12月23日(木・祝)、東京・大田区総合体育館で『プロレスリング・ノア 旗揚げ15周年記念大会 DESTINY 2015』が行なわれ、3210人(超満員)を動員。鈴木軍の面々とノアの精鋭たちによるGHC4大選手権をはじめ、激闘が続出した。
■ついに丸藤がGHC王座奪還! しかし試合後、杉浦が鈴木軍入り! 丸藤は潮崎との握手を拒否!
メインイベントのGHCヘビー級選手権試合では、鈴木軍大将の鈴木みのるに丸藤正道が挑戦。鈴木は今年3月に丸藤から同王座を奪取すると、5月のリマッチでも完勝。しかし、丸藤は『グローバル・リーグ戦2015』に優勝し、ノアの至宝奪還に向けて三度目の挑戦にこぎつけた。試合前には立会人として、小橋建太さんがGHC選手権の認定証の代読を務めた。
ゴングが鳴っても互いに牽制し合う両者。手四つで組み合うとリストの取り合いから、鈴木がヘッドロックで捕獲。すかさず丸藤も切り返し、両者共にグラウンドで素早い動きを見せると、場内からは拍手が起こる。続いて両者は互いの胸板にチョップと張り手を連発。競り勝った丸藤は場外に鈴木を落とすと、助走をつけてプランチャを敢行。
その後も丸藤は逆水平チョップで快音を響かせる。しかし、鈴木はスキをついてぶら下がり式の腕ひしぎ十字固めを繰り出すと、さらにロープを使った卍固めを披露し、そのまま場外戦へ。鈴木は鉄柵を使って丸藤の右ヒジを攻撃すると、さらにコードでチョーク攻撃。
リングに戻ると、鈴木は丸藤の右腕に集中砲火。そして、挑発しながら丸藤の胸板に張り手を連発し、背中にもサッカーボールキック。さらにグラウンドで右ヒジを絞めあげていく。劣勢の丸藤だったが、ドロップキック、さらにロープを立体的に使った三角飛び式のムーンサルトアタックを敢行。
だが、鈴木のインサイドワークの前に攻撃は単発で終わってしまう。気合いと共に放った逆水平も、鈴木が腕ひしぎ十字で捕獲。そして丸藤がロープエスケープしても、鈴木はその手を離さず。箱舟の舵取り役のピンチに、場内からは丸藤コールが起こる。
丸藤は場外に一旦回避するも、鈴木は追いかけて右腕を攻撃。だが、丸藤もエプロンサイドに飛び乗ってのラリアット、さらに鈴木がリングに戻るタイミングでスワンダイブのドロップキックを放って反撃開始。丸藤は鈴木にラリアットを叩きこむと、不知火・改を狙う。
これは鈴木に逃げられてしまうが、続く攻防では、鈴木のチョークスリーパーを交わしてトラースキックを叩きこんでダウンを奪う。そして、ブレーンバスターの体勢から前方に投げてトラースキックを見舞い、すかさずロープに走るが、鈴木もこれを追いかけてドロップキックをヒット。
鈴木は再びチョークスリーパーの体勢に入り、逆落としからグラウンドでスリーパーへ。これは丸藤が死に物狂いでロープエスケープ。すると、鈴木は激しい打撃のコンビネーションからスリーパーに繋ぎ、そこからゴッチ式パイルドライバーの体勢へ。だが、丸藤はリバースすると虎王を二連発。
ここでKESがエプロンサイドに姿を現すが、丸藤はドロップキックで迎撃。さらにヨネと中嶋がKESを阻止。丸藤は鈴木に対して虎王から不知火・改。これがカウント2で返されるとポール・シフトの体勢に入るが、しぶとい鈴木は切り返してスリーパーへ。しかし、丸藤はゴッチ式ツームストンパイルドライバーを、シットダウンのかたちで敢行。そして虎王の連発で鈴木の動きを止めると、最後は変形タイガーフロウジョンでピンフォール。鈴木が王座防衛に失敗し、丸藤がノアの至宝の奪還に成功した。
試合後の勝利者インタビューで、丸藤は「ようやく取り戻せました。ここにいる人、俺たちについてきてくれたみなさんのお陰です。ありがとう! いままでのプロレスラー人生で一番心が折れそうになった。でも、こんなにたくさんの人が俺に期待してくれて。もう、俺は負けない。散々だったこの2015年、これも運命。2016年はもっと明るい運命だ、よろしく!」とコメント。
すると、丸藤に対して、杉浦がオリンピック予選スラムを敢行! すかさず潮崎がリングインすると、杉浦は花道を下がって、なんと鈴木と握手。その場で鈴木軍のTシャツを着て、軍団入りを表明した。
その光景を見た潮崎は、マイクを握ると「ノアの力になりたい! そのためにこのリングに戻ってきました! 丸藤さん!」と握手を要求。しかし、丸藤はその手を叩き、首を横に振って共闘を拒否。それを見た潮崎は頭を下げて退場。
再び丸藤はマイクを握ると、「潮崎、まだ、まだだ。杉浦! 何がしたい? 鈴木軍! 俺がこのベルトを持っているかぎり、すべて俺に任せろ! 今日はヘビーのタッグ、取り戻せなかったけど、この瞬間だけは俺に時間をくれ。ノアは今年で15年。旗揚げしたときとはまるでメンバーが違う。でも、今日の戦いを見てわかっただろ? 俺はこれからもこのベルトを守りぬきます。この最高の空間を作ってくれてありがとう! 今日、このリングで戦いをしたレスラーに大きな拍手を! スタッフのかたにも大きな拍手をお願いします! そして、ここに来たひとりひとり、どうもありがとう! 2016年、ノアはいいかたちでみんなを裏切ります。今日はありがとうございました!」と感謝の言葉と共に、年内最後のビッグマッチを締めくくった。
●丸藤正道のコメント
——まず、杉浦選手の動きにビックリしたんですが?
