■2015年の棚橋戦は、かなり勝負を賭けていたというか。自分でも「今年こそは!」と思ってたんですよ
——さて、オカダさん、いよいよ1.4東京ドーム大会が目前に迫ってきました。ただ、じつはオカダさんって1.4東京ドーム大会にあまりいい思い出がないですよね。
オカダ そうですね。たしかに東京ドームって、自分的には1回もいい思いはしたいことない場所なんですよ。
——振り返ってみると、2012年に凱旋帰国して、棚橋選手に最初に対戦表明したのも東京ドームでしたし。
オカダ そうですね。そのあとのことも全部覚えてますよ。2012年、東京ドームに凱旋して挑戦表明したら大ブーイングされて。で、2013年の東京ドームは棚橋さんに挑戦して負けて、大「棚橋」コールが起きて。で、2014年は、チャンピオンとしてタイトルマッチのハズが、ファン投票の結果、セミファイナルになってしまったり……。
——ファン投票、ありましたねえ。
オカダ で、2015年は、またもや棚橋さんにIWGP挑戦して負けるという、ホントに気持ちいい思いをしたことがないというか。「カネの雨が降らない」東京ドームがずっと続いてるなと。
——12.19後楽園大会で、オカダ選手の口から、「もう恥はかきたくねーんだ」という言葉を初めて聞きました。やっぱり、2015年の東京ドーム大会は相当なトラウマになってますか?
オカダ やっぱり2015年は、自分でもかなり勝負を賭けていたというか。自分の中でも「今年こそ!」と思っていて。その結果、「やっぱり勝てなかったか……」っていう部分がありましたから。あと「泣いた」「泣いてない」とか言われますけども、それよりも、「東京ドームで二度と恥はかきたくない」という気持ちが強いですね。マイクのままですけど。
——「泣いた」「泣いてない」問題……。すみません、自分にはハッキリ泣いているように見えましたが。
オカダ ハハハハハ! いや、ボクは泣いてないっすよ。ただ、今回はそんなことも言われないぐらい、2016年の東京ドームこそは完璧に勝って、今度こそいい思い出を作りたいなと。
——今回こそ棚橋選手に勝つことが必須ですが、かつての棚橋選手と、今の棚橋選手の印象は違いますか?
オカダ う〜ん。そうですね。まあ、やっぱり対戦相手としては正直、強いですよ。強いからこそ、たくさん回数もやってますし。強い相手だからこそ、こうやってボクの前に何度も立つんだとも思います。でもね、試合は何回もやってますけど、正直、何も変わってないっすね。
——あ、棚橋弘至自体は、何も変わっていない?
オカダ ハイ。闘ってる時には「今回は、何か変ってるかな?」と思っても、やっぱり何も変わってない。それは向こうも同じなんじゃないかなとも思いますけど。まあ、新しい技とかは若干出るかもしれないけど、結局のところ「何も変わってないな」とは思いますね。
■棚橋さんに対しては、正直こっちも「いつまでも上から見てんじゃねーよ」と思ってました
——かつては“ライバル”とか、“世代闘争”といった表現もされてきましたが、お二人の関係はそこを超越してるように感じます。
オカダ たしかにいろいろ言われましたけど……。なんかね、歳は違いますけど、気持ち的にはたぶん同世代なんですよ。だって、同じ時代でこんだけ闘ってるわけですから。
——なるほど。年齢関係なく、同じ時代で闘っていれば、“同世代”ですか。
オカダ もう棚橋さんとは「世代どうこうの問題じゃないな」と思いますし。12.19後楽園のマイクでもやり合いましたけど、むしろ「これからの新日本プロレスを誰が引っ張っていくか?」の部分ですよね。そこもホントは、とっくに決めてなきゃいけないことですけど。
——もちろん自分が引っ張るということですよね。
オカダ ええ。ボクじゃなきゃいけなかったんですけど、東京ドームという決定的な舞台で勝てなかった歴史がありますから。ただ、いまこうやってプロレスが盛り上がってきてるんで、「ボクが新日本プロレスを、ボクのやり方で、上にもっていきたいな」とは思いますけどね。
——「ボクのやり方」というのは?
