• 2016.9.1
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【“GK”金沢克彦氏が激筆!】闘魂三銃士、第三世代、「夢☆勝ちます」…、9.1『LION’S GATE』目前! 新日本プロレス“ヤングライオンの系譜”とは?
新日本プロレスが今年から取り組んでいる「団体の垣根を超えて、若手選手たちを育成する」プロジェクト。それが9月1日(木)新宿FACEで第3回が行われる『LION’S GATE PROJECT』だ。
 
今回は、長年、新日本プロレスの若手たちを見続けてきた“GK”金沢克彦氏が“ヤングライオン”に焦点を絞って、書き下ろし!!

『LION’S GATE PROJECT 3』
9月1日(木)19:00〜東京・新宿FACE
★対戦カードはコチラ!
★一般チケット情報はコチラ!
 

 
■いまや新日本の闘いが世界のスタンダ—トであり、そのリング上へ世界中が目を向けている証拠でもある

 
新日本プロレスこそ世界のスタンダードである——。もはや疑う余地がないだろう。4週間におよぶ真夏の『G1 CLIMAX26』全19戦、とくにラスト3大会となる両国国技館3連戦の熱気、集客力、試合内容を全身で感じながら、そういう思いにとらわれた。
 
その漠然とした充実感が確信へと変わったのは、『G1』終了後に米国・WWEの真夏のビッグショ—をネット配信で観戦したとき。前王者、元王者クラスのトップ選手たちが、ためらうこともなく新日本のレスラーのオリジナル技を繰り出していくのだ。
 
 スリングブレイド、どどん、牛殺しから、なんとレインメーカーまで。そこに見えたのは試合の新日本プロレス化。いまや新日本の闘いが世界のスタンダ—トであり、そのリング上へ世界中が目を向けている証拠でもある。
 
いま現在の新日本は、1990年代半ばのドームプロレス全盛期に匹敵するリングを作り上げていると思う。復興期を経てここまで隆盛を迎えるまでには、さまざまな要素があげられる。ひとことで言うなら企業努力の賜物だろう。
 
ただし、ここではリング上にかぎって考えてみたい。最大の要因は選手層の充実にある。中邑真輔が退団すれば、新たなカリスマとして内藤哲也が出現した。AJスタイルズが離脱したなら、ケニ—・オメガが外国人初のG1制覇という快挙を達成し、外国人№1ヒーローに躍り出た。
 
『G1』初出場のYOSHI—HASHIもわずか1カ月弱で化けた。今年3月、所属選手となった柴田勝頼への支持は圧倒的だし、2カ月の欠場、リハビリからG1で復帰した棚橋弘至は“エース"健在を見せつけている。
 
 一方で、48歳・永田裕志は相変わらず目を見張るようなコンディションで最前線の力量を見せつけ、45歳のテンコジ(天山広吉、小島聡)人気にも翳りが見えない。無論、IWGP王者であるオカダ・カズチカは盤石で、最近は貫録まで漂わせてきた。
 
さらに、真壁刀義がいる、後藤洋央紀がいる、石井智宏がいる、SANADAがいる、EVILがいる。ジュニアにはKUSHIDAがいて、獣神サンダ—・ライガ—がいて、田口隆祐、BUSHIがいる。
 
そこに、新日本スタイルを完全に理解し特化した外国人の強者たちがヘビー、ジュニアを問わず、参戦してくる。ざっと眺めてみても、新日プロ史上最高の布陣を擁しているかもしれない。これじゃあ、マッチマイクするほうが大変だろうなあと、いらぬ心配までしてしまうのだ(笑)。
 
■陣容が充実すればするほど、ヤングライオンと呼ばれる選手たちの試合が、なかなか組めなくなってくる

 
 ところが、やはり歴史は繰り返す。陣容が充実すればするほど、ある問題点が頭をもたげてくる。ここまで書いたら、もうお気づきのかたもいるのではないか? 若手選手、つまりヤングライオンと呼ばれる選手たちの試合が、なかなか組めなくなってくる。
  
時には永田、天山、小島、中西学らIWGP王者もG1優勝も経験した男たちが第1試合に出場する。ライガ—やタイガーマスク、田口らIWGPジュニア王者、SUPERJr優勝を経験した選手が登場することもある。
 
 試合を組まれることじたいが超狭き門。こればかりは、その時代時代のシチュエーションによってまったく違ってくるのだ。
 
たとえば、新日マットで一時代を築いた闘魂三銃士(武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也)はある意味ラッキーだった。1984年4月21日、同日入門した3選手。同年6月、藤原喜明、高田延彦がUWFへ移籍し、9月には人気絶頂の長州力をはじめ計11選手が新日本を離脱したため、選手不足解消のためデビューも早く、試合も必ず組まれていた。その素質に大いなる期待を賭けられていた武藤などは、デビュー戦から1年1カ月で米国フロリダ武者修行に出ている。
 
武藤がスペシャルな存在であったことも多分にあるのだろうが、若手選手にとって一番大切なのはいかに多くの試合をこなすかと、同期のライバル同士で凌ぎ合っていくかである。こと、三銃士にかぎっては特別としかいいようがない。
 
