10月12日、都内の新木場1st RINGにて、「公開入門オーディション」が開催された。
新日本プロレスの入門テストが公開で行なわれたのは、2005年11月3日(※後楽園ホール大会の試合前)以来。そのときは、現在NEVER無差別級王者として活躍している内藤哲也選手が合格している。
今回のテストには13人が参加。審査員は永田裕志選手(※進行を兼任)、棚橋弘至選手、スーパー・ストロング・マシン選手の3名で、審査員長は三澤威トレーナーが担当。途中から内藤選手も見学に訪れ、熱い視線を送っていた。
最初はアピールタイムが行なわれ、テスト生たちが自らのやる気を言葉でアピールすると共に、受け身、マット運動、キックなどを次々と披露した。
その後は本格的なテストへ突入。マット運動、レスリングのスパーリング、反復横跳び30秒、腕立て伏せ50回、ロープ懸垂(※コーナーを利用した特殊な全身運動)、足上げ腹筋50回、サーキット運動90秒(※ジャンプやもも上げなどの運動を次々とスイッチ)といった項目が消化された。
最後はヒンズースクワット500回(※かかとを上げるフルスクワット)が行なわれ、そのあまりの過酷さにリタイヤするテスト生が続出! だが、それ以外のテスト生は見事に最後までやり遂げ、約150名の観覧者たちから大きな拍手を受けていた。
その後、厳正な審査が行なわれ、早くも2名の合格者が決定! ブシロードクラブ所属として岡倫之(22歳/レスリング)、野毛道場の道場生として本城匠(21歳/アニマル浜口ジム)が入門することになった。
■合格者のプロフィール
岡 倫之(おか ともゆき)
年齢:22歳
出身地:東京都練馬区
身長/体重:184cm/120kg
スポーツ経験:レスリング、サンボ、柔道、空手
本城 匠(ほんじょう たくみ)
年齢:21歳
出身地:東京都江戸川区
身長/体重:184cm/105kg
スポーツ経験:柔道(アニマル浜口トレーニングジム)
■合格者の質疑応答
——岡さんはブシロードクラブ所属となりましたが、いまの気持ちは?
岡「僕が出せるものはすべて出して、それ以上に出し切れたと思うので。合格はもちろんうれしいです。入れて当然というわけではないので、このテストをこなせたというのは、後々僕の経験に生かせると思います」
——ブシロードクラブを志望していた?
岡「アニメが大好きなんで(笑)。ちょっと話が長くなっちゃうんですけど、去年の12月にコミックマーケットへ遊びに行ったんです。ミルキィホームズのグッズが欲しくて、『ここはブシロードの販売所ですか?』って聞いたら、『新日本プロレスだよ』って言われて(苦笑)。それで、『君、いい体してるじゃない?』って言われて。『アマレスやっていて、全日本チャンピオンです』と答えたら、社長に挨拶させていただいて。運命的なものを感じました。そのあと、(ブシロードクラブの)山口剛先輩にいろいろ話を聞き、いまブシロードが一番レスリングに対して手厚いことをしていただけていると感じました」
——プロレスラーとしての目標はありますか?
岡「まずはオリンピック。やっぱりレスリングをやっている者ならば、誰もが夢見る場所だと思います。そこを目指してから。まずはやっぱりオリンピックに出ることを一番に考えて、やって行きたいです」
——どういうプロレスラーに憧れていますか?
岡「プロレスのスタイルとしては、タイガーマスクさんの四次元殺法なんか凄くカッコいいですね。でも、キャラとしてはやっぱり棚橋さんのような、面白くもあり、カッコよくもあり、会場を沸かせられるような・・・。僕はそんなに運動神経がよくないんで(苦笑)、プロレスラーになるとしたらそういう会場を沸かすような選手になりたいです」
——本城さん、いまのお気持ちは?
本城「率直な気持ちは……いま受かったんですけど、オーディション自体は、全部が全部ちゃんとこなせなかったんで。ここで受かってバンザイで終わりじゃないんで、絶対にしがみついてデビューして、そこからがようやくスタートだと思ってるんで。なんとしてでも、厳しいと言われる新日本プロレスの道場でも逃げ出さないで。必ず絶対にしがみついて、スタート台から飛び出せるようにしたいと思います」
——憧れのプロレスラーは?
