いよいよ近づいてきた冬の札幌2連戦、『THE NEW BEGINNING in SAPPORO』。
その初日となる2月23日(金・祝)北海きたえーる大会にて、いきなりメインイベントに初登場するのが、元WWEスーパースターで、元ドルフ・ジグラーとして活躍していた“超大物”ニック・ネメス。
IWGP GLOBAlヘビー級王座を賭けて、王者のデビッド・フィンレーに挑戦。はたして、ネメスはいま何を思うのか?そして、なぜ新日本プロレスを選んだのか? スペシャルインタビュー慣行!
■『THE NEW BEGINNING in SAPPORO』
2月23日(金・祝) 15:30開場 17:00試合開始 ※第0試合は16時30分開始
北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
☆対戦カード
☆チケット情報
★ロイヤルシートは完売となりました。
2月24日(土) 12:30開場 14:00試合開始 ※第0試合は13時30分開始
北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
☆対戦カード
☆チケット情報
★ロイヤルシート、スタンドAは完売となりました。
■WWEはレスラーの面倒を全部みてくれるから、俺たちはただリングの上で闘っていればいい。けど今、俺はジーニアスなビジネスマンになった。
――さて、ニック・ネメス選手。貴方はWWEで20年ほど活躍してきました。そして今、ネメス選手はWWEの外で大活躍しています。適応する際に大きなカルチャーショックを受けることはありましたか?それとも、どちらかというとプロセスを楽しんでいましたか?
ネメス どちらも少しずつ、それがある感じかな。プロレスラーとして最初の6~7年は『WRESTLE MANIA』の翌日にいつも「今日で俺は終わりだ!」って思っていたよ(笑)。そうだな、学校に通いなおそう、ロースクール(法科大学院)に通おう、チポトレ(アメリカで有名なメキシカンファストフードのチェーン店)のマネージャーになろう……。なんて考えたもんだよ。そうやって考えることで、解雇を告げられても退団の準備が出来ているから不意打ちをくらうことがないんだ。
10~15年くらい、あの団体に在籍してから気付き始めた。「オーケー。俺はWWEの主力レスラーで、団体から必要とされている」。けど、俺は退団しても大丈夫なくらい準備万端な状態にまで成長した。「俺は退団できるのか?」って何回かWWEに聞いたけど、会社からは「契約を結んだから」と言われ、退団することを許してもらえなかった。それで徐々に、俺はWWEに対して偉そうになっていった。「オイ、こんなこと始めてもいいか? 他のことをやり始めてもいいか?」って聞きまくったよ。
俺はWWEを退団して、“他の道”を探す準備ができていた。しかし問題は、当たり前だが、俺はインディープロレスの世界を知らない、ということだった。そもそもインディー団体で活動したことがなかったし、その業界に父親も母親もいなければ、レガシーも残していないし、友人さえいなかった。(WWEでは)インディーでの活躍を保証してくれるヤツもいなかった。
俺は大学のアマチュアレスラーで、WWEファンだった。だから、WWEの外の世界をまるで知らなかったんだ。インターネットがなかったら、いろいろと状況は違っていたが、幸いなことに今は俺たちみんな繋がっている。友人のマット・カルドナ(元ザック・ライダー、元WWE所属)は、ここ2年で世界中を周ったんだけど、アイツが「俺はここに行ってこれをした、そしたらこんなことが起きたんだ」って感じで、俺に話してくれた。アメリカ以外の国の他団体の様子を教えてくれたんだ。
WWEでは毎週小切手がもらえるんだけど、インディー団体にいたらまったくお金がもらえないこともある。言っている意味がわかるかい? プロモーターの中には(何をしてくるのか)わからないヤツだっている。俺はこの19年間、過保護なぐらいの待遇を受けていたんだ。
