“ROH”遠征の常連メンバーとして、必ずラインナップされる男・それがKUSHIDA選手。日本とは違った“無差別級”のリングであるROHの魅力、その『HONOR RISING:JAPAN2016』来日メンバーについて徹底インタビュー!【後編】
■ダルトン・キャッスルは、ダンスもトリッキーなら、リング上の動きも同じような感じでトリッキー
——さて、KUSHIDA選手、ムース選手と同じく初来日の“貴公子”ダルトン・キャッスル選手に関してははいかがですか?
KUSHIDA お、ダルトン・キャッスル! この選手は、ボクがROHに行ったとき「ぜひ、『BEST OF THE SUPER Jr.』に出てほしいな!」と思った選手ですね。
——去年のトロントで獣神サンダー・ライガー選手と闘って、ワールドプロレスリングでも放送されたと思います。
KUSHIDA 流れましたね。アレは、凄く面白かったですね。ただ、この選手は見た目も派手なんですけども、入場の時にダンスじゃないですけど、クジャクのダンス的な、パフォーマンスがあるんです。だけど、それだけじゃなく、オリジナリティあふれる場外でエプロンを使ったティヘラ(ヘッドシザーズ・ホイップ)だったり、スイングDDTだったりもあって。
——どっちも独創的ですか。
KUSHIDA ええ。ダンスもトリッキーなら、リング上の動きも同じような感じでトリッキーなんですよ。見せることにおいても、プロ意識の高いアメリカならではのオリジナリティのある選手ですね。だから、どんな選手と絡んでもおもしろいと思いますよ。
——ブリスコ兄弟も引き続き参戦しますが、まだROHマットでの破天荒さが完全に出し切れていない感もありますが?
KUSHIDA ええ。彼らもまだ、こんなもんじゃないですね。彼らはヤングバックスのようにじつの兄弟なわけで、ヤングバックスの体格デカい版というか。ROH世界タッグなんか、何十度も巻いている実力派ですからね。
——いまはROHタッグ王者ではないですよね。
KUSHIDA いまは持ってないです。だけど、NEVER6人タッグ王座だけじゃなくて、今後、IWGPヘビー級のタッグ戦線とかね、本格的に狙ってきたら、恐ろしい存在ですよ。
——あらためて、ブリスコ兄弟の特徴は?
KUSHIDA ボクも去年の8月、野球場の大会で試合した時に、ブリスコ兄弟とアレックス・シェリーとのタイムスプリッターズで闘ったんですよ。ボクらも連携で自信ありましたけど、それを上回る連携がありましたね。
——見たことない連携が多いですよね。
KUSHIDA ハイ。しかも荒っぽいんですよ。非常に荒っぽい打撃で、シェリーの前歯が折れたりとか……。そういうラフファイトが危険ですね。なんて言うんですか? 最近の言葉で言うと“制御不能”な感じです(苦笑)。
■フランキー・カザリアンは、もともとTNAのXディヴィジョンにいた選手ですね
——あとアダム・コール選手の代わりに緊急来日となったフランキー・カザリアン選手は?
KUSHIDA フランキー・カザリアンは、『WORLD TAG LEAGUE 2015』にも来日してましたし、クリストファー・ダニエルズのパートナーとして、ROH世界タッグベルトを巻いているから要注意ですね。彼は、もともとTNAのXディヴィジョンというブランドにいた選手で、一時代を築いています。
——いまや伝説の六角形リングですね。
KUSHIDA ええ。アレックス・シェリーなんかはよく知ってる、同じ時代を生きてきたレスラーですね。まあ、今回は初日に彼とシングルが組まれましたけど、体格的には自分は、ジュニアヘビー級として「対ヘビー級」を打ち出している。体格は彼のほうが全然上ですけど、「『SUPER Jr.』連覇して『G1』に出たい」と言ってしまった手前、ひとつ結果を出したいですね。
——そういう意味では、大きなチャレンジですね。
KUSHIDA ROHの魅力は、新日本と違って、無差別級の闘いの部分だと思うんで。キッチリと勝利して、ラスベガス遠征につなげたいと思います。
■「今回の遠征にデリリアスがいる」ってことは、ROHの選手にとって本当に心強いこと
——それから、新日本には初登場となるデリリアス選手は?
KUSHIDA じつは、ノアのジュニアリーグ戦で、いいところまでいってるらしいですよ。あとはライガーさんと闘ったりとか。ROHでも外道戦とかは見ましたけど。選手としてはそれこそ外道選手にも通じる、オーソドックスなスタイルですかね。
——なるほど。
KUSHIDA ただ、ボクが印象に残っているのは、試合よりもROHの道場でトレーナーをやってる姿ですね。生徒たちに、ベーシックなレスリングだったり、アメリカならではの表現の部分をトータルで、ROHの若手に教えている、まさにリーダー格ですね。だから「今回の遠征にデリリアスがいる」ってことは、ROHの選手にとって本当に心強いというか。ROHのフィクサーというか大将、ROH全体の指示塔だと思いますよ。
——逆に、デリリアス選手が来るということは、「ROHは本気だ」ということですね。
KUSHIDA ええ。組織の中にいるトップ選手ですから。力を入れてることは間違いないですね。
■「俺が新日本では一番スゲーぜ!」と、メチャクチャ気合い入れて来るのは、エルガンかもしれない
——現在、新日本に参戦中のマイケル・エルガン選手もROHの選手ですけど、日本で成功したのは大きいですよね。
KUSHIDA ハイ。でも、エルガンにしたら、まだまだこんな成功じゃ物足りないと思いますよ。もっとIWGPヘビーを巻くぐらいの、新日本の“外国人エース”選手を狙っているでしょう。AJスタイルズがいなくなって、ケニー・オメガも出てきましたけど、外国人エースの座はひとまず空位という印象がある。そういう意味ではチャンスだし、かなり本気で狙ってると思いますよ。
——エルガン選手はどこが一番いいですか?
