5月16日(火)ひさびさの開催となる新日本プロレス・戦略発表会が都内某所で行われ、壇上にはブシロードの木谷オーナーが登場した。
まず、三澤トレーナーからの健康管理に関する報告を受けた後、負傷が続いている選手の健康管理に関して、「すべてを見直していきたい」とコメント。
ここから2012年以来、右肩上がりを続けている新日本プロレスの売り上げに関して、今期(2017年)は37億円を見込んでおり、さらに来期(2018年)は計画として45億、目標として50億円という史上最高の売上げを目指すことを表明。
選手の出場回数などは減らす工夫をしながらも、「さらに利益を伸ばしていきたい」と語った。
また、米国のプロレス市況について、世界ナンバー1の大手であるWWEとの差についても言及。商品の売り上げは「4分の1、5分の1に肉薄している」というものの、デジタル収入やMD(マーチャンダイズ)収入は、まだ遠く及ばないとした。
そこで、今後の基本戦略として掲げたのが
・ライブ戦略
・デジタル戦略
・グローバル戦略
という3つの基本成長戦略についてコメント。
1つ目の「ライブ戦略」の面では、「2020年までに東京ドームを満員にします!」と宣言。「2020年は1月4日が、土曜日になるタイミング」という絶好のチャンスであり、「4万~4万5000人の実数動員を目指したい。4万人以上で満員と言えると思う」と語った。
また、現在のさまざまなメディア展開、地上波露出によって「地方都市の動員が確実に増えている」とコメント。
そして、広告宣伝に関して、昨年のミラ・ジョボビッチとオカダ・カズチカ選手のCMに関連して、「なぜ、やるんだ? という声もあったがアメリカに移籍した選手がいたことがくやしかったことも要因のひとつ」と明かし、このCMが結果的にハリウッドや海外からの大きな反響、アピールに繋がったとした。
2つ目の「デジタル戦略」として、「新日本プロレスワールドの会員を10万人へ! 日本一のサービスに!」と表明。現在、新日本プロレスワールドは約5万人の会員数であり「10万人で日本一の配信サービス」になるとコメント。
そして新日本プロレスワールドは現在、5万人のうち、約1万人が海外の会員であること。さらにアメリカではケーブルTVで毎週20万人以上が観ていることも明らかに。
また、この日から、サイトリニューアルした新日本プロレスワールド。今後は、テレビでも視聴可能としChromecastに続いて、amazon FireTVも近日対応可能となると明かした。
さらにライブ配信に関しては、アメリカ・ROHやイギリス・RPW、メキシコ・CMLLなど世界の団体と提携してライブ配信を強化していくことも表明。
今後は、「過去の試合ライブラリも拡充したい」旨を語り、オリジナル映像に関しても「ファンの方から、こんなものが観たいという意見も頂きたい」とコメント。
加えて、翌日に行われる5月17日(水)後楽園ホールで行われる『BEST OF THE SUPER Jr.24』開幕戦を新日本プロレスワールドで、完全無料生中継することをアナウンス。
3つ目の「グローバル戦略」として、「新日本プロレスはアメリカ進出します!」と改めて力強く表明。
すでにチケットが完売している7月1日、2日のロサンゼルス大会。なんと2日間のチケットが2時間で完売、追加ぶんは2分で完売したとのこと。「けっして小さな会場ではない。日本で言うと大田区総合体育館くらいのサイズ。自分は、この倍くらいの会場もいけると思っている」と語った。
さらにアメリカ本格進出の一環として、来年を目処に米国現地法人の設立、アメリカでの道場設立、そして先日ROHで発表になったIWGP USヘビー級王座の新設についても改めて言及。
そして、アメリカ進出するうえで新日本の現状を分析(SWOT分析)しつつ、「リング上の試合は世界一」「歴史も長い」「他にはないオリジナリティがある」という強みがあるとした。また、「新日本プロレスの映像ライブラリーをアメリカのケーブルTVに売り込みたい」ともコメント。
基本戦略として、新日本プロレスの試合をアメリカにそのまま持ちこみ、アメリカのファンに新しい体験をしてもらい、さらに「どこかでスターが生まれれば、一瞬で広まる時代」とアメリカで選手やスターを育成していく可能性にも言及。
加えて、「アメリカに合った興行形態を目指す」と語り、提携団体への選手派遣なども行いながら、「日本風の巡業スタイルも持ち込んでみたい」とプランを明かした。
最後に「選手の負担は緩和させる方向でありながら、もっと多くの人に楽しんでもらえるように模索していきたい」と語った木谷オーナー。創立45周年を迎えた新日本プロレスは、新たなるステージに向かうことを表明した。