WWEはレスラーの面倒を全部みてくれるから、俺たちはただリングの上で闘っていればいい。けど今、俺はジーニアスなビジネスマンになった。自分の関心に目を向け、やりたいことをやり、出場する大会を探し、他のなにかに繋がるような大会を探して、周りの期待以上のことを成し遂げた。
楽しむためにインディーで闘うヤツもいれば、ただ金稼ぎのために闘うヤツもいるし、更衣室でリーダーとなるために闘うヤツもいる。怖気づいてしまうこともあったけど、俺は楽しんでいるよ。ネット上のヤツらもそうだろう。普段は否定的な意見が多いんだけど、今回の場合は98パーセントがポジティブな意見で、俺はそれを糧に頑張っているんだ。
俺は「フリーになったら俺はレスラーとして今までで最高のコンディションを手に入れられる」と言い続けて、ここ6ヶ月、8か月、1年を過ごしてきた。そして、ついにWWEに「もう退団させてくれ」と頼んで要求が通った時、「オーケー、ここ5年間これを望んでいたのだから、成果を出すべきだ」と思った。これもやったし、あれもやっているし、保険の準備だってできた。プロレスのトレーニングもやっているし、いろんなものを見て準備万端だ。「さあ、行こう!」ってな。
――団体にフルタイムで所属して活動している時は、いわば “エコーチェンバー (狭いコミュニティ)”の中にいるのは簡単なことです。しかし、ネメス選手はWWEにいた時でも常に外の生活やプロレスに目を向けていたようですね。
ネメス その通りだ。俺は“プロレスを観ない”ことで有名なんだ。なぜなら、この数年間、俺は落胆していたからだ。いつも自分がしていることが気に入らなくて、自分の仕事(プロレス)は好きなんだけど、自分のしていることが気に入らなかった。問題は、どうやってそれを変えるかだった。
そしてわかったんだ。オーケー、自分が週に90秒しかテレビに映らない試合に固執するのをやめよう。20分、25分、1時間という長い試合を闘う姿勢を取り戻さなければならなかった。俺にはセント・エドワード高校とケントステート大学のレスリング部で培ったスタミナがある。あと1本テイクダウンを奪い、あと1ポイント取るために、決して疲れすぎてはいけない。俺はそのマインドを持って、アマチュアレスリングからプロレスに転向したんだ。
けど同時に、ソーシャルメディアのおかげで、「オーケー、この対戦カードは何だ?」「あそこでは何が起きている?」「何か特別なことをしているアイツは誰だ?」って周りに目を向けられるようになった。プロレス界のあちこちにいるレスラーたちを追い始めるんだ。
あとは、スタンダップコメディ(独りでやる漫談芸)をやったり、数年前はFOX Newsに出演して政治について語ったりもしたよ。そろそろ公開される『Drug Store June』っていう映画にも出演した。そして、荒れ地に放たれた俺が主人公のちょっとしたゾンビ映画を弟と一緒に作ったよ。おもしろい感じでプロレスに繋げてね。
楽しいことをたくさんしてきた。でも、俺がすごく恐れを感じていたことは、「大きなことをしようとしているけど、準備はできているのか?」っていう考えだった。それでも、オファーの電話がかかってきた時に俺は「オーケー」と言って全力で取り組んだ。
■アイツ(中邑真輔)から「もしここから出ることがあれば、手助けするよ」って言われたから、「いつか、そのお言葉に甘えさせてもらう日がくるかもな」って返したんだ。
――ネメス選手と弟のライアン選手は『WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム』にゲストとしてリングサイドに登場しました。観客席を通って出てきた時、お二人を認識した観客たちからは興奮したざわめきが聞こえてきましたね。その時は、どういうお気持ちでしたか?