たとえば、武藤が海外遠征に旅立つまでの1年弱を振り返ってみると、武藤vs橋本のシングル戦は10回(武藤の7勝3分け)、武藤vs蝶野戦は13回(武藤の12勝1分け)で、蝶野が海外遠征に出る1987年6月までの3年弱で蝶野vs橋本戦は39回(橋本の27勝3敗9分け)も行なわれている。
 
やはり柔道のバックボーンを持つ武藤、橋本に対し、格闘技歴のない蝶野は分が悪かった。その後、一番出世の武藤、二番出世の橋本、それを覆そうとヒールターンする蝶野という3選手の抜きつ抜かれつの闘いは、新日本マットで15年以上もつづいたのである。
 
■当時マスコミの注目カードのひとつが、当日発表の第1試合・ヤングライオン対決であった

 
第三世代と呼ばれている小島、永田らも苦難の若手時代を経験している。1991年1月にデビューの天山(山本広吉)は、そのレスリングセンスを馳浩コーチに買われ比較的試合数が多かった。一方、同年7月にデビューした小島は持ち前の明るい性格で奮闘していたものの、先輩の小原道由、西村修、金本浩二、天山の壁は厚く苦闘していた。
 
 ところが翌年になって、アマレス三銃士(石澤常光=ケンド—・カシン、永田裕志、中西学)といった元レスリング全日本王者、92バルセロナ五輪レスリング代表の猛者たち、さらにセンス抜群の大谷晋二郎(現ZERO1)、パワフルな高岩竜一(現フリ—)の入門が最高の刺激となった。
 
ただし、当時の新日本の布陣は充実していた。長州、藤波が現役で、闘魂三銃士は全盛期、さらに馳、佐々木健介がそれを追っており、越中詩郎率いる平成維震軍も活気づいていた。
 
若手の試合枠、ヤングライオンの試合が組まれるのはシングルであれ、タッグであれ第1試合のみ。五輪代表の実績を持つ中西は別格として、小島と92年組の競争は熾烈を極めた。当時のことを大谷は昨日のことのように鮮明に憶えているという。
 
「当時は事前に全カード発表なんてないので。会場に入ると、控え室に田中さん(リングアナウンサー)が今日の対戦カード表を貼るんです。それを見て自分の名前があると、もうガッツポーズですよ、『よし、やった!』って。もう、そこから闘いが始まってましたから。僕らより先輩の小島さんの名前がなくて、小島さんがガックリしていたことだってあるんです。それぐらい厳しい環境だったから、それはもう試合になると手がつけられませんよね(苦笑)」
 
 そう、手がつけられなかった。石澤vs大谷戦となると素晴らしいキレキレのレスリングが会場を魅了した。永田vs大谷戦では必ず途中から喧嘩腰になっていた。永田のグラウンド地獄から抜けられないとみるや、大谷は永田の腕にでも脚にでも噛みついてエスケープする。だから、当時マスコミの注目カードのひとつが、当日発表の第1試合・ヤングライオン対決であった。
 
■永田裕志「柴田戦のような試合って、何年か前の新日本では普通にやっていたんですよ。俺らがヤングライオンのときがそうでしょ?」

 

 
 今春、柴田とのNEVER無差別級王座をめぐる闘いで、ストロングスタイルの理念をファンとマスコミに向け投げかけた永田も、こう言っている。
 
「柴田戦のような試合って、じつは何年か前の新日本では普通にやっていたんですよ。俺らがヤングライオンのときがそうでしょ? まず手探りのマットレスリングからどっちが先に取るってなったときに感情がヒートして、『お前には絶対に負けないんだよ!』っていうのが盛り上がって、殴り合いになって、そこから技の掛け合いになってくるっていう。でも、そのもとを辿れば俺らはつねに道場で激しいトレーニングをしてるんだよっていう意識のもと、それをリング上に持っていったものがストロングスタイルなのかなってね」
 
当時を語らせると、永田の言葉は道場論イコール、ストロングスタイルという考えかたにもいきつくのだ。
 
その一方で、彼らの世代にとって幸運だったのは若手勢のメンバーが充実していたから、
『ヤングライオン杯』(以下、YL杯)を開催できたことだろう。ことに、毎年3月に開催されていた第4回(天山優勝)、第5回(小島優勝)、第6回(中西優勝)、第7回(石澤優勝)が行なわれた1993年~1996年にかけてのYL杯はシリーズの核となるほどに盛り上がった。
 
 1990年から開催された『夢☆勝ちます』(以下、『夢☆勝ち』)も話題を呼んだ。ヤングライオンがトップクラス、中堅クラスへと挑んでいくワンナイトのチャレンジマッチ。
 
 飯塚孝史vs天山、馳vs永田、武藤vs大谷、山崎一夫vs石澤といった試合が印象深く、こういう舞台で当時のヤングライオンは実力を査定され、ファンにも認知されていった。そういえば、2005年12月の『夢☆勝ち』ではキャリア2年の後藤洋央紀が棚橋のU‐30無差別級王座に挑戦したこともある。
 
