大好評!ゲームデザイナーの野中大三さんによるプロレスコラム!
■『プロ野球カードゲーム ドリームオーダー Presents SAKURA GENESIS 2024』
4月6日(土) 15:30開場 17:00開始 ※FRONTIER ZONEは16時30分開始
東京・両国国技館
★対戦カード情報
★チケット情報
★ロイヤルシート、アリーナA、ボックス席は完売!アリーナB、アリーナCは残りわずか!
■第74回「“同門対決”と“社内競合”」
みなさん、こんにちは!
やってくれましたね、辻陽太選手!『NEW JAPAN CUP 2024』(以下、『NJC』)優勝で新時代の扉を開きました。
話題と勢いは確実にあった新世代と呼ばれる選手たちですが目に見える結果、トップ戦線に食い込んだと呼べる実績はなかなか出ない。厚くて高い先輩の壁が立ちはだかる毎日。
その中での『NJC』優勝。年に一度の春の祭典制覇はトップ戦線に入った証明としては十二分。
遂に時代の変化が目前に迫ってきたようです。
有言実行の『NJC』優勝を成した辻選手の次の目標はこれまた公言している、4.6両国国技館大会での内藤選手超え。この一戦は滅多にない“同門対決”でのタイトル戦となりました。今回はこの同門対決に関してゲーム的に論じていこうと思います。
ゲーム業界って同門対決がしょっちゅう起こっているのです。だからこそ述べましょう、同門対決の闘い方を。
それでは、ゲーム的プロレス論、PUSH START!
■滅多とない同門タイトル戦
IWGP世界ヘビー戦(IWGPヘビー戦)での同門対決と言えば、2018年10月にIWGPヘビー級王者だったケニー・オメガ選手がBULLET CLUB ELITEのCody選手、ゴールデンラヴァーズの飯伏幸太選手との3WAY戦で争ったのが直近となります。
それから時が流れること実に5年半。
1対1となるとどこまで遡ればいいのかわからないくらい実現していません。
それくらい珍しい事態なのです。
ユニット抗争が定着して以来、タイトルを狙う選手はユニットメンバーが支援することになります。つまり、自然と同ユニットの選手はそのタイトル戦線から退きます。
現L・I・Jで言うと内藤選手がIWGP世界ヘビーを狙うなら鷹木選手はNEVERを狙い、高橋ヒロム選手がIWGPジュニアを狙うならBUSHI選手とティタン選手はIWGPジュニアタッグを狙う、といったように同ユニット内でタイトル戦線のすみ分けが発生してきました。
選手個人が狙うのはタイトルホルダーになることで、ユニットは多くのタイトルを持つことで更に勢いを増すことができるので、タイトル毎に選手を分けるのは至極自然なことでした。
その状況下で辻選手が『NJC』を制したことで5年半ぶりの同門対決によるIWGP戦が実現しました。辻選手の成長、躍進があってこそのマッチアップです。
この一戦の注目ポイントは辻選手が内藤選手を超えることができるか否か、の一点に尽きます。
辻選手がここまで勝ち上がってきたのはL・I・Jに加入したことに因るところが大きいのですが、L・I・Jであることにこだわりすぎると内藤選手を超えることは難しくなるでしょう。
この構図はゲーム業界では日常茶飯事と言える“社内競合”になぞらえて分析することができます。
■理想的な社内競合
同門対決をゲーム業界的に例えるなら「社内競合」になります。
同じメーカーから同じジャンルのゲームが出ると社内競合、いわゆる身内戦争勃発です。
すみ分けをすることでユーザーの奪い合いを回避することはできますが、そう簡単にはいきません。
なぜならゲームメーカーには“カラー”があるからです。
任天堂なら全年齢向けタイトル、カプコンならアクション、スクエア・エニックスならRPG、コーエーテクモゲームスなら歴史もの、アトラスならスタイリッシュな世界観。
どのメーカーにもユーザーが期待するカラー、得意とする作風があります。
それはジャンルやテーマ、プラットフォームに関わらず、いろんな要素で発揮されています。
ゲームクリエイターはもちろんヒットを狙います。ヒットさせるためには、社内の戦力に適したゲームを作るべきだし、ユーザーの期待するものに寄せるべき、となります。
となると、似てくるのです。作るゲームがものすごく似てくるのです。
かく言う僕も何度この轍を踏んで苦しんだことか……。
社内資産の成功例を踏襲するとどうしても先行タイトルに似てきます。
あのヒットタイトルはマルチプレイが受けているから次のタイトルにも当然入れるよね?
どうしてあっちはキャラメイクシステムがあるのに、こっちにはないの?
このアイテムメニューは使いやすいので参考にさせてもらおう!
こういう議論をして制作していると、気づいたときに既存タイトルのクローンが出来上がります。
そしてもちろん既存タイトルに勝てず、共存もできない、という残念な結果になってしまいます。
同じものは2ついらない。
これがユーザーの本音です。
そしてゲームメーカーもまた、異なるゲームを出してユーザーに異なる評価を得たり、異なるユーザーを獲得したいと願っています。
とはいえ、同じ場所で作っていると似てしまいます。
開発するスタッフも機材も資料も同じなのでもちろん似ます。
それでも共存できるタイトルを生み出せた前例はあります。
違うけど、どちらもメーカーカラーがしっかり出せているものもあるのです。まさにすみ分け成功事例。
それらの共通点はズバリ、“創作精神の継承”ができている場合です。
ゲームシステムなどの枝葉末節を継承するのではなく、創作に向き合う心構え、ユーザーに与えたいゲーム体験、そして何より成功した未来のイメージ、といった言語化しがたい精神を継承した場合こそ、カラーを踏襲しながらも別タイトルとして共存できるゲームを生み出せるのです。
■辻選手なりのL・I・Jカラーを見せるとき
辻選手が内藤選手を意識していては内藤選手に勝つことはできないでしょう。
なぜなら内藤哲也は一人で十分だし、なにより内藤選手は今もなお、内藤選手らしさを突き詰めているからです。
L・I・Jに加入することで辻選手は強くなりました。突き抜けました。
ここからもう一山超えることがトップレスラーになるための試練となります。
EVIL選手とSANADA選手はL・I・J離脱という選択を取って内藤選手を破りました。
鷹木選手は内藤選手と直接タイトル戦を行わずトップにたどり着きました。
辻選手はL・I・Jのどの先輩とも異なる真っ向勝負でトップに迫ることになります。
ポイントは内藤選手達が磨き上げてきたL・I・Jの精神を継承し、辻選手なりのL・I・Jカラーを見いだせるか、でしょう。
我々が見たことのない辻選手が作り上げるL・I・Jのカラーがリング上に広がれば、そこは辻選手が支配する新時代になることでしょう。
さあ、4.6両国決戦。同門対決を見届ける覚悟はいいか?
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■『プロ野球カードゲーム ドリームオーダー Presents SAKURA GENESIS 2024』
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■野中大三(のなかだいぞう)
dotswreslerアーティスト、コラムニスト
プロレスラーをドット絵で表現するdotswrestlerをTwitterで公開中。
Twitterアカウントはコチラ!
https://twitter.com/daizonnonaka
●新日本プロレスメールマガジンにてコラム「今週の一点集中」連載中
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