ネメス 沈黙を受け入れる心の準備は万端だったよ。俺は超神経質だから(笑)、「もしかしたら、誰も俺が誰であるか知らないかもしれないけど、それでもいい」って思うようにしていた。でも、「ねえ、何が起きているの?」ってヒソヒソ声が聞こえてきたんだ。
WWEのような狭いコミュニティの中にいると自分がビッグなスーパースターだと思いがちだが、世界的なスターになれているのか、疑問に思っていた。あの席に行ったとき、初めてスタンダップコメディをやった時と似ていたよ。初めて俺がジョークを言った時、2秒後に笑い声が聞こえたけど、あのたったの2秒が2分に感じたんだ。
それは、東京ドーム大会の時も同じだ。最初は静かだったけど、だんだんと観客が俺に気づき始めて興奮し始めた。それで、「よかった。一部の観客は俺を知っているんだ!」って思ったよ。それが始めの一歩だ。さぁ、今度はみんなに俺のことを知ってもらう方法を見つけよう。
――ここ数年で、プロレスラーとして、またはファンとして、新日本はネメス選手にとってどのような意味を持つようになりましたか?
ネメス ここ6~7年はおもに(WWEでの活動を)終わらせることを考えていたけど、あそこで闘ってみたいレスラーがいたり、会社から若手レスラーの手助けをしてほしいと言われたり、次の契約オファーが来たりして、中々外に出られなかった。あの頃、最初はまったく知らなかった“ある人物”と闘えて俺はラッキーだった。それが、シンスケ・ナカムラだ。
――元新日本プロレスの中邑真輔選手ですか。
ネメス しばらくお互い倒したり倒されたりした後、アイツは嫌なヤツでもあり、優しいヤツでもあることを知った。お互いの関係を築いていくうちに、アイツから「もしここから出ることがあれば、手助けするよ」って言われたから、「いつか、そのお言葉に甘えさせてもらう日がくるかもな」って返したんだ。
それがきっかけで、俺は日本で何が起きているのか調べ始めた。どんな試合が闘われているのかだけでなく、レスラーたちのビデオクリップを探した。特に俺のように一つの場所で輝いていたレスラーたちが何をして、どうやって話題になるようなことを起こして、その団体に溶け込んでいったのか観察したんだ。
レスラーたちがいろいろやっているのを見て興奮して、ついつい席を立ちあがっちゃったよ。俺は家でじっとしているのが嫌いだったし、週に数秒しかテレビに映らないような試合も嫌いだった。“何か”をしていたいんだ。ただ何かをするだけじゃなくて、“ショー・スティーラー”(大会で一番話題になる選手)になりたい。
これはTシャツに書いてあるようなキャッチフレーズとして言っているんじゃなくて、何かを引き起こすチャンスが巡ってきた時に120パーセントの力を注げば、最高のものができたと実感したいと思っているんだ。いろんなレスラーたちがいろんなことをして人気をさらっていったのを見た。まったく別の世界が広がっている選択肢がそこにあると知った時にワクワクしながら調べたよ。そのドアをくぐったらどうなるか見てみたいと思った
――過去にやってきたことの中で、あなたの考え方や闘い方など、日本にいたら劇的に変わるかもと思う事はありますか? それとも、今まで他の場所で成功してきた時と同じような考え方で日本でも活動しようと思っていますか?
