12月10日(月)、「東京スポーツ」社制定の「プロレス大賞」が決定した。注目のMVPは“レインメーカー”ことオカダ・カズチカが初受賞。さらに、ベストバウト賞を6月16日大阪府立体育会館(ボディメーカーコロシアム)のIWGPヘビー級選手権、オカダ・カズチカvs棚橋弘至が獲得。そして技能賞で、中邑真輔も受賞した。
選考会では、MVPで「21票中、16票」を獲得して圧勝したオカダ。「エース・棚橋を倒したインパクト」、「ベルトを落としてからも試合内容が優れていた」「新しい時代を切り開いた」などが受賞理由だ。なおオカダのMVPは、1983年の初代タイガーマスク以来、30年ぶりとなる25歳の最年少記録(タイ)となる。
■オカダ・カズチカのコメント
「ま、MVP……ということですけど、あたりまえじゃないすかね? 俺しかいないでしょ? って、そんな感想ですね。(最年少受賞は)30年ぶりですか? 史上最年少タイということで。ま、30年……でも、タイというのは納得いかなかったですね。もうちょい早くいければ、“本物だ”とわかってもらえたんですけど。ま、(初代)タイガーマスクに並んだということで、(初代)タイガーマスク以上の歴史をこれから、僕が作っていきますんで。
あと、ベストバウトということで。僕からしたら、そんなに納得のいく試合でもなかったんですけど。ま、同じベストバウトの試合が、東京ドームでありますんで、あの試合以上の試合をして、シッカリと僕がベルトも頂いて、プロレス界の歴史を変えたいと思います」
■ 質疑応答
——あらためて、日本の全団体の中、プロレスラーすべての中で、客観的に見られて、頂点に立った感想は?
オカダ「まぁ、それはべつにどうとも思わないです。あたりまえじゃないですか? 観客動員数がすべてを物語っているんじゃないすかね? 結局はそんなお客さんを呼べない団体の人に、『MVPです』と言われてもウソじゃないすか。誰がお客さんを呼んでいるか? カネの雨を降らせているか? それを考えたら、あたりまえのことだったと思います」
——MVPということへの特別な感情は?
オカダ「とくに……ありません」
——外道選手には、この件についてはもう報告された?
オカダ「そうすね。外道さんにもシッカリお伝えしました。ただ、反応は『あたりまえだな?』と。そんだけでしたね。心配も何もしていなかったし。あたりまえのことが起きただけなんで」
——この1年を振り返って、いかがでした? 1月4日の段階では、逆風が吹いてましたが。
オカダ「まだ、1年なんで。ホントに序章に過ぎない1年でした。来年からもっと、いま以上にカネの雨を降らせていきますんで。2012年は序章でしたね」
——ベストバウトはご自身が敗れた6月の棚橋戦でしたけど、オカダさんの中でほかにベストはあります?
オカダ「ま、全試合、いい試合をしているつもりなんで、全試合がベストバウトなんですけど、今年やったシングルマッチに関して、『6月の試合が凄かったな』という気は特別しないです。2月の大阪? そうですね。そっちのほうがまだ」
——MVP、ベストバウト、技能賞を新日本が独占しましたが?
オカダ「それもあたりまえじゃないすかね? 新日本ではそんだけ、僕のおかげでカネの雨が降ってますから。お客さんも呼んで、その勢いがあるところも僕が見せていますし」
——日本一のレスラーに選ばれた、この事実は励みになる?
オカダ「そうすね。今年だけじゃなく、来年もそのあともずっと、MVPは僕に任せてください。この調子で来年からもやっていくんで、また来年も僕に注目してください。来年からもガンガン賞を頂いていきます」
※“ベストバウト賞”受賞、オカダ・カズチカvs棚橋弘至(6月16日大阪府立体育会館)に関して
選考会では、「試合内容が非常に高い」「2月の大阪大会の同試合も内容で上回った」「オカダの勢いを棚橋が止めた」などが受賞理由だ。なお、棚橋弘至は今回が初のベストバウト受賞である。
■棚橋弘至のコメント
「え〜、非常に誇りに思います。ハイ。ベストバウトっていう賞は、新日本プロレスを観に来てくれたファンのみなさんと、闘っている僕ら選手が一緒に作り上げたものなので、本当に感謝しています。それと同時に、勝った試合がベストバウトに選ばれたということで……ホッとしてます(笑)。僕っぽいところで言うと、負けた試合がベストバウトというのもありそうなので、勝ってベストバウトは非常にうれしいです。
次は東京ドームですが、6月は僕がリベンジに挑んだけど、今回はチャンピオンとして迎え撃つ、と。2月の防衛戦では敗れてますし、東京ドームというもっとも注目の集まる大会で、今回はベルトとともに、“時代”も懸かっているので、ベストバウトの名に恥じないものでありたいし、なおかつ防衛という最高のかたちでいきたいです」
■質疑応答
——棚橋さんにとって、年間最高試合賞というのは、どんな意味合いがある?
