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5月某日、東京都品川区・原美術館の庭園に裸の男がうつぶせに倒れている。190センチを超える大きな肉体は引き締まり、一糸まとわぬ琥珀色の尻からすらりとした脚が伸びる。緑の芝生にその裸体が浮かび上がり、まるで1枚の絵を見ているような美しさだ。
これまで本木雅弘や大沢たかおなど、時代の先端を走る男たちを「裸」にしてきた写真家の篠山紀信氏が「いま最も脱がせたかった男」、オカダ・カズチカである。
この日、原美術館では「芸術新潮」7月号（発売中）のヌード特集の撮影が行われていた。選手として、いつもはトランクス1枚でリングに立つオカダ選手も、「ヌードはもちろん、写真家の方に『作品』を撮っていただくのは初めてです。思わずタイトルマッチの日に履くピンクの勝負パンツを履いてきちゃいました」と照れ笑いの中にも緊張の様子。プロレス雑誌『NEW WORLD』（新潮社/発売中）でオカダ選手の試合写真を撮影した篠山氏が、「見せる肉体ではなく闘う肉体にしかない、独特の品と色気がある。試合写真もいいけど、パンツ脱いでるのもいいと思うんだ」と提案し、今回の企画が実現した。
撮影は雨上がりの庭園で行われた。撮影終了後にタオルを腰に巻いて現れたオカダ選手は、「篠山先生のお陰で、自分らしく“プロレス”することが出来た、作品を観ていただければその意味が分かると思う。裸で“プロレス”をしたのは初めてです」と晴れやかな表情で語った。また篠山氏の撮影に関しては「じーっとレンズを覗いて、静かにシャッターを1度押す感じ。パシャパシャと撮られるイメージを勝手に持っていたので、“瞬間”を厳選している気迫を感じびっくりしました」と、巨匠の仕事ぶりに感銘を受けた様子。
今回『芸術新潮』用にセレクトされた写真は全部で4枚。ドロップキックを得意とするオカダ選手らしく、宙を高く飛び美しく筋肉が浮かび上がったカットや、木陰から半身だけを覗かせ力強い視線を送るカットなど、プロレスラーの肉体の「静と動」を感じさせる作品になっている。篠山氏は「これまで撮ってきた中でもダントツ。プロレスを辞めてヌードモデルになればいいのに（笑）」と大絶賛。この日撮影された作品は、『芸術新潮』で発表された後、9月3日から始まる東京・原美術館での篠山紀信展「快楽の館」にも展示される予定。
『芸術新潮』7月号
発売日：6月25日（土）
価格：1,550円（税込）
発行：新潮社