ネメス 基本的な考え方は変わらないと思う。いつでも急な時でもメインイベントに使えるレスラーになって、WWEから多額のギャラを払われるほどだったのには理由がある。俺は500年前からあるような考え方を持っていて、臨機応変に状況に適応していき、自分で何かを起こすことができるからだ。
俺たちはみんな常に何かを学んでいる。急なハプニングが発生したり、誰かが怪我をしたりして俺がソイツの代わりにビッグマッチに呼ばれることなんて数えきれないほどあった。そういう時に呼ばれるのは、俺がいつだって準備万端な状態でいるからだ。
けど、(新日本の)動画を見た時にこう思ったんだ。「オイオイ、こんなこと全部、俺にできるのか?」って。「俺はこれから、自分がただのインチキ野郎だったって、ある世界では自分が何をしているのかわかっているのに他の世界ではわかっていないって思い知らされるのか? 自分が主張したように本当にやっていけるのか?」と、そのことでかなり神経質になったよ。
ここ3か月で有酸素運動を前の3倍に増やすほどにな。おかげで今は、一時間闘うことになってもできるくらいの体力がついた。そして、弟と『WRESTLE KINGDOM 18 in 東京ドーム』に行ったのは俺にとって重要なことだった。
観客に混じって4試合ほど観戦したけど、最高だったよ。後ろの方で試合を観るのはリングサイドで観るのと少し違う感じがする。何が起きているのかはわかるんだけど、生の観客の反応を感じることはないんだ。
リングサイドにいたら、試合を近くで見られるからレスラーの動きだけじゃなくて(レスラーたちが)なぜその動きをするのか、どんなことをしているのかがわかる。リングサイドに弟と座って観戦し始めて、大会が半分くらい進んだ時にアイツに「俺はここでやっていける、絶対にね」ってささやいたよ。
■今は世界中にいろいろな団体があって、大会もまあまあ良いって感じじゃなくて、毎週大会に最高のレスラーを出場させている。
――フレッド・ロッサー選手が「NJPW STRONG」でプロレスに転向した時に感じた経緯とすごく似ていますね。そして、ロッサー選手はプロレスへの転向を完璧に成功させました。
ネメス 俺の脳みそは常に正しい考え方をしていると思う。今やらなきゃいけないことは、身体を変化させて状況に適応させて、全力で取り組むことだ。もしかしたら俺は大口をたたいているだけかもしれないけど、仕事に取り組んで状況を観察していろいろと変えていけば、超かっこいい肉体になれると本気で思っている。
――1月13日と14日はアメリカで忙しい週末となりましたね。新日本がサンノゼで『Battle in the Valley』を開催している一方で、ネメス選手はTNAがラスベガスで開催した『Hard To Kill』に参戦しました。
本当に、現在世界のいたるところでレスラーたちにはたくさん闘う機会が用意されていますが、レスラー同士の競争の中で一際目立つのが以前よりも一段と難しくなりました。
ネメス そうだな。今のこの状況が気に入っているよ。5年、10年、15年前は、「さて、どこに行こうか?」ってなっても「わからないけど、多分ここかな……」とか言って良さげな団体を1つ選んでそこで活動するっていう時代があったけど、今は世界中にいろいろな団体があって、大会もまあまあ良いって感じじゃなくて、毎週大会に最高のレスラーを出場させている。
20年も同じ団体にいると自信がついて、すべてに対して上から目線になってしまう。けど、外に出てみれば「アイツはまあまあ良かったけど、そんな大したやつでもないな」っていう感じになるかも。そういった違いを見ると、なんかね……。
そういう競争のレベルの高さを知っているから、新日本やTNAではロッカールームに入っただけで「アイツいいな。アイツ好きだな」って感じになる。別に誰かに将来有望なレスラーが好きなことを知ってほしいわけじゃないんだけどね。自分のやりたかったことができてワクワクしているのはもちろんだけど、ロッカールームに入っていって周りを観察しつつ、あの男たちが本物だということを自分の目で確かめた時はヤバかったね。
なんたって、あそこにはキラーたちが、35人の“世界最強”レベルの男たちがいて、俺はただ毎週毎週あそこにいる50人のレスラーたちと闘うだけじゃなくて、アイツらに勝る闘いをしなくてはならないんだ。そして、毎週末、また違う団体のレスラーたちに向けて俺自身の力を証明しなくちゃいけない。そう思うと、ワクワクするよ。
■キャリアとしては俺の方がめちゃくちゃ長いけど、日本での経験値はもちろんフィンレーの方が上だ。俺はアイツとうまくやっていけるのかどうかを見てみたい。
――少しデビッド・フィンレー選手にフォーカスを充てて話しましょう。彼のお父さんを……。
ネメス ウン。知っているよ(笑)
――ジョン・モクスリー選手は、フィット・フィンレー氏から息子をプロレスラーにするために新日本の道場に送り出した話を聞いたと話していました。ネメス選手は、フィット氏からデビッド・フィンレー選手のことを聞いたことはありましたか?
