■傍若無人な振る舞いをさせてしまった責任も感じてます。それを東京ドームで断ち切りたい!
——さて、KUSHIDAさん。いよいよ1.4東京ドーム大会が目前に迫ってきましたが、今年はいつものこの時期と気持ちが違いますか?
KUSHIDA そうですね。今回はプロレスキャリアにして初めて東京ドームのリングでシングルマッチができるということで、『BEST OF THE SUPER Jr.』前の独特な緊張感みたいな、浮いた感情を抱いてますね。
——『SUPER Jr.』の決勝前みたいな感じですかね?
KUSHIDA そうですね。決勝を迎える前というか。それぐらいのいつもと違った緊張感があります。
——そして、一方の現・IWGPジュニア王者のケニー・オメガ選手は、去年の11月から新日本プロレスに参戦していますが。
KUSHIDA あれって自らですよね? 自ら希望して新日本プロレスに来たんですよね? そう考えると、いまのケニー・オメガに関して、ボクの中では「いったい何がやりたいんだ!?」っていう気持ちが強いですよ。
——では、この1年のケニー選手の立ち振る舞いについて、どう思いますか?
KUSHIDA 傍若無人。好きなようにされたっていう部分では、怒りがMAXまで来てますね。「『SUPER Jr.』は出ない」と勝手に不出場を表明したり。タイトルマッチにヘビー級の選手を介入させたり。
——9月の岡山大会のIWGPジュニア選手権ですね。
KUSHIDA あれが一番許せなかったです。レフェリーが見てない中での反則はプロレスの範疇とはいえね。しかもヤングバックスではなく、ヘビー級の選手を使って。傍若無人な振る舞いをさせてしまったのは、責任を感じてます。この流れを今回の東京ドームで断ち切りたい。
■BULLET CLUBが介入してくるかどうかわかりませんけど、「なにかしら手は打とうかな?」と
——タイトル戦が決まったときの記者会見では「IWGP ジュニアのブランドを守りたい」という発言もありましたが。
KUSHIDA そうですね。あと、傍若無人な振る舞いの一つに、“ケニーは地方興行に参加しない”だから“前哨戦ができない”っていうのもあって。
——地方はとくに試合数は少なかったですよね。
KUSHIDA ハイ。だから「何? 新日本プロレスのベルトを持ってるのに、なんで出ないの?」と。そもそもチャンピオンというのは、「獲ってから何をするか?」が一番大事じゃないですか?
——ですね。チャンピオン不参加で前哨戦のないまま、KUSHIDA選手は年末のシリーズで日本全国を回ったのは、屈辱というか。
KUSHIDA それでも、ファンの後押しというか、「必ず獲ってくれ!」と背中を押してくれる期待感はビンビン感じましたんで、「1人じゃないな」と。1人で闘うとはいえ、ボクには応援してくれるファンがいる。東京ドームでは数万人の後押しがありますんで、たとえ向こうが複数で来たとしても、それを跳ね除けたいと思っています。
——あくまで1人だけで闘うと?
KUSHIDA BULLET CLUBが介入してくるかどうかわかりませんけど、これはタイトルマッチなんで、リング上は1対1というシチュエーションを作らなければいけない。そのために「なにかしら手は打とうかな?」と思っています。
——おっ、そうですか?
KUSHIDA ハイ。まあ、具体的には名前は言えないですけど……。まあ“協力者”というかね。アイツらの介入を防いでくれる選手に、お願いするということも、ちょっと考えてますよ(意味深な表情で)。
——それは、アレックス・シェリーとかキャプテン・ニュージャパンの可能性もある?
KUSHIDA フフフ。そのへんは、東京ドームを見てくれれば、わかりますよ(ニヤリ)。
——介入を防いで、クリーンな決着にこだわりたいと。
KUSHIDA ハイ。1月4日東京ドームでベルトを獲って、9月岡山で失速してしまったジュニアの続き。ボクが新日本ジュニアを、新日本プロレスという家の柱のひとつにしてみせますよ。
——逆に言えば、それをできるだけの手応えもある?
KUSHIDA そうですね。やっぱり一番はライバルに恵まれているじゃないですか。ベルトを獲った瞬間から、挑戦希望者があとを絶たない状況というか。カイル・オライリーだったり、マット・サイダルだったり、負けっぱなしの選手もたくさんいるし。
——タッグパートナーのアレックス・シェリーとの試合も『SUPER Jr.』で実現しませんでしたし。
KUSHIDA ハイ。田口隆祐にもボクは1回も勝ったことがない。獣神サンダー・ライガーとも、しかるべき場所、しかるべき日時でやりたいと思っていますし。
——ここでベルトを獲れば、挑戦者の行列ができるということですね。
KUSHIDA そうそう。“行列ができるチャンピオンベルト”にしてみせますよ。東京ドームはほぼ全部がタイトルマッチなわけじゃないですか? このスペシャル感の中で、ベストバウト的に試合内容で突き抜けるのは至難の技ですけど、新日本プロレスジュニアは2016年、もの凄く可能性を秘めてると思いますね。その可能性をボクが握ってますよ。そういう闘いをします、ドームで。
——ケニー選手は強敵ですが、介入以外で選手として警戒する点は?
KUSHIDA やっぱりセオリーにない破天荒な動きですかね。ボクの攻撃は、腕攻めだったりとか、理詰めでプロレスをしていきますけど、ケニーの場合、想像がつかない動きだったり、奇想天外な技を仕掛けてきますんで。そういう部分で受け身も取らなきゃいけないし。
——ノーモーションの技も多いですね。
KUSHIDA ハイ。しかも強烈な打撃もあると。そういう部分ではちょっと恐い部分がありますね。東京ドームっていうことで、“東京ドーム級の奇想天外なモノ”を持ってくる可能性もある。「それに対応しなくちゃいけないな」と。あとは新日本に来て、ケニーがまだ覚醒してないじゃないですか? 誰に対してもリミッターを外してない。
——たしかにBULLET CLUBの構成員に準じている気はしますね。
KUSHIDA だから「オマエ、なにしにこのリングにいるんだ?」っていう部分を含め、ケニーを覚醒させたい。その潜在能力も全部出してきたら、もしかしたら敵わないかもしれないけど……。
——その代わり、覚醒させてしまったら、自分自身も危ないということですね。
KUSHIDA そんな感じです。ただ、いまのジュニアでやらなきゃいけないのは、そういうことだと思います。中邑、棚橋、オカダ、彼らのタイトルマッチが並ぶほかの試合に対してね。加えて言えば、今回は内容も伴いつつ、勝たないと2015年と同じになってしまうので。ボクが勝つことが最低条件。もう逆転勝利でもいいから、キッチリとケニー・オメガの腕を取りますよ、必ず(ギロリ)。
——最後にケニー・オメガ選手へ言うことはありますか?
KUSHIDA 別にないですね。まぁ、チャンピオンの本当の姿を引き出すしてやりますよ。
——普通はチャンピオンが挑戦者の良さを引き出すものですけど。
KUSHIDA フフフ。ただ、新日本ではまだ出し切れてない、ケニーの力を引き出したいですね。その上で、タップを奪って完全勝利。それでようやく年が明けるということですね。東京ドームで新日本ジュニア、2016年の幕が上がりますよ。期待してください!