KUSHIDA なんか可愛いところじゃないですか(笑)。応援しやすいですよね。力持ちで、可愛げがあるのって。フォルム的にも、日本人が好きな体型じゃないですか? ドラえもんじゃないけど、力持ちのクマさん、プーさん的な。
——エルガンはROHではどんなポジションですか?
KUSHIDA ROHでは、ボクらが遠征に行った時はポジションが定まってなくて、凄く迷ってましたね。それが日本に来て開眼したというか。じつは。ROHの会場で、エルガンが何をやっても、ウンともスンとも言わなかったり、そういう現象が多々あって。
——あ、そうなんですね。
KUSHIDA 一時は、ROH世界王者にまでなったんですけども、すぐにベルトを奪われてしまい、そこからお客さんもまったくついてこなくて、ずっと低迷してたんです。日本に来るまで。
——今回のメンバーの中では、一番日本人のハートを掴んでいると思いますが?
KUSHIDA ハイ。だから、「おまえら、俺の実力見てろよ!」的な、「俺が日本では一番スゲーぜ!」っていうのを、メチャクチャ気合い入れて来るのは、ある意味エルガンかもしれないですね。「俺はニュージャパンのレギュラーだから、おまえらとは違うよ?」みたいな。そのへんを試合で見せるかもしれませんね。
——そこに誰が噛みついてくるのかも面白いですよね。
KUSHIDA そうですね。まあ、新日本プロレスということで考えたら、この先に『SUPER Jr.』も、『G1 CLIMAX』もある。……思ったのは、ROHのバックステージいくと、「新日本プロレスに出たい」と「昔から憧れのリングだった」、「『IWGP』、『SUPER Jr.』、『G1 CLIMAX』が、夢のステージなんだ」っていうのをいろいろな選手から言われるんですよ。だから、逆にボクはROH行くたびに、新日本の凄さを教えられるんですね。
——なるほど。
KUSHIDA 「ああ、いま俺が闘ってる場所って、スゲー恵まれてんだな」「夢の舞台なんだな」と。だからある意味、WWEに対して「本物のレスリングをしてるのは、俺たちROHだよ。そして、ニュージャパンだよ」っていうプライドを持ってるレスラーが粒揃いですね。
■エルガンに一番ジェラシー抱いてるのは、もしかしたらレッドラゴンかもしんないですね
——最後に好敵手であるレッドラゴン(カイル・オライリー&ボビー・フィッシュ)ですが、ROHではどんな感じですか?
KUSHIDA ROHでは、階級がないので、常に世界ヘビー級選手権に挑戦してるっていう。まだ獲れてはないんですけども、2人とも。ただ、その圏内というか。コンテンダーな感じですね。年内いつ獲るかっていうレベルの話だと思いますよ。
——ROHでは、シングルでの活動が多いですか?
KUSHIDA 最近はそうですね。タッグで一応頂点を極めましたんで、レッドラゴンとして。ROHで、そして日本でもIWGPジュニアタッグを獲って、ある意味これからシングルプレイヤーとして。去年、ボクとカイル・オライリーがやった『SUPER Jr.』決勝とか、ボクとボビー・フィッシュがやった公式戦もキッカケになってるとも思いますね。
——先ほど話に出た、「新日本では俺らが先輩」みたいなエルガン的な部分もきっとあるでしょうね。
KUSHIDA そうですね。エルガンに一番ジェラシー抱いてるのは、もしかしたらレッドラゴンかもしんないですね。いや、マジな話(苦笑)。
——でも、そこも今回で一回フラットになるわけですね。
KUSHIDA そう。フラットな印象で「さあ、ROH見せてよ」っていう状態で、誰がROHを表現するのか? そして、新日本プロレスを上回るものを見せるのかっていうこの競争というかね。
——日本に来て、ROHでの序列が変わる可能性すらあるかもしれないと。あと、あと、ROHのファンの応援って独特じゃないですか。日本のファンはどういう風に楽しんだらいいですか?
KUSHIDA どうなるんでしょう。ただ、そのへんは、おそらく選手が先導していきますよ。きっとイイ雰囲気を自分たちでつくっていきますよね。今回に関しては、最初の年だから、お客さん主導は難しいと思うし。
——では選手が、空気を作って、そこに乗っかっていけば大丈夫と。
KUSHIDA ハイ。そういうところもアメリカ人は上手いですから、表現が。まあ、『FANTASTICA MANIA』はある程度出来上がって、ルチャマニアとかもいますけど、今回ばかりはアメプロファンというか、ROHファンが来場するのか。そこは、どうなるかはレスラー側もわかりませんけれど。こんだけROHの看板背負ってる選手が来れば、これはもう限りなく現地に近い、現地と同じ空気を吸えることは間違いないですね! 楽しみにしてください!
■『HONOR RISING:JAPAN 2016』 2月19日(金)18:30〜東京・後楽園ホール ★チケット情報はコチラ!
※「指定席」は残り僅かとなりました。
※当日券は「16:00」より発売いたします。