1月5日(火)後楽園ホール大会、第1試合開始前の18時20分に、新年の挨拶のため新日本プロレスの木谷高明オーナーがリング上に立った。まず、新日本プロレスに入団した岡倫之と北村克哉を紹介。その後に、大手芸能プロダクション『アミューズ』との業務提携を発表した。
木谷オーナーは「今日はアミューズのとっても偉い方に来てもらいました」と語り、アミューズの相馬信之常務取締役を呼び込んだ。
リングに上がった相馬氏は「ご縁がありまして、新日本プロレスさんと業務提携することになりました。私ども、ミュージシャンや役者のマネジメントを中心にエンターテインメント事業を展開している会社です。新日本プロレスの選手の力強さや身体能力の高さ、キャラクターやパフォーマンス能力、そのすべてをこれからたくさんの皆さんに伝えていきたいと思います」と語り、「皆さんと同じように、僕個人も新日本プロレス大好きです。よろしくお願いします」と付け加えて、超満員の観客から拍手を浴びた。
木谷オーナーは「昨日、相馬氏と一緒にドーム大会を見まして、最後まで熱狂していただきました。ちょっとイメージが沸かない人もいるかと思いますが、一言で言います。日本のザ・ロック(ドウェイン・ジョンソン)を作るためです」「日本のプロレスラーから世界的に有名な映画俳優を出すためです。そのための提携です。期待して下さい!」と野望を語った。
この業務提携により、棚橋弘至やオカダ・カズチカ、さらに「スイーツ真壁」として現在もテレビで活躍中の真壁刀義選手など、さまざまな新日本プロレスの所属選手が、アミューズを通じ、プロレス以外の芸能活動でさまざまな活躍を行うことになりそうだ。
さらにバックステージでは、木谷オーナー、相馬氏、ここに棚橋弘至選手も交えた囲み取材が行われた。
■バックステージでのコメント
——改めて業務提携に至ったいきさつを聞かせてください。
木谷「もともとはシンガポールで相馬さんとお会いして、昔からすごくファンだと言っていただいて、一緒に何かできたらいいですねという中から構想がスタートしてます。相馬さんは昔から凄いプロレスファンで、レスラーのタレントや俳優、そのポテンシャルをすごく感じていただいてるんで、ぜひお任せしたいと」
−−相馬さんは新日本プロレスをどうご覧になられてますか?
相馬氏「大好きで見てます。今、木谷さんがおっしゃって下さったみたいに、僕ら、才能と仕事をするんです。ミュージシャンであれ、才能がある方とお仕事させていただくのに、新日本プロレスのレスラーの皆さんには、その才能を持ってらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。僕らがリング外でその才能を明確にしていただくというか、映画だとかテレビだとかで仕掛けて、選手の魅力を伝えて、その結果、新日本プロレスにもっとお客さんが来ていただいて、新日本プロレスが発展してほしいというのが僕の本心です」
−−新日本プロレス選手の芸能活動を全面的にバックアップされるととらえればよろしいんでしょうか?
木谷「はい、そうです」
−−レスラーの方々の芸能活動のマネジメントを『アミューズ』に一括すると?
木谷「原則、そうですね。すべてお任せするということで」
相馬氏「あと海外、棚橋選手もそうですけど、新日本プロレスのレスラーは海外でも通用すると思ってます。日本のコンテンツといったら失礼ですけど、新日本プロレスのレスラーはアジアでも絶対通用すると思ってますので、アジアでそういう部分をバックアップしていきたいと思ってます」
木谷「これまで台湾で興行を毎年やってますけど、そのへんもいっしょにやっていただく。昨日もツイッターで確認された方もたくさんいらっしゃると思いますけど、『#WRESTLEKINGDOM10』のハッシュタグが、アメリカだけじゃなく、ドイツでもイギリスでも上がってた。向こうが夜だからというのもあるけど、プロレスってアニメと並ぶ、もしかしたら一番のグローバルコンテンツになる可能性がある」
−−『アミューズ』にはたくさんアーティストがいらっしゃると思うんですけど、野外フェスとかでのコラボレーションは?
相馬氏「まだ決まってませんけど、プロレスが好きなミュージシャンもたくさんいますし、彼らのアイデア次第で一緒にやりたいという話が出てくることも十分に考えられる。まだ現段階では何も決まってませんけど」
木谷「例えば、プロレスのリングに何の前触れもなくミュージシャンが出てきてもプロレスファンは歓迎しないじゃないですか? 逆もそうだと思うんで。例えばレスラーがミュージシャンのPVに出たり、そういう雰囲気を出す役だとかとなると、野外フェスとかで絡んだりすると話題になると思うんですけど。それは無理してやることじゃない。ただ、自然な流れとしてはPVはあり得るかなと……」
−−具体的に考えてる件はありますか?
木谷「いくらかはすでに。『アミューズ』さんが制作に関わられてるインドネシアのアクション映画に後藤洋央紀選手が出ました。インドネシアで撮影があったんですけど。日本で公開されるのかは未定ですが」
相馬氏「たぶんインドネシアでも大ヒットする映画なんで。『レイド』っていう大ヒットした映画があるんですよ。その主人公のイコが、世界的なアクションスターなんです。その映画にスケジュールを調整していただいて、後藤さんに出ていただいて。非常に注目される映画になってくると思います」
木谷「後藤選手は風貌が和風テイストなんで。海外で好まれる風貌だと思うんで。人によって、そのキャラクターをうまく『アミューズ』さんにバックアップしてもらって。人によってバラエティーがあってるかもしれないし、人によっては映画が合ってるかもしれないし」
相馬氏「去年のハリウッドで一番稼いだ俳優はドウェイン・ジョンソン(ザ・ロック)なんです。そこからもわかるように、レスラーって表現力、才能がある。棚橋さんもそうですし、皆さんそういう才能をお持ちだと思うんで、いろいろ仕掛けていきたいなと。もちろんプロレスが本業なんで、試合のお邪魔にならない程度が前提ですけど」
木谷「WWEを意識したくないんですけど、どうしても比較せざるを得ないんで。やっぱり、ロックがいてブロック・レスナーがいるのが、僕はWWEの強さだと思うんです。その両面を攻めていきたい」
−−新日本プロレスには第三世代をはじめ、年齢層の高い選手も多くいます。彼らの次なる道を開く意味合いもあるんでしょうか?
木谷「あります。この世界だけではないと思ってますけど、キャラクターが豊富ですから人によっては。例えば永田選手は今、『ブシロードクラブ』の面倒を見てくれてますし。それぞれのキャラクター、これからやりたいことを含めて、芸能の道に合ってる人がいたら、どんどんお願いしたい」
−−棚橋選手は今回の業務提携でどのような目標を?
棚橋「有名になりたいですね。これでさらにチャンスが巡ってきました!」
木谷「去年は本を書いたんで、作家としては新刊を出したら結構いくんじゃないですか(笑)」