昨年度の『BEST OF THE SUPER Jr.』では、初エントリーながら、決勝戦に進出。惜しくもKUSHIDAに敗れたものの、ベストバウト級の名勝負を展開したカイル・オライリー。
今年にかける意気込みを現地インタビューでお届け!
■『BEST OF THE SUPER Jr. XXIII』
5月21日(土)18:30〜東京・後楽園ホール<開幕戦>
※「指定席」は完売となりました。
※「特別リングサイド」「リングサイド」は残り僅かとなりました。
5月10日時点で、「書泉ブックタワー」「BACK DROP」に残席がございます。
■開幕戦から、一番タフな試合が組まれたね。KUSHIDAは最高の相手だけど、必ず勝ってみせるよ!
——オライリー選手、今日は開幕目前となった『BEST OF THE SUPER Jr.』について聞かせてください。
オライリー オーケー。なんでも聞いてくれ。
——まず最初に1年前は初エントリーながら決勝に進出してKUSHIDA選手と闘いました。残念ながら優勝はできませんでしたが、素晴らしい試合でした。
オライリー あの試合は、ボクのキャリアの中でも本当に重要な試合だよ。これまでのプロレス人生の中で、一番グラウンドテクニックも使ったし、一番タフな闘いだった。まあ、そもそも『SUPER Jr,』のように、毎日、違う選手と闘って、短い期間に8試合もシングルマッチが組まれるなんてこと経験なかったんだよ。
——リーグ戦形式からして初体験だったと。
オライリー イエス。そんな中で決勝まで進めて、ニュージャパンで初めてのメインイベントの舞台に立てたのは、一つの夢が叶った瞬間でもあった。そのぶん、身体にはダメージも残ってたけどね(苦笑)。肩をケガしてしまってたんだ。でも、アレはボクの人生で最高の経験だったね。
——そこまでの試合だったんですね。
オライリー フフフ。試合後は腕が上がらなくなっていた。それだけKUSHIDAは僕を本気で倒しにきていたっていうことさ。あれから1年……必ずリベンジしてやるよ。KUSHIDAに対してもそうだし、『SUPER Jr.』全体にもね? 今年のリーグ戦に向けてのシッカリ準備もしてるし、戦略も練ってるから。今年こそは、あの優勝トロフィーを高く掲げてみせるさ。
——その公式戦の相手についてお伺いします。まずは開幕戦(5.21後楽園)では昨年の決勝戦の相手であるKUSHIDA選手との対戦が待ち構えています。
オライリー ハハハ。いきなり一番タフな試合が組まれたね。でも、このツアーで優勝するには1試合も落とせない。とくにこの試合はね。もしボクが負けて、KUSHIDAが残りの試合を全部勝ってしまうと決勝に出られなくなる。初戦からの大一番。ボクもグレイトな闘いをしようと思ってるけど、KUSHIDAも同じ気持ちだろう。KUSHIDAは、おたがいに最高の技術を出し合える最高の相手。でも、必ず勝ち残ってみせるよ。
——直近の今回のROHカナダ・トロント大会(5.11)では勝利してます。
オライリー フフフ。彼とはこれまで3回闘った。去年の『SUPER Jr.』決勝と10月のイギリス(RPW)、そしてトロント。KUSHIDAとの試合はいつもエキサイティング。だから、このカードで世界中を回れたらうれしいね。次はオーストラリアで闘おうかな(笑)。
——両選手の活躍ぶりからして、1年前とはまた違った闘いになると思われます。
オライリー あれから1年、たがいにいろんなことを学んだと思う。けど、ボクは帰国後、『SUPER Jr.』決勝の試合を繰り返し見て、何で負けたのかを研究し、どうやったら勝てるのかをチェックしてきた。その一つの答えがトロントの試合だった。今回は、どちらがベストなパフォーマンスをするか? あるいはさせないか? それが勝敗を決めるだろうね。
■BUSHIはジュニアの世界にポイズン(毒)を持ち込んできた。ただ、ボクはああいうやり方は好きじゃない
——2戦目(5.23新潟・燕)の相手は外道選手です。
オライリー ゲドーとは去年、コーラクエンで対戦した。彼はボクのヒザを狙ってきた。ほかの選手とはまったく違うスタイルだった。何よりゲドーは非常に多くのキャリアを積んできているし、そこを警戒しないといけない。去年とは違ったレベルの高い試合になるだろう。ただし、彼のことは十分にリスペクトしてるけど、この試合は早く終わらせたいね。
——短時間勝利を狙いますか。
オライリー イエス。シングル連戦が続く『SUPER Jr.』では、ダメージを引きずらないことが大切だ。スタミナを回復して次の試合に臨まないといけないからね。そのためにゲドー戦への作戦を練っておくよ。
——3戦目(5.25一関)がBUSHI戦です。
オライリー BUSHIは非常にデンジャラスな男に変わったね。とくに、あのミスト(毒霧)…。ニュージャパン・ジュニアの世界にポイズン(毒)を持ち込んできたって感じかな。ただし、ボクはああいうやり方は好きじゃない(キッパリ)。
——あ、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンスタイルに異を唱えますか?
