今年3月にロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンから脱退したSANADAは、Just 5 Guysの一員として悲願のIWGP世界ヘビー級王座奪取を果たした。
新日本マットでトップに至るまでのキャリアは紆余曲折。山あり谷ありのレスラー人生はもちろん、あまり語られてこなかった幼少期の話など、SANADAが知られざる半生をインタビュー形式で振り返っていく。
第8回では、東日本大震災を経験して痛感したこと、『ALL TOGETHER』での内藤哲也、棚橋弘至との遭遇などについて語る!
聞き手/市川亨
撮影/中原義史
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★以下、インタビューの序盤を無料公開!!
■全日本プロレスとして団体で行ったら現地の方々も喜んでくれて、その場も盛り上がるけど、これがSANADA個人となったときには、影響力がほとんどない。そういう無力さを痛感しました
――前回は2010年の征矢学選手とのアジアタッグ王座戴冠までを振り返りました。2011年に入ると、大日本プロレスの関本大介選手、岡林裕二選手と闘いを重ねていくようになり、タイトルマッチを含めて何度も対戦しました。
SANADA 当時、プロレス界全体の中で一番闘ったら面白いだろうなと思ったのが、関本さんと岡林さんだったんですよね。当時はそこまで他団体のことは詳しくなかったけど、それでも自然と目に入ってくるぐらいに2人の存在感があって、このチームと闘ったら、さらに盛り上げていけるんじゃないかなって。
――対他団体でやり合えばアジアタッグの価値も上がるし、当時の全日本を盛り上げていくことにつながるんじゃないかと。
SANADA 前回も話しましたけど、盛り上がっていきそうなときって凄く楽しいし、そこに対戦相手として関本&岡林が出てきたことで、盛り上がっていきそう、楽しくなっていきそうというのが加速していく感じがありましたね。
――敵ではあるけど、一緒に闘っていくような感覚もあったわけですね。実際、パワー、スピードが交ざり合った、若さがあふれる闘いを見せていました。
SANADA 未完成なんですけど、未完成で上を目指してる奴らが面白いっていう。関本さんと岡林さんからは、プロレスラーとしても影響も受けましたね。俺と征矢さんのコンビとはスタイル的には正反対でしたけど、リング上の見せ方とかは参考になりました。とにかくあの2人はシンプルで、豪快すぎて、分かりやすくて、本当に凄いチームだなって。“レベチ”だって思いましたよ(笑)。勝ち負けを繰り返しながらメチャクチャ刺激を受けていたし、ライバルっていう意識ではなかったけど、このタッグに負けたくない、俺らがもっと勢いをつけるためにも、この2人には負けたくないっていう気持ちはありました。
――2011年3月11日には東日本大震災がありました。当時、全日本は東北地方に巡業に行く予定だったんですよね。
SANADA バスで東京から宮城県の石巻に向かう途中で地震に遭遇しました。どんどん揺れが大きくなって、ジェットコースターに乗っているみたいにめちゃくちゃ揺れ出したので、運転手さんが慌てて側道にバスを寄せて。テレビをつけたら津波の映像とかが流れていたんですけど、なんか現実感がないっていうか、映画を見ているような感じでした。
――当然、周りの状況などはわからない状況ですよね。
SANADA ハッキリとしたことは分からなかったけど、携帯電話に凄く連絡が来ていたので、それでただ事じゃないのはなんとなく分かって。結局、その日は高速道路から出られなくなったので車中泊をして、次の日に下道で1日かけて東京まで帰りました。途中でコンビニとかに寄っても、商品はあってもレジが動かないから帰ってくださいとか、まったく商品がないお店とかもあって、これは大変なことが起きたんだなっていう雰囲気がどんどんと伝わってきて。ニュースを見て、昨日自分たちがいた場所とかを考えると、ちょっとなんとも言えない気持ちにもなって……。
――自身の人生観、死生観に影響を与えた部分はないですか?
SANADA いまの年齢だったらまた考え方、捉え方も変わったと思うんですけど、当時はまだ24歳で、自分の人生という意味ではまだここからどうにでもなるという感じだったんですよね。だから、死生観とかを真剣に考えたりとか、そこまでは思えなかったですね。でも、震災後に被災地に炊き出しとか、試合で行ったりしたときに自分の無力さとかを感じることはありました。
――どういう場面で無力さを感じたんですか?
SANADA たとえばアーティストの方が被災地に行くと地元の方々は喜んでくれている。確かに全日本プロレスとして団体で行ったら現地の方々も喜んでくれて、その場も盛り上がるけど、これがSANADA個人となったときには、影響力がほとんどない。そういう無力さを痛感しましたね。
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