いよいよ近づいてきた、1月4日(土)『バディファイトpresents WRESTLE KINGDOM 8 in東京ドーム』。新日本プロレス最大のクライマックスであるこの大会を前に、カウントダウンインタビューを敢行!!
第10回は、中邑真輔と2年4カ月ぶりに激突、IWGPインターコンチネンタル選手権に抗戦する棚橋弘至選手が登場!
■棚橋弘至が2013年を振り返って、漢字一文字で表現したら……?
——さて、棚橋さん。まず、本題の前に一つ、無茶ぶりをしたいんですが。
棚橋 ハイ。なんでしょう?
——よく年末に、その一年を振り返って、漢字一文字で表現するのってあるじゃないですか?
棚橋 あ〜、ハイハイ。ありますね(笑)。
——いきなりですが、その逸材版をやってもらっていいですか?
棚橋 わかりました。そうだなぁ〜(考え込んで)。……じゃあ「別」にします!
——お、2013年の一文字は「別」ですか。なんとなく伝わりますけど、その心は?
棚橋 やっぱり長年、全身全霊を注いできたIWGP王座に「別れ」を告げたっていうね……。そのぐらい2013年は、激動の年でしたから。
——具体的には、10月の両国のオカダ戦で、「負けたら、IWGP戦線から撤退する」という発言がありました。
棚橋 ええ。試合後には「さらばだ、IWGP!」とコメントして。……ファンの方は、「またそのうち戻ってくるだろう」と思ってるかもしれないけど、あそこまで言ってしまった手前、あれだけ試合に懸けていた手前、ちょっと戻る方法がないんですよ(苦笑)。
——そういう苦悩がありましたか。
棚橋 ええ。いまさら、「やっぱりナシで!」と言ったところで、誰も納得しないでしょう? だから、まだモヤモヤはしてますよ。そういう意味で、あの試合が2013年最大の分岐点ではありましたね。
——そうした大きな「別れ」がありつつ、それから1か月後、大阪で現在に至る急展開を見せたわけですね。
棚橋 いや〜、ホントに急展開ですよ! まさか、中邑(真輔)からアプローチがあるってうのはね。
——中邑さんから、指名されたときのお気持ちはいかがだったんですか?
棚橋 あの〜、これは本当に、正直に言いますけどね……。
——ハイ。
棚橋 すっげええ、うれしかったです!(ニッコリ)。
——やっぱりそうですか(笑)。
棚橋 「あの中邑がベルトの価値を上げるために、棚橋を必要とする」というね。それって、中邑の中で棚橋の評価が高くないといけないわけですよ。
——そのとおりですね。
棚橋 でも、この2年ぐらい、まったく無関心というか。おたがいに対し、コメントはまったく出さず……。ただね、じつは2013年のドームの試合後に、ちょろっと中邑の名前を出してたんです。
——ありましたね。引用すると、「ライバルだけど、(今日の)中邑の勝利にパワーはもらったし、棚橋、中邑でいまを作ってきたという自負があるから、これからも新日本を盛り上げていく」と。
棚橋 ええ。それが、この1年後の中邑戦に繋がるってのは、自分も驚きましたし。あの〜、ここ数年って、ずっとメインが棚橋のIWGP、セミが中邑のIWGPインターコンチネンタル(以下、IC)でやってきたじゃないですか。
——ビッグマッチにおける、定番の“型”になりました。
棚橋 俺は、中邑がセミで上げたハードルを毎回クリアしきゃいけないですから。ホント大変なんですよ。いつも「コノヤロ〜」と思いながらね(笑)。しかも、あの男が、また難しそうな敵を毎回キッチリと料理するわけじゃないですか。あの手腕には、うなるしかないですよ。
——デイビーボーイ・スミスJr.やシェルトン・X・ベンジャミンを相手に好勝負を展開するわけですから。
棚橋 俺がオカダと試合するのは、ある程度の予想がつきますけど、それとは意味が違いますから。ただね、そんな中邑が俺には興味ないと思ってたのに、評価があったというのは……正直、驚きでした。
——そもそも、ここまで棚橋vs中邑の歴史というのは、いつも相反する思想があったわけじゃないですか。
棚橋 ええ。絶対にわかり合えない、激しいイデオロギー闘争があったわけですからね。でも、今回はそれが「ない」んですよ。
——そうなんですよね。
棚橋 そこが今回の最大のポイントですよ。これまでは「ストロングスタイルvsその他」みたいな。ボクはずっと、「その他」だったわけですけど(苦笑)。
——この中邑さんの劇的な変化って、どう思われてます?
棚橋 正直に言っていいですか? 「あっ、コッチに来たか」と思いました。
——おお〜、なるほど!
棚橋 まぁ、ボクは中邑のことを「ストロングスタイルの呪い」とかずっと言ってたじゃないですか。あの呪いは、誰かに解いてもらうんじゃなく、自分しか解けないんですよ。だから、ここ数年で、彼も心底苦しみ抜いて、自ら呪いを振りほどいた。そういう見方もできるかもしれない。
——ただ、そうやってスイッチを完全に入れ替えた中邑さんが狂い咲いている。そんな選手が相手というのは……。
棚橋 いや〜、読めないでしょ? だから! だから、今回の東京ドームに関しては、イヤ〜な緊張感がいま、この時点(12月年末)でもあるんですよ。いつもなら対戦相手を飲み込んで消化して、試合のほうに意識が向く時期なんですけど、いまだに対戦相手で止まってますから。
——たしかに棚橋さん的な世界観に、全身全霊で突き進んできている中邑真輔というのは、正直恐ろしいですよね。
棚橋 ええ。だからね、もう完全に“別人”なんですよ。そういう意味で、本当に“初対決”です。中邑は「棚橋のことは、呼吸もリズムも技も全部知ってる」と言ってたけど、俺はまるで別な人と闘ってるような、初めての選手みたいな感覚で……。
——2年4カ月前の神戸の試合も中邑さんが、いまのスタイルに移行する途中だったとは思いますがそのときとも違う?