本城「中邑真輔選手が、デビューした頃から、自分がプロレスを観はじめた頃からずっと好きで追っかけてる選手なんで。中邑選手に憧れてます」
——いまはどういう生活を?
本城「いまは、アルバイトしながらアニマル浜口道場で練習をしています。今年で3年目になります。これで、(アニマル)浜口会長にもようやくいい報告ができます。自分は、浜口道場でもあまり優秀な門下生だとは言えないので、ようやく会長を少しでも喜ばせることができるかなと思うと、うれしいです」
——プロレス界に浜口ジムのOBがたくさんいますが?
本城「先輩方のことは、もちろん意識します。先輩方に、浜口道場なのに不甲斐ないとは思わせたくないので、浜口道場の名前を汚さないように取り組みたいです」
■審査員たちのコメント
永田「今日は、将来性のある選手がいっぱいいましたね。体格もそうですし、いま現在、受からなくても練習、トレーニングを積めば、将来的にはいい選手になりそうな人が多かったんで。やっぱり選ぶのは大変でしたけども。ひさびさにいい素材が揃った入門テストだったな、と。受かった2選手に関しては、身体が大きくて、その身体を持て余すことなく動かせたというのがよかったですね。二人ともヘビー級で、本城くんのほうは184センチで気持ちが見えたし。もっと身体を持て余すかなと思ったけど、そんなこともなかったし。岡くんは、プロレスラーの入門テストもシッカリこなしましたし。ただ、彼はオリンピック出場という夢もありますから、ブシロードクラブのほうで、預からせて頂いて。10代でいい子もいましたけど、彼なんか凄く可能性を秘めてるけど、いまとるよりは、もう少し時間を与えてね。凄くいい原石だと思ったんで、いまは自分で自分を磨く時期かなと思いました」
棚橋「え〜。ま、受かるヤツは受かるべくして受かるなっていう感じです。ただ、こういうものって“事前の準備”というモノがあるじゃないですか? そういう点では正直、甘いっすね、まだまだです。テストでこのぐらいの量をやるっていうことが、わかっているなら、それがこなせる練習をしてこないというのは怠慢だと思うし。ヤル気ってのは身体に出るし、体力がないんなら声でカバーすればいい。残念だけど、自分はそういう残念な点に目が行ってしまいましたね。ボク的には、背はないんだけど、プロ向きな風貌の選手がいたんで注目していたんですけど……惜しい! 惜しいなって。『コイツ、なんなんだ?』って思わせるくらい、目立てば受かるんですよ。もったいない。でも、声も全然出ていなかったんでね。自分らの入門テストのときは、もっと死ぬ気でやってたんですけど……。厳しいですけど、正直、ヌルさを感じちゃいました。ただ、受かった二人に関しては、タッパもあるし、人にはない宝を持ってるんで。こっからがスタートなんで、いろいろあると思いますけど、シッカリ自分を持って、育ってほしいですね」
マシン「けっこうレベルの高い、体力のある選手が揃ってたね。挨拶でも言ったけど、本当はみんなとりたいくらいですよ。ただ、そうもいかないし。ただ、みなさん年齢が若いんでね。まだまだチャンスはあります。来年、再来年とあきらめることなく、本当に新日本に入りたいなら、今後もあきらめることなくチャレンジしてほしいですね」
三澤「ま、前回までよりは比較的身体の大きい希望者が集まって、年齢はバラバラですけど、将来的に可能性のある人もいたしね。大きな身体の選手でも比較的、動けそうな選手もいたので、なるべく早い時間で育て上げてプロデビューさせたいです。ただ、もうちょっと何人かほしい選手もいたので、そのへんは後日、とりたいなと。合格者の決めては、身長もそうだけど、今日のテスト内容が大きいですね、姿勢とか。ただ、もうちょっと教えれば、よくなるんじゃないかなという選手もいるので、可能性としてはこの次に繋がるような、いいテストになったと思います」