棚橋「そうすね。ま、獲ろうと思って、獲れる賞ではないな、というのは、ここ数年、感じてましたね。ま、タイトルマッチであっても、地方会場であっても、常に100パーセント、全力でパフォーマンスして、全力を出し切るというのが、僕のモットーなんで。ま、いろんなシチュエーションだったり、場所だったり、そういうものが絡み合って、本当に奇跡的な状況の中で行われた試合というのが取る賞なんだなって。100パーの全力、プラス・アルファがないと、取れないものなんじゃないかなって」
——ここ数年、棚橋さんの試合はベストバウトへのエントリー自体はかなり多かったと思いますが?
棚橋「そうすね。“無冠の帝王”でしたね。ベストバウトに関しては。ベストバウト、プラス・最多得票者賞みたいなのがあれば、5年連続とかで取れてたかもしれない(苦笑)。……でも、これは本当にレスラーとしての誇りです。ありがとうございます」
——IWGPヘビー級選手権のベストバウト受賞としては、01年以来、11年ぶりかと思います。
棚橋「そうすね。僕だけじゃなくてね、IWGPというものに、いろんな選手が心血を注いできた、ここ数年だったんで。IWGPのタイトルマッチがベストバウトを受賞するっていうこの事実が、これからIWGPタイトルマッチが行われる各会場、これから未来永劫、続いていきますけど、そこは僕ら新日本プロレスとのいい信頼関係の証明だと思います」
——残念ながら逃したMVPの受賞とは、また違ったうれしさがある?
棚橋「(身体をガックリと前に倒して)……あ〜〜〜〜〜っ! ……いや、まぁ、MVPは今年は僕、納得です。くやしいですけどインパクトという部分。くやしいけど、このくやしさをモチベーションにします。僕は、“2年連続MVP”というのが懸かってましたんで。もう一度、この“2年連続MVP”というのをやろうと思ったら、非常に大きな労力がかかるんですけど……(苦笑)。“2年連続MVP”が大きな目標として残ってるので、来年は奪い返します!」
——今回、新日本勢がいろんな賞を奪ったことに関しては?
棚橋「プロレスを見たことのない方に目を向けてもらったり、観てくれた方々の絶対数という部分もあるでしょうし。いろんな会場で見てくれた記者の方々、本当に目が肥えてらっしゃる方々の目にかなって、心の琴線に触れたから、今回は新日本からたくさんのノミネートがあったと思うし、これほどうれしいことはないですよ」
——今回、東京の大会場ではなく、新日本が力を入れている大阪大会からベストバウトが生まれたことに関しては?
棚橋「う〜ん……これもまた格別ですね、ハイ(ニッコリ)。都内だけじゃなくてね、地方会場、今年は大阪もそうなんですけど、山形も行ったし、来年2月は広島のビッグマッチっていうのも発表されているんで。なんだろ、この安定感……エースの安定感が証明された格好ですね。大阪の方、ありがとう!」
——2012年ベストバウトの再戦が、1.4東京ドームで行われる。これは、やるほうはプレッシャーなのか? 追い風になるのか?
棚橋「そうすね、レスラー心理としては、さらに“上”に行きたいたいっすね。シチュエーションとしては、棚橋政権が煮詰まってきていて……いやいや、いい意味でね? 熟練されてきてますんで(苦笑)。オカダという新風を望む声もあるし、棚橋を推してくれる声もあるし。前哨戦をやってて、肌で感じてますんで。二人の闘いにファンが気持ちを乗っけてくれれば、最高のシチュエーションになると思います!」
——あらためて、棚橋さんにとって、オカダ選手というのはどんな存在ですか?
棚橋「う〜〜〜ん。そうですね。『ライバルは誰か?』って聞かれたら、俺は中邑真輔だと思うんですよね。『宿敵は誰か?』って聞かれたら、矢野通って答えますね。……わかんないすね。今度、ドームで見つかるかもしれないですね。その答えは。そういう言葉では、いまはくくれないですね」
■ 技能賞・中邑真輔のコメント
「技能賞、ありがとうございました」
撮影/山本正二