■今回の『LION,S GATE』。まず注目は、新日本ヤングライオンのチャレンジ3番勝負

 
 では、現在のヤングライオンたち。小松洋平、田中翔の2選手は今年1月末、メキシコCMLLに無期限の遠征へ。6月には、留学生のジェイ・ホワイトが米国ROHへ旅立った。現在、常時出場しているのはデビット・フィンレ—のみ。23歳でキャリア3年8カ月ながら心身ともに成長著しいフィンレ—は、すでにジュニアの枠を超えそうなところまできている。
 
 一方、今年1月3日にデビューしながら、なかなか試合出場の機会に恵まれない金光輝明と川人拓未。前記したように、若手は試合数をこなしてナンボである。
 
 そこを解決すべく企画されたのが、育成プロジェクト『LION’S GATE PROJECT』である。コンセプトはズバリ、「団体の垣根を超えて、若手選手たちを育成すること」だ。2月25日の第1回大会、5月19日の第2回大会と新宿FACEで開催された同プロジェクトは予想以上に評判がいい。
 
 出場選手は、新日本、ノア、K‐DOJOの若手勢が中心で、そこに新日本、ノアのトップ、ベテラン、中堅選手などがからむ。基本的に、「若手育成」のコンセプトに沿って、かつての『夢☆勝ち』のようなチャレンジマッチが多い。当然、新日本やノアの本戦では実現不可能なカード編成となる。
 
そこがじつに新鮮であり、このリングだから格を取っ払ってぶつかり合えるという空気が、しっかり観客にも伝わっているのだろう。
 
第3回大会は、明後日の9月1日、同じく新宿FACEで開催される。まず注目は、新日本ヤングライオンのチャレンジ3番勝負。

 
第1試合=へナ—レvsクワイエット・ストーム。ノアの暴風マシンに新弟子留学生のへナ—レが日本デビュー戦で挑む。へナ—レはニュージーランド出身の23歳でヘビー級として身体が出来上がっている。未知数の期待感が漂ってくる。
 
第2試合=川人拓未vs大原はじめ。師匠のウルティモ・ドラゴンも舌をまく試合巧者の大原に、川人のスピードと打撃がどこまで通用するか?
 
第3試合=金光輝明vs拳王。『SUPER J—CUP2016』2回戦のKUSHIDA戦で、一流の打撃とサブミッションを披露し実力者ぶりを遺憾なく発揮した拳王。「Go for broke!」。真正面から突進する金光に期待したい。
 
彼ら3人は、新日本本隊の9月シリーズにも参戦が決まっていることから、これが査定試合ともなるだろう。新日本のヤングライオンとは何者なのか、ぜひ見せつけてほしい。
 
■テーマなき試合にテーマを持たせてやる、団体対抗戦とはこういうものだ

 
また、団体の垣根を超えた若手育成プロジェクトとは一線を画すカードがメインに組まれた。バチバチの団体対抗戦が予想される新日本(柴田勝頼、天山、小島、永田、中西)vsノア(潮崎豪、マイバッハ谷口、中嶋勝彦、マサ北宮、清宮海斗)の10人タッグ戦。
 
このメンバーを見れば、だれもが思い出すだろう。そう、『G1』最終戦の8・14両国大会でマッチマイクされた8人タッグ戦。自ら額を切って流血するほど痛烈な柴田の頭突き1発から火が点いた、新日本vsノアの感情剥き出しの闘いだ。
 
その柴田に応えたのが、中嶋と潮崎。とくに、突然新日本マットに上がった状態で柴田とボコボコにやり合う潮崎には驚かされた。ふだん温厚な男が、怒るとここまで変貌するのか? 潮崎のもうひとつの顔を見せつけられた感じ。
 
それを引き出した柴田は「してやったり!」だろう。テーマなき試合にテーマを持たせてやる、団体対抗戦とはこういうものだ、過去にさんざん経験している初先輩3人は黙って見ていてくれ、俺が火を点けてやるから。
 
そんな心境で臨んだと予想されるからだ。その結果、テーマは出来上がり、次につながったのだ。柴田vs潮崎、新たな闘いが本格開戦となるかもしれない!

●金沢克彦(かなざわ・かつひこ)

1961年12月13日、北海道帯広市生まれ。
青山学院大学経営学部経営学科卒業後、2年間のフリ—タ—生活を経て、1986年5月、新大阪新聞社に入社、『週刊ファイト』編集部・東京支社に配属。1989年11月、日本スポーツ出版社『週刊ゴング』編集部へ移籍。2年間の遊軍記者を経験した後、新日本プロレス担当となる。1999年1月、編集長に就任。2004年10月まで5年9カ月に亘り編集長を務める。同年11月、日本スポーツ出版社の経営陣交代を機に編集長を辞任し、同誌プロデューサーとなる。翌2005年11月をもって退社。
以降、フリーランスとして活動中。現在は、テレビ朝日『ワールドプロレスリング』、スカパー!『サムライTV』などの解説者を務めるかたわら、各種媒体へフリーの立場から寄稿している。
 
●金沢克彦ブログ「プロレス留年生 ときめいたら不整脈」

 

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