ネメス 昔な。ものすごい昔の話だよ。フィットはタフな野郎だけど、サポートしてくれるし、プロレスのビジネスを熟知している。味方につけるには素晴らしい男だし、ラッキーなことに何百回とリングを共にしたよ。フィットのファイトスタイルはWWEの典型的なスタイルとは全然違うんだ。フィット、(ウィリアム・)リーガル、シンスケ(中邑真輔)の3人は、俺がWWEで馴染んできたファイトスタイルとは違うスタイルで闘う。
何年か前にフィットと彼の息子に会った時、デビッドはまだほんの14歳か15歳だったはずなんだけど、ここ数年間アイツが新日本で活動している姿を見ると……俺はまだ自分のことを若いと思っているから、アイツをガキのように見てしまうけど。アイツは日本で主力レスラーとして活躍しているんだよな。アイツは今、より大きな存在になろうとしている。
だから俺がアイツをボコボコにして、アイツが俺をボコボコにする機会が持てたら最高だな。アイツのやること全てを受け止めることで、アイツが俺と闘うことで1パーセントでも成長できたら、アイツを打ち負かすことでアイツがもっと強くなれたら……俺がアイツから王座を奪った後に、アイツが挑戦しに戻ってくる時に、アイツは腕をもう一段階上げなくてはいけなくなる。
そうすれば、俺たちはお互いをより高め、それが新日本のレスラーたち全員を高め、大会が素晴らしいものとなるだろう。そうなれば、ファンたちは「新日本の大会は絶対に観なきゃ。会場に行かなくちゃ」って思うようになるさ。
それをしなかったら、対戦相手が誰であろうと俺は自分の仕事をしていないということになる。でも、いまのフィンレーを見ていると、俺からしたらアイツはガキだからガキって呼ぶけど、アイツは段々レスラーとして成長していっているし。キャリアとしては俺の方がめちゃくちゃ長いけど、日本での経験値はもちろんフィンレーの方が上だ。俺はアイツとうまくやっていけるのかどうかを見てみたい。この試合がうまくいけば次に闘うヤツともうまくやれるよ。
――フィンレー選手は家族や野毛道場から教えられたプロレスの基礎を持っています。しかし、最近では彼がどこまでも攻撃的になれることもわかりました。対フィンレー選手の試合はどんな闘いになると思いますか?
ネメス その時の状況によるな。けど、そこがデビッドのお父さん、フィットに対して俺が最もリスペクトする部分だ。フィットはたくさんのテクニックを持っていて、やろうと思えばすぐにでも決着をつけられる。けど、彼はただ相手をボコボコにして顔面を殴って、敗北感を味わわせたいんだ。
そういうのって好きだよ。いろいろな技を隠し持っていれば、その技が自分の闘いをサポートしてくれる。(デビッド・)フィンレーに対しても同じことを感じるよ。俺はアマチュアレスリングのバックグラウンドを持っているけど、前に進み続けて他にもいろいろなことをたくさんした。自分の周りで起こることどんなことにでも適応できる自分が好きだ。そして、新日本では最前線を突っ走れる自信が大いにある。
アイツがユニットを持っていることは知っている。リング外での乱闘や卑劣な攻撃があるかもしれないこともな。それもプロレスの一部分だし、そういうものなんだ。なんやかんやで逃げ切れる時もあるし、いつもとは違う戦い方をいなくちゃいけない時もある。トップに立つことが重要だから、そういった点ではフィンレーの気持ちが分かるよ。
けど、試合自体はテクニックの見せ合いから始めてみたい。フィンレーがテクニックで俺に対抗できるか見たいしね。そのあと暴力が激しさを増して、アイツが殴り合いをしたくなったら? このアゴを見ろ。パンチを受けてやるよ。
■タイトルマッチを闘える機会がもらえただけでもすごく光栄だし、ましてや王座を獲得出来たら、それは俺にとっても、観客にとっても、世界にとってもすごく重要なことだ。
――IWGP GLOBALヘビー級王座に関してですが、新日本は以前にUS(UK)ヘビー級王座が……
ネメス フィンレーが粉々にしたんだろ!