棚橋 いや、全然違いますね。振り切り方がまったく違いますよ。まさしくレベルが違います。
——なるほど。おそらくファンは今回の中邑vs棚橋戦を、“あの名勝負が再び”という認識の人が多いと思うんですよ。でも、お話を聞いているとだいぶ様相が違うというか。
棚橋 ウン。もっともっと不安要素があったり、予測不可能だったり。ヒリヒリ感があります。でも、俺はずっげえ楽しみですよ。「あの名勝負製造機に、どう料理してもらおうかな」と思ってね。フフフ。
——俄然、楽しみになってきましたね。勝利した暁には、白いベルトを巻いた棚橋弘至という斬新な光景が見れますし。
棚橋 ねぇ。あのベルトをどう巻きこなすのか? 白いコスチュームには、白いベルトって絶対に似合うと思いますから。
■オカダvs内藤? 「こっちは歴史が違うんだよ!」と言ってやります
——もう一つ、今回の試合に至るまでに行った、ダブルメインの試合順を決めたファン投票に関しても伺いたいんですが。
棚橋 う〜ん。これはですね。個人的な見解ですけど、企画としては……ダメです!
——あっ…。ダメですか!
棚橋 ええ。いま、ここまで試合順が決まったいまだから言いますけど……ダメです! ボクは試合順が決まる前は「いいよね」と言ってたんですけど、決まったあとに言うなら、コレはダメです(キッパリ)。
——その心は?
棚橋 やっぱり、個人的には新日本プロレスが提示したもの、新日本プロレスがファンをリードして動かして行ってほしいんです。ファンの意見を聞くというのも、もちろん大事ですけど。それなら「最初から、中邑vs棚橋をメインに打ち出せばよかったのに」と。
——ドンと構えていてもよかったんじゃないかと。
棚橋 ただ! ただですよ? これは、企画としてはダメなんですけど。携帯サイトのミラノさんの日記にも書いてあったんですけど、今回の投票で、ファンが本当に熱くなって、議論したじゃないですか?
——そうなんですよね。
棚橋 「IWGP戦が上でしょう?」とか「いや、中邑vs棚橋がメインで観たいよ」とか。そうやって議論する時間を費やすという熱量。これは、ちょっと前なら、やっても波風すら立たなかったと思うんです。だから、このみんなの反応そのものにはプロレスの熱を凄く感じましたね。……という意見です。
——わかりました。そして、今回どうしても、オカダ・カズチカvs内藤哲也戦と対比して考えてしまうと思うんですが、これに関しては?
棚橋 いや〜、12月23日の後楽園大会で、おたがいオカダ、内藤をパートナーにして闘いましたけど、やっぱり棚橋、中邑とは違った色がありますね。より感情がスパークするというか。
——実質上、メインから降格した2人が、いま非常に燃えていますよね。
棚橋 それは燃えるでしょう。「メインを食ってやる!」っていうことですよね。いいじゃないですか。こっちも受けて立ちますよ! これは、後攻のほうが超有利ですからね。フフフ。
——それは、ある程度、向こうの出方を見るというか。
棚橋 いや、出方なんか見ないです。まぁ、「レベルが違うんだよ」とオカダたちは言うでしょ? こっちは「歴史が違うんだよ!」と言ってやりますよ(ニヤリ)。
——初対決のようではあっても、たしかに重みは違いますね。
棚橋 ただね、俺は彼らの気持ちもわかるんですよ。棚橋弘至が武藤敬司に挑んだ東京ドーム(2009年)があったじゃないですか。武藤さんという越えなければいけない壁があって、挑んでいったわけですから。でも、今回はすでに俺が武藤さんの立場に近いわけですよ(苦笑)。
——世代間闘争というテーマは確実に出てきそうですよね。
棚橋 ええ。あとは、オカダ戦では「愛か? 金か?」みたいな、テーマがありましたけど。今回の4人でいえば、「愛」「金」「夢」そして…「イヤァオ」と(笑)。
——1人だけ擬音がいますけど(笑)。
棚橋 間違いさがしみたいになっちゃってますけど(笑)。
■想像もしなかった“ゾーン”に俺と中邑で連れていきますよ
——そして、棚橋さんに話を戻せば、IWGP王座への思い入れもある一方、中邑真輔という最高の獲物に対して燃えまくっているという、二つの要素が入り混じってますね。
棚橋 ウン。これはね、ボクがIWGPを超越する時に来ているのかもしれないですね。もはやベルトを超えた存在に向かっているというか。
——だからこそ、最初の「別」という言葉も重みを感じますね。
棚橋 ええ。だから、そういう意味でも、今回の東京ドームでは、ファンの皆さんを見たことのない景色に連れていきたい。想像もしなかった“ゾーン”に俺と中邑で連れていきますよ。
——本当に5年単位くらいの大きなタームが来たな、という感じがしますね。
棚橋 いずれにしても、今回の東京ドームの試合結果、内容を受けて、新日本プロレスは胎動し始めます。絶対に、あとで語れる大会になります。みなさん、来ない手はないですよ。間違いなく過去最高のイッテンヨンにします。
『バディファイト presents WRESTLE KINGDOM 8 in東京ドーム』
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2014年1月5日(日)18:30〜
東京・後楽園ホール
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