オカダ まあ、棚橋さんには棚橋さんのやり方があって、いろんな人にプロレス見てもらって、知ってもらうってやり方かもしれない。ボクはリング上の試合をシッカリやって見てもらうことしか頭にはないですね。どこかで変わるかもしれないですけど。まあ、ボクはボクなりのやり方で、もっと新日本プロレスを上にもっていきたいです。
——今回の棚橋選手は、昨年11.7大阪大会での襲撃であったり、いままで違う非常に積極的な印象がありますが。
オカダ ただ、その11.7大阪に関しては、個人的には「楽しかった」ですね(ニヤリ)。棚橋さんと何回もやってますけど、ああいう生の感情は見せてくれないタイプというか。正直こっちも「いつまでも上から見てんじゃねーよ」って思ってましたし。
——ああ、いつまで上から目線なんだよと。
オカダ ハイ。だから、ああいう感情ありきで来てくれて、正直うれしかったっすね。ボクも「感情を出さない」とも言われますけど、じつは棚橋さんもあんまり喜怒哀楽の“怒”は出さないタイプだと思いますし。出したからこそ、また楽しくなったなと。
——オカダ選手も「棚橋ぃ!」「テメー、コノヤロー!」と怒ってましたよね。
オカダ いやいや、ボクは全然キレてないですよ。フフフ。
■ボクは棚橋さんを“エース”だと思ってないし、「そもそも“エース”ってなんなんだ?」と
——棚橋選手があそこまで喰ってかかったのはなぜだと思いますか?
オカダ なんでですかね? まあ、焦りもあると思いますし。あとボクが権利証(ブリーフケース)を蹴った。そこには『G1』覇者の誇りもあると思いますし。……ただね、ボクは“エース”って肩書がほしいわけじゃない。やっぱ「チャンピオンがトップ」ってのが一番わかりやすいじゃないですか。チャンピオンのほかに“エース”がいるからややこしいんです。
——では、オカダ選手はその“エース”をどうしたいですか?
オカダ まあ、“エース”の肩書はいらないですけど、その“エース”を完全に倒して、「やっぱりチャンピオンが一番なんだ」っていう部分を満天下に示したいですね。
——棚橋選手も10月の両国大会で、「エース、チャンピオン」みたいなやりとりが、「めんどくせえ」とおっしゃってました。
オカダ フフフ。まあ、そもそもボクは「棚橋さんを“エース”だと思ってない」というか「そもそもエースってなんなんだ?」とも思いますし。
——本来、エースっていうのは存在しない役職ですよね。棚橋さんの自己発信というか。
オカダ だから、「そんなに“エース”と言いたいんだったら、チャンピオンになればいいじゃん」と思いますよ。まあ、「なれるもんだったら、なってみろ」とも思いますけど(ギロリ)。
——よくわかりました。では改めて、1.4東京ドーム大会に向けての意気込みをお願いします。
オカダ そうっすね。やっぱり東京ドームっていう場所は、いまだにボクがメインで勝って、カネの雨が降ってないところですから。「ただカネの降らせるだけじゃなく、シッカリとドシャ降りにしたいな」と。
——棚橋弘至を完全に倒して、ドシャ降りにしますか?
オカダ ええ。2015年にボクに恥をかかしてくれましたし。まあ、2015年の『G1』覇者ですから。まあ、いままでどうしても東京ドームで棚橋さんを倒せなかった、最後に花道を歩いて帰れなかった。今回は、その2つをやっと同時に達成できますから、棚橋さんをキッチリと沈めて、2016年のイッテンヨンはカネの雨、ドシャ降りしますんで。皆さんもそのつもりで東京ドームに来てください(ニヤリ)。