――ええ。いま新日本プロレスでは、国際部門で新たにGLOBALヘビー級王座ができ、2月23日(金・祝)に札幌で闘われます。東京とは観客の雰囲気や会場の住協が違うかもしれません。
会場を盛り上げるという課題と同時に、GLOBALヘビー級王座の地位や存在意義を確立していく責任もあります。プレッシャーは感じますか? ネメス選手にとってGLOBALヘビー級王座とはどのような意味がありますか?
ネメス このタイトルマッチに関してはいろいろと考えることがある。東京のファンたちは俺を気に入ってくれたかもしれないが、札幌のファンたちは「さて、君は私たちに何を見せてくれるのかな?」という気持ちで試合を観戦するかもしれない。「ネメスは何も特別なものをもっていない。アイツは大ウソつきだ」って言われるかもしれないし、フィンレーの方を見て「私たちはフィンレーを知っているし、彼がチャンピオンになればいい。
正しい闘い方ではないけど、それでも大丈夫」って思うかもしれない。けど、俺は十分なスタミナを持って試合に臨めるように(トレーニングに)全エネルギーを注いだし、チャンピオンになる準備はできている。フィンレーがどんなことをしようとしてくるのか考えることもある。殴り合いなのか? テクニカルな試合になるのか?外から介入があるのか? どうやって回避しよう? アイツがこんなことしてきたら、俺はあんなことできるのか? いろいろと考えることがあるんだよ。
そして、この王座のことも考えなきゃいけないだろ。リングへとぶらぶら歩いて行って、いいかげんに闘って、難なくフィンレーをやっつけて勝利したら、俺は何をしたことになる? 王座に泥を塗り、自分をさらけ出して、フィンレーから素早く勝ちを得るだけ。それじゃあ、何も王座のためにならないし、大会も良いものにはならない。
けど、もし俺がリングに入って、全力を尽くしたら、どうなる? 自分のできる限りのことをして、フィンレーからコンクリートでできたブロックで俺の顔面をぶたれてもものともしないで闘い続けたら、その闘魂がGLOBALヘビー級王座の意味を示してくれる。俺がその王座のために心を尽くして闘うのには理由がある。この王座はこの地球に、世界に、日本に、新日本にとって大きな意味があるだけじゃない。
もし俺が2月23日札幌大会で最高の試合をすれば、GLOBALヘビー級王座をより価値のある王座にすることができる。タイトルマッチを闘える機会がもらえただけでもすごく光栄だし、ましてや王座を獲得出来たら、それは俺にとっても、観客にとっても、世界にとってもすごく重要なことだ。それが出来たら、俺も新日本も活き活きし始めるだろう。
■俺にとって王座を掲げるということは、勝利以上の意味がある。この目標を達成すること、そしてうまくいけば、王座を掲げて防衛することでこの王座を輝かせていきたい。
――デビッド・フィンレー選手がGLOBALヘビー級王座を勝ち獲った後、ネメス選手との大乱闘が勃発しましたね。その後、バックステージコメントで、熱烈なスピーチをしました。
ネメス 俺にとってはものすごく大切なことだったんだ、だって……そうだな、アイツは俺に手を出した。それは良いんだ。よく起こることだし、それが人生だ。けど、俺は何か行動を起こすことにワクワクしていた。俺はただのゲストで世界一の試合を観ているだけだったけど、俺は昨年あまりなにも言えずに1年を過ごした。だから、目の前で何か起きているのを見て、目の前で誰かが卑劣な闘いをして自分が回避できないような何かが起きたら、もうじっとはしてられないよな。
記者会見(バックステージコメント)でアイツを襲撃したけど、あの時は何も考えていなかったし、事前に計画を練っていたわけでもない。けど、床に転がっているあのベルトを見た時に、ハッとしたんだ。野生の中で、自力でやっていくのはこれが初めてだ。
