■最初は、あまりの手ごたえの“なさ過ぎ”に逆に驚愕したよね
——さて、鈴木選手。今回の相手、桜庭選手が眼中に入ってきたのは、いつ頃ですか?
鈴木 う〜ん。新日本プロレスに来たのはもちろん知ってたし、ずっと気にはなってたけど。だから、意外にアイツがやった試合は見てるし。永田裕志とやったり、グレイシー(ダニエル&ホーレス)とやった試合は見てる。
——桜庭選手とのカードが組まれるようになったのは、6月の『DOMINION』からでした。その時点での桜庭選手に対する気持ちは? “お手並み拝見”という感じでした?
鈴木 いや、“お手並み拝見”っていうのはなかったね。とくにはないけど、新日本に来てるうちに、「必ず俺とリング上で会うことになるだろうな」っていうのは、桜庭が新日本に来たときから思ってた。
——実際に闘ってみて、手ごたえは感じました?
鈴木 手ごたえ? 最初は、あまりの手ごたえの“なさ過ぎ”に逆に驚愕したよね(ニヤリ)。
——手ごたえの“なさ過ぎ”ですか。
鈴木 桜庭に対して、「ホントにこれでいいのか?」っていう気持ちがドンドン強くなったね。
——鈴木選手は、「このリングでどのように存在価値を印象付けるか」という闘いをしてきたと思いますが、桜庭選手からはそういう気持ちは感じられなかった?
鈴木 いや、それは人それぞれあるんじゃないの? まぁ、それは性格の問題なんだろうね。だからアイツは、プロレスファンから支持されないんだろうね。だからと言って「存在価値がない」っていうわけじゃないんだよ。
——そこはまた別の方法というか。
鈴木 桜庭はプロレスファンに伝わりづらい方法で、俺は伝わりやすい方法だったっていうだけで。それと「存在価値がない」っていうのとは、また別の問題。
■丸め込んでも勝ち。だけど、それが「桜庭が俺とやる意味なのか?」と
——11月の大阪大会では、鈴木選手が丸め込みで3カウントを奪われました。鈴木選手の中に“丸め込んでの勝利”は認めがたい?
鈴木 いや、あるよ。俺もそういう技、持ってるよ。でも、もちろん丸め込んで3カウントも勝ちなんだけど、それが「桜庭が俺とやる意味なのか?」っていう気がするんだよ。
——なるほど。大阪の結果を踏まえて、鈴木選手から1対1で勝負しようとアピールしました。
鈴木 まぁ、やっぱやるならシングルマッチでしょ。ずっと矢野(通)絡みのマッチメークだったし、そのあたりで矢野の目が飯塚に向き出してたし。それも大きかったね。
——そして新日本プロレス流の完全決着ルール(3カウントフォール、場外カウントなし。決着はKO、TKO、ギブアップ、レフェリーストップのみ)が採用されました。
鈴木 ん? まぁ、別にルールはどうでもいいよ。
——ルールを逆利用することもできますが。延々と場外戦を続けるとか……。
鈴木 それはそれでいいんじゃないの? 利用するんなら利用してもらってもいいよ。要は最後に立っていた方が勝ち。どんなルールであっても。ボクシングのルールであっても、相撲のルールであっても、柔道のルールであっても。場外カウントが100であっても1であっても。(3カウント)フォールがあってもなかっても。最後に立ってた方が勝ちっていうのは変わらない。
——桜庭選手が新日本プロレスに参戦して1年3カ月。変わってきた部分は感じてますか?
鈴木 変化した部分? それはあるよ。……まぁ、それがどこまでの深さなのか、どれまでの大きさなのかわからないけど、俺に対して怒ってるね。憎んでるね。それでいいと思う。
■「おまえ、それでいいのか?」って。それが一番の本音かもね
——どちらかというと桜庭選手は感情を表に出さず、飄々としてる印象なんですが。
鈴木 フフフ。たださ、「それが桜庭和志の持ち味なんだ」と本当に見ている人が思うなら、「アナタはプロレスラーとして価値ないですよ」と言ってるのと同じだから。黙って、突っ立ってて、ただ技かけるだけなら、ロボットだってできるもん。ゲームだってできるもん。案山子だってできるし、子供だってできる。そうでしょ?
——そこにプラスアルファとして、どのような感情を盛り込むか。
鈴木 そのプラスアルファの部分がプロレスでは一番大きなものだと思うしね。で、桜庭にそれがなかったわけじゃないんだよ。そういうのを表現してきたから、あれだけ総合(格闘技)の世界で活躍できたんだと思うし。だけど、プロレスとはまたリングが違う。ま、それもわかってるよ。
——もちろんルールも違いますし。
鈴木 俺は桜庭が「世界の桜庭」と言われて活躍してきたのはもちろん見てるし、一緒にいたことはないけど、同じ時代にUWFという(流れを汲む)団体にいたから。
——そんな桜庭選手に、一番言いたいことは?
鈴木 「おまえ、それでいいのか?」って。それが一番の本音かもね。「ホントにこれでいいのか?」って。もし、「これでいい」と思ってるなら、「このまま消えてなくなっちまえ!」っていうのはあるよね。
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