。俺もそう思うんだ。テメェの色とよ、ほかのヤツらの色、それを別にうたう、そんな意識はねぇよ。だからといって、俺たちみたいな体のぶつけ合い、だからこそプロレスって面白ぇだろ? だから狂喜乱舞するだろ? だからよ、心の底に眠ってんだよ、そういう野獣性がさ。それを無視したってしょうがねぇだろ? プロレスのスゲェところ、それを俺と石井が見せたんじゃねぇの? もう途中から気が飛んでて、何がなんだかわからなくなってたよ。これもひとつの闘いだもんな。だから満足したよ、俺は」
——真正面から石井選手が来たからこそのプロレスだと?
真壁「だよね。かといって、俺以外の選手、本間がいたろ? あ、本間のクソヤローがいたろ? いや、本間のダメダメ人間がいたろ? あいつ、(石井と)スゲェ試合したろ?」
※ここで本間がインタビュースペースに現れて「おめでとうございます」と祝福。ビールの栓を抜いて乾杯する。
真壁「何で入ってくんだよ! まぁ、本間も(石井に)敗れたけど、本間の価値はグンと上がったろ、あれで? 誰がどんなヤツと対戦しようが何しようが、対抗する相手が上がる。そんだけスゲェもの見せてんだ。いやあ、キツイな。相変わらずキツイな。でもよ、満足感はある。なんだろうな、俺がチャンピオンになって、絵を描いた時にインフルエンザだろ? 風邪の菌にはかなわねぇって、昔はそれでも試合やってたんだよな。でも今はよ、世間的にそれを許さねぇじゃねぇか。しょうがねぇけどよ、それはもう時代だよな。まあ、それと時を同じくして、石井が(チャンスを)掴み取って、石井の価値はものすごく上がっただろ? それを黙って見てる俺様じゃねぇよな。いやあ、相変わらずチャンピオン(石井)は当たりが強ぇわ。それぐらいじゃないと、お面白くねぇからな」
——ホントに悔しい形で1度ベルトを失って、そしてまた(ベルトが)戻って来て、変化はありますか?
真壁「変化? なんだろうな? ベルトって大変だよ。何がって大変だよな。俺はさ、東京ドームっていう舞台で、相手をひねり潰そうと思っていったよな? そっからよ、インフルエンザってもので、闘ってもいないのに王座陥落したろ? そしたらよ、王座を手繰り寄せるまでに何ヶ月かかってる? そんだけさ、新日本のレスラーってさ、層が厚いんだよ。だからさ、負けてらんねぇしさ。まあでも、今日やっとわかったよな。チャンピオンはチャンピオンらしくて、強ぇよ。だからこそ、引きずり下ろしてやるって。よかったよ、俺、プロレスラーでよかったと思ってるよ。それは変わらない」
——そして、こういったビッグマッチで初めてNEVERのタイトルマッチがメインになって・・・。
真壁「普通だろ」
——そして真壁選手はこうしてベルトを奪い返して、さらにNEVERの価値が上がったと思います。
真壁「是が非でも、意地でも上げていってやるよ。俺の出るところは全部上げていってやるよ。そしたらよ、IWGPよりよ、ひょっとしたらNEVERの価値、上がるかもね。いや、上がるだろう。だってそりゃそうだろ、100人しかIWGPのベルト見てないかも知れねぇけど、俺がメディアに出たら1万人が見てる、10万人が見てるんだ。NEVERの方が有名になっちゃうよ」
——最後には熊本の大観衆に、真壁選手から一言がありましたが・・・。
真壁「やっぱりよ、俺、気づいたよ。1回さ、(IWGPヘビー級の)ベルトを獲った。IWGPを獲りたいっていう野望はある。もちろん今でもある。でも、ベルトってよ、価値はみな同じなんだよな。歴史がねぇだけなんだよな。NEVERでもインターコンチ(ネンタル)でも。持ってるヤツがすべてなんだよ。石井にしたってそうだろ? 棚橋と色が違う。今のチャンピオン、誰だっけ? あ、AJと色が違う。でも、客を沸かせる力を持ってる。それだけだよ。そいつが持って、どれだけ上がるかなんだよ。こいつ(NEVERのベルト)を持って、どんだけ上がるかだよ。俺がよ、うなぎのぼりに上げてやるよ。各テレビ、注目しろよ。俺が必ず(ベルトを)出して上げてやる。必ず出してなかったら、大人の事情だ」
——久しぶりに「サンキューな」の一言もありました。
真壁「それだけ今日は爽快だよ。うれしいよな。試合の途中、頭(意識)バンバン飛んでたからよ。いったい、どこにいんのかわからなかったからよ。でも、こんなこと言うのはおかしいけどよ、あっぱれだよな。俺、敵方を褒めないけどよ、あの上背で、あの体重で。NEVERって無差別(級)だろ? 定説を覆しただろ? それはあいつの功績だろ? 俺もよ、NEVERのベルトを持って、周りの人間が思ってること、全部なぎ倒していってやるからよ。テレビ見てるIWGP、並びにベルト保持者どもよ、よ〜く聞けよ。お前ら、あぐらかいてんじゃねぇぞ、引きずり下ろしてやる。それだけだ」
——真壁選手が図らずもタイトルマッチをキャンセルしてしまったとき、石井選手が「すべてを受け止めてやる」とメッセージを発しました。男同士、意気に感じた部分があったと思うんですけど、どうですか?