オライリー もちろん彼は、ボクの顔にもミストを狙ってくるだろう。だけどボクの顔をポイズンで汚させなんてさせないよ。あと、リングサイドの連中が介入してくるかもしれないけど、必ずやり返す。ボクにはEVILやナイトー(内藤哲也)みたいなヘルプは必要ない。そんなことしてもボクを打ち負かすことなんてできない。それをシッカリ思い知らせてやる!
——折り返し点となるのは5.29大阪でのマット・サイダル戦です。
オライリー マット・サイダルとはROHの4.1ダラス大会でも闘ったばかりさ。何とか勝てたけど、とてもハイレベルでハードな闘いだった。サイダルは素晴らしいレスラーだし、リングを下りれば友人としてリスペクトしている。ただ、次にサイダルと闘えば、どのような試合になるかわからない。KUSHIDAとの試合のようにおたがいにドンドン進化していくかもしれないね。
——そういう手ごたえを感じてますか。
オライリー イエス。彼はハイフライヤーだけど、ボクはグラウンドが中心のスタイル。彼がトップロープに上れば、足をキャッチするチャンスが訪れるだろう。それが唯一のチャンスかもね。それを逃さないようにするよ。
■タグチ戦は、どこまでシリアスになれるかが勝負かな? いろいろな意味で、彼もデンジャラス・マンだ
——後半戦の最初に待ち構えているのが田口選手です(5.31広島)。
オライリー タグチサンには去年の公式戦で負けてるんだ。彼のアンクルロックでタップしてしまった。もちろん今年はリベンジを狙うよ。でも、タグチサンだけを特別に警戒してるわけでもない。
——なるほど。
オライリー ボクは最高のメンバーが集まった今年の『SUPER Jr.』で、自分こそベストであることを証明したい。もちろんタグチサンがIWGPジュニア王者であったことも、IWGPジュニアタッグ王者であったことも知っている。たくさんのビッグマッチも経験してきている。去年はその実績に負けた。でも今年は違うよ(ニヤリ)。
——最近の田口選手は、コミカルな一面はより強調されてきています。
オライリー 彼のユーモアたっぷりでコミカルな部分も打ち破らないといけない。どこまでシリアスになれるかが勝負かな。彼の関節技も侮れないし、トップロープからのヒップアタックも強烈だ。いろいろな意味で、彼もデンジャラス・マンだよ。
——そして次(6.3後楽園)の相手がマット・ジャクソンです。
オライリー ヤングバックスの片割れだね。彼らはアメリカだけじゃなく、ジャパン、ヨーロッパ、カナダなどで、たくさんの歴史を築いてきている。その相手にreDRAGONもいた。でもreDRAGONの片割れとヤングバックスの片割れが闘うのは、この試合が初めてだ。
——シングル戦はこの試合が始めてでしたか。(ボビー・フィッシュvsニック・ジャクソンの公式戦は6.3高崎)。
オライリー タッグとは異なった、ユニークで想像つかない闘いになるだろう。彼の平手打ちで口の中を切ったこともある。今回はコーラクエンという注目の舞台ということでプレッシャーもある。きっと世界中のファンが『NEW JAPAN WORLD』(新日本プロレスワールド)で見るはずだよね。それだけに、このシングル初対決でreDRAGONが負けるわけにはいかない。
——さらに、公式戦最終戦となる6.6仙台ではロッキー・ロメロが待ち構えてます。