丸藤「何がしたい? ベルトがほしいのはわかる。でも、そっちか? まだ、わからない。何がしたいのか」
——何か杉浦選手に変わった点はあった?
丸藤「試合前だって、アイツは俺に『がんばってくれ』と言ったんだ。セコンドだって付いてただろ? なあ? わかんない……」
——もし正式に鈴木軍入りとなったら、どうしますか?
丸藤「清算するしかないだろ? 終わらせるハズだった。鈴木軍……。TO BE CONTINUEDになっちまった。タッグも取れてないし。その点に関しては、申し訳ない。でも! いまの俺は、誰にも負ける気がしないし。もう一度、鈴木が来るならもっといいかたちで叩きのめすし。杉浦が来るなら、一発目にやったっていいよ。でも、彼のホントの真意がわからない。まだ……」
——そして、潮崎豪選手に関しては、握手に応えなかった、ということでいいですね。
丸藤「俺の心はハッキリ言って、NOだ。でも、お客さんが、お客さん全員が、アイツをウェルカムだったら、俺はもしかしたら手を握ったかもしれない。でも、聞いてわかるだろ? 見てわかるだろ? まだ、アイツには何かが足りない……」
——と、いうことはこの先の可能性としてはどうですか?
丸藤「ま、アイツもいいキャリアだろ? 自分で可能性広げてくれ。ウン。アイツを持ち上げるつもりもないし。その覚悟でこのリングに戻ってきたんだろ? 直接、この言葉は言わないけど。このコメントを読め、読んで感じ取れ。お客さんの声を聴け、耳にしろ。感じとれ。それがリアルな気持ちだ」
——潮崎さんを最終的に認めることがあるとすれば?
丸藤「……お客さんの声じゃないか? ウン。俺はそれがすべてだと思っているから。この1年間、やっぱり最初は応援してくれてたお客さんがだんだん俺に、俺たちに失望して、諦め始めた。それでもギリギリのところで応援してくれた。今年、1年、ホントに俺はお客さんの声がすべてだったから、まだ、すべてを取り返したわけじゃないし、だから、自分で切り開いてくれ」
——ノアとしても、本当に暗黒の時代が続いてきて、ここでベルトが戻ってきて。あとはGHCタッグですか?
丸藤「あと、じゃないな。まだ、今日のお客さんの中でもまだ納得していないお客さんもいるだろう。なんなら俺は鈴木軍のファンたちさえもコッチに引き入れたかった。でも、それは叶っていないと思うし。ベルトだけがすべてじゃないというのは俺自身もわかってるし。この1年間、見てきた人たちもわかっていると思うんで。それは俺だけがやることじゃなくて、これからまた2016年、プロレスリング・ノア全員で。それはレスラーだけじゃなくて。スタッフもそうだ。中にはいるだろう。まだまだやれることをやってない人間が。俺らもそうだ。ウン。だから、そういうことがシッカリできたとき、お客さんのすべてが声が一つになると思うんで。そんときこそが、すべてを取り戻したときだと思う」
——具体的には、来年、その求めるものはイメージとしてできている?
