8月12日『G1 CLIMAX』決勝戦で、両国のリングで突然現れたのが、“総合格闘技の英雄”桜庭和志と“元新日本プロレス”柴田勝頼。
■ 「後藤のがんばりというのは、なんにも情報を入れない状態だと、響いてこない」(柴田)
——さて、お2人は、9.23神戸大会では、ほかの試合は、ご覧になりました?
柴田 いや、見ていないですね。
桜庭 じつは、あのコメントルームの裏の部屋にいまして、選手のコメントの声が聞こえるんだけど、誰が誰なんだか、わからない(笑)。
——なるほど。あと、あらためて現・新日本プロレスのトップに関してもうかがいたいんですけど、まずIWGPヘビー級王者・棚橋弘至の印象は?
柴田 なんだろ? まぁ、ジムに届く『週刊プロレス』を見ると、表紙になったりしているんで、「ああ、けっこうがんばっているんだろうな?」とは思ってましたけど。「とくに……」って感じで。いまのチャンピオンですよね? 「いまの新日本をひっぱっているんだろうな」ってぐらいで。
——桜庭さんは、棚橋選手に関しては?
桜庭 いや、「いい身体してるなぁ」って感じで。試合は、観たことはないです。名前は知ってますけど。いまの新日本の象徴? いや、そこはとくに……。ただ、雑誌とかではよく見るので、「ああ、いい身体してんな」と。そのぐらいですね。
——あと、柴田選手と関わりが深いという意味では、中邑真輔選手に関しては?
柴田 いや、そんな深くはないですよ? 試合もそんなにしたことはないんで。よくライバル関係と言われる? いや、それは見る人が見ればいいだけなんで。とくにないですよ。
——お二人が来たときに、ファンからはやっぱり、対戦相手として中邑選手の名前があがりがちですけど?
柴田 そうですか? 自分的には、後藤洋央紀のほうが「なにやってるのかな?」とは思いますね。後藤は同級生なんで、気にはしてたんですけど。棚橋とかは表紙を飾ったりして、「ああ、がんばっているんだな」というのが伝わってくるじゃないですか。でも、後藤のがんばりというのは、なんにも情報を入れない状態だと、響いてこない。意識があんまりいかないというか。気にはしてましたけど、さびしいですね。
——後藤選手とは、“高校からの同級生”という部分で、柴田選手との対戦を観たいファンが多いと思いますけど。
桜庭 ……僕、後藤選手と絡めてくださいよ(ボソッと)。フフフ。
——あ、後藤選手には興味がある?
桜庭 なんか「同級生だ」って聞いて、興味があります。僕は、こっちの世界では、同級生や同期っていうのがいないので。レスリング関係の後輩とかはいますけど。そういう意味では、気になりますね。「なんかいいなぁ」っていう感じで。
柴田 でも、これもおかしい話ですよね? 自分らが新日本に上がっているのに、後藤はなんも反応してないので。だって、いままで、「柴田と闘いたい」「組みたい」とかさんざん言っていたのに、チャンスが来たら、何もないのかって。
■「中邑選手? なんかクネクネしているんでしょ?」(桜庭)
——逆に、桜庭選手は、中邑真輔選手については?
桜庭 なんか、アレですよね。話しか聞いていないし、よくわからないんですけど……なんかクネクネしているんでしょ? 何をクネクネしてるんですかね?
——これまで、中邑選手は、いわゆる格闘的なストロングスタイルが中心だったんですけど、いまは試合中にダンスするような変則的な動きをするようになって、それをファンも歓迎してる状態ですね。
桜庭 永田(裕志)さんの白目みたいな感じ? あ、永源(遥)さんのツバみたいな感じ?
——それとは違うと思いますけど。そのインパクトで場内にどよめきが起きる感じですね。そういう意味での興味は?
桜庭 まぁ、「どういうクネクネなのかな?」っていうくらいですかね。
——中邑選手は、総合格闘技の経験もある選手ですけども。
桜庭 あ、総合もやってるんですか。ふーん……。
——ちなみにお二人は、タッグをやっていって、ゆくゆくはタッグベルトへの興味はありますか?