真壁「何にしてもよ、俺はあの時、(腰から)ベルト外したよな。石井はそれ持ってたよな? 防衛したよな? 間違いなくチャンピオンだろ? あの時の実力は、間違いなく、俺より上だからな。それ考えると、その時、その瞬間、その技、すべて上だ。なぎ倒してやるっていう自信はあった。あと、自分に思いきかした。だけど、必ずしも勝てると思えないだろ。そういうもんだ。いやあ、でも、俺の腰にこれ(NEVERベルト)が戻ってきたからよ。次こそ、見せてやる」
——先ほど本間選手が乾杯しに来ましたけど、どう思いました?
真壁「どう思いました!? 別に。もう1回言おうか!? 別に。でも、本間は俺と2人でチーム組んで、G・B・Hでやってるだろ? 昔からのヒール軍団だけど、今は変わってるだろ? 俺の派閥にベルトが来たってことだよな。本間だって、これを狙ってるかもしれない。ああ、でも最高だよな。5連戦の中日にタイトルマッチって、おかしくねぇか?(苦笑) まあでも、そういう部分も超えてかならねぇんじゃねぇの、チャンピオンって」
——これで本隊側にやっとひとつベルトが返って来たことになります。
真壁「そうだな。やべぇな。でもよ、俺なんて正直って、派閥にベルトなんて考えてねぇんだ。だってよ、同じ正規軍のヤツら、仲間と思ってねぇから。強いて言うと、仲間って本間ぐれぇだろ? 強いて言えばタッグで組む棚橋と後藤ぐらいじゃねぇの? でも、要請があれば組まねぇわけじゃねぇし。まあ、基本的にムカつくヤツを叩き潰すだけだよな。俺、いつもそうだから。ムカつくものを出してきた、それだけだ」
——メディア露出が(新日本プロレスで)1番だということは、インフルエンザで欠場してベルト返上といった失敗も、多くの人に知れてしまうリスクもあります。そういうことを経て、変わったことってありますか?
真壁「でもよ、観客の前でノーパンでV字開脚するほど恥ずかしいもんじゃんぇだろ? 言ってみたらよ、レスラーとしての生きざまって、腹壊そうが、胃腸の調子が悪かろうが、それでもリングに上がるだろ? それで上がれなかったら、テメェの責任だよ。俺は(そんな状態でも)何回も出てるからね。かといってよ、あの時、俺は体休めて元気になったからね。それでこのチャンスが来たと思ってる。だってよ、石井は間違いなく(価値が)上がってるんだから。ベルト持ってよ。そういうの考えると、新日本プロレスってちょっとでも目を離すと、必ず誰かが上がってくんだよな」
——成功も失敗も、すべて含めて真壁刀義だと?
真壁「俺、昔からそうじゃん。アキレス腱切ったりよ、ヒザ壊したり、手術したり。恥ずかしいことが一番カッコいいってことをわからせてやるよ」
——それにしても真壁選手のレスラー人生って、七転び八起きどころじゃないですね?
真壁「七転びじゃねぇな。3回ぐらいしか起きてねぇし。20回以上転んでるよな。プロレスラーってよ、リングで闘って、見てる客に考えさせたり、こうやってバックステージでコメント出して考えさせたりよ、それが全部ストーリーになるじゃないの? 俺の人生、見てみろよ。エリートでもねぇしよ、カスみたいな人間でさ、街のゴロツキだぜ、おまえ。カスみたいなヤツが入門テストに受かって、ブッ殺してやろうと思って上がってきたんだ。石井もおんなじだろ? とりあえずよ、こっからが俺の戦争だよ」
※石井はふらつきながらバックステージに戻って来る。
——コメントいただけますか?
石井「負けたのにあるかよ・・・(※と言い残して苦しそうに去る)」