俺はあのGLOBALヘビー級チャンピオンを追い払った。アイツは俺を突き飛ばし、俺にケンカを売った。俺は6ヶ月の間、自宅でトレーニングだけをし、闘う機会をうかがっていた。
だから、あの場では頭が真っ白になったけど、あのベルトを見た時、粉々にされる前にGLOBALヘビー級王座と出会っていようがいまいが、このプロレス業界という“家族”の一員として、これは意味のあるものだということに気づいたんだ。
(新日本の)王座にはそれぞれ名誉と伝統があるってことを十分に知っているからこその発言だった。王座を見ていたら涙が出てきて、俺はこう言ったんだ。「この王座を勝ち獲ったなら、どこでもいつでも王座を防衛する覚悟でいた方がいいぞ。新日本で王座を持っていると全員がお前に目を付ける。つまり、みんながお前を狙うし、お前を追ってくる。伝統と歴史。それをお前は背負っているんだ!」と。
俺にとって王座を掲げるということは、勝利以上の意味がある。この目標を達成すること、そしてうまくいけば、王座を掲げて防衛することでこの王座を輝かせていきたい。
■もし俺が十分な努力をしなければ、王座を奪うためにエネルギーを満タンにしていなければ、みんなに俺が口だけの男だと言っているようなものだ。
――2月23日(金・祝)札幌大会での試合後、札幌や世界中のファンたちに2024年のニック・ネメスはどんなレスラーなのかを知ってもらいたいですか?
ネメス 俺にとって一番重要なのは、ここ20年俺が言い続けていることを証明することだ。俺はずっと言ってきた。「オイ、お前ら、俺は最強だ。俺についてきてみろ。できやしないから」ってな。けど、一つの世界でしかそれを証明してこなかった。
そして今、同じことをするチャンスを掴んだけど、今度は世界中のファンやレスラーがどこかで俺を見ているんだ。俺は「おい、ニック・ネメスがいるぞ。元WWEレスラーだ。アイツが出てきたら手を振ってみよう」って言われる程度の男じゃない。俺は今まで以上に好戦的だ。なぜなら、今から俺は新しい歩みを始める。
もし俺が十分な努力をしなければ、王座を奪うためにエネルギーを満タンにしていなければ、みんなに俺が口だけの男だと言っているようなものだ。俺はみんなに自分が有言実行であることを証明しなければならない。札幌のファンたちには、デビッド・フィンレーがとんでもないファイターであることだけでなく、ニック・ネメスが新日本の未来になるヤツだということを肌で感じてほしい。
――最後にフィンレー選手へなにかメッセージは?
ネメス フィンレー、お前はヤバいファイターだ。たくさんのことを成し遂げてきた。けど、その方法が間違っていたようだな。2月23日(金・祝)、札幌で、GLOBALヘビー級選手権試合で、お前は好きにするがいい。お前の(BULLET)CLUBを連れてきても、一緒にいじめっ子を連れてきてもいい。
俺は気にしないぜ。ただ俺は、自分自身を証明するため、お前をチャンピオンとして歩かせる訳にはいかない。 勝つのは俺だ! 俺がどれほど素晴らしいレスラーか証明してやるから。俺が新GLOBALヘビー級チャンピオンになって、機会があればいつでもどこでも防衛する。なぜなら、俺はそれほどに素晴らしい男だからだ。(了)
■『THE NEW BEGINNING in SAPPORO』
2月23日(金・祝) 15:30開場 17:00試合開始 ※第0試合は16時30分開始
北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
☆対戦カード
☆チケット情報
★ロイヤルシートは完売となりました。
2月24日(土) 12:30開場 14:00試合開始 ※第0試合は13時30分開始
北海道・北海道立総合体育センター 北海きたえーる
☆対戦カード
☆チケット情報
★ロイヤルシート、スタンドAは完売となりました。