オライリー ロッキーと最初にシングルで闘ったのは、ボクがプロレスを始めてすぐの10年前くらいのころ。それまでにロッキーの試合はビデオで見たことがあった。彼の狂気じみたスタイルは常識はずれだと思ったよ。でもよく見ると、関節技もできるし、ハイフライの技術も素晴らしい。そんなロッキーに対して、リスペクトしないわけがない。
——新日本マットでも何度もタッグ対戦してますよね。
オライリー 最初は六本木ヴァイスとreDRagonの対決。たしかジュニアタッグトーナメントだね。1度目はボクらが勝ったけど、彼らにベルトを獲られたこともある。ベルトと獲ったり獲られたりと、何回も闘ってきた。もちろんセンダイでは勝って、ファイナル(決勝)に進むよ!
■タフなツアーになるのはわかっている。それでも優勝したいし。IWGPジュニア王座に挑戦したい!
——さて、Aブロックを勝ち上がったとして、誰と決勝で闘いたいですか?
オライリー う〜ん……。難しいけど、一番の希望はreDRagon対決だね。ボビー・フィッシュとボクは本当に兄弟のような関係なんだ。もちろんボビーも優勝を狙ってるし、2人が勝ち上がって闘うことになれば、ボク自身がリングサイドで試合を見たいよ!
——決勝で実現したら、reDRagonにとっても最高でしょうね。
オライリー ただ、誰が勝ち上がってきてもいいように、Bブロックの公式戦シッカリとチェックするつもりさ。そうしないと優勝できないのが『SUPER Jr.』だ。
——厳しいリーグ戦を勝ち残るにあたって、オライリー選手の一番の強みは?
オライリー すべての試合がデンジャラス、すべてが異なるタイプの選手との試合だ。公式戦が進むにつれ、プレッシャーもドンドン重くなる。そこに気持ちが負けないことだね。じつは去年、『SUPER Jr.』が終わってアメリカに帰国してから、「おめでとう」「カイル、素晴らしい結果を残したね」とたくさんの人に言われた。みんなが今まで以上にリスペクトしてくれるようになった。……でもね、心の底からうれしくはなかったんだ。
——優勝を逃してしまったからですか。
オライリー そのとおりだ。本当に優勝したかった。だから、今年は自分の夢を実願させるためにも絶対『SUPER Jr.』で優勝してみせるよ! タフなツアーになるのは十分わかっている。でも、それを存分に楽しめたなら、ボクの目標である優勝にたどり着くことができると思う。そして、IWGPジュニアヘビー級王座にも挑戦したい。
——オライリー選手が一度も挑戦していないのは、少し意外ですね。さらに、今年は『SUPER Jr.』のあとにもジュニアの祭典『SUPER J-CUP』(7.21後楽園&8.20有明コロシアム)が待ち構えてますし。
オライリー イエス。キッズの頃に1993年、1994年に開催された『SUPER J-CUP』は見ているよ。あの舞台に出場するのもボクの夢だね。……ただ、やっぱりその前に『SUPER Jr.』優勝。そしてIWGPジュニアヘビーのベルトを巻きたいんだ。
——現時点では、『SUPER Jr.』優勝とIWGPジュニア王座が大きな目標というか。
オライリー イエス。それにIWGPジュニアタッグ王座も取り返さないといけないし……。ボクはニュージャパンでやりたいことがたくさんあるんだ。まあ、「『G1 CLIMAX』に出場させろ!」とまでは言わないけどさ(苦笑)。いま言ったすべてを実現できたら、2016年はカイル・オライリーにとって、一生忘れられない年になるだろね。
聞き手/橋爪哲也