丸藤「そうだな……。身体の大きさもキャリアも年齢も人間も、歴史も違うけれど、やはり偉大な先輩たちが築いてきたような、お客さんやファンの皆さんが、コイツらなら任せられるというプロレス団体。そういうものにシッカリ築き上げて。俺たちがそうだったように、若い人間がこのノアという団体で、プロレスラーになりたい、プロレスをしたい。そういう気持ちになれるような、そんな2016年を作っていきたい」
——あらためて、ベルト戻ってきましたね。
丸藤「ウン。これが戻って来ないと、何も始まらなかったし。戻って来なかったら、すべてが終わってたんで。ウン。でも、さっきも言ったように、タッグのベルトもあるし。それに関してはヨネ、中嶋。今日と言う日、2016年から、全員が一皮剥けるチャンスだと思うんだよ。若い人間も、それこそもしかしたら若干諦めかけていた人間も。一皮剥けるチャンスだと思う。『俺が俺が』の気持ちで行こう、全員で。そうすれば、必ずノアは……復活する!」
●鈴木みのる&杉浦貴のコメント
※鈴木と杉浦が一緒にバックステージに引き上げて来る
——杉浦さん、どういうことなんですか?
杉浦「知らねーよ」
※杉浦は鈴木を置いて、先に控室へ
——鈴木さん、これはすべて狙いどおりだったんですか?
鈴木「アーハハハハハハハ! ハァハァ……。オイ、勝ったから終わると思うなよ? オイ、オイ……。てめーらの悪夢はまだまだ続くんだ。アハハハハ。勝ったから、終わりなんて言わせねえ。言っただろ? 跡形もなく、消し飛ばしてやる……!」
TAKA「オイ、鈴木軍ジュニアもな、終わってねーからな、まだな! ハハハハハ!」
■“GHCジュニア王者”タイチが石森に敗れて、王座陥落…!!
第8試合ではGHCジュニアヘビー級王者のタイチが5度目の防衛戦として、石森太二を迎え撃った。試合前には王者の意向を汲んだ特別ルールとして、「石森が負けた場合は髪型をモヒカンにし、サングラスをかけ火炎放射器を持ち、タイチに下浪として仕え、さらにはタイチの指定するリングネームに変更する」ことが発表された。タイチは妖艶なエスコートガールと共に入場。そして、リング上で延々とパフォーマンスを繰り広げ、場内からはブーイングと「帰れ」コールが巻き起こる。
開始のゴングが鳴っても、タイチは石森をじらすようにリングサイドのエスコートガールのところまで足を運んで抱擁。リングに戻ると、石森がコルバタでタイチを場外に吹き飛ばす。そしてそれを追いかけるも、タイチはイスで迎撃。そして、エスコートガールにも石森に対してビンタをさせる。リングに戻ると、タイチは石森の顔面を踏みつけながら逆片エビ固め。そして場内のブーイングを煽り、アックスボンバーを連発。だが、3発目を交わした石森はタイチに飛びついて旋回式のDDT。さらにエムエックス。ここでタイチが場外に逃げると、ノータッチでトップロープを飛び越え、ケブラーダのように身体を浴びせる大技を披露。
戦場をリングに戻すと、石森はエルボーを連発。しかし、タイチは「効かねえぞ?」と挑発し、キックを連発。だが、石森もその足を捕らえてドラゴンスクリュー。そして細かい技の応酬からトラ—スキックを叩きこみ、さらにスワントーンボムを狙うが、これはタイチがヒザで迎撃。さらにタイチは顔面にキックを叩きこむが、石森もアクロバティックなキックで反撃すると、タイチを抱え上げて風無双。そしてトップコーナーからダイビングヘッドバットを見舞うが、ここで鈴木軍が乱入。
このスキをついてタイチはブラックメフィスト。さらにベルト攻撃を狙うが、これはレフェリーが阻止。
しかし、タイチは強烈なトラースキック、ラストライドと畳掛けるが、石森はカウント3を許さず。するとタイチはフィニッシュポーズを見せ、ブラックメフィストの体勢に入るが、石森はカナディアンデストロイヤーのように脳天を叩きつける。そして、アサイDDTのようにタイチの後頭部を叩きつけるが、これはカウント2。ならばと石森はタイチの背中にスワンダイブの450°スプラッシュ。そして最後は正調の450°スプラッシュに繋いで3カウントを奪取。タイチが防衛に失敗、石森がベルト奪取に成功した。
●タイチのコメント
※通路に倒れこむ。その傍らにはエスコートガール(あべみほさん)が。
タイチ「効かぬ! 媚びぬ! 省みぬ……! 」
——今回、ノアの選手は違うところがありましたか?
タイチ「聖帝の夢はついえたか……。最後に、おまえらに聞きたい。あんなベルト、持ってたって何にもならねえ。それなのに、なぜ、それを背負おうと、必死でやってくる? なあ? なぜ、それを背負おうとする?」
——タイチさんもベルトのぬくもりが忘れられなんじゃないですか?
タイチ「ぬくもり……、をもう一度……!」
※あべみほさんの膝に顔を埋めながら。
タイチ「帰れ……帰れ! もうしゃべることはねえ」
■BIG in USA大攻勢もK.E.SがGHCタッグ王座死守! 試合後は、ヨネ&中嶋が挑戦表明!