桜庭 ああ、ベルトにはまったく興味はありません!(キッパリ)。
柴田 なんなら、作りますよ? ベルトを、紙で(笑)。
桜庭 フフフ。ベルトにはまったく興味ないですね。それは、総合格闘技もそうだったんで。まったく興味ないですね。
——なるほど。ちなみに今回、新日本に乗り込んできた最終的なゴールや目標はありますか?
柴田 ゴール? ……考えたことないっすね。
桜庭 やっぱり、一試合、一試合、お客さんの頭に残る、残ってくれる試合ができればいいかな、と。それだけです。それはもうプロレスでも、総合格闘技でもそうだし、僕らはリングに立ってナンボだと思ってますんで。どれだけ心に残る試合をするか、それが一番の目標です。だから、ベルトにも興味ないですし。
柴田 ベルト持ってるから、必ずしも強いってわけじゃないじゃないですか? ベルトにこだわる人もいるんだろうけど、やっぱ試合ですよね。だから、自分らを受け入れてない人も、自分らを見て、熱くなれればいいと思ってるんで。……自分が言った「ケンカ」というのと、桜庭さんが言ってる「闘い」というのは、新日本の選手みたいにまとまってないんですよ。そこは、個性の部分だし、ニュアンスは違うけど、同じ方向は向いている、と。
■「技が軽かったら、おかしいでしょう。だから、思い切りやり合うんですよ、そこが“ゆるい”と言ってるんです」(柴田)
——では、あらためて、10.8両国ではどんな試合を見せたいですか?
柴田 今度は、もう少し長く試合をしたいですね、ハイ。
——まだ、井上選手は、何も見せていない状態ですけど。
柴田 あ、じゃあ、もう今回も井上にはタッチさせない!(笑)。これで、2試合続けてね。「2試合続けて、何やってんだ?」という感じで。井上亘の角刈り、黒パンツに期待して、あとは真壁伸也(真壁刀義の以前のリングネーム)のコレ!(マイクのポーズ)。試合は、自分らはサッとやるだけなんで。
——桜庭選手はいかがですか?
桜庭 ……とくにはないんすけど、気をつけてください。それぐらいです。
——「気をつけてください」というのは?
桜庭 え? 僕らの技に気をつけてください、と。人を倒す技術はいくらでも知ってますんで。まぁ、さっきも言ったように、リングが狭いんで、(関節技は)場所を考えながらやろうかなってのは、前回の試合で学びましたんで。ま、何回極めて、何回逃げてもらっても構わないですし、ハイ。
柴田 ……そうは言うものの、自分らは、いま“作戦D”まで行ってますからね(ニヤリ)。いろいろあるんですよ。気をつけたほうがいですよ?
桜庭 それ、『特攻野郎Aチーム』だから(笑)。
——タッグの醍醐味というのは、タッグプレーやコンビネーションですけど、そういう点ですか?
柴田 それは言えないですよ(笑)。まぁ、“作戦D”まであるってことでカンベンしてください。
——ただ、今回の真壁選手は、トップ中のトップなんで、ヤングライオンとはパワーや当たりがだいぶ違うと思いますけど。
柴田 いや、当たりはもっと強くしたほうがいいですよ、ホントに。ヘビーとかジュニアとか関係なく。当たりは強いほうがいい。おかしいですもん、見てて。納得できないですね。だから、真壁選手だったら、ラリアット? 思い切り、やったほうがいいんじゃないですか? 技っていうのは。技が軽かったら、おかしいでしょう。だから、思い切りやり合うんですよ、それがプロレスなんですよ。そこが“ゆるい”と言ってるんです。
——桜庭さんは?
桜庭 いや、そこまで見ていないですから……わかんないですけど。ゆるいんじゃないですか? ……どうせ、「ゆるいんじゃないですか?」ってとこだけ使うんでしょ?(ニヤリ)。
——この桜庭vs真壁というのは、かなりの異次元ファイトだと思いますけど?
桜庭 う〜ん……どうなんですかね?(笑)。パワーファイターというのが、どこまでパワーがあるのか、わかりません!
——では、最後に新日本ファンに向けてメッセージを。
柴田 いや、それはもう試合でしかないんで。言葉で言う必要はないと思います。
桜庭 ハイ、がんばります。
撮影/山本正二、撮影協力/Laughter7