12月13日、ブシロードクラブの山口剛選手が、12月21日〜23日に東京で開催される『天皇杯全日本選手権』に向けて公開練習を行ない、監督兼スカウト部長の永田裕志選手が指導にあたった。
ブシロードクラブは、株式会社ブシロードと新日本プロレスが協力し、レスリングでオリンピックに出場する選手を育成するべく立ち上げたプロジェクト。その所属第1号となった山口選手が挑む初めての大会が、今度の『全日本選手権』である。
この日、練習が行われたのは、山口選手の母校である早稲田大学のレスリング部。永田選手と太田拓弥ヘッドコーチが見守る中、パートナーとスパーリングして体を温めた。
その後は、永田選手とのスパーリングになり、山口選手が片脚タックルや両脚タックルなどを決めて行く。その力強さを自らの体で実感した永田選手は、山口選手の優勝に太鼓判を押していた。
■質疑応答
——山口選手に胸を貸した感想は?
永田「俺が借りたんじゃなくて?(笑) やっぱり“散らし方”がいいですよね。タックル一辺倒じゃなく、組み手からの脚技と投げ技とタックルが、全部うまくコンビネーションになっている。全国いろいろ回ってみて、いろんなレスリング関係者に会いましたけど、今度の『全日本選手権』はいけるだろうという声が多いんでね。いまちょっと触れてみて、『ああ、なるほどな』というのは感じました」
——いまの言葉聞いて、山口選手はどう感じますか?
山口「10月に行なわれた『国民体育大会』(国体)で、初めてシニアで優勝することができたので。地元(岐阜)の国体ということもあって、プレッシャーの中で優勝できたというのは、自分の中で凄い自信になってるので。次の『全日本選手権』も優勝したいと思います」
——永田選手にとって、ブシロードクラブ監督として初の大会となりますが?
永田「今回、階級を一つ上げて臨みますけど、96kg級が合いそうな体力も持ってますしね。この時期だからこそ、必ず栄冠(優勝)を取ってほしい。ここで勢いがつくと、やっぱり4年後のリオのオリンピックに向けて、いいダッシュが切れると思います」
——山口選手にとっては、ブシロードの看板を背負って初の大会となりますが?
山口「そうですね。社会人という形で、会社の名前で出るのは初めてなので。また国体とは違ったプレッシャーがあるんですけど、いつも温かい応援をして下さってる会社の人たちのためにも、諦めずに、精一杯試合をしたいと思います」
——プレッシャーは感じていますか?
山口「そうですね。会社の名前で出るというのはプレッシャーですけど、それを変えていかないとオリンピックには行けないと思うので。いいプレッシャーに変えていくようにして、頑張りたいと思います」
——太田コーチからみて、山口選手の仕上がり具合は?
太田「昨日のスパーリングでもいい動きをしていましたし、柔道をやっていたということもあり、タックルだけじゃなくて、脚技とか投げ技を使える選手というのは、あまりいないんですね。それらを有効的に使って、自分のスタイルを貫き通せば、優勝というのは見えてくると思います」
——永田選手、プロレスで培ってきた経験で、山口選手にアドバイスするとしたら?
永田「『階級を上げたからどうかな?』と思ってましたけど、予想した以上に適正している感じなんで。もし、今回の試合で足らないものとかが見つかれば、すぐにでも克服するようなメニューを組みたいと思います。でも、いまのところ、そういう心配はしてないですね」
——今後、ブシロードクラブ所属第2号選手を入れる予定は?
永田「いろいろいい選手はいるんですけどね。やっぱり、彼(山口)が勝って、『ブシロードクラブの条件が素晴らしい』という評判が広がれば、『入りたい』という選手も出てくるでしょうし。だから勝たないとな?」
山口「はい。やっぱり、これが仕事の成果として出るわけなんで。いい成績を出したいです」
★プロフィール
山口剛(やまぐちたけし)
ブシロードクラブ所属レスラー第1号
1989年4月4日、岐阜県生まれ。179cm。早稲田大学スポーツ科学部5年。
2012年2月 デーブ・シュルツ記念国際大会2位
2012年6月 明治杯全日本選抜選手権2位
2012年10月 第67回国民体育大会レスリングフリースタイル96kg級優勝
大学1年のとき、電車内でチカンを発見し、ホームでタックルを決めて取り押さえる。
■『天皇杯全日本選手権』
12月21日(金)〜23日(日)
東京・代々木競技場第2体育館
【写真:山本正二】