セミファイナルではGHCタッグ王者のランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.のKESが、クリス・ヒーロー&コルト“Boom Boom”カバナの“BIG in USA”を相手に5度目の防衛戦。試合はゴングを待たずに挑戦者組が急襲、スミスにトレイン攻撃を仕掛ける。その勢いのまま、カバナは場外のKES目掛けてラ・ケブラーダを敢行し、場内をどよめかせる。リング上に戻ると、ヒーローがアーチャーにパンチを連発。そして軽快な動きを見せるが、アーチャーはそれを捕らえるとハイアングルのチョークスラム。さらにヒーローの片手を持ちながらロープの綱渡りを披露。両チームとも巨体に似合わない軽快な動きで場内を沸かす。
KESはヒーローに的を絞ると、素早いタッチワークを駆使して攻撃。スミスがヒーローをハイキックからサソリ固めで捕らえると、アーチャーもカットに入ってきたカバナを同じくサソリ固めにきって取る。そして、アーチャーは場外からイスを持ちだしてコーナーに固定すると、ヒーローに串刺しスピアーを狙うが、これは避けられて自爆。そしてヒーローはスミスにも回転エルボーをお見舞いし、カバナとタッチ。
カバナはスミスにパンチの連発からBOOM BOOMショット。だが、スミスもキャプチュードで反撃。続いてアーチャーが入るも、挑戦者組はBOOM BOOMショットとローリングエルボーの合体攻撃。ここでカバナはエルボーの連発からロープに走るが、待っていたのはアーチャーのビッグブーツ。そして、アーチャーはムーンサルトプレスを狙うが、これはカバナがシカゴスカイライン。だが、KESも負けじとキラーボムをお見舞いするが、ヒーローがカット。両軍、一進一退の攻防を展開する。
リング上、ヒーローはローリングエルボーからアーチャーをカバーするもカウント2。ならばと、ヒーローはハングマンズエルボー。だが、スミスがカットに入り、KESはヒーローに振り子式のダブルインパクト。さらにキラーボムを狙うが、これはカバナが阻止。そしてKESにヒップアタックを放つが、アーチャーにフルネルソンに捕らえられ、キラーボムの餌食に。続いてKESはヒーローにもキラーボムを見舞うが、これはカウント3寸前でキックアウト。だが、挑戦者組の奮闘のここまで。最後はKESがパワーボムとダイビングボディプレスの合体技でヒーローを沈め、ベルト防衛に成功。試合後、モハメド・ヨネ&中島勝彦が現れ、KESに対して挑戦をアピールした。
●アーチャー&スミスのコメント
スミス「ようようよう、どうだ? 俺たちはまた今夜もやってみせたぞ? この2015年、俺たちはタッグチャンピオンとして乗り切った。そして、俺たちは、引き続き、GHCタッグチャンピオンだ。今夜のイベントタイトルは『DESTTINY』だろ? 今夜、俺たちはBIG in USAをキッチリと破壊した! ノアよ、これがおまえらの『DESTTINY』なんだ。いいか? K.E.S、スズキグンはこれからもノアを支配し続けてやる!そうだろ、ランス?」
ランス「ヘッヘッへ。BIG in USA……おまえらは重大なミステイクを犯したのさ。俺たちは、今宵もシッカリと“キラータイム”を見せつけてやった。ノアよ、おまえらは俺たちからGHCタイトルを奪うことができるのか? K.E.Sはすべてのタッグチームを下してきた。TMDK、ダンガンヤンキース、BIG in USA、WAR MACHINE! そして再び、BIG in USA! ヨネ&ナカジマ、おまえたちは本当に覚悟があるのか? 何が起こってもしらないぞ? 俺たちはGHCタッグチャンピオン、K.E.S、誰も俺たちを止めることはできないんだ! 」
★原田&小峠がTAKA&デスぺラードに王座防衛! 潮崎は谷口に激勝!【12.23ノア大田区結果2】
■12月23日(水)プロレスリング・ノア旗揚げ15周年記念大会
「DESTINY 2015」大田区総合体育館
第8試合 GHCジュニアヘビー級選手権試合
○石森太二(17分55秒 450°スプラッシュ→エビ固め)タイチ×
※石森太二が第30代チャンピオンに)
第9試合 GHCタッグ選手権試合 60分1本勝負
○ランス・アーチャー&デイビーボーイ・スミスJr.
(17分49秒 ダブルインパクト式キラーボム→片エビ固め)
コルト“Boom Boom”カバナ&クリス・ヒーロー×
※アーチャー&スミスJr.組の5度目の防衛に成功。
第10試合 GHCヘビー級選手権試合 60分1本勝負
○丸藤正道(34分00秒 変型タイガーフロウジョン→エビ固め)鈴木みのる×